元国連大量破壊兵器査察官、スコット・リッター
(2022年10月3日)
NATO in the horns of a dilemma after former Ukrainian regions vote to join Russiahttps://t.co/y8qUK9Cxxd pic.twitter.com/jkOksqaSHb
— Ron Paul Institute (@RonPaulInstitut) October 3, 2022
ウクライナで七カ月以上続くロシアの軍事作戦は、両軍がそれぞれ望む行動方針を変更せざるをえない状況に直面した例を数多く示している。ロシアが特別軍事作戦の初期にウクライナに対し行った「陽動作戦」は、ウクライナ側が東ウクライナで軍を強化することを妨げたし、最近ハリコフ州で終了したウクライナ側の反攻は、ロシアを以前占領していたかなりの範囲から早急に撤退せざるをえなくした。
4月にジョンソン英首相(当時)がキーウ(キエフ)を訪れ、ゼレンスキー大統領にトルコのイスタンブールで行われていたロシアとの和平交渉から手を引くよう説得して以来、NATOはウクライナに数百億ドルの軍事・財政支援を行うための計画に着手した。最新の重火器を提供するほか、西側の施設を使用させ、ロシアの介入を恐れずに数万のウクライナ軍の訓練と組織化を行うなど、その計画は進んでいる。
NATOがウクライナに兵器を投入した目的は単純明快で、紛争を長引かせることに加え、ウクライナ政府とその支持者が同国の占領地と考えているドンバスやクリミアなどの地域からロシアを追い出すため、攻撃的な軍事作戦をウクライナに実施させるためだった。9月初旬のハリコフでの反攻作戦は、NATOの行動の深刻な結果を浮き彫りにした。攻撃したウクライナ軍が受けた人命と物資の多大な損失を考えれば、ハリコフの勝利は割に合わなかったが、それはウクライナの勝利であり、ロシアに撤退を強いるものだった。
ウクライナ軍をウクライナ人が配置されたNATO軍に変身させたことで、米主導の陣営は、ゲームの性質を、ロシア対ウクライナの単純な「特別軍事作戦」から、ロシアが当初戦いに割り当てた軍事資源では不十分な「ロシア対米欧集団」の戦いに変えてしまったのである。
ウクライナ・NATO側が有利になったのだ。
しかしロシアは、NATOのゲームチェンジの動きを静観していたわけではなかった。プーチン大統領は、ウクライナの新しい現実を受け、NATOが主導するこの新しい軍事力増強のゲームに単に参加するのではなく、完全にゲームを変えることを選択したのである。プーチンは特別軍事作戦に現在投入されている部隊を強化するために、約30万人のロシア予備役の部分動員を命じただけでなく、そのときロシア軍が戦っていたへルソン、ザポロジェ(旧ウクライナ占領地域)、ドネツク、ルガンスク(旧ウクライナ地域、2014年から事実上独立)の四地域で住民投票を承認したのである。この住民投票は四地域の市民に、「あなたはロシアの一部になることを望みますか」というシンプルな問いを投げかけた。
五日間にわたる投票の結果、四地域の結果は明らかになった。圧倒的多数で、住民投票の参加者は議案を承認したのである。そしてまもなくロシア連邦に編入された。以前ウクライナだった地域は、母なるロシアになったのである。
ロシアはゲームのルールを変えただけでなく、ゲームそのものを変えてしまった。ウクライナ軍がウクライナ領内でロシア軍と戦うのではなく、今後ウクライナがロシア軍に対して行う戦闘は、ロシア本国への攻撃そのものとなるのだ。
NATOはどうなるのだろうか。NATOの指導者は、ロシアとの直接対決を望んでいないことを、初めから明らかにしている。NATO加盟国は、ウクライナの軍備再建のために数百億ドルの物資を投入し、重要な兵站、情報、通信の支援を行ってきたが、ロシアと直接戦争をする気はなく、むしろウクライナに事実上のNATO代理人としてモスクワに対抗してもらいたいと繰り返し、しつこく表明してきた。
NATOはウクライナ支援に関し、経済的にも政治的にも「全力」で取り組んでおり、加盟国の中には、それぞれの軍事機構から装備や資材をはぎ取ってしまい、何も残らない状態になっている国もあるほどだ。にもかかわらず、欧州の政治・経済界のエリートたちは、ウクライナへの強い支持を表明し続けている。
(次より抄訳)
The Ron Paul Institute for Peace and Prosperity : NATO in the horns of a dilemma after former Ukrainian regions vote to join Russia [LINK]
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