2019-03-31

個人の武器

家庭への介入
親がしつけにあたつて子どもに体罰を加へることを法律で禁止。今でも子供を虐待すれば刑法上の罪に問はれるのに、しつけに伴ふ体罰といふ判定の微妙なものを罪とすることは疑問です。冤罪を防ぐとしたら、子供の証言以外に、どうやつて証拠を入手するのでせうか。将来、家庭内に政府のカメラを配備せよといふ話になつても驚きません。さうして管理社会はやつて来るのです。
親による体罰禁止 児童虐待防止へ法改正案決定

空想の完全競争
公取委が考へる市場競争とは、いはゆる完全競争。空想の世界にしか存在しない、現実離れした机上の空論です。最近流行の行動経済学で、完全競争といふ「合理的」な概念がいかにをかしなものか、さんざん指摘されてゐるにもかかはらず、公取委員長の口から出ると、皆さんありがたく拝聴するのは、どういふことでせう。
公取委員長吠える!GAFAの「勝者総取り」は許さない

個人の武器
記者会見中に当事者がツイッターでリアルタイム反論といふ、メディア史上画期的な出来事。昨今、SNSの規制ばかりが論じられますが、もし今以上にSNSでの意見発信が不自由になれば、力のない個人が一人で大きな組織に抵抗する道をふさいでしまうでせう。マイノリティ差別を理由にSNSでの表現規制を訴へる人たちは、自分たちこそマイノリティを含む個人の武器を奪つてゐるのだと自覚すべきです。
NGT山口さん、AKS会見中に反論投稿「うそばかり」

最低賃金上げで起こる危機
書評のまとめが正しいとすれば、アトキンソン氏はあまりにも大きな勘違ひをしてゐます。アトキンソン氏は、最低賃金を上げれば日本人の収入が増えると思つてゐますが、そんなことはありません。最低賃金を上げれば、雇用を確保できる正社員は収入が増えるかもしれませんが、その分、非正規社員は労働時間を減らされたり職がなくなつたりして、一人あたりでみた収入は増えないどころか、減る可能性だつてあります。最低賃金引き上げが失業を増やすのは経済学のイロハ。お隣の韓国で何を引き起こしたか、ご存じないのでせうか。
日本人は「人口減」で起こる危機を甘く見ている

2019-03-30

偽物の資本主義

偽物の資本主義
市場経済を非難する人々は、政府によつてゆがめられた現代の経済体制が本物の市場経済だと勘違いしてゐる。政府の与へる独占、免許、助成、救済は自由競争に反し、真の市場経済では存在しない。政府が生み出したこの経済体制は、マルクス経済学でいふ国家独占資本主義である。
Don’t confuse the free market with crony capitalism | TheHill

小企業がカギ
小企業が元気な経済は、職を求める労働者により多くの選択肢を与へる。それだけでなく、自分が起業することで賃金労働から抜け出すチャンスも増える。政府の規制が小企業の創業を妨げると、雇用者に対する労働者の交渉力が弱まる。企業の選択肢が増えれば、労働者は得をする。
Small Businesses Are Key In Improving the Lives of Workers | Mises Wire

手段と目的
人は崇高な目的を達成したがるが、手段には考へが及ばない。目的は願望にすぎず、現実ではない。正しい行動基準は現実からしか導けない。歴史上、非道きはまる行ひの多くは、高貴な目的のためといふ名目で行はれた。だから、目的が手段を正当化するといふ考えは間違ひなのだ。
Why Means Matter More Than Ends - Foundation for Economic Education

さらば関税同盟
英国はEUからの「強硬な離脱」で圧倒的に良い影響を受ける。あらゆる関税を廃止すれば、とくにその恩恵は大きい。英国が一方的に関税をやめれば、他国と協定を結ぶ必要もない。これはEUが一番恐れるシナリオだ。関税同盟の利益に疑問を抱かせ、EU自体の終焉をもたらすからだ。
What a "Hard Brexit" Could Mean for the UK | Mises Wire

2019-03-29

良い抗議、悪い抗議

良い抗議、悪い抗議
主流メディアはフランスの黄色いベスト運動を批判する一方で、ベネズエラの反体制運動を支持してゐます。マクロン仏大統領もベネズエラのクーデター首謀者を支持しながら、自国内の抗議運動を弾圧してゐます。このあからさまなダブルスタンダードにはあきれます。
パリ・シャンゼリゼで略奪、破壊 黄色いベスト運動、230人拘束

テロで手放す自由
ニュージーランドで購入される銃の大半は狩猟や家畜を守る目的で、銃犯罪自体は少ないさうです。一人の犯罪で国民全員に規制のコストを負はせ、それを上回るメリットが得られるのでせうか。むしろテロに屈し、自由を手放したやうに見えます。今は大したことがないやうに思へても。
ニュージーランド内閣、銃規制法改正巡り合意=首相

禁止する理由
役に立たない穴を掘つて埋めても雇用は生まれるのですから、雇用が増えたかどうかはさほど重要ではありません。大切なのは酒やタバコが原則自由なのに、麻薬だけを原則禁止とする理由はないこと。もし他人に迷惑をかけたら(酒に泥酔する以上の迷惑はないやうに思えますが)、その迷惑行為を罰すればいいのであつて、麻薬そのものを禁止する必要はありません。ピエール瀧さんはマリファナやコカインを20年間以上常習したといはれますが、立派に芸能活動をやつてゐました。
アメリカで今、最も雇用が増えているのはマリファナ業界

何を今さら
アクセス殺到ですか。これがもしEU離脱を求める請願なら、たちまちロシアの陰謀にされるところですが、逆だとさうならないのはどうしたわけでせう。これで離脱撤回となるやうなら、2016年の国民投票はいつたい何だつたのだといふ話です。ベストの解決策は、離脱を望む人々だけで独立し、新しい国を作ることです。
英、EU離脱撤回請願に2百万人 議会サイトに殺到

2019-03-27

すべてが故郷

違法と道徳
飲酒が法律で禁止された時代に酒を飲めば逮捕されるのと同じやうに、コカインが法律で禁止された時代にコカインを使用すれば逮捕されます。なぜなら違法だからです。けれども、違法か合法かと、道徳的に良くないかどうかは、別の問題です。アップル創業者のスティーブ・ジョブズ氏は若いころ、コカインや大麻やLSDを常習したさうです。しかしほとんどの人はそのことでジョブズ氏を非難したりしません。麻薬取締官でない私たちは、ピエール瀧さんを居丈高に断罪する必要はありません。
俳優のピエール瀧容疑者 コカイン使用疑いで逮捕

すべてが故郷
生まれ故郷でもない自治体に返礼品目当てで納税するのは、ふるさと納税の趣旨に反するといふ意見を見かけます。ケチなことを言ひなさんな。日本人にとつて、たとへ生まれた場所でなからうと、あらゆる市町村が故郷のやうなもの。訪ねたことはなくても、懐かしい気持ちがするはず。ならばそこは私たち全員の故郷なのです。がんばれズワイガニの町。
返礼品ズワイガニ、予想外の人気 不漁重なり送れず謝罪

法的権利なし
民間の年金なら、加入後に保険料を引き上げたり、給付の開始年齢を遅らせたりする商品は、訴訟沙汰になるか、誰も買はなくなるかでせう。ところが公的年金の場合、政府が何をやらうとやり放題です。加入者である国民には法的権利が一切ありません。賦課方式は行き詰まり、世代間の感情対立、国民の分断といふ嘆かはしい状況をもたらしてゐます。早く積立方式に変へるべきです。いや、それなら別に政府がやる必要はなく、民間でやればよいのです。
「本当に年金もらえるの?」不安な若者こそが訴えるべき解決策とは。30歳エコノミストに聞いた

