2019年4月29日月曜日

社会と国家は別物

著者 : Murray Rothbard
Ludwig von Mises Institute
発売日 : 2019-04-10

出典:Murray Rothbard, Rothbard A to Z.(数字はKindle版の位置No.)

社会とは、商品・サービスの自発的な交換によって織りなされる。税を強制的に搾取する国家とは、同じどころかまつたくの水と油だ。(マレー・ロスバード) 11415

国家と市場を区別するポイントはかうだ。市場を通じた行動では、すべての関係者が利益を得る。一方、国家を通じた行動では、ある集団の利益は他の集団の犠牲によつてしか得られない。(マレー・ロスバード) 11425

政府の基本方針のひとつは、政府自身を政府が支配する領域と同一視させることだ。たいていの人は故国を愛するから、故国と政府が同じだと思ひ込ませれば、自然な愛国心を政府のために利用できる。(マレー・ロスバード) 11443

政府はたしかに、多くの重要不可欠な役割を果たしてゐる。しかしだからといつて、政府だけがさうした役割を果たせるとか、うまくやれるとかいふことにはならない。(マレー・ロスバード) 11457

2019年4月25日木曜日

世界貧困の真実

悪い統計調査
経済学者カードとクルーガーの調査によれば、最低賃金を引き上げた後、雇用は増えたといふ。同じ企業を対象に、引き上げの前後で従業員数を尋ねた。しかしこの調査には問題がある。生き残つた企業だけが調査の対象になるから、倒産した企業で失はれた雇用がカウントされない。
Good Statistics, and Bad | Mises Institute

世界貧困の真実
過去20年で世界人口に占める極貧層の割合はどう変化したか。a)ほぼ倍増、b)横ばひ、c)ほぼ半減。答へはcのほぼ半減。正解する人はごくわづかだ。人々は実際の傾向でなくニュースにとらはれてゐる。報道の世界では、明るい長期トレンドよりも悲観的な物語のはうが注目される。
What 19 in 20 Americans Don't Know About World Poverty | Cato @ Liberty

自由を築くには
自由は金で買へるものではない。知的な勇気と大変な努力によつて築きあげるものだ。政治家が与へてくれるものでもない。そもそも自由は、政治だけで勝ち取れるものではない。文化から変へなければならない。自分ができることから取り組み、社会の通念を変へなければならない。
Easter Symbolizes a New Hope for Life and Liberty - Foundation for Economic Education

賃金はなぜ下がる
賃金の高さを決めるのは、働き手の少なさだ。保育士の仕事がとても大切だとしても、人数は多い。すると賃金は下がる。賃金は仕事の価値だけでなく、働き手の多さ、少なさによつても決まるからだ。人としての価値は賃金と関係ない。賃金が低いのは働き手が多いからにすぎない。
AOC’s Marxist Labor Theory Was Debunked by Economists Decades Ago - Foundation for Economic Education

2019年4月22日月曜日

ファシズムと社会主義

ファシズムと社会主義
社会主義が経済を動かすため政府によつて工場や土地を直接支配するのに対し、ファシズムは実権のない資本家を実質支配し、経済を間接的に動かす。社会主義が財産をあからさまに国有化するのに対し、ファシズムは資本家に財産を「国益」のために使ふやう求め、実質国有化する。
Fascism: Socialism with a Capitalist Veneer - Foundation for Economic Education

奴隷・戦争・刑罰
民主主義の時代になつても、奴隷はなくならなかつた。私的な奴隷が課税によつて公的な奴隷になつだけだ。戦争も消えず、むしろ大規模になつた。中世には刑罰の主な目的は被害者に対する損害賠償だつたのに対し、現代では国家に服従させることが第一で、被害者は二の次である。
The Libertarian Quest for a Grand Historical Narrative | Mises Wire

国家主義対個人主義
共産主義、ナチズムといふ全体主義のイデオロギーには多くの共通点がある。どちらも個人を国家に服従させ、経済に対する支配力を国家に与へようとする。そしてどちらも数百万人の人々を虐殺する。本当の戦いは右翼と左翼との戦ひではない。国家主義と個人主義との戦ひなのだ。
The Battle Isn't Right vs. Left. It’s Statism vs. Individualism - Foundation for Economic Education

