2019-02-28

税金による宇宙開発

規制より教育
非常にクリアな分析。バカなアルバイトが急に増えたわけではなく、バカな行為が炎上しやすい時代になったことに気づかず、昔と変はらないバカな行為をやるのが原因と指摘。だとすれば必要なのはスマホの利用禁止などではなく、バカな行為のリスクについての教育。他のことにも言へますが、安易な規制より教育です。
くら寿司動画炎上で考える、バイトテロが繰り返されてしまう理由

市場は1人ではない
オーナーが24時間をやめることに伴う収入とコストの変化を注意深く見ながら、探り探りで試みてゐる様子がよくわかります。重要なのは、市場は1人ではなく、つねに競争相手がゐること。24時間営業のセブンが出店してきて、消費者がセブンを選んでも、それを止めることはできません。ここは自由経済の国(のはず)だからです。
ファミマ「24時間やめた」オーナーに聞く「時短営業にしてどうなった?」

論理的思考の欠如
「伝説のアナリスト」の経済リテラシーのなさ、論理的思考の欠如に愕然とします。「いいものをたくさん作って、安く提供しても、市場は飽和状態なので売れません」→現実には売れてゐます。さうでなければビッグマックが安い値段で売れてゐるといふ著者自身の主張が成り立ちません。「日本では最低賃金が極めて安く、安い賃金で人が雇えるので、ビッグマックを安い価格でも提供できている」→人件費を決めるのは賃金水準ではなく、賃金の総額です。最低賃金が高くても雇用を減らせば人件費は安くなります。「ビッグマックの客層が低所得者に限定されているという事実はまったくありません」→金持ちと低所得者が同時にメリットを受けても何も悪いことはありません。
日本人が大好きな「安すぎる外食」が国を滅ぼす

税金による宇宙開発
大変な騒ぎですね。生命の起源はぜひ追求したいものですが、それって国の税金でやらなければならないことでせうか。成功したときは脚光を浴びても、そのためにどれだけのコストを費やしたか、もし民間ならもっと早く、もっと多くのプロジェクトができたのではないか。さういふことは誰も言ひません。米国ではNASA廃止論もあるのです。
はやぶさ2 着陸に成功 詳しいデータ分析へ JAXA

2019-02-27

都会を目指さう

都会を目指さう
LGBTに限らず、人間の多様な生き方に対して寛容なのは、田舎ではなく、都会です。最近の地方創生論は地方の良いところばかり強調し、影の部分を語りません。新潟出身の作家、坂口安吾は、田舎には文化がないとまで言い切っています。いろいろな事情で地元を離れるのが難しい場合もあるかもしれませんが、生きづらい人は、物事が政治で決まる地方でなく、市場経済が自由な生き方を可能にする都会を目指してほしい。
解決せぬ差別に失望 性同一性障害を持つ上田さん「時代はむしろ後退」

温暖化以外のリスク
企業が将来のリスクに備えるのは良いことです。けれどもそれは政府やその集まりである国連から一方的に押し付けられるシナリオに沿ったものであってはいけません。科学的根拠のあやふやな地球温暖化よりも、むしろ地球寒冷化のリスクが高いとも言はれてゐます。石化燃料が再びブームとなり、増産が追いつかないリスクも検証しておいてはいかがでせう。
サステナビリティの新顔「TCFD」、日本企業の賛同広がる理由

税が強ひる努力
最近の第3のビール、うまいですね。メーカーの涙ぐましい努力には拍手を送ります。けれどももし、ビールの税金がこれほど高くなければ、その努力と時間をさらに有効に使へたことでせう。政府は日頃、日本文化を守れと声高に言ひますが、その一方で、税によって豊かな酒文化を破壊してゐます。
第3のビール、競争過熱 消費税増税後の需要狙う

慣習の背景
新卒一括採用といふ慣習の背後にあるのは、中途採用があくまで例外でしかないといふ現実。そのさらに背後にあるのは、解雇が事実上不可能で、きはめて硬直した労働市場。学生たちは企業側だけではなく、労組側にも発想転換を訴えるべきでせう。
「新卒一括採用 見直して」学生が企業に要望

経済統計はいらない

衰亡の原因
ローマ帝国衰亡の原因は蛮族の侵略ではなく、経済的つながりの分断である。3世紀に始まった、人気取りのための公費による食糧補助。絶え間ない派手な見世物。その結果、農業は廃れ、都の人口は増え続けた。政府が食糧をタダ同然で配給するから、農作物を売っても儲からない。
Socialism and Decivilization | Mises Institute

経済統計はいらない
統計がひどく必要とされるのは、政府の経済計画のためである。自由な市場経済では、個々の企業に統計はほとんど必要ない。価格とコストさへわかればいい。コストは社内でわかるもので、いはゆる経済統計ではない。政府の統計作成の拡大は、経済への介入拡大と無関係ではない。
The Politics of Political Economists | Mises Institute

小国と繁栄
世界経済自由度で中国の110位に対し台湾は13位。1人当たりGDPは中国1万5399ドルに対し台湾4万8095ドル。経済学者ハイエクによれば、スイスやオランダなど小さな国ほど経済の自由と繁栄を享受しやすい。台湾は好例だ。繁栄を望むなら、国を分割してでも小さくしたはうが良い。
Why Taiwan Grew Rich While the Mainland Starved | Mises Wire

空港警備は民間で
米政府閉鎖の間もサンフランシスコ国際など22の空港では荷物検査官が無給にならず、業務に支障なかった。運輸保安局職員でなく民間警備員を使ってゐるからだ。カナダや欧州の空港も同様。費用は安いのに警備会社は黒字だ。カナダの1人当たり空港警備費は米国より4割少ない。
Why Privatizing Airport Security Would Make Americans Both Safer and Richer - Foundation for Economic Education

2019-02-26

歯止めなき税

コストの行方
「有給育児休暇を雇用主の義務とすべきか」→ノー。義務化すれば企業は育児しさうな人の雇用に慎重になります。「そのコストは誰が担うのか」→政府は税、企業は売上から払ふので、結局はすべて個人が負担します。「どのくらいの休暇期間が適切なのか」→個々の企業で最適解を探ればいいこと。
【子育て改革】ゲイツ財団が「1年の育児休暇」を廃止した理由

著作権といふ障碍
シェイクスピアが今も人気を保つ理由のひとつは、著作権が切れてゐること、と興味深い指摘。いくら改変しても、二次創作を作ってもお金がかからないし、許諾のことで遺族の財団とモメたりもしない、と。シェイクスピア自身、タネ本を換骨奪胎して傑作を生み出したのは有名。芸術の発展に著作権はむしろ邪魔なのです。
「クイーン」と「シェイクスピア」の共通点から考える、何が金や人気を生むのか

歯止めなき税
ビジネスの天才であっても、政治経済について正しい意見を持ってゐるとは限りません。税は財産権の侵害であり、だから憲法で一定の歯止めがかけられてゐます。必要悪として認めるにしても、無制限であっていいはずはありません。金持ちだからどれだけ取ってもいいなどといふのは無茶苦茶です。それがナチズムや共産主義と紙一重であることを、ゲイツ氏は理解してほしいものです。
ゲイツ氏:キャピタルゲイン課税の引き上げが最善策-財政赤字解消で

自分の金、他人の金
アマゾンに自治体が30億ドル(約3300億円)規模の助成金と税優遇措置を与へることに非難の声。助成金と税優遇の内訳がわかりませんが、この2つは性格がまったく違ひます。助成金は他人のお金を自分のものにすること。優遇と言われる税控除は自分のお金を手元に残すこと。自分のお金なのだから「優遇」という表現は不適切です。ともあれ、アマゾンを追い払った人たちは他人の金をあてにせず、自分で稼ぐ覚悟があるのでせうか。
「儲かっているのに優遇」に怒り。NY進出断念で見えたアマゾンが“嫌われる理由”

2019-02-25

キャッシュレスの押し付け

キャッシュレスの押し付け
そもそも消費増税のどさくさに紛れてキャッシュレス決済を強引に導入しようとすることが間違ってゐます。北欧や中韓に比べてキャッシュレス比率が低いから高めようといふ発想は追いつけ追い越せの明治時代路線。消費者はそれなりの合理的理由があるから現金決済を選ぶのです。あらゆるサービスは個人が選択するものであり、政府が押し付けるのは愚の骨頂です。
消費増税のポイント還元 補助、過大支給の恐れも

国のかたちは地方から
金持ち優遇、大いに結構です。累進課税といふ、嫉妬に基づく理不尽な制度を多少なりとも是正する役に立ちます。「この国のかたち」を中央政府に作らせたら、ろくなことはありません。国のかたちは地方の自由な創意工夫によって作るべきものです。日本で「国」といへば、伝統的には信濃国とか筑紫国とか、地方のことです。
ふるさと納税は「金持ち用カタログショッピング」か 本来の趣旨を大きく逸脱してしまった返礼品競争に終止符を!

