Why Brics can’t do away with US dollar even as currency cooperation rises | South China Morning Post [LINK]
【海外記事紹介】ブラジルのルラ大統領がインドを訪問した際、BRICS独自通貨の導入について「提案も草案も、内部での議論すら存在しない」と明言し、世間の憶測を打ち消しました。この記事によれば、加盟国の間では共通通貨という政治的にハードルの高い目標よりも、自国通貨建て決済の拡大や中央銀行間の通貨スワップ、決済システムの連携といった、より現実的な協力関係を優先する動きが強まっています。ルラ大統領は、インドとブラジルは米ドルに依存せず自国通貨で取引が可能であると強調しましたが、これはドル支配への直接的な挑戦というより、経済的な柔軟性を確保するための実務的な選択と言えます。
背景には、近年の「脱ドル化」の動きと、2025年のブラジルでのサミットでロシアのプーチン大統領が自国通貨利用を促した経緯があります。また、アメリカの大統領選挙では、BRICSがドルに代わるライバル通貨を作れば、対象国からの輸入品に100パーセントの関税を課すという警告もなされました。こうした政治的圧力が強まる中で、アナリストは、BRICSが独自の電子決済システムや暗号資産の活用、中国の国際間銀行決済システムの利用拡大などを通じて、ドルへの依存を段階的に減らしていく道を探ると分析しています。
しかし、共通通貨の実現には依然として大きな壁が立ちはだかっています。ロシアのルーブルやイランのリアルのように価値の変動が激しい通貨の問題や、中国の人民元の影響力拡大を警戒するインドの思惑など、加盟国間の利害は必ずしも一致していません。インドはむしろ、中央銀行が発行するデジタル通貨の連携を提案しており、実務的なクロスボーダー決済の効率化に注力しています。また、加盟国は多額の米ドル資産を外貨準備として保有しているため、急激なドル離れは自国の資産価値を損なうリスクがあります。
2024年の統計で、BRICS域内の貿易額は20年前の約14倍となる1.17兆ドルに達し、世界貿易の5パーセントを占めるまでになりました。経済的な存在感は確実に高まっており、インドとブラジルはレアアースやAI分野での協力を深め、2030年までに二国間貿易額を300億ドルに引き上げる目標を掲げています。それでも、米ドルの圧倒的な優位性は当面揺らぐことはなく、BRICSはドルと共存しながら、いかに自立した経済圏を構築できるかという長期的な課題に直面しているのが実情です。
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