格差を楽しむ
人は格差に寛容になれるし、格差が正当なものと思へれば、それを楽しみさへする。スポーツのスター選手が自分より年収が高く有名だからといつて、客席からブーイングを浴びせる人はゐない。ゲームが公正なら成功を祝ふ。ところが左翼はあらゆる格差を区別せず、非道と考へる。
Jordan Peterson on What Draws Young People to Socialism - Foundation for Economic Education

2019年4月21日日曜日

気づかない差別

官営大学の悲劇
もし大学がすべて純粋に民間で経営されてゐれば、多くの大学理事長のうちただ一人でも、研究者として価値を認めてくれれば、職を得るチャンスがあります。けれども現実の日本のやうに、大学が国公立だつたり、私立でも補助金なしで成り立たなかつたりすると、唯一の政府が研究者の死命を左右することになります。しかも日本のやうに、税金が無駄遣ひされ、財政に余裕がなくなると、大学予算が削られ、人員増はますます困難に。この惨状は「市場原理主義」のせゐなどではありません。明確な政府の失敗です。
文系の博士課程「進むと破滅」 ある女性研究者の自死

気づかない差別
女子の4年制大学進学率が男子より低いのは「息子は大学まで、娘は短大まで」でよいと考へる親の性差別の結果だと上野千鶴子さん。この発言が短大生に対する差別だといふことに気づいてゐません。短大生はすべて、親の言ひなりになつて仕方なく進学した女子ばかりだとでも言ふのでせうか。度しがたい特権意識です。「東大ブランドがまったく通用しない世界でも……生きていける知を身につけてもらいたい」と言ひますが、それなら最初から東大なんか目指さないはうがいい。独学で十分です。東大生になるのは東大ブランドを得るのが最大の目的です。「今すぐ入学を辞退しなさい」と言い放つてこそ、本物のラディカルでせう。
「がんばっても報われない社会が待っている」東大の入学式で語られたこと【全文】

ふたつの財政健全化
財政健全化には良いものと悪いものがあります。良い健全化は歳出削減によるもの、悪い健全化は増税によるものです。両者を一緒くたに論じるから訳がわからなくなります。歳出削減だけでは借金を返せなくなつたらどうするか。増税は悪い健全化なのでノー。潔く財政破綻を宣言するのがベストです。借金に責任のある政治家、官僚は処分。一時的な混乱はあるかもしれませんが、将来世代へのツケが膨れ上がり続けるよりはマシです。
日本の消費税、20~26%必要 OECDが試算、財政再建で

2019年4月20日土曜日

北欧を救つた資本主義

自己犠牲でなく自己利益を
米国の豊かさを生んだのは、公共善とやらに対する国民の自己犠牲ではなく、自己の利益を自由に追求した事業の天才たちだつた。彼らは社会主義国のやうに産業化のために国民を飢ゑさせたりせず、発明や発見、技術革新によつて雇用を生み出し、賃金を引き上げ、物価を安くした。
6 Quotes That Explain Why Capitalism Is Preferable to Socialism - Foundation for Economic Education

北欧を救つた資本主義
スウェーデンは1995年以降、急速に資本主義に回帰した。国内産業の規制を緩和し、教育・年金を民営化し、貿易に門戸を開いた。他の北欧諸国はそれをしのぐ。規制緩和ランキングでデンマーク 、フィンランド、ノルウェー、スウェーデンはそれぞれ7、8、9、12位。米国は15位だ。
Capitalism Saved Sweden | AIER

協力の社会制度
私的財産権は協力の基礎である。協力を通じ、相手の成功が自分の成功をもたらす。これは相手の得を自分の損とみるゼロサムゲームの考へとは対照的だ。資本主義社会では、機会さへあれば暴君になるやうな人間でも、他人に奉仕し、相手の協力を促すやう努力しなければならない。
Capitalism (aka Self-Ownership) Is the Only Moral Economic System | Mises Wire

起業家の発想
起業家は自分の製品が将来どのやうに使はれるか、しばしばわからない。人々がどんな製品を求めるか、確かなことは言へない。消費者が「こんな物、誰も要らない」と思ふのに対し、起業家は「誰かが必要としないかな」と考へる。これは世界に対するまつたく異なる二つの見方だ。
How Capitalists — Unlike Environmentalists — Make Life Easier for the Disabled | Mises Wire