政府業務のリストラを
行政改革の流れで国家公務員の数が削減されている一方で、行政ニーズは複雑かつ多様化していることが、公務員の異常な長時間労働につながっているとの指摘。でも、行政を複雑にした責任は、いりもしない細かな規制を次から次に作り出す政府自身にあります。公務員の皆さん、過労死したくなければ声を大にして叫びましょう。「公務員数のリストラだけでなく、政府の仕事をリストラせよ」と。
眠らない官僚

2019-03-26

自発か強制か

平等追求と嫉妬
富の平等を求める社会主義運動の背後にあるのは、嫉妬と羨望である。左翼は一部の人々が自分よりも金持ちであることにとにかく我慢ならない。国家権力を使つて平等を無理やり実現した結果、たとへ貧しい人を含む社会全員の暮らしが苦しくなつたとしても、社会主義者は満足だ。
Our Disastrous Obsession with Equality | Mises Wire

電子タバコの恩恵
JUUL(ジュール)のやうな電子タバコは、普通のタバコよりきはめて健康に良い。ニコチンを含むが、普通のタバコの害が95%除去されてゐる。最近の研究によれば、喫煙を完全にJUULに切り替へたところ、喫煙に伴う各種指標が99.6%減少し、完全な禁煙とほとんど同じ効果を示した。
Vaping Is Saving Lives | AIER

社会主義者は理解できない
社会主義者は物事を深く考へられない。政府が金を配ればいいと主張する。その金はどうやつて手に入れる? もちろん金持ちへの課税だ。それでは全員に配るには足りないことが理解できない。稼ぐ意欲を削ぐことが理解できない。税で資本が減ると生産を妨げることが理解できない。
Target Liberty: A Further Note on Libertarian Strategy

自発か強制か
市場と政府の違いを煎じ詰めれば、自発的な取引か強制された取引かだ。自発的な取引は権力を排し個人を尊重する。消費者が王様になる。個人の選択の自由が経済を支配する。決定権があるのは自分と自由な売り手だけで、他人は口を挟まない。政府の役割は平和を保つことだけだ。
The Essence of Capitalism Is Mutual Consent - Foundation for Economic Education

2019-03-25

政府の解決能力

ああ司法後進国
「司法制度見直しの絶好の機会」とフランス政治に詳しい舛添前東京都知事。それはそのとほりですが、21世紀も5分の1にならうとしてゐる今ごろになつて、フランス革命でうたはれた基本的人権の保障をしつかりやらねばならないとは、なんといふ情けない話でせう。日本人は検察に絶大な信頼を寄せてゐると言ひますが、そのやうな虚像を広めたのはメディアにも責任があります。
「ゴーン氏長期勾留」が見せつけた司法制度の欠陥 海外から押し寄せる「ここがヘンだよ、日本の司法」の声

政府の解決能力
北朝鮮との緊張緩和に逆行する日本政府の動き。北朝鮮国籍保有者の入国を原則禁じる日本独自の制裁が背景にあるといひますが、政府に日本国民の安全を守る能力があるならば、拉致事件などとうの昔に解決してゐるはずです。安全確保は政府に最も任せてはいけないサービスの一つです。
北朝鮮に東京五輪のID付与せず 組織委、制裁が背景

ナショナリズムの害
「国産なら絶対に安全だというのは、科学的な根拠のない神話」「中国産は税関で抜き取り検査も行われるから、その分だけ安心」と専門家。やはりさうでしたか。まつたく異様な日本の国産信仰と中国産攻撃。ナショナリズムは人々の精神だけでなく健康にも害を及ぼします。
「外食メニューが命を縮める」は本当か? メディアが煽る食の不安、外食企業の反論を聞いてみた

迷惑な報復
関税、送金の停止、ビザの発給停止……どれも韓国とビジネスしたい日本人が迷惑することばかり。韓国に対する報復措置と言ひながら、日本国民を攻撃してどうするのですか。
麻生氏、送金・ビザ発給停止例示 韓国への報復措置、元徴用工問題

2019-03-24

労働需要は消えず

規制が健康を害する
米食品医薬品局(FDA)長官、全米のコンビニで香味付き電子タバコの販売を禁止するやう政府に提案。電子タバコは香りで非喫煙者の若者を引き寄せないし、大人の喫煙者が普通のタバコをやめるのに大きな効果がある。規制すれば禁煙する人が減り、喫煙者の健康をむしろ害する。
FDA Ban on Sale of Flavored E-Cigarettes Bad for Public Health | Competitive Enterprise Institute

労働需要は消えず
ベーシックインカム導入論者は、技術の発達によつて人間が仕事を失ふと主張する。けれども米国で20世紀初めに40%を占めた農業人口が同世紀末にはわづか1%に減少したにもかかはらず、経済は崩壊しなかつた。技術革新で特定の仕事は消えても、労働全体への需要はなくならない。
Don’t Be Duped by the Latest "Universal Basic Income" Scheme | Mises Wire

社会主義の誘惑
人は社会主義のことになると、進んで無知を受け入れる。一流大学の教授ですら破綻の証拠を気にしない。かつて世界最大級の石油備蓄を誇つたベネズエラの人々は、飢ゑて周辺国に逃れてゐる。聞こえは良いが役に立たない社会主義思想のせゐで、有望な将来を台無しにされたのだ。
Thomas Sowell warns U.S. may not resist siren song of socialism: 'I wouldn't bet on it' - Washington Times

機会の創造
起業家はあらかじめ存在する機会を発見するのではない。機会を創造するのだ。不確実性の下で新たな市場を生み出す。起業家ならではのやる気がなければ取り組めない。宇宙旅行、自動運転車から宅配ピザ、変色しないリンゴまで、起業家はそれまで存在しなかつた機会を創造する。
Economic Opportunities Don’t “Exist”. Entrepreneurs Create Them. - Center for Individualism

2019-03-23

納税者の利益

納税者の利益
ファーウェイが米政府機関から正当な理由なく排除されれば、米国の納税者は選択の自由を奪はれるわけですから、提訴は納税者の権利の面から歓迎すべきでせう。米企業が同じやうな提訴を中国でできないのは不公平との意見がありますが、もし米企業の製品・サービスが中国製より優れてゐるのであれば、それを使へないのは中国政府にとつて損失なわけですから、放つておけばいいことです。
ファーウェイ、米政府機関での製品使用禁止は違憲と提訴

経済は生態系
独自通貨を持つ米国のような国では、政府債務の増加がマクロ的な供給不足からインフレを起こすような場合でなければ、経済成長と雇用の増加が続いてゐる限り、政府債務の増加自体は問題ない──。これがMMT(現代金融理論)のコア部分ださうです。日本でリフレ派からよく聞いた主張です。この主張をする人たちは、経済は機械のやうなもので、政府が介入しても元気に動き続けると信じてゐます。けれども経済は機械ではなく、生態系です。政府が国債で市場から資金を吸い上げ、市場の望んでゐない事業に使ひ続ければ、生態系は健全な成長を妨げられ、やがて枯れ果てていくでせう。
焦点:財政拡大理論「MMT」、理想の地は日本か