医師不足の根源
スターバックスやマクドナルドが地域によって足りないと問題になったのを聞いたことがありません。市場原理に基づいて需要と供給がバランスされるからです。医師不足問題の根源は、市場原理が働かないことに尽きます。市場原理を敵視する社会主義的医療の犠牲になるのは、国民と医師です。
2036年の医師不足2.4万人 厚労省試算 「偏在解消」達成できず

官僚的発想
休みを取る人が少ないなら強制的に休ませよう、といふのは官僚的発想の典型です。民間経済は官庁と違ひ、つねにグローバルな競争にさらされます。休みが増えるのはサラリーマンとしてはありがたく感じますが、それだけ労働コストが上がるといふこと。労働コストの高い国、日本に海外企業がどこも投資してくれなくなったら、どうするのでせうか。
「年休」義務化、仕事が回らないと焦る企業がやるべきこと

健康帝国ナチス

文化は法律で守れない
あらゆる文化は多かれ少なかれ、つねに変化してゐる。変化は自然発生的で、中央でコントロールできない。異文化との交流でも変化が生じる。文化の異なる移民を、文化を破壊する侵略者扱いする人たちがいるが、文化は物ではないから、それを法律や規制で守る権利は誰にもない。
No One Owns a Culture

ナショナリズムの倒錯
ナショナリズムの考えによれば、人は他国民より自国民を尊重しなければならない。自国民といっても大半は赤の他人だ。互ひに会ふこともなく、どんな人間だかわからない。品性下劣な輩や犯罪者もゐるだらう。たまたま同じ国籍だからといって、なぜ尊重しなければならないのか。
Nationalism Is a Weird Ideology

健康帝国ナチス
ナチスはポスターで「諸君は健康を保つ義務がある」とドイツ国民に訴へた。ヒトラー自身、非喫煙の信念を抱き、煙草の害を示す研究に私費を投じた。ある政党紙いはく「同胞の国家社会主義者諸君、総統は喫煙に反対し、国民に自身の身体を薬物で害する権利はないとお考へだ」。
There Really Were Health Nazis - Foundation for Economic Education

奪はれた抵抗手段
ベネズエラは2012年、犯罪抑止を名目に銃器・弾薬の販売を禁止した。これは犯罪抑止につながらないばかりか、自由を踏みにじり、暮らしを破壊する政府に対し、市民が抵抗する手段を奪った。銃規制で国家は暴力を独占。市民は無防備な臣民となる。武装した国家にはかなはない。
How Gun Control Became an Instrument of Tyranny in Venezuela | Mises Wire

2019-02-24

制度がゆがめる人生

景気判断はいらない
景気が良いか悪いか肌で知ってゐるのは、統計をいぢくり回す政府の役人ではなく、普通の人たちです。一見科学的で、じつは怪しげな集計方法で作成された統計より、単純なアンケート調査のはうがよほど信頼できます。だとすれば、いっそのこと政府の景気判断なんかやめてしまひ、景気は民間のアンケートで判断すれば正確だし、税金の無駄遣ひにもなりません。
景気回復「実感していない」66% NHK世論調査

制度がゆがめる人生
法律婚ができないために、配偶者控除を受けることができないなどの苦労。そのために訴訟を起こすといふ新たな苦労。国の制度が二重にゆがめる人生。もし事実婚が税法上、法律婚と同様に扱はれれば、こんな苦労はなくて済むのに。それ以前に税金がもっと安ければ、控除をあてにしなくて済むのに。
願うだけでは、人生が終わってしまうから。同性婚訴訟、原告に立たない人の思い

現金社会のエピソード
もし日本が100%キャッシュレス社会だったら、この話題は生まれなかったはず。これだけ多額の現金を蓄へることがまずできないし、電子通貨だと差出人を不明にすることも難しいでせう。かりに匿名にできたとしても、1億円相当の札束の迫力にはニュースバリューでかなひませんし、お札を確認する日銀の出番もありません。
愛媛県知事あてに差出人不明の1億円札束 「何かの役に立てて」

魅力ないサービス
サービスを使ってほしければ、それ相応の魅力を付与しなければいけません。健康保険証として使へることがそんなに魅力的でせうか。一番効き目がありさうなのは、マイナンバーカードを使へば税金を安くすること。もちろん無理でせうけれど。マイナンバーの狙ひの一つは国民から少しでも多くの税を搾り取ることなのですから。
マイナンバーカード普及策を検討 政府、保険証や民間活用も

2019-02-23

どこが無償?

言ってはいけない
「(国税当局が)締め付けたりいじめたりして、優秀な高所得者が海外へ流出している」。まぎれもない事実です。でもこの国には、事実でもおおっぴらに口にしてはいけないことがある。それもあらためてわかりました。高所得者の脱出は止まらないでせう。日本没落の道です。
「出るくいは打たれる」国税批判、料金巡り訴訟も 青汁王子

ケンカは無害
言論の自由の本質にはまったく関係ないただのケンカですが、ケンカは見てゐて面白いもの。せっかく税金を払ってゐるのですから、楽しみませう。どうかケンカができるだけ長引いて、予算とか増税とか経済対策とか、国民の害にしかならない話に戻りませんやうに。
悪夢のような民主党政権発言、「言論の自由ある」=安倍首相

どこが無償?
「10月の消費税率10%への引き上げによる増収分を財源に」。いつも思ふことですが、こういうのって無償化でせうか。どう見ても有償でせう。だって税金といふ対価を払ってゐるのですから。しかもなぜか、税金をバラまく政治家が手柄のやうな顔をします。その税金は政治家ではなく、納税者が稼いだものなのに。
幼保無償化法案を閣議決定

著作権といふ権益
音楽と映像に限って違法だったダウンロードが、小説や雑誌、写真、論文、コンピュータープログラムなどあらゆるネット上のコンテンツに拡大へ。スクショもダウンロードに含まれるとか。政府の作り出した著作権といふ名の権益の行き着くところは、自由とは正反対の、ネット利用の萎縮。
著作権侵害、スクショもNG 「全面的に違法」方針決定

差別でなく選択

ミートゥーの帰結
米金融業界ではセクハラで訴へられないやう、男性幹部の間で新たな習慣が広がってゐる。窓のない部屋で部下の女性と会はない。エレベーターの中でも距離を置く。35歳以下の女性と商談で夕食をしない。その結果、女性社員は重要な会合から外され、飲み会にも呼ばれなくなった。
After #MeToo, Men Begin Avoiding Female Co-Workers | Mises Wire

差別でなく選択
ハーバード大研究者が電車・バス運転手を調べたところ、男性は女性より残業時間が83%長く、残業をしない女性は男性の2倍ゐる。子供のゐる男性はゐない男性より残業代を稼ぎたがり、子供のゐる女性はゐない女性より休暇を欲しがる。賃金格差は差別でなく、選択の違ひによる。
Harvard Study: "Gender Wage Gap" Explained Entirely by Work Choices of Men and Women - Foundation for Economic Education

逆効果の労働規制
国連のいふ「働きがいのある人間らしい仕事」を途上国で実現するために労働規制を強化すれば、企業はコスト高を避けるため従業員を解雇したり、工場を他国に移したりするだらう。残された労働者は失業するか、労働環境のもっと悪い職場で働くしかない。生活水準も上がらない。
Sweatshops Today, Decent Work Tomorrow | Mises Wire

不平等と分業
事実として人間は生まれつき、機会においても結果においても平等ではない。だが人間が不平等だからこそ、分業によって社会は豊かになる。もし地球のあらゆる場所の生産条件が同じで、どの人間もまったく同じだったら、分業は人の幸福増進に何のメリットももたらさないだらう。
"Equality of Opportunity" Is Overrated | Mises Wire

2019-02-22

全体主義の誘惑

当然の倹約
よくある若者特殊論かと思へば、さうでもありません。コスパを重視せざるをえないのは、要するに自由に使へるお金が減ったから。10%に上がる予定の消費税。ボーナスからも引かれるやうになった社会保険料。官製福祉といふ貧弱なサービスに回す名目でお金を巻き上げられ、若者やその親世代の中産階級は年々負担が増すばかり。財布の紐を引き締めるのは当然でせう。
もはやユニクロすら高い?「コスパ」重視な若者たちのお金のリアル

「まともな社会」の運命
日本を代表する企業であるトヨタ、ホンダ、パナソニック、ソニーはどれも、もともと夢見るやうな起業家によって作られたことを、どうやらこの筆者は知らないやうです。どんな企業も最初は起業家によって創業されなければならない以上、起業家の育たない社会の将来には死あるのみ。税金でしか生きられない官僚がそのとき青ざめても、もう遅いのです。
「起業家が育たない日本」はまともな社会だ

お上頼みの精神
「人を罪に問うのは、慎重のうえにも慎重でなければならない」。世論が頭に血を上らせる中で、きはめて冷静な意見。「そもそも、今回のケースは、本来、警察に持ち込むのがふさわしい事案だったのかも疑問」との指摘も重要です。当事者同士で解決できることまでお上に裁断を求める、日本人の不健全な精神。
悪質タックル「嫌疑なし」は「理不尽」にあらず(江川紹子)

全体主義の誘惑
政府が家庭に介入なんてとんでもない、と反応する人がどれだけゐることでせう。むしろ、いいんぢゃないの、あんなひどい親がゐるんだから、といふ声が多いのでは。表現の自由には強く反対する知識人や弁護士も賛成しさうです。厚労省がすべての児相に弁護士を配置することも検討しているさうですし。ナチスのマークをシャツに付けると大騒ぎになりますが、家庭介入といふ全体主義的政策には拍手すら聞こへてきます。
児童相談所の家庭への「介入」強化へ。親支援の部署と機能分離