2019年4月19日金曜日

最低賃金で広がる格差

最低賃金で広がる格差
最低賃金をいくらにするか、そもそも最低賃金を設けるかどうかは各企業の自由な判断で決めれば良いことですが、それが果たして労働者にとつて良いことかどうかは疑問です。時給が高ければ企業は当然、雇用に慎重になります。今グーグルにいる人は幸せになれても、これからグーグルに入りたいと思つてゐた人は門戸が狭くなり、格差が広がります。
グーグル、契約社員の最低時給「15ドル」に賃上げ 育児休暇も

新陳代謝なき経済
ライドシェアのスタートアップが世界的に名を知られ、今年最大のIPOを実施するまでに成長。資本主義のダイナミズムを象徴する動きです。大型上場の上位を元国営企業ばかりが占める日本とは対照的。日本でウーバーはタクシー業界の既得権益保護に阻まれ、まともに事業展開さへできません。新陳代謝なき経済を待つものは衰退のみです。
ウーバー、2016年以降の営業損失100億ドル強-IPO申請書類

規制は既得権者を潤す
政府ウーバーの運転手が政府から自営業者でなく従業員として分類される可能性あり。今雇はれてゐる運転手にとつては目先は良いニュースかもしれません。しかし、これからウーバーの運転手になつて収入を得たいと考えてゐた人たちにとつては、悪いニュースです。ウーバーは労働コストの膨張を抑へるため、運転手をあまり増やさなくなるからです。それどころかウーバーの事業モデルそのものが困難になるかもしれません。さうなれば労働者、利用者の双方にとつてマイナスで、現在の運転手にとつても結局は収入源を絶たれることになります。市場メカニズムを理解しない規制は、一部の既得権者を潤し、残りのすべての人々を不幸にします。
運転手は従業員か ウーバー、事業モデル崩れるリスク

資本主義の退化
企業活動が地球温暖化をもたらし、それが環境破壊につながるといふ政府公認の説には、専門家から懐疑的な見方がされてゐます。しかし政治的に正しい人たちはさうした異論を無視し、企業活動を規制あるいは「自粛」するやう唱えます。それは資本主義の進化ではなく、退化です。それによつて世界は豊かさを失ひ、貧しい人たちをさらに貧しくするでせう。
パタゴニアのCEOが指摘…… 地球を守りたいなら「資本主義には進化が必要」

2019年4月16日火曜日

公的な偽札

社会主義と起業家
社会主義で、起業家はリスクを取つて新たな商品を生産する気にならない。利益が自分のものにならないからだ。リスクを抑へる気にもならない。損失を自分で負はないからだ。コスト削減の工夫は現状の範囲内でしかできず、過去に試されたことのない方法で無駄を最小化できない。
What Most Critics of "Markets" Get Wrong about Entrepreneurs | Mises Wire

公的な偽札
人は交換を行ふ前に、お金を払ふ価値のあるものを何か作らなければならない。さうしてお金を得る。ところが中央銀行が無から作り出すお金は、偽札と変はらない。偽札造りは役立つものを何も作らずに商品を手に入れる。蓄えられた実物財の一部を得つつ、自分は何も提供しない。
Central Banks Shouldn't Fight Deflation | Mises Wire

大量生産農業の恩恵
大量生産農業は自然を破壊すると批判されるが、実際は生態系を改善してゐる。きはめて生産的なため、増大する世界人口をより少ない土地で養へる。農地の総面積は2000年以降、16年にわたり減り続けてゐる。最新の農業がなければ、農地は逆に増え続け、生態系を破壊するだらう。
Progressives say no to meat, but the world thinks otherwise | CFACT

思慮深い破壊者
成功する人は現状に満足しない。絶えず「こうしたらどうなるだらう」「なぜそうしないのか」と問ひ続け、社会通念に挑むことを恐れない。破壊そのものが目的ではなく、物事を良くするために破壊する。礼儀正しく思慮深く、人に恥をかかせるためだけにミスを指摘したりしない。
8 Paradoxical Habits of Wildly Successful People

2019年4月14日日曜日

原英史『岩盤規制』


獣医学部問題の真相

2017〜18年にメディアをにぎわせた加計問題。安倍晋三首相の友人が理事長を務める学園が、52年間どこの大学にも認められていなかった獣医学部を新設する国家戦略特区の事業者に選定され、特別の便宜を疑われた。文部科学次官を退任した前川喜平氏が「行政が歪められた」として会見を開き、一気に批判が高まった。

