2019年5月23日木曜日

戦争は国家の健康


出典:Murray Polner and Thomas E. Woods, Jr., eds. We Who Dared to Say No to War: American Antiwar Writing from 1812 to Now.(数字はKindle版のページ番号)

故国といふ概念は平和、寛容、共存に連なる。しかし国家といふ概念の本質は権力と争ひであり、攻撃する集団である。現代人は不幸にも、故国と同時に、国家にも生まれ落ちる。そして成長するにつれ、故国と国家を絶望的なまでに混同してしまふ。(ランドルフ・ボーン) 134

戦争とは国家の健康である。抵抗しがたい力を社会に無意識のうちに行き渡らせ、国民に画一性を強ひ、政府に熱心に協力させて、群集心理に染まらない少数派の集団や個人を服従させる。(ランドルフ・ボーン) 135

戦争は軍事体制なしに存在できず、軍事体制は国家組織なしに存在できない。戦争と国家は分かちがたく機能的に結びついてゐる。国家に反対しない限り、戦争に反対することはできない。(ランドルフ・ボーン) 137

国家が象徴するのは、社会集団における横暴で、気まぐれで、強制的で、好戦的な力のすべてである。国家とは、現代の創造的な精神、生きたいといふ感覚、自由、幸福の追求に対するあらゆる嫌悪の複合体である。(ランドルフ・ボーン) 139

2019年5月19日日曜日

ロボットは怖くない

ロボットは怖くない
市場経済において起業家の意思決定を左右するのは、単なる効率アップやコスト削減ではなく、消費者の好みを満足させるかどうかだ。だからたとへ機械が人より効率良く安価に同じ仕事をできたとしても、消費者が人によるサービスを望めば、人が機械に置き換えられることはない。
The Scaremongers Are Wrong about Robots and AI | Mises Wire

旧東西ドイツの教訓
戦後、旧東西ドイツの1人当たりGDPは劇的に差がついた。西独が資本主義を選び、東独が社会主義に苦しんだからだ。西独の経済自由度は1950〜75年の間、世界10位以内を保つた。経済理論では国の所得格差は縮小するとされるが、それは政府が成長を過度に妨害しないときだけだ。
A History Lesson: Comparing Socialist East Germany vs Capitalist West Germany | Mises Institute

共産主義と社会主義
経済学的にみて、共産主義と欧州諸国の社会主義に本質的な違ひはない。どちらも資本家から土地や機械、原材料などの生産手段を奪ひ、政府に所有または支配させようとする。両者のおもな違ひは、政府が経済を解体し、個人の自由を奪ひ、富を破壊するスピードの違ひにすぎない。
Why Social Democracy is Failing Europe | Mises Wire

政府が生む対立
第一次世界大戦後に政治の介入が強まるまで長年、イスラム教徒、キリスト教徒、ユダヤ教徒はパレスチナ、レバノン、北アフリカで平和に共存してゐた。生ひ立ちや信仰は単に個人の特質で、戦争の口実にならなかつた。政府は今より無害で、税金の取り立てにいそしむだけだつた。
Do We Need The State? - International Man

2019年5月15日水曜日

交通事故死の犯人


出典:Walter Block, The Privatization of Roads and Highways: Human and Economic Factors.(数字はKindle版の位置No.)

道路における多数の交通事故死に責任があるのは、政府である。道路網を建設し、運営し、管理し、修繕し、計画するのはすべて政府なのだから。(ウォルター・ブロック) 218

政府が交通事故に対する責任を免れるのは、たいていの人が交通事故を飲酒、スピード違反、不注意、車の不具合など、政府の誤つた道路運営以外のせゐにするからだ。(ウォルター・ブロック) 235

政府による道路の誤つた運営に人々が無関心なのは、単にそれに代はるやり方に気づいてゐないからだ。ちやうど火山に対し誰も反対・抗議しないのと同じやうに、政府の道路管理は人には制御不能と信じ込み、ほとんど誰も反対しないのだ。(ウォルター・ブロック) 250

民間の道路会社ができれば、航空会社と同じやうに、道路の安全を確保するため規則と運用を整備できる。運転者、車両、道路に影響を及ぼすことができる。欠陥車を禁止するのに、政府の官僚より機敏に対応できる。(ウォルター・ブロック) 847