独禁法の正体
独禁法は21世紀前半の遺物であり、政治のための飛び道具にすぎません。米国の独禁法である反トラスト法は、モルガン財閥と親しいセオドア(テディ)・ルーズベルト米大統領が、敵対するロックフェラー財閥を解体・弱体化するために作つたものです。当時ロックフェラーは消費者の利益を損ねるどころか、安価な石油で支持されてゐました。だからこそシェアを伸ばしたのです。市場シェアは消費者にそつぽを向かれればたちまち失はれるもの。政府から規制によつて守られるなどの特権を付与されない限り、巨大企業といへども市場を支配することはできません。
米大統領選出馬表明のウォーレン議員、アマゾン、グーグル、FacebookなどIT大手解体を提案

金利操作の経済
市場経済にとつてきはめて重要な意味を持つ金利。その金利を政府(中央銀行)が当たり前のやうに操作する時代に、私たちは生きてゐます。あまりにも当たり前すぎて、誰もその枠組みを疑ひません。中央銀行が金融・経済に大きな影響力を持ち、総裁の一言一言に人々が神経をとがらせる世界は、果たして本当の市場経済と呼べるでせうか。
米FRBは金利変更を急がず、海外発のリスクに注目=パウエル議長

2019-03-22

現代の奴隷

協力と強制
協力と強制の違ひを学ばう。協力は自分から進んでやること、強制は暴力や脅迫でやらされることだ。日ごろ家族や自分が経験する、人とのさまざまなやりとりが、協力と強制のどちらに当てはまるか、考へてみよう。さうすれば、政府のやることのほとんどが強制だとわかるはずだ。
5 Ways to Teach Liberty to Young Children - Foundation for Economic Education

国は人がつくる
国境を定めるべきものは言語や人種、宗教ではなく、経済利害や地理的・戦略的配慮でもない。自分たちの運命を決める住民の権利だ。国家はともに暮らさうとする人間の意思によつて生まれる。国家の存在は、国民が政治的に協力する意思にかかつてゐる。その意思は日々試される。
What Mises Could Teach Today's Nationalists | Mises Institute

現代の奴隷
南北戦争前の米国南部では、奴隷が主人から自分自身の体を借りることがよくあつた。好きな所に住み、仕事を探し、働いて賃金を得る。ただし毎月、自由の代償として主人に一定額の支払ひを義務付けられた。これは現代の一般人とほとんど変はらない。自由の代償に税を取られる。
Whether You Know It or Not, You Are a Tax Slave | Robert Higgs

本能の抑圧
米心理学協会は成人男性と少年について「伝統的な男らしさは有害」とする見解を公表した。攻撃的な本能を抑制すべきだといふ。これは間違いだ。本能を滅ぼさうとしても解決にはならない。もしさうなれば男性本能の良い側面である野心、意志の強さ、粘り強さも失はれるだらう。
Target Liberty: Jordan Peterson Slams New American Psychological Association Guidelines on Treating Men and Boys

2019-03-21

ホッファー『現代という時代の気質』


人間を解放する自動化

ロボットや人工知能(AI)による仕事の自動化が大量の失業を生み、社会を崩壊させるという警告をよく聞く。2020年の米大統領選に出馬を表明した民主党候補の一人、実業家のアンドリュー・ヤン氏は、仕事の自動化は米国社会を決定的に崩壊させるリスクがあるとし、それを防ぐために、成人の米国民すべてに無条件で毎月1000ドル(約11万円)のおカネを配るベーシックインカムを提案する。

しかし米国の社会哲学者、エリック・ホッファーの意見は違う。自動化は社会を崩壊させるどころか、人間が労働から解放される楽園に導くという。

本書でホッファーは、失業は必ずしも悪ではないと説く。失業は人間の創造的エネルギーを解き放つきっかけになりうる。その典型は、古代文明における文学の出現である。

文字が発明されたのは、書物を書くためではなく、帳簿をつけるためだった。文字の技術を生業とする書記は官僚であり、何世紀もの間、記録を取り続ける。その書記が作家として物を書き始めたきっかけは、失業だった。

エジプトでは、古代王国の崩壊で広大な官僚組織が瓦解すると、官僚の地位を失った書記の中から、朗々たる文句で国土に降りかかった災禍を記述しようと志す者が現れる。パレスチナでも、中央集権化したソロモン王国が崩壊し、書記が多数失業した後に文学が始まった。中国では周の崩壊後、国は群れをなして放浪する書記で満ちあふれ、文学や哲学にエネルギーを振り向ける。孔子もその一人であった。

ホッファーは、自動化によって大衆が労働から解放されることで、潜在的な創造力を実現できるとみる。文学、美術、科学などの才能は特別な人だけに恵まれているのではなく、一般大衆にもあるという。ルネサンス時代のフィレンツェでは芸術家の数が市民の数より多かったといわれるが、これらの芸術家たちの大半は店主、職人、農民、下士官などの息子だった。

7歳のとき失明し、15歳で突然視力を回復したホッファーは、一度も正規の学校教育を受けず、沖仲仕として長く働く。60歳を過ぎてカリフォルニア大学バークレー校の教授となるが、65歳になるまで港湾労働はやめなかった。

彼が半世紀以上前に本書で示した考察は、インターネットで大衆の創造力が花開く現在を見事に言い当てた。自動化が人間を解放するという予言も、きっと的中するだろう。

2019-03-20

無知の無責任

再分配の害悪
再分配政策は、現代文明を可能にした伝統的な所有権の原則を破壊する。自由な起業をしにくくし、創造力と経済の調整機能を損なふ。起業活動で得た収入に対し人間が持つ、自然の権利を否定する。市民がこのことに気づけば、政府の強制で福祉を求める声はしだいに消えるだらう。
The Ethics of Capitalism | Mises Wire

無知の無責任
経済学に無知でも罪ではない。経済学とは結局、専門的な学問分野であり、多くの人々にとつて「陰気な科学」でしかない。しかし、経済問題について声高に意見を主張しておきながら、経済学について無知なままといふのは、まつたくもつて無責任きはまる。—マレー・ロスバード。
Murray Rothbard: A Tribute From Nigeria – The libertarian Project – Medium

私の貿易赤字
外国人からうまいチーズを買へば、私はその外国人に対し貿易赤字を計上することになる。トランプ大統領に言はせれば、これはひどい状況だ。米国を偉大にするには外国から直接にも間接にも物を買ってはダメ。保護貿易論者にとつて唯一大切なのは、外国人に物を売ることだけだ。
My Personal Trade Deficit Is Killing Me—or So Trump Would Have You Believe | Robert Higgs

成長の阻害
世界のテック企業の上位15社は北米と中国の企業で、欧州企業は1社もない。上位50社中にもわづか数社で、しかも急成長中とは言へないコングロマリット。これは自業自得だ。企業に対する課税のみならず、株式投資やストックオプションに対する重税で技術への投資を妨げてゐる。
Europe is Taxing and Regulating Tech, Now It's Lagging Behind in Innovation | Mises Wire

2019-03-19

欠陥道路への自衛策

前世紀の遺物
独禁法は20世紀前半の遺物です。企業はつねに競争してゐるのだから、市場シェアがどれだけ高くならうと、競争力を失へば凋落します。アマゾンに敗れた米国の小売業が良い例です。もし高いシェアを保ち続けるのであれば、それは消費者の支持を得てゐるからで、非難するのは間違ひ。特例などではなく、再編は自由にさせるべきです。
地銀やバス、統合促す 独禁法審査に例外規定

どちらも増税
消費税率引き上げを凍結せよとの意見には賛成ですが、「国債増発による財政拡大と日銀による国債購入の組合せで、なるべく早期のデフレ脱却をはかる」との提言には賛同しかねます。脱デフレとはインフレ税のことだからです。インフレ税とはお金の価値が低下すること。消費増税に反対しておいて、インフレ税を推奨するのはちぐはぐです。どちらも増税なのですから。
やっぱり「消費税率引き上げ」を凍結すべきこれだけの理由