だが国家戦略特区ワーキンググループの委員を務め、獣医学部をめぐるここ数年の政策決定プロセスに直接当事者として関わってきた著者によれば、「真相は全く異なる」。

一般に大学や学部は、文部科学省の認可プロセスを経て、適正な計画ならば認められる。ところが獣医学部の場合、すでに存在する16学部しか認めず、新設は一切門前払いする規制があった。これほど露骨で極端な規制はあまり例がない。しかも国会で議決された法律ではなく、文科省が独自に定めた告示に基づく「異様な規制」である。

獣医学部新設禁止の理由について、文科省は「獣医師の需給調整が必要なため」と説明する。獣医学部の数がこれ以上増えると、将来獣医師が余ってしまうという。けれども10年後、20年後にペットや家畜の数がどうなるかわかるはずもない。現実には獣医師不足が問題となっている。

一方、既存の獣医学部の入試倍率はおおむね10倍以上。獣医師になりたい若者たちの職業選択の自由が合理的な理由もなく妨げられ、「憲法違反といってもよい状態」だと著者は指摘する。

獣医師の需給調整が必要という文科省の説明は、表向きの建前にすぎない。実際には、新規参入を排除したい獣医師会が規制維持を求め、政治力を発揮し、行政もそれに従ってきたというのが真相である。

加計学園に対する獣医学部の新設認可は行政の歪みではない。著者が述べるとおり、むしろ新設を許さなかった行政こそ、利権構造のために歪められていたのである。加計問題に関する洪水のような報道で、その本質を指摘するものはほとんどなかった。政府による規制を当然と考える、自由な社会にそぐわない固定観念がメディアに蔓延しているためだろう。

新規参入に対する規制は、大学学部に限らず、運輸、宿泊、エネルギー、通信、放送、農林漁業、医療、介護などさまざまな分野に残る。これら「岩盤規制」を打破しない限り、世界的に低い日本の労働生産性は上がらず、貧しくなり続けるという著者の警告を重く受け止めなければならない。

2019年4月13日土曜日

現金決済の再評価

金融行政と経済疲弊
地方の小さなベンチャー企業の創業を支援し、地方経済を元気に。期待大ですが、なぜこれまでできなかったのでせうか。壁となつてゐたのは、金融庁の「金融検査マニュアル」。ベンチャー向け融資はリスクが高いからやめろと20年間もブレーキをかけておいて、地方経済を疲弊させた反省は政府の誰からも聞かれません。せめて今後は余計な口出しを一切やめてもらひたいもの。
スモールビジネスで大逆転! 地方経済が復活するただ1つの方法

半官半民の悲劇
ベルリンの壁が崩壊し、社会主義は持続不可能といふ認識がそれなりに世間に浸透したはずですが、半官半民ならうまくやれるといふ迷信がいまだに根強いやうです。市場と政府の良いとこどりができると錯覚してゐるのでしょう。英作家ジョージ・バーナード・ショーがある女優から「あなたの頭脳と私の肉体を持つ子が生まれたらすばらしいですね」と言はれ、「私の肉体とあなたの頭脳を持つ子ができたらどうします?」と答へたエピソードを思い出します。
JDIに待ち受けるシャープの二の舞。外資に翻弄され再生ままならず

望ましい変化
官に若者が集まらないことがそんなに問題でせうか。民と官との違ひを一言でいへば、民は他人が欲しがるものを納得する値段で買つてもらふ人。官とは他人が欲しがらないものを言ひ値で押し付ける人。国民の懐に余裕があつた頃は、欲しくもないものを買ふゆとりがあつたかもしれませんが、今やそんな時代ではありません。官より民に人が集まるはうが日本のために良いのです。
なぜ?東大生の“官僚離れ”

現金決済の再評価
特需はしよせん一過性です。それより注目したいのは、今回の紙幣刷新をきつかけに現金決済が再び脚光を浴びさうとの指摘。キャッシュレス化が急速に進んだスウェーデンでは、電力系統が故障したり、サーバーが停電やハッカーによる攻撃、戦争などで稼働しなくなつたりした場合のリスクや、高齢者や移民、身体障害者らの一部がキャッシュレスから取り残される状況への反省機運が出ています。現金とキャッシュレス、どちらを選ぶかは消費者が決めることで、政府が誘導するべきではないことを再確認する良い機会です。
紙幣刷新「特需」に虎視眈々の企業たち

