2022-10-14

仕事のあり方は進化する

ケイトー研究所シニアアナリスト、マリアン・テューピー
(2019年1月28日)

産業革命以前は、世界人口の8〜9割が農業に従事していた。19世紀に入ると、西欧と北米の人々は一斉に製造業に従事するようになった。しかし、工場での仕事は決して歓迎されるものではなかった。マルクスら哲学者は工場の仕事を批判し、チャップリンらコメディアンは笑い、ウィリアム・ブレイクら詩人は嘆いた。

マルクスは、細分化され反復的な動作を果てしなく続けることで製品を生み出す工場生産は、労働者に十分な心理的満足を与えないと考えていた。チャップリンは、1936年の映画『モダン・タイムス』で、魂と肉体を破壊する組立式生産方式を陽気な喜劇の寸劇に仕立てた。

しかし実際には、多くの人々は、農村での農作業から都市での工場労働へと、高い賃金と自立した文化的刺激を求めて、進んで移動していった。この傾向は今日まで続いている。例えば、1991年から2017年の間に、農業雇用は世界の労働人口の43%から27%に減少した。ブータンやジンバブエなどの非常に貧しい国だけが、農業が労働者の50%以上を雇用し続けている。

米国では、20世紀半ばまで製造業の雇用が増え続けていた。例えば、1950年には、製造業は全労働者の約35%を雇用していた。しかし、その50年後、製造業は全労働者のわずか15%しか占めていない。逆に、サービス業に従事する労働者の割合は、1960年の約18%から2000年には約80%に増加した。同様の傾向は、英国、ドイツ、日本など、他の先進国でも観察することができる。

最近数十年間に工業化を受け入れた国々では、製造業の雇用が増加した。例えば、1991年から2017年の間に、工業雇用はバングラデシュで12%から19%に、中国で19%から24%に、インドで15%から25%に、ベトナムで9%から23%に増加した。歴史を振り返ると、これら人口が多く、急速に工業化が進む国々が豊かになるにつれて、サービス部門が経済発展においてますます重要な役割を果たすようになると予想される。

農業から製造業、そしてサービス業へ。こうした雇用の流れは心配なことだろうか。そうではない。サービス業とは、情報、投資、技術・科学、医療・社会福祉、芸術・娯楽・レクリエーションなどの仕事を指す。これらの仕事のほとんどは、農業や製造業よりも肉体的な負担が少なく、知的な刺激に富み、賃金も高い。

危険も少ない。2014年に世界の農業における従業員10万人当たりの死亡率は、高所得国の7.8人から東南アジア・西太平洋地域の27.5人に及んでいる。製造業では、高所得国の3.8人からアフリカの21.1人までの範囲だった。サービス業では、高所得国の1.5人からアフリカの17.7人までの範囲だった。

職場の進化はまだ終わっていない。完全機械化された農場を目前にして、先進国の農業雇用はゼロに向かいつつある。同様に、ロボットや人工知能の台頭により、豊かな国々では数千万人の製造業やサービス業の労働者が置き去りにされる可能性がある。

豊かな国々では出生率が低下しているため、大量失業の発生は避けられそうだ。また、先進国は人的資本が豊富で開放的であるため、予想外のイノベーションが起こり、離職者を吸収する可能性が高い。

一部の貧しい国々では、雇用情勢はそれほど楽観的とはいえない。特にアフリカでは、22世紀に入っても人口が増え続けることが予想されている。また、経済的自由の欠如、特に労働市場の硬直化により、アフリカ諸国は自動化という課題に対応するのに不向きな状況にある。

有意義な雇用の見通しが立たない何百万人ものアフリカの若者は、硬化した政府に変革を迫るのだろうか、それとも大陸から移住することを選ぶのだろうか。時がたてばわかるだろう。

(次より抄訳)
The Ever-Changing Nature of Work - HumanProgress [LINK]

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