後進国の神話
日本で消費額の4分の1を占める住居・電気・ガス・水道は、銀行引き落としが一般的であるにもかかはらず、統計上、キャッシュレス決済に含まれてゐないといふ衝撃の事実。実際のキャッシュレス比率は20%ではなく、約40%ださうです。現実を反映しない統計を使つてキャッシュレス後進国だと騒ぐのはいただけません。「キャッシュレス決済をするかしないかは個人の自由で、政府に強制されるものではない」といふ指摘に完全に同意します。
【統計の隙】日本のキャッシュレス比率は「世界で普通」だった

欠陥道路への自衛策
自動運転を認めるなら政府は安全対策をしつかりやれとの意見が目立ちますが、政府にそんな能力があるならば、年間数千人を超す交通事故死が起こるはずはありません。運転者や歩行者がちよつと不注意をしただけで死に至るやうな欠陥道路しか作れないのが政府です。自動運転はその危険な道路に対する民間の自衛策。邪魔をせず、黙つて進めさせてほしいものです。
自動運転普及へ基準追加=車両法改正案を閣議決定

2019-03-18

裕福になる理由

官による宇宙計画
政府の宇宙計画が価値ある発見につながったか、雇用を生み出したか、科学、医学、工学に貢献したか、論じても仕方ない。それらを定量的に測る方法はないからだ。実際の便益は費用を下回るかもしれない。政府が宇宙探査や実験に資金を出せば、民間にその分資金が回らなくなる。
End Space-Station Funding Right Now | Mises Wire

裕福になる理由
市場経済では、誰かが裕福なせゐで貧しくなる人はゐない。裕福な人の富が他人を貧しくすることはない。それどころか、人が裕福になるのは、多くの人の欲求を満足させるからである。起業家、資本家、技術者は、消費者の求めに良く合ふサービスをうまく届けた分だけ豊かになる。
Capitalism as It Is and as It Is Seen by the Common Man | Mises Wire

最低賃金法で起こること
価格が上がると需要は減る。経済学の基本中の基本だ。最低賃金法によって、まさにそれが起こる。一部の労働者は収入が増えるが、それはあくまで一部だ。他の労働者の収入は減り、下手をするとゼロになる。経営者が賃金の上昇分を労働時間の削減や解雇で減らさうとするからだ。
The Folly of Minimum Wage Laws | Mises Wire

資本家と生活改善
資本家は人々が求めるものを提供するのに成功することもあるし、失敗することもある。もし成功すれば、資本家は報酬を手にするだけでなく、他の人々の生活を改善する。政治判断ではなく、消費者の選択に基づく生活改善だ。もし失敗すれば、資本家は損失といふ形で罰を受ける。
Billionaires Already Gave Their "Fair Share" | Mises Wire

2019-03-17

エリートへの幻滅

共謀の証拠なし
コーエン被告はトランプ氏が大統領選中にウィキリークスによる民主党メール暴露計画を事前に把握してゐたと説明したさうですが、だからロシアと共謀してゐたといふ話にはなりません。よりによつて米朝首脳会談の最中にセットされたこと自体、きはめて政治的な公聴会。核軍縮より国内政治のはうが大切なワシントンの人々。
メール暴露「事前に把握」 米大統領、元腹心が証言

国民は人質
トランプ大統領、中国製品への追加関税率引き上げ延期の見返りに、米国産農畜産品に対する関税の即時撤廃を中国に要求。これ、経済学的には「おい、言ふことを聞かないと、こいつら(米国の消費者)に安い中国製品を買はせないやうにして、苦しめてやるぞ」といふ意味ですよね。保護主義は、政府にとって一般国民が人質でしかないことを明らかにします。
米大統領、中国に関税撤廃を要求 牛肉などの農畜産品で

電子タバコ規制の行方
フレーバー付き電子たばこのコンビニやガソリンスタンドでの販売禁止を提案し、電子タバコのネット販売でも年齢確認に関する規制の強化を打ち出してゐたゴットリーブ長官。実際には、電子タバコは普通のタバコを禁煙するのに大きな効果があることが研究でわかつてゐます。後任長官がどうするかわかりませんが、電子タバコ規制はむしろ国民の健康改善を妨げます。
米FDA長官が突如退任表明、若者の電子たばこ利用規制を推進

エリートへの幻滅
「米国に今起きていることに深く心を痛めている」とクリントン氏。それは2年前に大統領になったばかりのトランプ氏だけのせゐではないでせう。オバマ政権の国務長官として、共和党タカ派のネオコンと変はらない好戦的な外交政策を推進したことを思ひ出してほしいもの。政治エリートへの幻滅がトランプ現象、サンダース現象をもたらしたのです。
クリントン氏、出馬せず=ブルームバーグ氏も-米大統領選

2019-03-16

選挙のいらない社会

延びた任期
アメリカ建国直後、ほとんどの州で知事の任期は1年。4年の州はなかった。今では1年の州はなくなり、2年もはぼ全滅。ほぼすべての州で4年に延びた。この現状を良いとする意見が多いが、問題は「誰にとって良いか」だ。政治家にとって良いことが、国民に良いこととは限らない。
Why There Should be More Elections, More Often | Mises Wire

資本主義への嫌悪
経済学者ゾンバルトは20世紀初め、ドイツで社会主義思想と資本主義への嫌悪を広めた。彼によれば、英国は人工的な自由放任の商業主義に陥り、個人の幸福ばかりを追求したために闘争本能を失った。一方、ドイツの国家概念は自然に根ざす英雄的な貴族階級に由来してゐるといふ。
Hayek on the Socialist Roots of Nazism - Foundation for Economic Education

マルクスの夢
マルクスは『共産党宣言』(1848年)で、中央銀行を設立し国家が通貨発行を独占するやう提言した。当時の通貨は金と銀だったからだ。1971年8月15日、米政府がニクソン・ショックでドルと金の交換を停止したことで、マルクスの理想が実現する。裏付けのない不換紙幣の世界だ。
Why Marx Loved Central Banks | Mises Wire

選挙のいらない社会
大衆が投票するのは、経済学者ケインズの言葉を借りれば、過去の三文文士が広めた通念を信じてゐるからにすぎない。重要なのは選挙の仕組みではなく、社会の仕組みをどうするかだ。大衆が完全な自由を求めるやうになれば、自由を縛る政府は不要になり、選挙もなくなるだらう。
Target Liberty: Who Should Be Allowed to Vote

2019-03-15

休日の強制

休日の強制
政府が人気取りのために頼んでもゐない10連休を決め、かへって国中を混乱させるといふ、笑ふに笑へない悲喜劇。もう、国民一律の休みを政府が決めるといふ制度はやめませんか。サービス化が進んだ経済では、全員が一斉に休むといふ想定は無理がありすぎます。休みは慣習として民間で決めればよいのです。
これだけは知っておきたい、5月「超大型10連休の基礎知識」

ロボットの出番
「いろいろな技術を駆使すれば深夜帯は無人にできる気がしています」とファミリーマート社長。ロボット店長やロボット店員もありうるかも。さうなったとき、コンビニ本部は働かせすぎだと叩いてゐた人は、良くやったとほめるのでせうか。それとも、仕事を奪ふなと怒るのでせうか。
セブン社長が語っていた「24時間営業を止めたいなんて声は出てない」