2019-02-21

勤労意欲わかず

反戦派への攻撃
記事では国民皆保険の実現や環境保護の強化だけにしか触れてゐませんが、ギャバード議員の最大の特色は、非民主国家の体制転換を名目とした海外軍事介入の中止を訴へてゐること。民主党の主流派も介入賛成に回った現在、唯一とも言へる反戦派。大手メディアは早くも親ロシアだと攻撃してゐます。
37歳ギャバード氏出馬表明 女性初の米大統領狙う

内乱への道
「選挙によって就任した人物に、その地を去れなどとどうしたら言えるのか?選挙すら行っていない者(フアン・グアイド国民議会議長)はどうしたらベネズエラの国家を代表することができるというのだ?」とまったうな指摘。メディアの論調が米国支持一色なので、あへて紹介。内政干渉は内乱と戦争への道です。
エルドアン大統領、ベネズエラをめぐりアメリカとEUに抗議

ドル離れの明日
イランが金に価値を裏付けされたステーブルコインPayMonをスタートへ。米国から経済制裁を受け、国際銀行間通信協会(SWIFT)からも排除されたことに対応。もはやドルは唯一の基軸通貨ではないとの声も聞かれる中で、結果的にドル離れが進めば、米国は自分の首を絞める格好に。
イランが金に価値を裏付けされたステーブルコインを開発か

勤労意欲わかず
月額約7万円のベーシックインカムを実験で支給。その結果、受給者の幸福度を増すことはできても、就労意欲を高めることは難しいと判明。まあ、さうでしょう。といふか、わざわざ実験しないとわからないことだったのでせうか。まさか、ぢゃあ月14万円でやってみようなんて言ひ出さないでせうね。
「おカネをただで配りましょう」ベーシックインカム実験の結果はどうなった フィンランドからの報告

2019-02-20

母といふ選択

高すぎる買ひ物
「いづも」を違憲の疑いがあるとされる攻撃型空母に改修し、導入する予定のF35Bステルス戦闘機。米国防総省が議会に提出した年次報告書で、寿命が想定を大幅に下回ることが明らかに。1機約110億円の買い物はわづか10年程度で寿命がつきる可能性も。防衛には必要との声もありますが、財政破綻してはおしまひです。
海自幹部、強襲艦のF35B視察=護衛艦、「空母」改修控え-米第7艦隊(時事通信)

母といふ選択
微笑ましいアイスクリーム発言に持っていかれましたが、こちらの発言は重い内容。「私の中の優先順位が柔道から子どもになった」。社会的地位のある女性が出産をきっかけに子育てを最優先に位置付け、職場を去る「オプトアウト」。政治的に正しくないので「言ってはいけない」ことだとされますが、男女の脳組織が異なることは、科学的にも明らかにされてゐます。
松本薫 引退会見「子育てしながら野獣スタイルは難しかった」 - スポニチ Sponichi Annex スポーツ

利用を縛る鎖
流行中のブロックチェーンですが、あくまで手段にすぎません。社会を豊かにするかどうかは目的次第。楽曲の利用をがんじがらめにするために使はれれば、著作権本来の目的であるはずの文化の発展を妨げてしまひかねません。
JASRAC、ブロックチェーン導入へ 楽曲使用料を透明化

封じられた悲しみ
妖怪人間ベムの容姿が美化された一因は、政治的に正しい人たちからの批判を恐れためだと想像されます。しかし最初から人間に近い容姿では、「早く人間になりたい」といふベムたちの悲しみは伝わりません。政治的に正しい人たちはきっと、「そのままでいいんだよ」と言うのでせう。それが彼らにとってどんなに残酷であっても。

2019-02-19

国税にも導入を

保護といふサービス
国には邦人保護の義務があると言はれます。だから出国を禁止するといふ理屈なのでせう。けれども国民の側が出国を望むのであれば、無理に止めることはできないはずです。また、かりに常岡さんが出国先で危険に遭遇した場合、国にはやはり保護の義務があるはずです。なぜならそれまでに常岡さんは行政サービスの対価として税金を払ってゐるからです。
内戦取材の常岡さん「出国禁止」 イエメンに渡航を計画

心を届けるもの
ひどいクレームを受けた女性がじつに気の毒で、クレームをつけた相手に腹が立ちますが、救はれるのは、このやうにSNSでメッセージを発することで、多くの人の同情と励ましを届けられること。SNSのなかった時代には考へられないことです。最近いろいろ批判もあるSNSですが、あらためてすばらしいと感じます。もちろんSNSで発信できる言論の自由についても。
「日本のどこかにいるあなたへ」高齢男性によるクレームでダメージを受けたサポートセンターの若い女性に届けたいメッセージ

国税にも導入を
いいですね、ふるさと納税。お礼を何にするかは泉佐野市のやうに自治体の知恵と工夫で決めることで、国から指図するべきではありません。この仕組み、国税でもできないでせうか。ろくなサービスもしてくれない日本に税金を払ふくらゐなら、名も知らない小さな国に、すてきな返礼品と引き換へに払ひたい。
ふるさと納税でアマゾンギフト券100億円 泉佐野市が総務省に対抗

異常な20年
景気拡大が戦後最長を更新する中で、景気が良いときには上げるはずの金利を日銀はマイナスに据ゑ置いたまま。景気後退がやってきたらもはや打つ手なし。事実上、政府の出先にすぎない中央銀行に、中立的な金融政策など土台無理なのです。
「不思議の国」からの脱却いまだ果たせず、日銀ゼロ金利導入から20年

政府閉鎖の真実

政府閉鎖の真実
公務員の給与支払ひが遅れると脅しただけで、大衆は怒り狂ひ、大統領が望む予算を何でも通すやう求める。政府閉鎖の脅しが現実になったところで、それは大衆の怒りを利用し、政府が好き勝手に課税し、支出できるようにするための戦術にすぎない。この戦術はいつもうまくいく。
The Anatomy of a Government Shutdown | Mises Wire

税の抜け穴?
税の抜け穴をふさげとか、税控除は不公平な補助金だからなくせとかいふ主張は正しくない。その主張の前提は、政府は国民の所得に100%の所有権があり、そのうち一部を非課税にしてやってゐるという発想だ。所得の一部を持ち主自身の手元に残すのは、抜け穴でも補助金でもない。
Ten Great Economic Myths | Mises Wire

国立公園は脱補助金を
政府閉鎖の影響で一部の米国立公園はゴミや排泄物があふれる。連邦政府の補助金が止まり、清掃費を払へないためだ。それなら補助金を返上し、自力で十分な入場料を取り費用を賄えばよい。今は公園に足を踏み入れたことすらない納税者までゴミやトイレの費用を負はされてゐる。
Government Shutdown Shows Why We Need to Decentralize National Parks | Mises Wire

マンハッタンの自生的秩序
米NY州マンハッタンには毎日おびただしい人々が仕事や遊びで訪れるが、誰が指示するわけでもないのに、その流れは秩序正しい。道路や地下鉄は設計されたものだが、その秩序正しく複雑な利用の様式は設計できない。自然発生的であり、経済学者ハイエクのいふ自生的秩序である。
EconomicPolicyJournal.com: Manhattan: A Glorious Testament to the Reality of Emergent Order

2019-02-18

脅威の悪循環

異様なバッシング
独立候補として出馬を検討しただけで、2大政党の支持者や主流メディアから袋だたきになるとは、なんとも異様。米国民はどちらを選んでもほとんど変はらない2大政党制にいい加減飽き飽きし、真の変化を希望。それが現実になる可能性を感じるからこそ、現状維持を望む人々は神経質になるのでせう。
お願いだから出ないで! 米大統領選への立候補を検討中のスターバックス元CEO、民主党支持者はボイコットを呼びかけ

道徳といふ道具
ノーサム知事は報道後、KKKの白の三角づきんをかぶった人物と顔全体を黒く塗った人物の2人のうちいづれかが自身であることを認め、謝罪。民主党の同知事は選挙運動中、「白人至上主義者はバージニア州では歓迎されないし、勝てない」と共和党候補を攻撃してゐました。政治家にとって道徳は政争の道具にすぎません。
米知事、卒業校アルバムにKKK 南部バージニア州、辞任求める声

失はれる視野
兵役の経験がなく、大学で米国以外の地域、現代以外の時代について学んだことがなく、タカ派のシンクタンク、ワシントンの法律事務所、共和党の政治活動、右派メディアの狭い業界でしか過ごしたことのないボルトン氏。その経歴が示す視野の狭さで米国の外交政策を仕切る危ふさ。
米政権、強まる「ボルトン色」=根底に「反軍縮」思想-新START失効を視野

脅威の悪循環
米国の政治家や情報機関の専門家は「アメリカの国内外で中国による脅威が迫っている」と警戒を強めてゐるとか。中国は米国に対しそれ以上の脅威を感じてゐることでせう。なにしろ相手は、民主主義を広めるといふ名目で他国への軍事介入も辞さないのですから。脅威が脅威を呼ぶ悪循環。
中国は「第三次大戦を準備している」

2019-02-17

人権軽視国家

人権軽視国家
「日本は、中国と同じように基本的人権を軽視する国家ということになりかねない」と正しい指摘。企業による個人情報の収集はサービス向上につながりますが、それが政府に提供されれば話は別。文中にあるとほり、情報提供を求める際にはきちんと令状を取得することが筋でせう。
Tカード「個人情報提供」は氷山の一角に過ぎない