2019年4月10日水曜日

最低賃金と犯罪率

規制強化は起業家いぢめ
政府が企業に対する規制を強化すれば、事業のコストは増大する。大企業はこの追加コストを小さなスタートアップ企業よりもたやすく吸収できる。資金調達も容易だ。すでにかなりの市場シェアを握つてゐるので、守りの経営をしやすい。規制強化は起業家に厳しい環境をもたらす。
3 Reasons Why Facebook's Zuckerberg Wants More Government Regulation | Mises Wire

国際経済学の錯誤
今の国際経済学は国際貿易の現実をほとんど説明できない。その理由の一つは、個人でなく国を経済の主体とみるマクロ的発想にある。19世紀の経済学者リカードとミルは、国際取引は国内取引と性格が異なるとして、両者を別々に扱ふやう主張。その誤つた方法が今でも続いてゐる。
Why International Economics Theory Has Become Irrelevant | Mises Wire

最低賃金と犯罪率
最低賃金を引き上げると犯罪率が上昇する。米国での研究結果によると、1998〜2016年に実施された10%の最低賃金引き上げの結果、新たに8万件近い窃盗犯罪が16〜24歳の若者によつて実行された。もし最低賃金を時給15ドルまで上げれば、さらに41万件の窃盗犯罪を生み出すだらう。
Minimum Wage Hikes Increase Crime, National Bureau of Economic Research Study Finds - Foundation for Economic Education

外れた予測
社会主義は例外なく経済を崩壊させてきた。ソ連はロシア革命から70年後、経済規模が米国のわずか5%しかなかつた。社会主義に好意的なポール・サミュエルソンは有名な経済学教科書の1988年版で、ソ連の経済は2000年までに米国を追い抜くだらうと予測したが、物の見事に外れた。
What Are Socialism’s Dirty Secrets That Must Be Kept From America’s Youth?

2019年4月9日火曜日

文化融合の象徴

文化融合の象徴
昭和に続き「和」を採用。ニュースで見る国民の反応はおほむね歓迎で、今の日本になほ平和を尊ぶ精神が健在であることを知り、ほつとしました。典拠が初めて日本の古典である万葉集になつたと話題ですが、偏狭なナショナリズムの高揚に利用されないやう祈ります。万葉集の画期的な点は、日本の言葉をシナの漢字を使つて表記したこと。両国文化の融合を象徴します。令和の歌に描かれた梅をめでる趣味もシナ伝来のものです。そもそも元号といふ制度そのものがシナ発祥。改元を機に、日本と中国は同じ東アジアの文化を共有することに思ひを致し、自由な経済交流をさらに密にし、軍事的な緊張緩和を進めてもらひたいものです。
新元号は「令和」、5月1日施行 出典は「万葉集」、日本の古典初

背任罪はいらない
そもそも背任といふ行為は、政府が刑法で罰するべき行為でせうか。経済行為は当事者間の私的自治を尊重し、国家の介入を極力控へるのが刑法の原則のはず。会社に損害を与へたのであれば、会社が賠償を求めて訴へればよい話です。経済に対する政府の介入を許した結果、個人の人権が脅威にさらされる事態を招いてしまつてゐます。
東京地検がゴーン被告を再逮捕へ、特別背任容疑で-報道

それが法の支配?
記事によれば、外務省内では「令」が律令など法律の意味で使はれることがあることから、「令和」は「法の支配に基づく平和」とも解釈できるといつた声も出てゐるとか。さうだとすれば、外務官僚は法の支配の意味をまつたく理解してゐません。法の支配の「法」とは、政府の作つた法律ではなく、政府を超え、個人の権利を守る不変の法(自然法)のことです。もし律令による支配が法の支配なら、日本には奈良時代から人権思想が根付いてゐたことになつてしまひます。
令和は「Beautiful Harmony」外務省が英語の趣旨説明

かき消された死
2日前の報道によれば、JAXAの筑波宇宙センターで人工衛星の管制業務に従事してゐた当時31歳の男性が長時間労働や上司のパワハラなどに悩み精神障害を発して自殺したことに対し、労基署が労災認定しました。これが民間企業なら、たちまち「ブラック企業」「やりがい搾取」と非難が巻き起こるのに、JAXAだと「宇宙のロマン」の大絶賛にかき消されてしまふのは、なぜなのでせう。こういふ国民性の日本人は、たとへば政府が戦争を始めてもたやすく美化・礼賛に転じてしてしまふ気がします。
はやぶさ2 衝突実験が成功 世界初、小惑星にクレーター作る

