反戦団体「コードピンク」共同設立者、メディア・ベンジャミン
米国「和解の友」常務理事、アリエル・ゴールド
(2022年10月8日)
ロシアに対する厳しい非難と評された2022年のノーベル平和賞は、ウクライナの人権団体「市民自由センター」と、ベラルーシの人権活動家アレシ・ビャリャツキ、ロシアの人権団体「メモリアル」に贈られた。一見、ウクライナの市民自由センターはこの栄誉にふさわしい団体のように思えるが、ウクライナの平和指導者ユーリイ・シェリアジェンコは、厳しい批判を記している。
Who deserves a Nobel Peace Prize in Ukraine and Russia? People trying to STOP the war. #peaceinUkrainehttps://t.co/TVmgY8Zbfm via @commondreams
— Medea Benjamin (@medeabenjamin) October 8, 2022
「ウクライナ平和主義運動」を率い、「良心的兵役拒否のための欧州事務局」理事でもあるシェリアジェンコは、市民自由センターが米国務省や全米民主主義基金(NED)といった問題のある国際支援団体の思惑を受け入れていると非難する。全米民主主義基金は、ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟を支持している。ロシアとの交渉は不可能と主張し、妥協を求める者を侮辱する。危険な飛行禁止区域を西側が設けるよう望む。ウクライナで人権を侵害しているのはプーチンだけだと言い、親ロシアのメディア、政党、公人を弾圧するウクライナ政府を批判しない。ウクライナ軍を戦争犯罪と人権侵害で非難しないし、国際法で認められた良心的兵役拒否という人権を求めて立ち上がろうともしない。
良心的兵役拒否者を支援するのが、シェリアジェンコとウクライナ平和主義運動の役割である。ロシアの戦争抵抗者のことはよく耳にするが、欧米メディアで対ロシア戦争で完全に結束した国として描かれるウクライナの国内にも、戦いたくないと思う男たちがいるとシェリアジェンコは指摘する。
ウクライナ平和主義運動の設立は2019年。分離主義者が支配するドンバス地方での戦闘がピークに達し、ウクライナが国民に内戦参加を強いていた時期だ。シェリアジェンコによると、ウクライナの男性は「交通違反や公共の場での泥酔、警察官への何気ない無礼など、ちょっとした違反を理由に、軍の召集令状が出され、路上やナイトクラブ、寄宿舎から兵役にさらわれた」という。
さらに悪いことに、2022年2月にロシアが侵攻した際、ウクライナは国民の良心的兵役拒否権を停止し、18歳から60歳までの男性の出国を禁じた。それにもかかわらず、2月以降、10万人以上のウクライナの徴兵対象者が戦わずに逃げ出すことに成功した。さらに逃亡を企てた数千人が拘束されたとみられる。
国際人権法では、原則に基づく信念によって軍事紛争への参加を拒む人々の権利を認めており、良心的兵役拒否には長く豊かな歴史がある。1914年、欧州のキリスト教徒たちは、差し迫った戦争の回避を願い、良心的兵役拒否者を支援するために「国際和解の友」を結成した。米国が第一次世界大戦に参戦した際、社会改革者で女性の権利活動家であったジェーン・アダムスは抗議した。当時は厳しい批判を浴びたが、1931年、米国人女性として初めてノーベル平和賞を受賞した。
ロシアでは、何十万人もの青年が戦いを拒否している。ロシア連邦保安庁の関係者によると、ロシアが30万人の増員を発表してから三日以内に、26万1000人が国外に逃亡したという。飛行機を予約できる者は飛行機を予約し、その他の者は車や自転車、徒歩で国境を越えた。
ベラルーシ人も国外脱出に加わっている。良心的兵役拒否者や脱走兵を支援する欧州の団体「コネクションe.V.」の推計によると、戦争が始まって以来、徴兵適格者のベラルーシ人が2万2000人、国外に逃亡したという。
ロシアの組織「コフチェグ」(方舟)は、反戦の立場、ロシアのウクライナ侵攻への非難、ロシアでの迫害などを理由に逃亡するロシア人を支援している。ベラルーシでは、ナッシュ・ドムという団体が「嫌なものは嫌だ」キャンペーンを行い、徴兵適格者のベラルーシ人に戦わないよう勧めている。徴兵拒否の罰則は、ロシアでは最高十年の禁固刑、ウクライナでは最低でも三年、おそらくそれ以上で、審理や判決は非公開である。戦わないことは平和のための崇高で勇気ある行動であるにもかかわらず、コフチェグもナッシュ・ドムもウクライナ平和主義運動も昨日、ノーベル平和賞受賞とは発表されなかった。
もしノーベル平和賞の受賞者が、戦争に抵抗し、平和構築をめざす人々を支援するロシア、ウクライナ、ベラルーシの団体であったなら、勇敢な若者たちに世界の注目が集まり、おそらく彼らが海外に亡命する道も開けただろうにと思う。また、バイデン米大統領が「核のハルマゲドン」と警告するほど危うい戦争を終わらせるために、米国がウクライナに際限なく武器を供給しながら交渉を進めない理由について、必要な会話を始めることができたかもしれない。それは間違いなく、「国家間の友好関係、軍備の削減・廃止、及び平和会議の開催・推進のために最大・最善の貢献をした人物・団体」を世界的に認めさせるという、アルフレッド・ノーベルの願いに沿ったものとなっただろう。
(次より抄訳)
Opinion | Who Deserves a Nobel Peace Prize in Ukraine? | Medea Benjamin [LINK]
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