作家、ジェームズ・ボバード
(2022年10月7日)
内部告発サイト「ウィキリークス」創設者ジュリアン・アサンジは、機密情報を開示したことによる十七件のスパイ活動法違反で、身柄の引き渡しを迫られている。英国がアサンジを米政府に引き渡した場合、連邦裁判所における八百長裁判では、彼が公正な裁判を受けるチャンスはほとんどない。
World-wide demonstrations calling for the release of Julian Assange might go unheeded by American political elites, but that does not diminish this simple truth: Assange is being punished for exposing lies and lawbreaking by the U.S. Gov. | @JimBovardhttps://t.co/VtLFsNSrsC
— Mises Institute (@mises) October 7, 2022
ウィキリークスが米軍によるアフガニスタンやイラクの民間人に対する犯罪を暴露する数万の文書といくつかのビデオを公開した後、アサンジは米政府から標的にされた。ジョー・バイデン副大統領(当時)は、アサンジを「ハイテク・テロリスト」と糾弾した。
連邦政府機関は、ウィキリークスの公開した情報が虚偽だと証明できなかった。文書をリークしたブラッドリー・マニング米軍上等兵の軍法会議では、検察はウィキリークスの公開した情報が、アフガンやイラクで誰かの死につながったと証明できなかった。バイデンでさえ2010年に、ウィキリークスの暴露による「実質的な被害はないと思う」と認めている。しかしアサンジは、米国民から真実を隠す米政府の神聖な権限を侵したから、有罪なのだ。
米政府の為政者らはアサンジを非難し、アフガン紛争で米軍の作戦を拡大させた。残虐行為は続き、アフガン国民を米軍・政府の傀儡とみなされたアフガン政府に敵対させることになった。2021年、アフガン軍がトランプの家のように崩壊した際、米政府の為政者らはタリバンの電光石火の勝利に唖然とした。しかしそのようにショックを受けたのは、ウィキリークスの明らかにした真実を無視したからにほかならない。
2019年にアサンジに対する連邦訴追が発表された際、ニューヨーク・タイムズは社説で、「憲法修正第1条(報道の自由)の核心を直撃しようとするもの」であり、「何世代にもわたって実践されてきた米国のジャーナリズムに冷や水を浴びせる」だろうと断じた。残念ながら米国人と外国人は、米国の海外介入に関する長年にわたる隠蔽工作のために、苦しみ続けている。
バイデンはソマリアで米国の爆撃を強化した。私たちは一体誰を殺しているのだろうか。それは秘密だ。米政府はシリアのどのテロ集団に資金援助をしているのか。それは秘密だ。なぜ米国はイエメン市民に対するサウジアラビアの残虐行為を支援し続けているのか。それは秘密だ。
そして、現在進行中の最大かつ最も危険な秘密作戦、ロシア・ウクライナ戦争への米国の介入がある。人々がロシアを非難し、ウクライナを支援するのはいいが、米国を核戦争に巻き込む恐れのある白紙委任状に米政府の為政者が値すると信じているのだろうか。米中央情報局(CIA)のアナリストや国防総省の役人は、ウクライナ紛争における米政府の行動が、大惨事に至る悪循環を招くかもしれないと警告しているだろうか。残念ながら米国人は被害が発生するまで、そのような内部文書を知ることはないだろう。そしてもし大惨事が起きたら、イラク戦争後と同じようなペテンが見られるだろう。上院の何かの委員会で、政府の全員が「集団思考」の犠牲者だから、誰も悪くないとほざくのだ。
連邦政府の検察は、アサンジが「機密」情報をリークしたと強調する。しかし連邦政府機関は、毎年何兆ページもの新たな「機密」情報を作り出している。機密扱いの情報はすべて、暴露すれば国家を呪ったことになる、政治上の聖なる遺物のように扱われる。
秘密主義の蔓延は、政府の信頼失墜を説明するのに役立つ。今日の米国人は連邦政府よりも、魔女や幽霊、占星術を信じるだろう。アサンジの剥製を司法省の戦利品棚に追加したところで、米国をこれほど多くの大失敗に引きずり込んだ政治支配層に対する不信感を解消することはできまい。
アサンジの罪は、政府の愚行、詐欺、犯罪を暴露して政府を困惑させた「不敬罪」である。アサンジは数年前、「戦争が嘘によって始められるなら、真実によって止めることができる」と宣言した。バイデン政権がアサンジに対する告訴を取り下げれば、過剰な秘密主義を真剣に終わらせるつもりがあると証明する、最善の方法になる。
(次より抄訳)
Julian Assange and Our Impunity Democracy | Mises Wire [LINK]
0 件のコメント:
コメントを投稿