資金洗浄はなぜ増える
稼ぎにまったく関係ないマネロン対策にこんなに時間と人手を割かれては、ただでさへ収益の厳しい地銀はますます疲弊するでせう。そもそもマネロンの原因は政府が生み出してゐるもの。脱税資金→税金が高すぎるから。麻薬資金→麻薬を合法化せず禁止してゐるから。禁酒法でギャングが栄えたのと同じ。テロ資金→米国やその同盟国が中東や中央アジアで無用の軍事介入を繰り返すから。これらを改めればマネロンは一気に減るでせう。
メガバンク・地銀が戦々恐々、「マネロン国際審査」の試練

政治の犠牲
市場経済であれば、利用者の需要の大きなサービスは価格(給与)が上昇します。けれども国立大学など市場原理の働かない政府組織の場合、サービスの対価は政治力で決まります。多くの場合、既得権益を握る側が有利になります。財政にゆとりがあるうちはなんとかなっても、ゆとりがなくなれば弱者はますます苦しくなります。それを政治で解決しようとしても、新たな弱者を生み出すだけです。
医師の働き方改革「処遇改善がなければ改善しない」 予算委員会で論戦に

2019-03-14

渡辺靖『リバタリアニズム』

本来の自由主義

リバタリアニズムを代表する政治家として米大統領選にも出馬した経験のある元米下院議員ロン・ポール氏が現役時代の2012年、ノーベル経済学賞受賞者のポール・クルーグマン教授と、経済ニューステレビのブルームバーグで討論したことがある(『ロン・ポールの連邦準備銀行を廃止せよ』に収録)。


中央銀行によるインフレ政策を支持するクルーグマン教授は、金本位制の復活を唱えるポール氏に対し、百年前の世界に戻るようなものだと批判。するとポール氏はあざやかにこう切り返す。「教授の主張は一千年、二千年前に戻りたいという考えではありませんか? かつてのローマやギリシャのような国家が、自分たちの通貨を減価させたように」

ポール氏のこの発言から二つのことがわかる。一つは、あたかも最新の経済理論に基づくかのように思い込まされているインフレ政策は、はるか古代から国家が人々の財産を収奪するために駆使してきた手口にすぎないこと。もう一つは、金本位制を支えるリバタリアニズムの考えはわずか百年前まで、世界における経済政策の常識であり、過激な思想でも何でもなかったことだ。

リバタリアニズムは「自由至上主義」と訳されることが多く、本書の副題もその訳語を踏襲している。この訳語は過激な思想であるかのような誤解を与えてしまう。リバタリアニズムには国家の廃絶を唱えるラディカルな無政府資本主義もたしかに含まれるが、本書が詳しく解説するように、それがすべてではない。国家に一定の役割を認める考えも含まれる。米国では自由主義を意味する「リベラル」という言葉が左翼に乗っ取られてしまったので仕方ないが、日本では「自由主義」をそのまま使えばいい。

副題にケチをつけてしまったけれども、本書の内容はすこぶる有益である。米国を中心とした多くの活動家や研究者へのインタビューも興味深いが、見逃せないのは歴史的な考察だ。リバタリアニズムの源流をハイエクやフリードマンら現代の経済学者だとする解説をよく目にするが、実際はジョン・ロックやモンテスキューら17〜18世紀の啓蒙主義時代の欧州の政治哲学にまで遡る。

その思想は米国に受け継がれる。初代大統領ワシントンや第3代大統領ジェファーソンは、諸外国との貿易を推奨する一方で、軍事同盟など政治的なつながりを拒絶した。前述のロン・ポール氏は共和党内における反イラク戦争の急先鋒で、在日米軍を含む海外駐留米軍の撤退を訴えたことで知られるが、この姿勢はワシントンら建国の父たちの理念に「驚くほど忠実」だと著者は指摘する。

リバタリアニズムは過激な思想ではない。この百年の間に世界が自由を否定する方向に傾いてしまったために、過激に見えるだけだ。

「自由」をその名に冠する政党が戦後ほぼ一貫して政権与党であるにもかかわらず、福祉国家や軍事同盟に舵を切り続けてきた日本。野党にも本来の自由主義の復権をめざす政治勢力は存在しないに等しい。先行きに展望の見えない現状を変えたいのであれば、リバタリアニズムがそのカギを握るのは間違いない。

>>書評コラム【総目次】>>書評コラム【4】

2019-03-13

6割の自由

資金洗浄をなくすには
仮想通貨を狙ひ撃ちした摘発とそれを応援する報道。本質は別のところにあります。マネーロンダリングの源泉の多くは脱税ですが、脱税が起こる最大の理由は税金が重すぎることです。税金が重いから、脱税に成功した場合のリターンが大きい。だから脱税のリスクを冒す人間が出てくる。政府が無駄遣ひをやめ、税金を軽くすれば、わざわざ危ない橋を渡る人間はゐなくなり、マネーロンダリングもなくなります。警察の仕事もなくなるかもしれませんが。
マネロンの疑い 41万件余で過去最多 仮想通貨で急増 警察庁

6割の自由
収入の4割を奪はれるといふことは、日本人は6割の自由しか享受してゐないといふこと。それでもフランスやスウェーデンに比べればまだマシだからありがたいと思へってことでせうか。税金が高くてもリターンが大きければいいぢゃないかといふ意見もあるやうですが、それなら政府を通さず民間に直接払へばいい話。
国民負担率 新年度42.8% 6年連続40%超で高水準続く

規制の代償
挙げられた5点のうち、正しいのは⑤です。①労働組合の弱体化→賃金の源泉は企業の売り上げであり、売り上げを生み出すのは労組ではありません。②非正規雇用者の増加→因果関係が逆で、企業の稼ぐ力が落ちてゐるから雇用コストが柔軟な非正規雇用を増やしてゐるのです。③少子高齢化の影響→同じく企業の稼ぐ力が弱いから高齢者を低賃金で雇ってゐるのです。④内部留保を貯め込んで賃金を上げない経営者→規制が厳しく将来の展望が開けないうえ、いったん上げた賃金を減らせない日本では、やむをえません。⑤規制緩和の遅れがもたらした賃金低迷→これが真の原因。規制緩和の遅れには労働市場の規制を含みます。
日本人の給料がほとんど上がらない5つの要因

静かな選択
激励する声に対し、批判の意見を「おまえら奴隷でええんじゃ!」しか紹介しないのはひどい。そんな無茶苦茶なことを言ふ人間は例外でせう。普通の消費者の意見を知りたいものです。とはいへ、普通の消費者は声高に意見を言ったりしません。本当に必要なら、ただ黙って、他のサービスを利用するだけです。コンビニオーナーはさうした消費者の選択の自由を前提に、経営方針を考へるしかありません。
鳴りやまない電話 批判も覚悟セブンオーナーの闘い

2019-03-12

差別が消えない理由

差別が消えない理由
激しい性差別が減ると、社会で容認されることの範囲(オーバートンの窓)が変化し、「男女には好みの違ひがあり、だから選ぶ職業も違ふ」といった発言など、以前は差別とされなかった行為が突然差別とされる。それは認識の変化であり、性差別が減ってゐないことを意味しない。
Why Racism and Sexism Never Diminish—Even When People Become Less Racist and Sexist - Foundation for Economic Education

金持ちは貧困を救ふ
金持ちが金持ちになったのは、もともと贅沢品だった商品を大衆向けに大量生産し、高価な物を安くしたからだ。これで助かるのは貧困層である。金持ちが金持ちになるほど、貧困層を助け、貧しさがなくなる。富の格差を金持ちへの課税でなくさうとすれば、むしろ貧しさを増やす。
Surging Wealth Inequality Is Poverty's Greatest Enemy | Mises Wire