2019年5月11日土曜日

政治の過大評価

労働組合員も聖人も
本来経済学では、人間が高い収入と安い値段だけを求めるとみなしたりはしない。どのやうな価値判断に基づいて行動するかは、経済学の関心外だ。高い賃金を求める労働組合員だらうと、宗教上の勤めに最善を尽くさうとする聖人だろうと、経済学はその行動を論じることができる。
The Rejection of Economics | Mises Institute

政治の過大評価
アリストテレスの哲学は、政治の過大評価、経済の過小評価をもたらした。彼や師プラトンのやうな貴族階級にとつて、農民や商人は生計のためにあくせくする俗物でしかなかつた。今でも知識人の間では、政治に携はる人間を経済に携はる人間より優れてゐるとみなす傾向が根強い。
Against the Primacy of Politics — Against the Overestimation of Majority Principle | Mises Wire

価値は主観的
ビジネスの成功を左右するのは、顧客が商品・サービスを高く評価するかどうかだ。この価値判断は顧客自身の観点から行ふのであつて、企業側の観点からではない。その意味で、価値とは純粋に主観的である。この事実は1871年、経済学者カール・メンガーによつて明らかにされた。
4 Ways to Make Value Creation Core to Your Business

社会保障といふ偽保険
本当の保険では、人々は今多く払ふことによつて、将来多くの資産を得ようとする。しかし社会保障の場合、お金の流れは逆だ。将来世代の犠牲によつて、今の高齢者に多くのお金を与へる。社会的な視野から見れば、社会保障は逆保険として作用し、将来得られる資産を少なくする。
Unlike Real Insurance, Social Security "Insurance" Creates Greater Risk for the Future | Mises Wire

2019年5月8日水曜日

リバタリアンの映画評

リバタリアンの映画評(note)

【1】『恋のしずく』 日本文化を守るには(2018/11/04)
【2】『search/サーチ』 ネット社会は悪くない(2018/11/07)
【3】『日日是好日』 かけがえのない時間(2018/11/10)
【4】『華氏119』 政治への幻想(2018/11/25)
【5】『百万円と苦虫女』 自由は弱者にやさしい(2018/12/02)
【6】『マイノリティ・リポート』 テクノロジーと政府権力(2018/12/12)
【7】『あん』 最低賃金が奪うもの(2018/12/19)
【8】『光あれ』 戦場なき反戦映画(2018/12/30)
【9】『ボヘミアン・ラプソディ』 アーティストという起業家(2019/01/06)
【10】『デス・ウィッシュ』 銃規制への問い(2019/01/14)
【11】『パッドマン 5億人の女性を救った男』 資本主義は女性にやさしい(2019/01/20)
【12】『生きる』 官僚主義への抵抗(2019/01/30)
【13】『[リミット]』 政府は市民を守れるか(2019/02/13)
【14】『記者たち』 記者よ、政府を疑え(2019/04/07)

(多忙により連載休止。映画は他の連載コラムで取り上げていきます)

2019年5月7日火曜日

ピケティのナンセンス


出典:Hunter Lewis, Economics in Three Lessons and One Hundred Economics Laws.(数字はKindle版の位置No.)

自由と平等は論理的に両立できない。人々に自由を与えれば、一部の人々は自由を使って物質的に豊かになり、他の人々はそうならない。このジレンマを解決するために暴力で平等を強いれば、自由は守れないだろう。(ハンター・ルイス) 2586

仏経済学者ピケティによれば、金持ちによる投資の収益は必ず一般の人々の収入の伸びを上回るという。これはナンセンスだ。もし本当なら、過去数千年のうちに金持ちは現在の世界の資産の数倍を手にしているはずだ。(ハンター・ルイス) 2627

ピケティが提案するやうに資産課税を強化すれば、資産家は多くの株式、債券、不動産を売却しなければならない。それらの市場価格は急落するだらう。その結果、課税できる資産の額が小さくなるうへ、企業は投資を控へ、従業員の大量解雇につながるだらう。(ハンター・ルイス) 2682