ごまかしの本質
「アベノミクスのごまかしの本質は、国民に名目賃金ばかりに目を向けさせ、実質賃金にはいっさい触れてこなかったということ」と厳しい指摘。見た目の名目賃金が上がっても、物価高で実質賃金が目減りすれば、景気回復を実感できるはずはありません。人為的な賃上げ、金融緩和に決別を。
アベノミクス以降の実質賃金は、リーマン・ショック期並みに落ちていたという事実(中原圭介)

嫌はれて当然
過去25年間で2度にわたり相続税で計93億円の追徴課税。そもそも相続税は税金を納めた残りの財産にまた課税する二重課税。同じ納税者たちは味方をするどころか、税逃れはけしからんと叩き、日本から逃げるのはけしからんとまた叩く。こんな国、ほとほと嫌になっても当然でせう。
「日本は破綻するだろう」 リクシル潮田会長が日本嫌いの理由

ネズミ講が問題
子供を産まないのは「悪い」といふのは、子供が生まれないと困る、財政は破綻するといふ意味だったと善意に解釈してみませう。すると日本の財政の深刻さがあらためてわかります。官製福祉の正体は、先に入った者(高齢者)を後から入った者(若者)が支へるネズミ講なのです。
産まない方が問題 麻生氏撤回

新自由主義の幻影

新自由主義は自由主義か
左翼によれば、欧州連合、世界銀行、世界貿易機関、各国中央銀行などの組織は新自由主義の産物だといふ。だとすれば新自由主義は本来の自由主義(リベラリズム)とは異なる。本来の自由主義は市場経済を擁護する自由放任主義で、市場に介入するこれら官僚組織に反対だからだ。
We Don't Need Neoliberalism — We Already Have Liberalism | Mises Wire

新自由主義の幻影
左翼の新自由主義批判を聞くと、まるで世界中で自由放任主義が勝利し、市場介入がなくなり、税が軽くなったかのやうだ。実際には米国は今や巨大な福祉国家となり、国民1人当たりに政府が支出する医療費はノルウェー、ルクセンブルク、オランダに次ぎ世界第4位だといふのに。
Mises Against the Neoliberals | Mises Wire

これは資本主義ではない
多くの人は米国が純粋な資本主義だと誤解してゐる。実際は産業全体に政府が深く介入してゐる。大手農業企業への補助金。輸出入銀行からボーイング社への優遇融資。救済を見越して事業拡大する大銀行。これは資本主義ではない。しかし人々は「社会主義がまし」と思ってしまふ。
Crony capitalism responsible for socialism's new popularity

官製の奇跡
かつてソ連が米国を経済で追い抜くと騒がれたが、取り越し苦労だった。大量のコンクリート、鉄鋼、水素爆弾を造れるからといって、真に価値あるものを生み出せるわけではないからだ。今の中国も同じ。官僚が補助金や政府融資、国営企業で作り出した経済の奇跡は長続きしない。
China—Americans’ Economic Bugaboo du Jour

2019-02-16

転売はなぜ悪い?

つまりは嫉妬
この手の話が出るたびに思ふのですが、一体、高値転売は悪だといふ発想はどこから出てくるのでせうか。どんなに高い値段で売らうと、買う方は騙されてゐるわけではなく、納得づくなのだから、他人がどうかう言ふ必要はないはず。金を持ってゐる奴だけが良い思ひをするのは許せないといふ感情だとしたら、それは単なる嫉妬。社会主義がなかなか滅びない理由がわかる気がします。
HIKAKIN絶賛の「ナチュラルポテト」が品薄で高額転売…… 「高額転売やめて」と本人が呼び掛け

転売はなぜ悪い?
「余ったら定価で譲渡し合えばいい?1階最前列と2階天空席を同等に扱えと?それこそ美徳の押し付けに過ぎない」。まさにそのとほり。転売が悪いといふ人は、それがなぜ悪いのか、きちんと考へてゐるのでせうか。これで中国や北朝鮮の社会主義を非難する資格があるでせうか。
「転売死ね」とヒステリックに言う人たちは思考停止のバカなのではないかと思う

社会保障の信頼度
首相、全世代型社会保障の実現に「消費税率の引き上げによる安定的な財源がどうしても必要だ」と訴へる一方で、その社会保障を管轄する厚労省の不適切調査について「セーフティーネットへの信頼を損なうものだ」と陳謝。消費税率を上げるのは、厚労省が信頼できるかどうか確認してからにしませう。かなり先にはなりさうですが。
首相、消費税増税「理解と協力を」 施政方針演説

自由経済の鉄則
企業はチケット転売が起きれば批判され、転売対策を行へば消費者の不利になると批判される。一体どうすればいいのかと言ひたくなることでせう。自分のものは自分で使はうと転売しようと自由。これが自由主義経済の鉄則です。その鉄則を曲げようとするから無理が生じるのです。
USJの一部人気チケット「消費者契約法違反」と指摘

2019-02-15

がんばれグローバル

変はれない理由
数量増加のためではなく、さらなる高付加価値化に向けた投資が必要と筆者。そのとほりだとは思ひますが、国の生産抑制事業制度が発動されることに期待するやうな業界では、無理でせう。といふより、国がそのやうな介入をするから、業界はいつまでも変はらないし、変はれないのです。
卵の価格下落がこのままでは「底なし」になりかねない理由

がんばれグローバル
まさに機を見るに敏。それにしても思ふのは、グローバルなビジネスの世界に「がんばれ日本」「オールジャパン」的なナショナリズムを持ち込む政府やメディアの的外れ。この化粧品会社、資本は中国でも製造は日本で、日本ブランドをアピール。「がんばれ世界」「オールワールド」ではなぜいけない?
「中国資本の日本ブランド」化粧品が続々誕生する理由

商業といふ悪事
野球部員の参加した学校のダンス発表会が500円の入場料だったことで、高野連が「商業的利用にあたる」と問題視。それなら川淵さんの指摘するやうに、甲子園も入場無料にすべきですし、もっと言へば、商業がそんなに悪いことなら、商業高校は廃止するべきでせう。いじめられてゐるのはくしくも商業高校。
川淵三郎氏が高野連に激怒「頭の中身は明治時代」

揺らぐ幻想
日本統計学会は声明で「公的統計の信頼性に深刻な打撃を与えた」と厚労省を批判し、再発防止策を求めたとか。揺らいでゐるのは公的統計の信頼性ではなく、政府の統計が中立だといふ幻想でしょう。政府とは政治であり、政治的な利益のために動くものです。ビッグデータ時代の今、統計を政府が作る必要はありません。
統計の第三者調査、厚労省の次官級も同席 中立性に疑い

制裁の傲慢

制裁の傲慢
米国は外国に対する多数の制裁で世界中に敵を増やしてゐる。ドル離れも顕著だ。責任は米議会の多数派にある。何かといふと外国の人物や政府に対し制裁を繰り出す。調査に対し世界中の多くの人々が、自国の安全や子供の将来にとって最大の脅威はアメリカ合衆国だと答へてゐる。
The Ron Paul Institute for Peace and Prosperity : Lawrence Wilkerson: ‘Arrogance of Power’ Behind Arrest of Meng Wanzhou in Canada for US Extradition

撤収は無責任?
トランプ大統領の米軍シリア撤収決定を「無責任」と非難する人々。無責任なのは彼らの方だ。イスラム国(IS)打破といふ当初の目的から外れてシリアへの永続的な駐留を正当化しようとしてゐる。軍事政策の目的が不透明ならば、それこそ無責任だ。大統領には撤収の義務がある。
Giving Credit Where Credit Is Due – Trump Is Right on Syria - Antiwar.com Original

アフリカの略奪
ボルトン米大統領補佐官、中国とロシアによるアフリカ大陸での「略奪的行為」に対抗し新戦略を発表。しかし米国自身の略奪的行為には触れず。米国アフリカ軍(AFRICOM)によりアフリカ諸国の多くを事実上の軍事支配下に。約30カ国に数千人の米兵配置、今年は2.36億ドルを投入。
John Bolton Wants To Protect Africa From 'Predatory' Chinese Behavior. What About Washington's? - Antiwar.com Original

計画より偶然
実現したら経済危機をもたらすと騒がれる、英国の合意なきEU離脱。けれども1992年、英国がポンド危機に襲はれ欧州為替相場メカニズム(ERM)を離脱した後、英経済はむしろ回復に向かった。政治の世界で偶然起こったことは、計画されたことよりしばしば良い結果をもたらすもの。
Why an accidental Brexit could be the best thing for the UK - CapX

2019-02-14

クルトワ他『共産主義黒書〈ソ連篇〉』


ナチスを超える犯罪

先月、タイ・バンコクを拠点に活動する、AKB48の姉妹グループBNK48のメンバーが、ナチスのかぎ十字が描かれたとみられるシャツを着てリハーサルに参加する動画がネット上に投稿され、タイのイスラエル大使館がツイッターで遺憾の意を示す騒ぎになった。このメンバーは「自分が無知だった。二度としない」などと謝罪した。