貧しい子こそ私立校へ
私立学校は裕福な国だけの贅沢品ではない。途上国でも評価が高まってゐる。インド、ナイジェリア、ガーナ、中国で行った調査によると、私立校は公立校よりクラスが少人数で、授業を休む教師が少ない。主要科目の試験成績も公立より良い。公立が上回るのは運動場の広さだけだ。
Private Education: The Key to Educating the Poor | Mises Wire

道路といふ劣悪サービス
交通事故死や渋滞が絶えない劣悪な道路。これが民営なら、政府は激怒し、利用者の安全を名目に国営化するだらう。しかし実際には道路は国営。そこで政府は言ふ。「速度を落とさう」「公共交通機関を利用しよう」「時差出勤や在宅勤務を取り入れよう」「交通規制を強化しよう」
Government Road Management: Is There a Better Way? | Mises Wire

2019-03-11

優越的地位の乱用

経済の絆
日本生まれのインスタントラーメンが人口1人当たり消費量世界1位と、国民食に成長した韓国。わかめラーメン、牡蠣入りチャンポン、豚骨ラーメン味など味も多様化。日本上陸で日本の消費者も楽しめさう。政治の世界でどんなにもめても、経済の世界で絆はしっかり強まってゐます。
日本生まれのインスタントラーメン、韓国で育ち過激な味に 里帰りでブーム呼ぶか?

優越的地位の乱用
独禁法といふ20世紀前半の遺物にいつまで振り回されるのでせう。市場における強者とは、より強力な競争相手が登場すればたちまちその座を追はれるはかない存在。昔市場を支配したデパートはスーパーに追はれ、そのスーパーはネット通販に追はれ、そのアマゾンや楽天だって落日はさう遠くないかもしれません。そんなことより、政府といふ絶大な力を誇る存在の「優越的地位の乱用」を問題にしたらどうでせうか。どんな無理を言っても民間は逆らへない、その力と地位を。
公取委、ネット通販大手を一斉調査 アマゾンや楽天 ポイント還元巡り

それなら規制緩和を
日本郵政が土曜日配達をやめたければやめればよいと思ひますが、それならば事実上独占してゐる信書送付の規制を緩和し、民間企業の参入をしやすくするべきです。顧客サービスを低下させ、その手当てをしないのは官僚の発想。民営化の精神に反します。
郵便「土曜日配達の廃止」一般に意見募集へ

ああ金融社会主義
異次元緩和でカネがじゃぶじゃぶになれば、過剰で不健全な融資に向かふのは当たり前。それにしても政府が積極的に融資をしろと言ってみたり、もうやめろと言ったり、これが市場経済の国でせうか。カネは経済の血液。それを政府が好き勝手にコントロールする経済は、もはや金融社会主義と呼ぶべきでせう。
スルガ銀事件がもたらすサラリーマン投資家「大受難時代」の実態 - ビッグデータで解明!「物件選び」の新常識

2019-03-10

キューバ医療の神話

キューバ医療の神話
キューバで医師は国民の健康目標値を課され、達成できないと罰されるため、データ操作が横行しやすい。多くの国で後期死産と早期新生児死亡の割合は同程度なのに、キューバは6対1。これは政府の新生児死亡率目標を達成するため、新生児死亡を死産に繰り入れるためとみられる。
The Myth of Cuba's Glorious Health Care System - Foundation for Economic Education

経済の独立
大統領やその他の政治家、官僚が個人や企業に対し、投資する地域や産業、金額を命令するべきではない。ましてや言論について指図する権利はない。現代における自由の概念を生んだのは商業経済の隆盛と企業部門の独立だ。いかなる国の政治指導者もその独立を侵してはならない。
What a Dictator Does to an Economy | AIER

日光と保護貿易
もし保護主義者が言ふやうに、安い輸入品が経済に打撃となるのであれば、自然がタダで与へてくれる贈り物は、もっと破壊的な影響を及ぼすはずだ。なぜカナダ製の安い鉄鋼輸入を妨げるだけで済ませるのか。なぜ窓を規制し、無料の日光から国内のロウソク産業を保護しないのか。
3 Popular Economic Myths in Need of Debunking - Foundation for Economic Education

温暖化対策が壊すもの
報道によれば、米国人の平均寿命が短縮に転じた原因は地球温暖化にあるといふ。しかし温暖化をもたらすとされる工業化は、住環境、医療、冷蔵技術、飲料などの改善により、世界では寿命の延びに寄与してゐる。温暖化対策の名目で工業化を妨げれば、多数の人の生活を破壊する。
If Climate Change Is Killing Us, Why Is Life Expectancy Increasing? | Mises Wire

2019-03-09

最善のシナリオ

離脱は怖くない
「合意なき離脱」になると、いきなり関税が掛けられたりして輸出する上で不利益を被ることになるとの指摘。短期ではさういふこともあるかもしれませんが、長期でマイナスにはなりません。関税をかけるEUを相手にせず、他の国との貿易を増やせばいい話。そもそもEUに加盟していないノルウェーやスイスだって十分豊かです。
「ブレグジット」で失われる60万もの雇用

まったうな指摘
「全ての技術にはセキュリティーの懸念やぜい弱性があるのだから、ファーウェイのみを名指しするのは正しくない」とインド政府高官がまったうな指摘。ドイツ政府も5Gインフラ網整備入札でファーウェイの参加を認める方向に傾く。米国の対中圧力にひたすら従ふだけのどこかの国とは大違い。
ファーウェイ包囲網、米国の思わぬ誤算

最善のシナリオ
在韓米軍撤退が「最悪のシナリオ」だなんてとんでもない。むしろ最善のシナリオでせう。東アジアで軍事的緊張が強まるのは中国のせゐでも北朝鮮のせゐでもなく、米軍が韓国や日本にゐるからです。世界最大の軍事大国が目と鼻の先にゐれば、対抗上、軍拡するのは当然でせう。その米国は国家破綻寸前の財政状況。在外米軍の撤退はウィンウィンのはずです。それで打撃をかうむる軍産複合体と政治エリートを除けば。
米朝首脳会談、日本は「最悪のシナリオ」に備えを 在韓米軍撤退の可能性を真剣に検討すべし

明るい未来像
ぜひ実現してほしいものです。モルガン・スタンレーの予測によれば、北朝鮮の1800万人の労働年齢人口は、ベトナムよりも低い時間給賃金でアジアの生産サプライチェーンに仲間入り。南北間の鉄道がロシアと中国につながれば、朝鮮半島と欧州間の通商面でのアクセスも改善。北朝鮮の国民はもちろん、日本の消費者にとっても大きな恩恵。ゆめゆめ朝鮮半島を再び戦場にすることなどないやうに。
北朝鮮、経済開放なら年間90億ドルの投資機会=モルガンS

2019-03-08

政治より大切なこと

リベラルといふ仮面
リベラルは自分が社会主義者だと名乗りたがらないが、政府を使って物事を動かし、市場経済を支配したがってゐる。あいにく資本主義と社会主義の間に中道はない。あるのは資本主義から社会主義への段階的な移行だけだ。混合経済は政府膨張と集産主義に向かって滑り落ちていく。
Socialists Masquerading as Liberals - The Future of Freedom Foundation

財産権は防波堤
財産権は個人を守る防波堤である。社会主義政権が財産権を嫌ふのは、国民生活を統制する国家の力を制限するからだ。ソ連の報告書いはく「共産主義の町村では反社会的な人間をたやすく特定できる。アパートのドアを閉ざし、プライベートな場所に逃げ込むことができないからだ」
Karl Marx and the Great Socialist Revival | Mises Wire