社会主義は、社会の全員を貧しくすることによつて、平等な収入をもたらすと言はれる。しかし実際には、国民のほとんどが貧しくなつても、支配者層はつねに一般国民より多額の収入を手にする。(ハンター・ルイス) 2704

2019年5月4日土曜日

税は会費ではない

コンテナを住居に
世界のミレニアル世代に中古コンテナが住居として人気だ。単なる流行ではなく、高騰する住宅市場から締め出された低所得層にマイホームの可能性をもたらしてゐる。米国では市や郡の建築基準を満たした。鉄製の箱なので、普通の家よりむしろ構造的に頑丈。建築家も興味津々だ。
Why Shipping Containers Are Becoming a Trendy Option for Home Buyers - Foundation for Economic Education

見えない増税
政府が資金調達する方法は⑴課税⑵国債⑶インフレ−−の三つだ。しかしインフレは実質収入がなぜ減つたかわかりにくい。家計が増税のせゐで苦しくなれば政府に文句を言へばいい。だが物価高のせゐだと、中央銀行が真犯人とわからず、「強欲な」資本家や労働組合などを責める。
MMT Is Even More Dubious Than AOC's Green New Deal | Mises Wire

税は会費ではない
市場取引の本質は自発性にある。税は違ふ。税を任意団体の会費に例へることはできない。退会の自由がないからだ。取引を拒めば儲けそこなふかもしれないが、税を拒めば待つてゐるのは監獄だ。払つた税の対価に何かを得ても、それは欲しいからではなく、押し付けられたからだ。
Taxation Is Robbery | Mises Institute

信頼の喪失
インフレの見通しが確たるものになると、政府は普通の債務者と変はらなくなり、借金を返せると信じてもらへるかだけが信頼のカギになる。貨幣の唯一の発行者であることによる特権はなくなる。「信頼の喪失」だ。投資家はもはや国債を通貨と同等の安全資産とはみなさなくなる。
Austerity Works — When the Market Is Freed | Mises Wire

2019年5月1日水曜日

仏像はグローバル文化【経済で読み解く世界史 #08】

フランスで開催中の「ジャポニスム2018」の一環として、2019年2月23日から3月18日まで、パリのギメ東洋美術館で興福寺(奈良市)の仏像展が開催された。展示されたのは同寺の木造金剛力士立像(国宝)と木造地蔵菩薩立像(重要文化財)である。

「ジャポニスム2018」は日仏友好160年を記念し、フランスで日本文化を紹介する複合型イベント。公式サイトには「世界はふたたび、日本文化に驚く」というキャッチコピーとともに、「世界にまだ知られていない日本文化の魅力」を紹介するという狙いが掲げられている。

仏像が日本を代表する文化の一つであることは間違いない。しかし同時に、古代以降のグローバルな交流から生まれ育った文化であることも、忘れないようにしたい。

仏教は紀元前5世紀頃、ガウタマ・シッダールタ(釈尊、のちにブッダ)によって開かれた。現在のインドとネパールの国境周辺で王国を形成していたシャーキャ(釈迦)族の王子として生まれた釈尊は、極端な苦行を否定して中道を説き、王侯や商人を信者にもつ。仏教は交易の拡大とともに大商人の保護を受け、信者を急速に増やしていった。


前1世紀頃、二つの大きな変化が訪れる。一つは、それまでの伝統的仏教に対する革新運動として、大乗仏教が起こったことである。

伝統的な仏教の特徴は、一言でいえば出家が鉄則という点にある。釈尊がそうであったように、家も富も捨て、妻子とも縁を切って修行に励んでこそ、この世の苦悩から解放され、解脱の境地に至ることができると説く。

これに対し、出家せずに在俗のまま仏教に帰依した在家の信者たちが、仏教は出家した僧だけではなく、民衆を救済するものであるべきだと主張するようになる。彼らは伝統的な仏教(上座仏教)を小乗(一部の人しか救わない小さな乗り物)と蔑称で呼び、自分たちの立場を大乗(すべての人を救う大きな乗り物)と称した。

大乗仏教は交易路を通じて北インドから西域を経て後漢時代に中国に伝播し、いわゆる北伝仏教として、朝鮮半島を経て6世紀に日本に伝えられることになる。

仏教に起こったもう一つの変化は、初めて仏像がつくられるようになったことである。