2019年4月8日月曜日

社会主義と大虐殺

客観報道の神話
報道機関はあらゆる出来事を報じることは無理だから、報じる対象を決めなければならない。それで読者の関心事を限定することになる。ロシア疑惑に50本の記事を書く一方で、イエメンの子供達に対する米国後押しの空爆に1本の記事しか書かなければ、問題の重要性を決定づける。
"Objective Journalism" Has Always Been a Myth | Mises Wire

社会主義と大虐殺
英作家ジョージ・バーナード・ショーは社会主義に魅せられ、独裁者スターリンの大虐殺を擁護した。ソ連を「搾取者や投機家」から守るため、大量処刑は仕方なかつたといふ。優生政策を支持し「ある種の文明と文化を望むなら、それに適さぬ者たちを一掃せねばならぬ」と述べた。
George Bernard Shaw Was so Enamored with Socialism He Advocated Genocide to Advance It - Foundation for Economic Education

ベーシックインカムと言論の自由
ベーシックインカムが国民全員を対象にし続けるのは無理だ。やがて左右の過激派が給付金を活動に利用し、「政府の金でネオナチを支援していいのか」と排除が始まるだらう。そうなれば除外対象は際限なく広がる。今でも保守派や古典的自由派は極右と呼ばれ排除されるのだから。
How Universal Basic Income Could Be Used to Suppress Free Speech - Foundation for Economic Education

全体主義と真理
オーウェルは『1984年』で、全体主義における真理の不在について主人公にかう語らせた。「最終的に、党は二足す二は五であると発表し、こちらもそれを信じなくてはならなくなるだろう。自由とは二足す二が四であると言える自由である。……他の自由はすべて後からついてくる」
Two Ways Our World Resembles “1984” - Foundation for Economic Education

2019年4月7日日曜日

悪政で自滅したローマ【経済で読み解く世界史 #07】

前回述べたように、ローマ帝国の長期にわたる繁栄をもたらしたのは、市民生活に介入しない小さな政府だった。しかしその原則を踏み外し、政府の事業を過度に拡大したとき、衰退に向かい始める。それを統制によって取り繕うとして混乱をもたらし、かえって衰えに拍車をかけた。

ローマは蛮族の侵入によって滅んだとよく言われる。だが実際には、軍事・経済政策の誤りによって自滅したのである。

2人の皇帝に焦点を当て、ローマ衰亡の経緯をたどってみよう。

ローマ帝国の版図は、トラヤヌス帝(在位98〜117年)の治世に最大となる。まさに繁栄の絶頂だ。だがこのとき、すでに衰退の影は忍び寄っていた。

トラヤヌスといえば、最盛期のローマ帝国を統治した「五賢帝」の一人だ。けれども今から振り返ると、外政・内政ともその施策が賢明だったかどうか疑問が残る。


トラヤヌスは53年、スペイン南部のイタリカで生まれた。イタリア本土出身者でない、初の属州生まれの皇帝である。軍人として頭角を現し、中年となりゲルマニア(現ドイツ)で総督を務めていたとき、ネルウァ帝の養子として後継者に指名される。

2019年4月6日土曜日

権利なき年金

さらば欧州大陸諸国
英国は第一次大戦前まで欧州大陸諸国と恒常的な同盟を結ばず、豊かな国を築いた。EU離脱は、その賢明な外交方針への回帰になりうる。米国、ノルウェー、アイスランド、グリーンランド、カナダ、日本と自由貿易協定を結び、温暖化で航海しやすくなつた北極海航路に乗り出さう。
Wars, Not Brexit, Destroyed Britain’s Global Power | The National Interest

人口増大への対応策
世界の人口が増えれば、市場はそれに反応する。食料やエネルギーが値上がりし、生産企業を刺激して増産や技術革新を促し、生産を質量ともに高める。大飢饉が起こるとの予言とは裏腹に、過去百年に食料価格は大幅に低下。インドでは1960年代以降、食料生産が4倍近くに増えた。
Why Markets Are the Answer to Concerns about "Overpopulation" - Foundation for Economic Education

権利なき年金
社会保障において、政府は年金を支払ふいかなる法的義務も負はない。これは米国では1960年の最高裁判決で確認されてをり、1935年の社会保障法でも議会はいつでも給付を減額・中止してよいことになつてゐる。公的年金の加入者である国民は、法的な権利を何も持たないのである。
80% of Millennials Are Worried Social Security Won’t Be There for Them - Foundation for Economic Education

