2022-10-10

広島・長崎・ウクライナ

自由の未来財団(FFF)創設者・代表、ジェイコブ・ホーンバーガー
(2022年10月4日)

多くの人が気づき始めているように、考えたくもないことだが、米国とロシアは核戦争に危険なほど近づいている。ロシアのプーチン大統領は、「持てるすべての力と手段」を使ってロシアの領土を防衛すると公言した。バイデン米大統領は、ロシアが核兵器の使用に頼れば「破滅的な結果」を招くと反論している。

プーチンが正しく指摘するように、戦時の核兵器使用の前例をつくったのは米国政府である。それはもちろん、第二次世界大戦で米国が日本の広島と長崎に投下した原爆である。

この両都市を核爆弾で攻撃する正当性について、米政府関係者が挙げている理由を確認してみよう。

米政府高官とそれを支持する主要報道機関の多くは、米政府が広島・長崎を核攻撃したのは正当であり、なぜなら戦争を短くできたからだと長い間主張してきた。その過程で、もし日本への侵攻が必要になっていたら命を落としていただろう何千人もの米国人兵士を、原爆投下が救ったという。

しかし、これは広島・長崎への原爆投下に対する法的・道徳的な弁明としては無効である。結局のところ、戦時中に兵士が民間人を標的にするのは戦争犯罪なのである。米国はまさに、この両都市への原爆投下でそれを行った。例えば、ウィリアム・カリー中尉がベトナム(戦争中のソンミ村虐殺事件)で無実の市民を殺したことと、米当局者が広島・長崎の住民にしたことの間には何の違いもない。

兵士が戦争で死ぬ。それが戦争の本質だ。侵略で死ぬ兵士を救う方法として、女性や子ども、高齢者、その他の民間人を標的にすることは、まったく違法である。

重要なのは、今日に至るまで米政府高官とその信奉者である主要メディアが、広島・長崎への原爆投下を、戦争を短くし、その過程で米兵の命を救ったという、この特別な弁明に基づいて弁護し続けていることである。

そう考えると、バイデンはどうして、もしロシアがウクライナとの戦争で核兵器を使用したら「破滅的な結果」をもたらすと、ロシアを脅すことができるのだろうか。もしロシアが戦争を短縮するために核兵器を使用し、それによってロシア兵の命を救うと言ったらどうか。言い換えれば、米国が日本での核兵器使用に対して使った(そして今も使い続けている)のとまったく同じ弁明を、ロシアが戦時中の核兵器使用に対して使ったらどうか。バイデンは何と言うのだろう。米国は使ってよいが、ロシアはダメだとでも言うのだろうか。

実際、ロシアが米国と異なり、核兵器の使用を罪のない民間人ではなく、敵軍に限定したらどうだろうか。そのときバイデンは何と言うのか。米国には罪のない民間人を含む誰に対しても核兵器を使用する権限があるが、ロシアには敵軍に対して核兵器を使用する正当な権限がないと言うのだろうか。

第二次世界大戦でトルーマン大統領が犯した戦争犯罪が、約七十五年後に米国を苦しめることになろうとは、誰が想像しただろう。今さら何の役にも立たないかもしれないが、現時点でバイデンができる最善のことは、広島・長崎への原爆投下が事実上、戦争犯罪であったことを率直に認め、真摯で悔恨に満ちた謝罪をすることだろう。

冷戦時代の老いた恐竜である北大西洋条約機構(NATO)を利用してロシアのウクライナ侵攻を誘発した米国防総省は、たとえ誤算や事故であっても、米露を核戦争に危険なほど近づけた責任を負っている。広島・長崎における米国の戦争犯罪を謝罪することに加え、バイデン大統領が現時点でできる最善のことは、ウクライナへの武器その他の支援をただちに中止し、NATOから脱退し、海外に駐留する米軍兵士を全員帰還させて兵役を解き、東・西欧をはじめすべての海外基地を放棄することだろう。

言い換えれば、米政府は世界に構うなということだ。米国と世界を核兵器によるホロコーストの危険にさらすなど、すでに十分な損害を与えているのだから。

(次を全訳)
Hiroshima, Nagasaki, and Ukraine – The Future of Freedom Foundation [LINK]

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