一方、昨年11月、映画『鈴木家の嘘』の公開記念舞台挨拶が東京都内の映画館で行われ、出演俳優や監督が、キューバ革命の指導者ゲバラの肖像をあしらった、おそろいのシャツを着用して登壇した。ところが、この行為はなんの非難も浴びなかったし、ゲバラのシャツが劇中にも登場することを理由に、公開が中止されることもなかった。

何が言いたいか、わからないだろうか。そうだとしたら、BNK48のメンバーを歴史に無知だと笑うことはできない。ナチスの犠牲者よりも、ゲバラらが信奉した共産主義による死者のほうがはるかに多いからだ。本書によれば、前者が2500万人だったのに対し、後者は8500万から1億人に達する。

ソ連、中国、北朝鮮、カンボジアなど「共産主義体制は自分たちの権力を確立するために、大量殺人を真の統治システムにまで高めた」と共著者の一人、クルトワは指摘する。死刑は銃殺、絞首、溺死、撲殺などさまざまな手段で行われ、人為的な餓死、強制収容所送り、強制移住の際の死、強制労働による死もあった。カストロやゲバラが率いたキューバも例外ではない。

ナチスがニュルンベルク裁判で裁かれたのに対し、共産主義はナチス以上の大量殺人を犯しながら、今なお断罪されない。それどころか、道徳的に優れた思想であるかのようなイメージが知識人やメディアによって振りまかれる。ゲバラのシャツを着たり、共産主義の父マルクスの銅像を建てたりしても、けっしてかぎ十字のような問題にはならない。

ナチズムと共産主義に対するこの扱いの違いは、現代における最も恥ずべき政治的ダブルスタンダード(二重基準)の一つである。本書はその欺瞞に気づかせてくれる。

需要あるところ

需要あるところ
先日、悪質クレームなどの「カスタマーハラスメント」対応には企業が従業員に手当を払へばいいとコメントしましたが、この手もありました。専門の外部サービス利用です。消費者の自宅訪問も交へ話し合ふ危機管理サービス会社。弁護士費用をカバーする少額短期保険。市場経済は需要あるところ、供給あり。
悪質クレーム、プロが対応 働き手守るサービス相次ぐ

手口は変はれど
詐欺は人類の歴史とともに古いもの。時代とともに手口は変はっても、急に世の中が悪くなったわけではないし、インターネットが悪いわけでもありません。政府の規制で詐欺がなくならないのも変はりません。大切なのは消費者自身がAIなどテクノロジーの力も借りながら、騙されにくく、賢くなることです。
“フェイク”はカネになる その実態を追跡した

不吉な予言
いまの日本の状態は「紙幣を刷れば株価が上がる」といふ市場の原理に則ってゐるだけ。それは根本的な解決策にはならない、とロジャーズ氏がいつもながらまったうな指摘。アベノミクスは日本も日本の子どもたちの将来も滅茶苦茶にするだらうといふ不吉な予言は、このままでは残念ながら的中の可能性大です。
世界3大投資家ジム・ロジャーズの直言、「日本の好景気はうわべだけ」

罰の官民格差
企業で言えば「粉飾決算」であり「背任」だと厳しい指摘。ゴーン事件で騒がれてゐるとほり、民間企業であれば、粉飾や背任は第一級の犯罪で、厳罰が待ってゐます。ところが政府の場合、責任はうやむやかせいぜいトカゲの尻尾切り。評判を落として競争相手に乗り換へられる心配もありません。
「勤労統計問題」で露呈した霞が関「お手盛り」体質 都合が良いような統計の改ざんは、「犯罪行為」である

2019-02-13

経済成長と起業家

起業家8つの資質
起業家の特質。⑴顧客の気持ちを理解する共感力⑵協業先・顧客とつながる人脈力⑶新しい知識や市場の変化への柔軟な対応力⑷短期にとらはれず長期を見通す力⑸生涯学び続ける態度⑹顧客とともに問題解決する姿勢⑺良くない結果にめげずやり抜く力⑻変人扱ひを楽しむ個人主義。
8 Traits of the Entrepreneur | Mises Wire

経済成長と起業家
経済の生産性が今高いからといって、将来もそれが続くとは限らない。資本を保全・改善するには、起業家による絶え間ない経営努力が必要だ。一国の経済は起業家階級の活力に左右される。貯蓄や投資、技術の進歩は経済成長の必要条件にすぎない。重要なのは起業家の能力である。
Why Capital Needs Entrepreneurs | Mises Wire

エネルギーの未来
高コストの風力・太陽光発電やエタノール燃料を押しつける政府の政策にもかかはらず、化石エネルギーの生産・消費は力強く伸びてゐる。エネルギー市場の未来は明るい。新技術のおかげで石油、石炭、天然ガスは環境にやさしくなった。持続可能性を脅かすのは市場でなく政府だ。
Why the Future of Energy Has Never Looked Brighter - Foundation for Economic Education

海外旅行と資本主義
1995〜2016年で世界の海外旅行者を国籍別にみると、高所得国の割合が72%から60%に低下する一方、上位中流国は8.5%から27%に、下位中流国は2.5%から11%に上昇した。近代資本主義のつねとして、昔は上流階級だけの贅沢品だったものが、今では世界中で享受する人々が増えてゐる。
How capitalism brought tourism to the masses - CapX

より大きな脅威

いつもの名目
ブラックマネー撲滅といふ政府の大義名分を真に受けて、国民の間には「悪い奴らのお金が丸裸になるんだったらいいじゃないか」といふ寛容な意見が意外に多いとか。さうだとしたらなんたるナイーブさ。いつの時代も、政府は「悪い奴ら」を懲らしめるといふ名目で、庶民の財産や権利を奪っていくものなのに。
高額紙幣禁止事件が浮き彫りにしたインド市場の本当の魅力

いまだ証明できず
起訴の容疑内容はロシアとの共謀に関するものではなく、ウィキリークスがクリントン陣営の電子メールを暴露した問題にまつはる偽証の罪。裏を返せば、トランプ氏とロシアとの共謀は相変はらず証明できてゐないといふこと。ロシアゲートといふ名の司法の政治利用は、もういい加減にしてもらひたいもの。
トランプ大統領側近を起訴 米特別検察官のロ疑惑捜査

あまりにも露骨
ベネズエラ国内では無名で、突如表舞台に躍り出たグアイド氏。暫定大統領就任を宣言したのは、ペンス米副大統領から電話を受けた直後だったとか。米国によるあまりにも露骨な内政干渉。アフガニスタン、イラン、リビア、シリアで犯した過ちを、今度は南米で繰り返さうといふのでせうか。
ベネズエラ軍、野党の「クーデター」非難 中ロはマドゥロ氏支持

より大きな脅威
国連や政府の温暖化騒ぎとは裏腹に、猛威を振るふ大寒波。人類にとって寒冷化は温暖化よりはるかに大きな脅威。国際的な調査によれば、寒さで死ぬ人の数は、暑さで死ぬ人の20倍だとか。CO2量は増加が続くにもかかはらず、気温上昇はストップ。根拠の揺らぐ温暖化説に固執すれば、将来に悔いを残します。
気温は南極以下… 米中西部、大寒波で数千万人に影響

2019-02-12

楽な納税、重い税

楽な納税、重い税
納税手続きが簡素になることを歓迎する意見をよく見ますが、大切なのは納税手続きではなく、税の負担が軽くなることです。このニュースも同じです。補助金をもらへる人はうれしいかもしれませんが、それ以外の人にとって大切なのは補助金申請の手続きが楽になることではなく、補助金といふバラマキが減ることです。
すべての国の補助金手続き ネットで完結へ

似た者同士
いつも韓国を批判をしている産経新聞が、韓国とまったく同じ自民党議員の最低賃金引き上げ政策を特にコメントもなく紹介。最低賃金を上げれば雇用のコストが高まり失業を招くのは経済学のイロハ。韓国では労働を機械で置き換へる動きが広がってゐます。
最低賃金を全国一律に 自民有志が議連発足へ

自殺を減らすには
学校自身の対応もさることながら、市教委も文科省の24時間子どもSOSダイヤルも、相談に対し具体的な対応はなかったとか。日本に自殺がまだ多いと憂ふるのなら、官僚主義のはびこる義務教育の廃止こそ、急がれる対策の一つではないでせうか。塾では悪質ないじめは起こりません。
<いじめ母子心中>両親のメモを無断で相手に 学校の対応に家族不信募らす

脱出の理由
シンガポールに本社を移転すれば、日本よりも法人税率が低いため、節税効果が得られる見込み。移転を指揮する創業一族の潮田洋一郎会長自身が現在、居を構へて生活の拠点にしてゐるのもシンガポール。移転の理由は他にもあるのでせうが、大きな理由の1つは税。重税国家・日本に未来はありません。
LIXILがMBO検討、日本脱出も

2019-02-11

変身への助走

規制する前に
オンライン小売業者は、購入に関する情報をデータブローカーに譲渡したことを利用者に伝へない、だから規制強化をとクック氏。たしかに小売業者はデータ譲渡の事実を積極的には伝へないかもしれませんが、利用客は取引時に承諾ボタンを押してゐます。利用者にコストを負はせる規制強化ではなく、消費者教育で解決すべき話です。
アップルのクックCEO、プライバシー関連規制の必要性などあらためて主張