政府がもたらした少子化危機
年金生活者の政治力が強い社会では、現役世代への増税で年金を増やせる。人口減少は経済問題ではない。政治問題である。現在直面する危機は人口動態そのものが原因ではない。公的年金、受給資格、生産的な現役世代から非生産的な引退世代への所得移転がもたらしたものである。
The "Fertility Crisis" Is a Government-Caused Crisis | Mises Wire

2019年4月5日金曜日

細く長い搾取

非難の資格
トランプ陣営とロシアの共謀とやらには結局、確たる証拠が何もあがつてゐません。かりにロシアによる米大統領選への介入があつたとして、米国にそれを非難する資格はありません。CIAが1950年代にイランとグアテマラで実行した政権転覆をはじめ、多数の国で外国の国内政治への介入を繰り返してきたからです。今でもベネズエラで同じことをやらうとしてゐます。ロシアだけを悪者扱いする論調は、国際政治の現実から目を逸らさうとするものです。
“ロシア疑惑” 捜査終結 特別検察官が報告書提出 米メディア

共謀の虚報
多額の税金を使つた1年10カ月もの捜査の結果、共謀の証拠なし。この間、大手メディアが捜査当局側の尻馬に乗つて報じた数々の「疑惑」は一体何だつたのでせう。既得権益を脅かす者を排除しようとする政治エリートと情報機関、それに喜々として仕えるメディア。米国だけの問題ではありません。
モラー特別検察官、トランプ陣営とロシアとの共謀の証拠なし

細く長い搾取
MMTは既存のパラダイムを揺るがすやうな斬新な持論ではありません。むしろ大昔から存在する、野放図な政府に都合の良い古臭い詭弁にすぎません。古い手口だからこそ「現代」といふ看板を麗々しく掲げるわけです。異次元緩和を肯定する政府公認の理論とどこが違ひますか? せいぜい五十歩百歩でせう。現実問題として、少なくとも戦後、日本も米国も政府が借金を完済したことなどないのですから。著名経済学者らがMMTを批判するのは、あまりに露骨すぎるからにすぎません。あけすけに話されると、MMTという異端と、政府・中央銀行がやつてゐることは本質的に同じだとバレてしまふからです。どちらもハイパーインフレを否定しつつ、マイルドインフレといふ名の見えない課税を細く長く続けるのが狙ひなのです。
アメリカで大論争の「現代貨幣理論」とは何か

リサイクルという宗教
中国が悪い、リサイクル業者が悪いとニューヨークタイムズ。けれどもリサイクルのそもそもの目的は、資源とエネルギーの無駄遣ひをなくすことだつたはず。さうであるなら、リサイクルが焼却や埋め立てよりむしろ資源やエネルギーを浪費するとわかつた今、やるべきことは、過去を反省し、リサイクルをやめることであるはず。もしそれを拒否し、たとへ無駄でもリサイクルをやり抜くのだと言ふやうなら、それは合理性を超えた宗教でしかありません。宗教活動は税金でやるべきことではありません。
【激震】全米で急増。「リサイクル破綻」で泣く人・笑う人

2019年4月4日木曜日

社会を分断するもの

社会を分断するもの
社会を分断するのは市場経済ではなく、政治である。企業が特定の人々を排除すれば、その分市場シェアを失ひ、利益が減り、倒産する恐れさへある。一方、政治の場合、多数派の人数が少数派よりも十分多ければ、多数派に選ばれた政府が少数派を排除しても、そのコストは小さい。
Most Obstacles to Affluence Today Are Politically Made - Foundation for Economic Education

出産の統制
自由な社会では人々は自分の選択で子供を産む。恋愛、結婚、出産に政府の許可はいらない。これは政府の指示なしに人口動態が変化することを意味する。社会主義国家はそれが許せない。社会を統制するには、人口の統制が欠かせないからだ。出産の自由は廃止しなければならない。
The Socialists Always Come For the Kids, Eventually | AIER

恐怖の利用
銃乱射事件に対する衝撃を受けて、ニュージーランド政府が最低限の討議だけで銃規制に踏み切るのは、大々的な法改正を実施する最も楽な方法だが、最悪の方法でもある。民主主義政府が市民の権利を侵害する場合として一番多いのは、市民が恐怖におののき、怒りに燃えるときだ。
New Zealand Gun Law Changes: Demagoguery, Not Leadership | National Review