社会主義者の傲慢
財産権や資本、価格、利潤と損失がなければ経済はたちまち腐敗し、政治階級に利用されるだけとなる。ところが今の社会主義者は歴史や理論など気にしない。社会は操作できるし、人間の本性だって変へられると信じてゐるからだ。どうしても駄目なら社会構造が悪いと言へばいい。
Still Fighting the Last War Against Socialism | Mises Institute

政治より大切なこと
大切なのは、家族と食卓で笑ふこと。友人と二人で一杯やりながら話すこと。一人で興味のある本を読むこと。経済、政治、法律、軍事などは、さうした楽しみを妨げるやうなら、精神をいらだたせるだけだ。団体行動は必要だが、それ以上のものではない。作家C・S・ルイスの言葉。
The Real Problem Is the Politicization of Everything | AIER

2019-03-07

ウエルタ・デ・ソト『オーストリア学派』


起業家不在の主流経済学

起業家(アントレプレナー)という言葉を目にすることが増えてきた。新しく事業を起こし、経営する人のことだ。近年、スタートアップ企業が経済成長の原動力として注目されることから、起業家に対する関心も高まっている。

起業家は経済成長のカギを握る存在だから、当然、経済学でも詳しく扱われているものと、普通の人は思うだろう。ところが、それが違うのである。詳しいどころか、まったく扱われていない。嘘だと思うなら本屋に行って、よく使われる経済学教科書の索引を眺めてみるといい。「起業家」という言葉はどこにもない。

かつて経済学者シュンペーターは、経済発展の本質は産業の新陳代謝を促す「創造的破壊」であり、これについて語らない経済理論は「デンマーク王子のいない『ハムレット』のごときもの」にすぎないと述べた。デンマーク王子とはハムレットのことで、主役のいない芝居という意味だ。

起業家はその創造的破壊の担い手だから、起業家を扱わない経済学もまた、「金返せ」と罵られても仕方のない、看板倒れの代物と言わなければならない。

しかし、すべての経済学がそうではない。起業家について語らず、語れないのは、今の主流である新古典派の欠陥にすぎない。オーストリアの経済学者カール・メンガーが創始し、ミーゼス、ハイエクらが発展させたオーストリア学派は、本書の副題が示すように、起業家をきわめて重視し、理論の柱に据える。

本書が整理するオーストリア学派の知見によれば、起業家精神は学校の机で学べるものではない。それはゴルフのやり方や自転車の乗り方と同じく、個人が実践を通して学習するしかない。ビジネススクールに高額な授業料を払い、MBA(経営学修士号)を取っても、優れた起業家になれるとは限らないのはこのためだ。

むしろ起業家精神の発揮にはコストが存在しない。まったくの無から価値を生み出す、創造的な行為だからだ。それは新しい情報を生成・伝達し、起業家に新たな利益の機会を提供する。この動的なプロセスは拡散し、文明の進歩を生み出す。政府の介入はこのプロセスを妨げる。

主流のマクロ経済学に基づき、ゼロサムゲームでしかない「富の再分配」ばかり議論される昨今、富を創造する起業家の役割は十分理解されていない。他にも主流経済学のさまざまな不備を衝く本書は、日本経済の閉塞感を打ち破るヒントになるはずだ。

2019-03-06

合理的な無知

合理的な無知
人が意思決定のために情報を集めるのは、その手間を上回る利益を得られるときだけだ。だから買い物の情報は熱心に集める。だが選挙では投票してもほぼ何の利益もないうへ、政治が自分の生活にどう影響するか、学ぶのに大変な手間がかかる。政治に無知になるのは合理的なのだ。
Why Politics Divides People | Mises Institute

見えないコスト
政府が強調する「人道的」軍事介入の大義は目に見えやすいが、コストは見えにくく大きい。占領軍が去った後、敗れた勢力が報復に出たら? 爆撃が必要な場合、インフラ再建費用は誰が負担するのか? 占領の期間はどれくらゐ必要か? 反乱勢力の鎮圧は? そのとき犠牲になる人命は?
The Unseen Costs of Humanitarian Intervention | Mises Wire

数値目標の誤用
大学教授の多数を視野の狭い専門家が占めるにつれ、知識の進歩と教育といふ大学本来の目的が失はれる。ビジネスの場ですら不適切な数値目標が、さらに不向きな教育の場に導入され、混乱を招く。学問上の貢献を形式基準で測らうとすれば、策略や不正の横行をもたらすばかりだ。
The Decline of the Scholar and the Decline of Academia | Mises Wire

貿易か戦争か
「商業は盗みとは逆に、人の心に正義の感覚を生み出す」「商業は対等な人々同士の職業である」「商業の歴史は人々のコミュニケーションの歴史である」「2つの国が交渉をもつ方法は戦争か貿易である。戦争では互ひに損をし、貿易では互ひに得をする」。モンテスキューの言葉。
Montesquieu on Why Trade and Commerce Create Peace, Prosperity, and Good Will - Foundation for Economic Education

2019-03-05

地方の意思

携帯に手を出すな
わかりにくい料金体系をわかりやすくするのは、民間企業の創意工夫によればよく、政府が介入すべき話ではありません。政府がやるべきなのは、創意工夫にチャレンジする新たな事業者の参入を促すこと。そのためにはセールス方法や代理店の規制はむしろマイナス。悪質な業者は市場の自浄作用で淘汰すれば良いのです。
「端末購入条件」の通信料値引き禁止へ 総務省が電気通信事業法改正案

地方の意思
県民投票結果に法的拘束力はなく、政府は推進方針を堅持する見通しですが、県民の反対の意思を表明することに意義。国の約束を県の都合で破るのはおかしいといふ意見を目にしますが、それは国が地方を抑圧する民主主義の負の部分を映し出します。沖縄は日本から独立してしまったはうがいいかもしれません。
辺野古埋め立て反対が72% 沖縄県民投票、52%投じる

名もなき人々
「高価格帯の回転寿司店ですと、お客さんが直接注文することが多く、何のためにベルトコンベアに投資したのか分からなくなってきます」とのコメントには笑。でもすかさず新たな工夫。ベルトコンベアで寿司を流さず、注文すると「新幹線レーン」のコンベアで運ばれてくる「流れ寿司」が注目とか。こんなとき、日本人ってすごいとしみじみ思ひます。ただしそれは名もなきビジネスマンたち。偉い政治家やエリート官僚は何もしてゐません。
地方発の“高級”回転寿司が大人気 客単価がくら寿司の3倍でも行列ができる理由(デイリー新潮)

利用者の選択
若者ほどキャッシュレスを好むはずといふ通念を覆す好記事。クレジットカードについて「お金を使ったタイミングとお金が引き落とされるタイミングのズレが嫌」と敬遠する20代女性。学生は銀行口座に十分な預金がなく、うかつにカードを使ひたくないといふ意識も。キャッシュレスにするかどうかは利用者が好きに選ぶこと。税金を使って国が誘導するべきではありません。
若者ほどキャッシュレス化していない国、ニッポン

2019-03-04

ローマ帝国の小さな政府

伊宝飾品ブランドのブルガリは創業の地ローマにちなみ、古代ローマの美術をイメージしたデザインを取り入れている。2018年11月に東京都内で開催された映画の式典「エル・シネマ・アワード2018」では、最年少の15歳でブルガリのアンバサダーに抜擢されたモデルのKoki,(コウキ)さんが、人気シリーズ「ディーヴァ・ドリーム」のジュエリーを身につけた。特徴である扇型のモチーフは、カラカラ浴場のモザイクから着想を得たという。