資本家とは庶民
株価指数に連動した低コスト投資信託の生みの親、ボーグル氏。最近、先進国で社会主義がブームになり、資本家を攻撃する社長が目立ちますが、じつは株式投信を通じ、多数の庶民がすでに株主、つまり資本家になってゐます。資本家、株主、株式会社を虐げる政策は、庶民を虐げるのと同じです。
インデックス・ファンドの父、ボーグル氏死去 米投信業界の革命児

数の論理
富裕層を狙ひ撃ちにした増税がなぜ選挙対策になるのか。富裕層は少数で、それ以外の有権者は多数だからです。民主主義は数の論理という本質があらはに。もしさうでなければ、多数決で財産を奪はれない歯止めが憲法によってかけられなければなりませんが、その歯止めも「公共の福祉」といふあいまいな言葉で有名無実にされます。
所得税率を最高70%へ引き上げ?米国で荒唐無稽な提案が賞賛される理由

変身への助走
改善する北朝鮮の弁当事業。理由は市場経済化の進展。商売・生産をあまり統制しない金正恩政権の方針により、人々の収入は比較的安定。驚くことに、携帯電話が1台もない家はないとのこと。いつの日か社会主義と完全に決別し、ポル・ポト悪夢から高成長国に生まれ変はったカンボジアに追ひつき、追ひ抜いてほしい。
北朝鮮の「お弁当」に見る食糧事情の改善と市場経済化の力

クリスマスと市場経済

クリスマスと市場経済
市場経済がなく起業家と労働者がゐなければ、クリスマスの最低限のしつらへさえできないだらう。市場経済のおかげで七面鳥、おもちゃ、クリスマスツリーを大量生産し、多数の庶民に手頃な値段で届けることができる。もちろんもっと質素に祝ひたければ、さうすることもできる。
In Praise of Christmas Tree Salesmen | Mises Wire

古い技術、新たな価値
新しい技術は、いつも予想どほりのスピードで古い技術を置き換へるとは限らない。米国で独立系書店の新規開店と紙の本の売れ行きが回復してゐる。電子書籍との競争により、消費者は紙の本を以前とは違ふ目で見るやうになり、その伝統的な形式に新たな価値を見いだしたやうだ。
Why E-Book Sales Are Suddenly Falling - Foundation for Economic Education

真の経済成長
経済成長はGDPや生産力とは関係ない。人々の欲求を満足させる能力が高まることだ。店に品物が山積みになったからといって、経済成長とは呼べない。誰も買ひたがらない物を多く作るのは、限られた生産力の無駄遣ひで、経済成長の反対だ。経済成長の好例は食料生産力の増大だ。
What Is Economic Growth? (And What Is It Not?) | Mises Wire

経済実験は可能か
実験が難しい経済学の世界で注目のランダム化比較試験(RCT)。人を偏りのない集団に分ければ実験は可能と主張。しかしノーベル賞経済学者ディートンは、小さな実験環境での結果は他で通用しないと批判。アカロフも、実験の設計にとらはれると経済の根本問題を見失ふと指摘。
Randomized Controlled Trials and Economic Questions | Mises Wire

2019-02-10

不寛容な人々

不寛容な人々
これ、たばこ休憩が良いか悪いかといふ話ではなく、多少の息抜きで離席するのは構はないけれど、長時間不在で周りに迷惑をかけるのは良くない、といふごく普通の話のはず。「臭い抜けるまで帰ってこないで」とかいふ非寛容なコメントには、喫煙者ならいくら叩いても良いといふ怖い空気を感じます。
「デスクにいる=仕事してる」? “たばこ休憩”めぐり論争

スマートな対策を
客からの暴言や暴行を「カスタマーハラスメント」(カスハラ)と呼び、問題視する動き。警察への相談を奨励する向きもありますが、もっとスマートな解決法があります。カスハラに遭ひやすい職場の従業員に会社がカスハラ手当を払ふのです。もちろん度を越した暴力などには法的措置を取ればよろしい。
店員に「土下座強要」で逮捕続く…「お客様は神様」から意識変化?

本当に悪なのか
経済学の教科書には独占は悪だと書いてあるので、たいていの人はそれをうのみにしてしまひます。けれども独占が悪とはそれほど自明なことではありません。どんな巨大企業でも、政府の力を利用して市場競争を制限しない限り、消費者の選択に絶対的な影響力を及ぼすことはできません。規制強化はむしろ、対応する余力のある大企業に有利に働きます。
公取委、巨大IT実態調査へ…通販・アプリ販売

対岸の火事?
中国は個人情報で国民を管理する恐ろしい社会だといふ報道がよくありますが、それならもっと日本自身の動きにも気をつけるべきでせう。その意味でこの記事は私たちの注意を喚起してくれます。どの国の政府も、国民が厳しく目を光らせない限り、社会の管理を強化したいと望むもの。中国も日本も同じことです。
Tカード情報令状なく捜査に提供 規約明記せず、当局は保秘

2019-02-09

生ぬるい批判

下手な計画よりも
実現したら経済危機をもたらすと騒がれる、英国の合意なきEU離脱。けれども1992年、英国がポンド危機に襲はれ欧州為替相場メカニズム(ERM)を離脱した後、英経済はむしろ回復しました。政治の世界で偶然起こったことは、計画されたことよりしばしば良い結果をもたらすものです。
英 EUと「合意なき離脱」に現実味 協定案の大差否決で

生ぬるい批判
なんとも生ぬるい「男らしさ」批判のメッセージです。なぜ取っ組み合いのけんかをする少年たちなどでなく、女性を含む市民を空爆する男性兵士を描かないのでせうか。なぜ男性が女性の下半身を触らうとするコメディー番組などでなく、女性市民を強姦する駐留軍の兵士を描かないのでせうか。
1000万回以上再生「男らしさ」に警鐘のCMに賛否両論

補助金頼みの明日
あのアップルもたうとう補助金目当ての企業に成り下がってしまひました。アップルウォッチがメディケア(高齢者向け医療保険制度)対象商品として認められれば、補助金が出て売りやすくなるといふ、おいしい話。しかし目先は良くても、長期では補助金頼みの商品にイノベーションは起こりません。
高齢者の「Apple Watch」購入に補助金を--アップルがメディケア提供元と交渉か

格付け機関の正体
このニュースサイト格付け機関「ニュースガード」の顧問に名を連ねるのは、トム・リッジ元国土安全保障長官をはじめ米情報機関、軍、大手メディアの元幹部ら。サイトの信頼度を緑や赤の色で示すのは、リッジ氏が長官時代に考案した、テロの危険度を色で示すシステムそっくり。米政府の軍拡路線を批判する独立メディアが排除される恐れ。
ニュースサイトの格付け機関「ニュースガード」が信頼される理由

ルールは無視される

デフレは悪にあらず
デフレは悪ではない。1866-1897年に米国では長期にわたるデフレが見られたが、この間の経済成長率は米国史上、同等の期間ではおそらく最も高い。長期のデフレにもかかはらず、実質GDPは平均で年4%超に達した。少なくともこの間、経済成長率と物価変動率は互ひに無関係だった。
Nonsense on Deflation | Mises Institute

生産性は物価を下げる
通貨量の膨張によるバブルは、物価の絶対水準が上がらなくても起こりうる。経済学者ハイエクによれば、生産性が大きく高まる経済においては低コストで多くの生産ができ、通常は物価の下落につながる。この物価下落はデフレといふ言葉につきまとふ否定的な意味はまったくない。
Macro Aggregates Hide the Real Market Processes at Work - The Future of Freedom Foundation

ルールは無視される
金融政策のルールは、経済危機が起こったが最後、いともたやすく無視される。中央銀行総裁は俗世と無縁な職場で働いてゐるわけではない。政治と時流次第で、中銀ご自慢の独立性とやらは消え失せる。大統領の利下げ圧力に抵抗できた米FRB議長はマーチン、ボルカーの2人だけだ。
Why rules won't tame the Federal Reserve - Washington Times

私的年金の効果
世界の少子高齢化で賦課方式の公的年金は破綻に瀕し、私的年金へのシフトが広がってきた。私的年金を採用した豪州、オランダ、スイスでは貧困率が低下。確定拠出年金を取り入れたポーランドやチリでは金融市場が育った。シンガポールの優れた年金制度は経済成功の一因である。
The Case for Privatizing Social Security Just Got Stronger - Foundation for Economic Education

2019-02-08

異常な司法

異常な司法
両事件を比較すると、司法手続の適正さ、公正さといふ面で「日本の検察当局のやり方がいかに異常なものかが一層明白となる」とばっさり。仏当局側がゴーン氏事件での重要な局面と同じタイミングで竹田会長事件の訴追に向けての手続を公表したことには「両者の違いを強調する意図があった可能性も」と鋭い指摘。
「ゴーン氏事件」と「竹田会長事件」の共通点と“決定的な違い”

子育てのコスト
企業が人材獲得・維持のために子連れ出勤などのアイデアを取り入れるのは良いことです。けれどもそれは自社の費用だけでやるべきで、補助金といふ税金を投入するのは良くありません。それは他の少子化対策と同じく、子供のいない納税者にも子育てのコストを負はせ、国民の間に感情の対立をもたらします。
「子連れ出勤」政府後押しへ モデル事業の補助率アップ