国家なき秩序
歴史上、社会が現在のような国家によつて統治された時期は短い。国家が生まれる前、中世欧州を統治したのは支配権が分散・重複・競合する王、貴族、ギルド、自由都市、教会など。互いに権力の濫用を牽制し合つた。だから法と秩序を重視する保守主義と、無政府主義は両立する。
Why True Conservatism Means Anarchy | The American Conservative

2019年4月2日火曜日

憎悪の捏造

憎悪の捏造
俳優ジャシー・スモレットに限らず、ヘイトクライムの捏造が米国で相次いでゐる。これはある意味で良いニュースだ。左翼は彼らが蔓延してゐると主張するヘイトクライムを現実にはなかなか見つけられない。だからでつち上げる。マイノリティはこれらの捏造を強く非難すべきだ。
Hate Crime Hoaxes: The Bad and the Good – Walter E. Williams

責任なき権限
政府がさまざまな責任を引き受けるのは、権限の拡大を正当化するためだ。けれどもこの権限拡大にはきりがなく、高くつく。政府と、政府が「責任を持つ」個人との間には、真の法的契約がない。このため、取り決めた目的を達成できなくても、政府に責任を取らせる手立てはない。
The State Expands its Responsibilities In Order to Expand Its Power | Mises Wire

独立の勧め
フランスでEU離脱(フレグジット)の議論が活発になつてゐる。しかし、そこでとどまる理由はない。仏政府はブルターニュ地方や北カタルーニャのピレネーオリアンタル県の独立を認めるべきだ。仏国内で自治権の競争が増えるほど、人間の自由が広がり、企業の革新が盛んになる。
Decentralize the French State | Mises Wire

男の真似ではなく
フェミニズムの問題は、女性に対し男性のやうに競争しなさいと教へることだ。フェミニズムと言ひながら、女性らしさの役割を弱めようとする。それは拙劣で有害な戦略だ。男性の真似ではなく、個人として競争しよう。女性らしさを生かし、価値創造をめざし公正な競争をしよう。
Why We Should Teach Girls to Be Individualists Instead of Feminists - Foundation for Economic Education

2019年4月1日月曜日

賭博を合法化せよ

賭博を合法化せよ
カジノに限らず、認可は利権の温床です。設置場所を3カ所に限つたりせず、自由に作れるようにするべきです。その前提として、賭博を原則禁じる刑法の見直しが必要です。賭博をするかしないかは個人の価値観の問題であり、政府が決めるべきことではありません。法律で禁じられてゐなくても、賭博が嫌いな人はやらなければいいだけです。賭博を合法化すれば、当然、反社会的組織が関与することもなくなります。
政府、IR法施行令を閣議決定 巨大ホテル、会議場を併設

巨額予算と子供の命
「子供の命を最優先に」と安倍首相。けれども子供の命を一番脅かしてゐるのは、両親の貧困。政府が多額の予算で市場経済に介入すれば、経済の自律的な発展を妨げ、長い目でさらなる貧困をもたらします。そのうへ、国の借金は将来、成長して大人になつた子供たちの背中にのしかかる。最優先なのは子供の命ではなく、政治の都合でしかありません。
19年度予算成立、初の100兆円超え 2兆円消費増税対策が目玉

無念なり、庶民の味
消える庶民の味。人件費や物流費、原材料費の高騰に抗せず。「コスト高についていけない商品は淘汰されるのが市場原理」と思ふ人がゐるかもしれません。けれどもそれは間違ひです。これらコストの増大は政府・日銀のリフレ政策によつて意図的にもたらされたもので、市場の自然な需給の変化を映したものとは言へないからです。無念なり、大盛りいか焼きそば。
「大盛りいか焼そば」販売終了 発売31年、SMAPのCMも話題に

ベンチャー集積の号令
ベンチャーの集積地はエコシステム(生態系)と呼ばれることからわかるやうに、下からの自然発生的なもの。経済学者ハイエクの言葉を借りれば自生的秩序です。それを政府が主導して上からこしらへようといふのは、大きな勘違ひです。政府にやれることがあるとしたら、生態系の自由な発展を可能にする規制緩和のみ。政府があれこれ口を出し、選挙の材料や天下りの対象に利用するやうでは、かえつてベンチャーの成長を阻害します。
政府、ベンチャー集中支援へ「拠点都市」を選定 巨大投資企業誘致も