2022-10-11

今こそバイデンに言おう、「核戦争をやめろ!」

元米連邦下院議員、ロン・ポール
(2022年10月10日)

ニューヨーク・タイムズは先週、ロシアの著名な哲学者(アレクサンドル・ドゥーギン)の娘ダリア・ドゥギナが8月に殺害された事件について、米国の情報機関が責任はウクライナ政府にあると信じているという、ショッキングな記事を掲載した。

ウクライナは戦争好きなロシアの侵略に対し、共通の価値観のために力強く立ち上がる西側民主主義のモデルであるという、既成の物語が損なわれるのは間違いない。ウクライナ政府は、ロシア国内の罪のない一般市民に対しアルカイダのような攻撃を行ったのだから。ドゥギナの殺害はまさに、「政治目標の追求のため、とくに民間人に対し暴力を行使したり、暴力を使うと脅したりすること」という、テロの教科書的な定義そのものだ。

ちょうど一カ月後、ノルドストリームのパイプラインが爆破され、ドイツが主要なエネルギー供給国(ロシア)と仲直りして経済を救う方法を見つける可能性は、少なくとも短期では終わったように思われた。ポーランドの有力政治家は、米国がこの仕事をやってくれたことに感謝している。

そして週末には、ロシア本土とクリミアを結ぶ橋が爆撃され、少なくとも六人の民間人が死亡し、橋の一部が水没した。交通は攻撃の数時間後に復旧したが、ロシアのプーチン大統領はウクライナの諜報機関に責任があるとした。ウクライナが米国という主人に頼っているのは周知の事実だから、橋を狙うことを可能にする情報は米国が提供したと想定できる。

ここにパターンがある。ますます大胆な攻撃がロシアに対して行われ、米政府は米国の指紋を隠すためにほとんど何もしていない。なぜか。

バイデン米政権はウクライナの件で核戦争に近づいているようで、バイデン大統領自身もそれを知っているようである。先週バイデンは、プーチンが「戦術核兵器や生物・化学兵器を使用する可能性について話すとき、冗談を言っているのではない」と語った。「キューバ・ミサイル危機以来初めて、事態がこのまま推移すれば核兵器が使用されるという脅しを直接受けている」と述べた。

そこで疑問なのは、もしバイデンが、ロシアとの代理戦争によって核兵器による人類全滅という想像を絶する事態に近づいていると知っているなら、なぜバイデン政権は越えてはならない一線を次々と越えていくのか、ということだ。バイデンの「専門家」たちは、プーチンはハッタリをかましているだけで、ドゥギナ暗殺、ノルドストリーム破壊工作、クリミア橋攻撃に対し何もしないと考えているようである。

しかし、もしそれが間違っていたらどうなるだろう。

通常、外交政策は費用対効果で考えるべきものだ。ある政策の採用が、米国にリスク以上の利益をもたらすかどうか。ウクライナの件では、プラス面は何もない。米国の安全と繁栄がロシアの政権交代によって受ける利益は、核戦争が勃発した場合の苦しみよりも大きいだろうか。

そう難しい判断ではないだろう。答えはノーだ。

では、何が起こっているのだろうか。なぜ米政権は、議会の共和党議員大半の支持を得て、何百億ドルもの軍事援助を送り続け、米国とまったく関係のない紛争をめぐって核戦争へと向かわせるのだろうか。

この戦争への米国の参加を終わらせるべき時が、昨日来たのだ。何百万人もの米国人が街頭で平和的に抗議し、自分たちの代表がこの狂気の沙汰を止めるよう要求することが必要なら、それを実行に移せばいいのだ。明日では遅すぎるかもしれない。

(次を全訳)
The Ron Paul Institute for Peace and Prosperity : It’s Time To Tell Biden We Say ‘NO!’ To Nuclear War! [LINK]

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