赤字の効用
原発はやめるべきか続けるべきか。それを教へてくれるのは事業としての採算です。税金が注ぎ込まれた事業だと採算の実態がわかりにくく、電力会社のやうに実質赤字でもダラダラ続けてしまひがちです。「国策」として無理に続けても、いつか限界が来ます。その点、日立の赤字がはっきりしたのは健全です。
日立、英の原発新設計画を凍結 政府輸出案件、全て暗礁

悲観論のウソ

人口10万人当たりの自殺者数は16.3人で1978年の統計開始以来、最少を記録。話題の本『ファクトフルネス』ではありませんが、「日本がどんどん悪くなってゐる」というネガティブな見方は、少なくとも自殺者数から見る限り、過度に悲観的な思ひ込みと言へるでせう。日本の平和と市場経済に感謝を。
自殺者2万人、9年連続減 18年、未成年女性は増加

2019-02-07

ゴードン『古代・中世経済学史』


経済学の真の父

アダム・スミスは「経済学の父」と呼ばれ、それが一種の権威として市場経済の批判に利用される。「アダム・スミスは単純な市場原理主義者ではなかった」という具合にである。けれどもスミスを「経済学の父」として必要以上に権威付けるのは、経済学史の正しい理解からすれば、間違っている。

現在の通説によれば、経済学が成立したのは、欧州の重商主義時代か重農派の誕生、またはさらに下ってスミスが古典派を形成した18世紀とされる。これを「経済学啓蒙起源説」と呼ぶ。しかし、この主張に確たる根拠はない。著者ゴードンは「本書の目的の一つはこの間違った考えを正すこと」と強調する。

じつは経済学啓蒙起源説が通説になったのは、比較的最近の話だ。海外で経済学史の本はシュンペーターの大著『経済分析の歴史』をはじめ、多くは古代から始まる。日本でも明治前半から戦前にかけて阪谷芳郎、乗竹孝太郎、福田徳三、高橋誠一郎、上田辰之助らが古代や中世の経済学史を著した。「かつては古代から始めるのがスタンダードな経済学史であった」と訳者の村井明彦氏は指摘する。

ところが近年、専門化の弊害で研究者の視野が狭くなった。とくに日本の学者はマルクス主義の影響もあり、中世には資本主義が未発達だと考え、経済学史から古代と中世を切り捨てた。しかし実際には本書が述べるとおり、資本主義は中世イタリアで生まれたものであり、その時代を無視して経済学史は書けない。

商業の栄えた中世欧州では、市場経済に関する洞察が蓄積された。それを担ったのはスコラ哲学者である。ドイツのドミニコ会士ヨハネス・ニーダーは「あるものの適正な価値は買手や売手が価格をどう考えるか次第である」と述べた。商品の価値は労働量で決まるというスミスマルクスの誤った労働価値説とは異なる、現代的な主観価値説である。経済学の真の父は、中世スコラ哲学者だった。

近年の研究によれば、大陸欧州では19世紀にも主観価値説が通説であり、スミスらが島国・英国で形成した古典派は「要するに経済学のガラパゴス」(村井氏)だったという。本書の知見をもとに、経済学史の教科書が大胆に書き換えられる日が待ち遠しい。

反日より訪日

反日より訪日
過去最多を記録した訪日外国人旅行者のうち、上位は中国や韓国。反日がどうしたとかいふ言ひ争ひは、政治家やケンカが好きな人たちに任せておきませう。大多数の人々は日本を楽しみ、楽しんでもらひながら、勝手に友好関係を築いていきます。旅行者増の功労者、LCCにも拍手を。
訪日外国人旅行者 3000万人超える 過去最多に 去年

真の食糧安保
輸入先では中国産が2割増え、輸入量全体に占める比率は65%とダントツ。品質も今や国産並みに向上。人手不足の外食産業で生鮮から冷凍へ切り替へる動きも追ひ風に。「異常気象が続くなか、国産品だけでは対応できない」とカット野菜業者。国産偏重こそ食料安全保障のリスクです。
生鮮野菜輸入が大幅増 18年は13年ぶりのペース

見えるものと見えないもの
需要に見合った販売をしなさいと農水省が業界にお達し。もし仕入れが少なすぎて、コンビニに買ひに来た消費者が無駄足を踏んだら、その時間のロスはもったいなくないのでせうか。売れ残った恵方巻は目に見えるから誰もが騒ぎます。けれども時間のロスは目に見えないので、誰も何も言ひません。
「恵方巻」 農水省が需要に見合う販売を業界団体に呼びかけ

教育は民間で
三角関数は生きるために必要かさうでないか。文学部で教へるべきなのはシェイクスピアか実用英語か。歴史・哲学・文学・芸術が重要になるかどうか。どれも人それぞれだし、未来のことはわからないとしか言ひやうがありません。教育を民間の手に任せ、多様化するのが唯一の正しい道です。
三角関数「生きるのに必要ない」「絶対いる」で議論沸騰

2019-02-06

冷戦の遺物

事実か事実でないか
独立系慈善団体フル・ファクトが投稿を審査し、事実である/事実ではない/虚実混在してゐる、のいずれかに分類するとか。もし17世紀にフェイスブックがあって、ガリレオが「地球は回ってゐる」と書き込んだら、事実でないと判定されてしまふでせう。判定が言論封殺につながらないやう願ひます。
フェイスブック、英国で投稿のファクトチェックを開始

冷戦の遺物

実現すればすばらしいニュース。冷戦が終はって、とうの昔にいらなくなったNATOを、ロシアの脅威とやらを言ひ立ててなんとか存続させようとしてきた軍産複合体がおとなしく受け入れるかどうか。経済政策は良いところのあまりないトランプさんですが、軍縮はがんばってほしいもの。
トランプ米大統領がNATO離脱意向=周囲に複数回漏らす

うらやましい管理社会?
顔・声・指紋の認識テクノロジーを活用し、反社会的・反共産党的な行動に懲罰を与へる、中国の「社会信用システム」。この話題に対する日本の政治家の反応はたいてい、「いやあ、中国ってホントに怖い国ですね」といふもの。彼らが心中ひそかに、中国をうらやましく思ってゐないことを願います。
世界をむしばむデジタル監視国家に「対抗軸」はあるか

杞憂の前例
実現したら経済危機をもたらすと騒がれる、英国の合意なきEU離脱。けれども1992年、英国がポンド危機に襲はれ欧州為替相場メカニズム(ERM)を離脱した後、英経済はむしろ回復しました。政治の世界で偶然起こったことは、計画されたことよりしばしば良い結果をもたらすものです。
英 EUと「合意なき離脱」に現実味 協定案の大差否決で

2019-02-05

投資ごっこはやめよう

脅威か朗報か
価格の安い輸入菌床を使った国産シイタケの増加は国内生産者にとって大きな脅威となってゐるため、業界団体が消費者庁に制度見直しを求めるとか。国内生産者にとっては脅威でも、消費者にとっては朗報。これだけ所得格差が問題となってゐる国で、なぜ安い商品を売りにくくするのでせう。
シイタケ菌床 輸入量が過去最高 産地に危機感 「国産」で流通

もっと大きな不正
「(菓子の)原資はどこから出ているのか、わかってるのやろうか…」と捜査関係者は苦り切った表情で吐き捨てたとか。おそらく恐喝とか詐欺とかでせうね。でも国民を脅したり騙したりして巻き上げた税金で、人気取りのイベントやバラマキをやってゐる、もっと大きな組織が別にありますよ。
山口組のハロウィーンに夢中な子供たち、見守る神戸市民の複雑な心境(上)

投資ごっこはやめよう

「市場メカニズムに関する話は市場に任せるしかない」「政府が口を出すファンドである以上、そもそも同機構はうまくいかない可能性が高い」。まさにそのとほり。政府が経営に直接関与しなくても、本質的な解決にはなりません。官民ファンドといふ、税金を使った官僚による投資ごっこはもうやめよう。
官営ファンド意味なし!世界ではもう結論が出ている 産業革新投資機構の失敗は起こるべくして起こった

平等な不幸
学生採用の充足率、採用難にもかかわらず介護は38%と著しい低さ。賃金水準の低さ響く。なぜなら介護報酬が公定価格で、上限が決まってゐるから。それなら民営化・自由化すればいいはずですが、さう言ふと「貧乏人は介護を受けられなくてもいいのか」と怒る人たちが。平等主義が招く地獄。
新卒採用難、地方で深刻=都市部と格差、充足半分も

思想は滅びない

特権は自由にあらず
ホワイトハウスの記者章は憲法が保障する報道の自由とは無関係である。ごく一部の記者しか入手できないものを憲法上の権利と呼ぶのは難しい。ホワイトハウスの記者会見室への出入りは選ばれた少数の記者の特権であり、その多くは強大なメディアに勤める高給取りの社員である。
A White House Press Pass Has Nothing to do with the First Amendment | Mises Wire

思想は滅びない
哲学者エピクテトスはローマ皇帝から追放されたが、ギリシャで開校し、その講義内容は今でも広く読まれる。ソ連では言論弾圧の下、地下出版が起こり、ベルリンの壁崩壊を導いた。イエスが処刑されてもキリスト教は生き残った。力のある思想はSNSから締め出されても滅びない。
Target Liberty: Can Ideas Be Blocked?