カラカラ浴場は、カラカラ帝がつくった大浴場。ローマ市チェリオの丘の南にある。日本大百科全書(ニッポニカ)によれば、数多くあった大浴場のうちでも最大の規模をもち、216年に開場したが、内装工事はその後も続けられた。主建築は幅220メートル、奥行114メートルで、熱気浴場、温湯浴場、冷水浴場のほか、各種の集会場、娯楽室、図書館などを備え、1600人を収容できた。

今では芯積みのれんがが露出し、床のモザイクが一部残っているだけだが、当時は壁面は色美しい大理石で覆われ、各所に彫像や噴泉があり、贅美を極めていたという。現在、毎年この遺跡に大きな舞台と客席を仮設し、野外オペラが行われ、人気を呼んでいる。この大浴場のあるローマ歴史地区は教皇領、サンパオロ・フォーリ・レ・ムーラ教会とともに世界文化遺産として登録されている。

建設したカラカラ帝はこの大浴場の建設のほか、帝国内のすべての自由人に市民権を与えたことで知られる。しかし後世の評判は良くない。およそ道徳など意識しない放埓さと精神の不安定、政敵や元老院議員への過酷な仕打ち、厳しい税の取り立てなどが伝えられる。

ローマ帝国にはカラカラ以外にも、カリグラ、ネロなど評判の悪い暴君が少なくない。ところが彼らが政治を混乱させたにもかかわらず、帝国が崩壊・分裂の憂き目を見ることはなかった。暴君が絶命した後でも、帝国は異なる政治体制を選択しなかったし、多種多様な民族・地域を抱えながら、395年に東西ローマ帝国の分裂が生じるまで約400年にもわたって広大な領域に支配を貫徹したのである。

暴君たちの愚行にもかかわらず、巨大帝国ローマが揺るがなかったのはなぜか。その理由は「小さな政府」だったことにある。

2019-03-03

在宅学習の力

在宅学習の力
米国で在宅学習の生徒の学力が公立学校を上回りつつある。2014年、SAT試験で在宅学習生の得点は全国平均を上回った。2001年から2014年まで、在宅学習生のACT試験点数は私立校には及ばないものの、公立校を一貫して上回った。在宅学習生を積極的に募集する大学も出てきてゐる。
Homeschooling Produces Better-Educated, More-Tolerant Kids. Politicians Hate That - Reason.com

公立学校の悲劇
公立学校は理論上、納税者全員が共同で所有するが、現実には所有者は誰もゐない。ここから生じるのは「共有地の悲劇」だ。個々の家族の要望に応へることができない。私立校の場合、学費を払ふのは特定の父兄であり、学校はその要望に速やかに応へなければ事業を続けられない。
How Public Schools Suffer from the Tragedy of the Commons - Foundation for Economic Education

呼び名を変へて
1973年、ソルジェニーツィン『収容所列島』でソ連の血生臭い現実が暴かれ、「共産主義」といふ言葉が人気喪失。代はりに「社会主義」が使はれる。そこから「左翼」、米国では「リベラル」。リベラリズム(自由主義)が本来の意味と逆になった。今の流行は「民主社会主義」だ。
Democratic Socialism and Regular Socialism Have the Same Goal | Mises Wire

さらば学校給食
米国で学校給食を食べる生徒は、家から弁当を持参する生徒より肥満気味だ。ファストフード店の基準に満たない牛肉や鶏肉を出してゐるといふ調査もある。食品業者のロビー活動も横行。子の健康を気遣ふ親の給食離れを見越し、非営利団体やスタートアップ企業が動き出してゐる。
It's Clear the Federal Government Shouldn’t Be Involved in the School Lunch Business - Foundation for Economic Education

2019-03-02

税と年会費

税と年会費
「アマゾンのプライム会員になるために119ドルの年会費を払った人たちは、アマゾンの納税額以上の金額を同社に支払っていた」とサンダース上院議員。だから何だというのでせう。アマゾンの年会費は、サービスを受けたくなければ払はない自由があります。しかし税金は違ひます。どんなに劣悪な行政サービスでも強制的に払はなければなりません。しかも誰もが同じ119ドルではなく、なぜか所得水準や資産額によって払ふ額が変はるのです。
米アマゾン昨年の法人税額は「ゼロ」 1.3億ドルの還付受ける

富裕層課税の帰結
純資産5000万ドル以上の超富裕層に対する課税で、所得層の育児費を無償化と提案。実施したらどうなるでせうか。富裕層の多くは資本家、つまり投資を行ふ人です。富裕層から税金を多く取れば、それだけ投資に回るお金が減り、企業の生産活動が停滞します。さうなれば物やサービスの供給が減り、物価が上がり、貧困層の暮らしを苦しくします。どの国でも左翼政治家は経済の道理を知りません。
米大統領選出馬表明のウォーレン氏、育児保障実現へ富裕層課税を提案

不平等の解消を
サンダース議員は富裕層に最高77%の遺産税引き上げを提案してゐましたね。貧しい人々を助けるためださうです。それなら今回集めた6.5億円の77%を自ら進んで、資金集めに苦労してゐる他の候補に分けてあげたらどうでせうか。それでこそ平等の大好きな社会主義者にふさはしいはずです。
サンダース氏が6.5億円調達、出馬表明24時間で

軍需と社会貢献
米軍は去年11月、端末使用でマイクロソフトと4億8000万ドル(約500億円)の契約を締結。これに対し従業員が抗議する書簡をナデラCEOに送り、兵器に使はれる技術の開発をやめるやう要求。日ごろAI活用で障害のある人のアクセシビリティ向上を目指すなど社会貢献を強調するナデラ氏。攻撃で障害者を生み出す戦争に協力することはぜひやめてもらひたいもの。
「戦争をゲームに」ゴーグル型端末の軍納入に従業員が抗議

2019-03-01

暖かい理由

保護主義では豊かにならない
お金は物を買ふのに使へなければ、古新聞と同じで役に立たない。政府の保護貿易によって外国に売る物を人工的に増やし、外国から買ふものを減らせば、国民が手にするお金は増える。だが豊かになったと喜ぶ人はゐないだらう。家に積み上げたのが使へないお金ならむしろ貧しい。
EconomicPolicyJournal.com: If Mercantilism is So Enriching, Let’s Try it on a Per-Household Basis

カンボジアの奇跡
カンボジアは現在、経済自由度で世界第64位。汚職など改善の余地はあるものの、近隣のインドネシア(65)、ラオス(81)、タイ(84)、ベトナム(112)、ミャンマー(151)を上回る。起業家に富を築く道を開き、わづか一世代で最貧国の一つから急成長する国に生まれ変はった。
Entrepreneurship Lifts Cambodia from the Clutches of Extreme Poverty in a Single Generation - Foundation for Economic Education

暖かい理由
この極寒の中、外にいたらたちまち凍え死ぬだらう。けれども私は幸運にも生きてゐる。それだけでなく快適に過ごしてゐる。資本主義よありがたう。資本主義で栄える科学者よ、投資家よ、実業家よ、資本家よありがたう。資本主義のおかげで、凍てつく朝も元気で安全に過ごせる。
If You're Warm Right Now, Thank Capitalism - Foundation for Economic Education

貯蓄の本質
貯蓄の本質とは、お金を貯めることではない。生産活動のさまざまな段階に従事する人々の暮らしを支へる、最終消費財を蓄積することである。経済活動を支へるのはお金ではなく、倹約して蓄へられた最終消費財である。お金は単に、実体ある物のやりとりを円滑にするだけである。
Why We Need Savings to Produce What We Need | Mises Wire