偽ニュース規制の行方
偽ニュースから民主主義を守らうとする法律が、厳しい検閲と批判の封殺の口実に利用されないと信じる理由はない。人権保護で評判の良くないケニアは、すでに偽ニュースを取り締まる法律を制定。欧州のいくつかの国でもソーシャルメディア企業に偽ニュースの排除を義務付けた。
The Perils of Banning “Fake News” - Foundation for Economic Education

自由の喪失
帝政ローマの歴史家タキトゥスは、共和政の下で享受した自由の喪失といかがはしい皇帝たちの台頭を嘆いた。次のくだりは、まるで現代の自由主義作家アイン・ランドのやうだ。「才能ある者が罰せられるとき、権力が栄える」「法律の数が一番増えるのは国が一番腐敗したときだ」
How Roman Historians Explained the Fall of Rome - Foundation for Economic Education

2019-02-04

お気に入りの理由

お気に入りの理由
「悲惨な警告を語る自分が、なぜシリコンバレーのCEOたちに気に入られているのだろうか」といぶかしんでみせるハラリ氏。もちろん、処方箋として「大がかりな政策介入」を説いてくれるからです。潤沢な資金でロビー活動ができる大企業にとって、市場競争より規制経済のはうが楽。
哲人・ハラリが見通す「ディストピア的未来」

矛盾した発言
トランプ米大統領による対中貿易戦争の結果、「誰もがより貧しくなる」とスティグリッツ教授。ところがその一方で、グローバル化は「トリクルダウン理論」同様、社会を豊かにしないといふ趣旨の発言。自由貿易とグローバル化は同じものとしか思へない凡人には、理解不能なご高説です。
スティグリッツ教授が警告、トランプ大統領のひどい経済政策と扇動政治の末路

奇妙な考へ
日本では長期間、デフレが続いたにもかかはらず、誰も賃金や物価を上げたがらない。「これはとても奇妙です」とクルーグマン教授。全然奇妙ではありません。名目賃金が上がらなくても、物価が下がれば実質賃金は上がるからです。それが産業革命以降、人類を豊かにした普通の道です。
消費増税は景気回復を妨げる ポール・クルーグマン氏が語る日本経済の未来

お金は配れても
毎月1000ドルのベーシックインカムでアメリカ国民の栄養状態、健康状態、精神的健康、ストレスのレベルが改善されるとヤン氏。でもお金は配れても、心身を改善する食品や薬、サービスは天から降ってきません。財源が大企業への増税なら、そのコストは結局消費者がかぶることになります。
ベーシックインカムを約束する、米大統領候補の「正体」

2019-02-03

逃げろ富裕層

子育て施設は神聖か
一部の人々が「電車や飛行機の子どもが迷惑」「児童相談所が迷惑」と声高に叫ぶ日本社会を嘆く筆者。でも正直、子を持つ身でも、乗り物や近所の学校の子供の声はうるさく感じるもの。反対運動くらゐしてもいいのでは。子育て施設を神聖視し、迷惑施設と呼ぶことを許さない姿勢に危ふさを感じます。
南青山児童相談所を「迷惑施設」と決めつける人たち

逃げろ富裕層
「いわば税を納めた後の資産に再度課税しているわけで、二重課税ではないか」ともっともな批判のある相続税。なのに課税が強化される理不尽。日本を離れたくもならうといふもの。それを許さない各国政府が徒党を組んで追いかける。富裕層諸氏、どうぞご無事で。明日は我が身の中産階級より。
日本の超富裕層が次々に米国移住するワケ - 資産10億円以上なら抜け道だらけ

1人を助けるくらゐなら
「他のお子さんを助けてはあげないのでしょうか」との批判に「他にもどこかで倒れてるおばあちゃんがいるかもしれないから、目の前のおばあちゃんだけ助けたら不平等になるから助けないの?」と見事な反論。誰か1人を助けるくらゐなら、誰も助けない方がいいといふ平等主義の倒錯を暴く。
ZOZO前澤社長、一部批判に反論「人の行動に文句つけたって誰も得しないよ」

参入制限のツケ
医師の超長時間労働を本気で解決するには、医師の給与単価を下げ、医師数を増やすことが必要と、医師の筆者が正しい提言。給与単価を下げると質が下がる? 睡眠不足と過労でフラフラの医療とどちらの質が高いだらうかと、これもまったうな指摘。免許制で医師への参入を妨げてきたツケはもう限界。
医者はなぜ忙しい?残業年2000時間の衝撃 医師の視点

独占は悪くない

独占は悪くない
活力ある経済に欠かせないのは創意ある起業家である。経済学者シュンペーターのいふ創造的破壊を理解するには、特定の時点における市場の独占を問題視せず、長期の歴史的視野を持たなければならない。経済学の教科書にある完全競争や独占の概念では現実の経済を理解できない。
Capitalism and the Misunderstanding of Monopoly - The Future of Freedom Foundation

二つの独占企業
独占企業になる方法は二つある。一つは事業を磨く。もう一つは政府と癒着する。後者は自由競争を妨げ経済効率を悪化させる。もし社会に有害な独占を退治したければ、政府自身に独占を増やさせてはならない。政府に独占問題は解決できない。政府は独占問題そのものなのだから。
Profit for Progress – Econlib

市場支配の神話
米小売大手シアーズが経営破綻。20世紀前半、独禁当局が納入業者に対する「有利な交渉力」を規制しようと試みたチェーンストアの一つ。今度誰かがアマゾンの市場支配は決して終はらないと言ったら、シアーズを思い出さう。アマゾン支配は終はりうるし、おそらく終はるだらう。
Antitrust Myths and the Fall of Sears - Foundation for Economic Education

自然独占といふウソ
電力などの「公益産業」は必然的に独占状態になるといふ「自然独占」の理論には根拠がない。19世紀末〜20世紀初め、米国で「公益産業」は競争が激しかった。そこでまづ政府に独占を認めさせ、その後一部の経済学者の力を借り、独占を正当化する理屈を事後的に作り上げたのだ。
The Myth of Natural Monopoly | Mises Institute

2019-02-02

平等な人権侵害

登校しない自由を
不登校を問題行動ととらへ、「集団生活ができない子ども」といったレッテルを貼るのは間違ひ、と正しい指摘。でも「一人でも多くの子どもが笑顔で学校生活を送れるように改善策を考える」といふ結論はいただけません。必要なのは学校に行かない自由です。学校以外でも学ぶことはできるのですから。
本当は学校に行きたくない…“隠れ不登校”の実態

平等な人権侵害
「日本では時に何カ月にもわたって容疑者を勾留し、自白を引き出そうとする」「弁護士の立ち会いがない状態で1日に何時間も取り調べを受け、脅しや罵り」と夫人が書簡で訴へ。これに対しネット上で「日本は富豪も平民も同じ扱いなだけ」とコメントが。人権侵害も平等ならOKといふこと?
ゴーン日産前会長の妻、人権団体に書簡 「過酷な扱い」訴え

判定は正しいか
節税か申告漏れかは、判定が微妙なことが多く、企業側を悪だと決めつけることには慎重でなければなりません。国税当局の主張に基づく報道を鵜呑みにすることは、検察当局の場合と同じくらゐ危険です。それにお金の使ひ方は政府よりも企業のはうが上手ですから、うまく節税してもらふはうが社会にはプラスです。
グーグル35億円申告漏れ…利益海外、国税指摘

危険の放置
バス転落事故で運転手に過労などの原因があったとして、運賃を上げれば安全になる根拠はありません。利用者はもっと安く、もしかするとリスクの高い乗り物を探すだけです。それに運転ミスはゼロにはなりません。ミスで大惨事になるやうな危険な道路をつくり、放置した国の責任は誰も指摘しません。
バス運賃「もはやたたき売り状態」 値引き体質変わらず

2019-02-01

パルテノン神殿の光と影

ギリシャ文化省の職員が2018年10月11日、一部の名所旧跡が民営化の対象に含まれるとの懸念が強まるなか、抗議のため24時間のストを決行した。

ロイターの報道によれば、このストにより、首都アテネの中心部に位置する観光名所アクロポリスの丘やパルテノン神殿などの遺跡と複数の博物館が閉鎖され、観光客が長い列を作る事態となった。現地では、文化省職員ら数十人が「この国の古代文化は売り物ではない」と書かれたプラカードを掲げるなどしたという。

古代ギリシャの栄光を象徴する遺跡として世界的に有名なパルテノン神殿。しかしその建設の背景には、民主政治の源流といわれる古代ギリシャの光だけではなく、影の部分も見え隠れする。

古代ギリシャの特徴である都市国家をポリスと呼ぶ。城壁を持つ中心市と周囲の村落から成り、1000以上のポリスが存在した。イオニア人のポリスであるアテネ(アテナイ)はスパルタと並ぶ強大なポリスで、古代民主制を完成させたことで知られる。

紀元前5世紀初め、ペルシア帝国支配下にあるイオニア地方のポリスが反乱を起こし、これをアテネが支援したために、ペルシャ帝国はギリシャに軍隊を差し向けた。このペルシャ戦争でアテネは、まず前490年にマラトンの戦いでペルシャを退ける。前480年にはサラミスの海戦でペルシャ海軍を撃破し、翌年にはプラタイアイの戦いでスパルタと連合してペルシャ軍を破った。

ペルシャ帝国に勝利したギリシャ人は、ポリスの自由と独立を死守したものと誇った。皮肉なことに、この勝利を境として、ギリシャでは自由と独立が失われていく。