2019-08-31

学校を疑へ

学校を疑へ
「どうして在宅学習を選んだの?」とよく聞かれる。学校の環境への不安など理由は沢山ある。ところが子供を学校に通はせる親は、決してそのやうな質問をされることはない。「どうして子供を学校に通はせることにしたの?」といふ質問が最後にされたのは、いつだつたのだらう。
Questioning the Back-To-School Default - Foundation for Economic Education

公教育は時代遅れ
今の公教育制度は150年以上の歴史があるが、基本の仕組みは変はらない。同い年の20〜30人の子供が教室に押し込まれ、1人の教師から教はる。履修内容は変はつても、教育法は相変はらず規格化されてゐる。中央管理のご多聞に漏れず、きはめて非効率かつ官僚的で、無駄が多い。
Schools Are Outdated. It's Time For Reform - Foundation for Economic Education 

家族を弱めたもの
無責任な親の子育てを助けるために政府の支援を求める声がある。話が逆だ。家族が弱まり、親が子育ての責任を放棄するやうになつたのは、教育をはじめとする政府の政策のせゐだ。家族を助けるための慈悲あふれる政策に見えても、結局は親を駄目にし、国家を太らせるだけだ。
How Government Programs Ruined Childhood - Foundation for Economic Education

図書館と学校
公立図書館と公立学校の違ひは、権力による強制の度合ひだ。図書館は行くのも去るのも自由で、興味のある本だけ読めばいい。近所の図書館が気に入らなければ他の町の図書館にも行ける。利用者は年齢も所属もさまざま。地元の本屋やアマゾンは図書館のルールに従ふ必要はない。
The Difference Between Public Libraries and Public Schools - Foundation for Economic Education

2019-08-23

自由と規律

自由と規律
アメリカ開拓者は、社会の束縛からの自由を求めて西部をめざしたわけではない。守りたい自由は擁護する一方で、価値があると信じた文明生活の規律を維持するため、行く先々で社会的・法的制度をすばやく作り上げた。教会に通ひ、隣人と労働、商品をやり取りし、学校を建てた。
Big Mistakes about Little House | Libertarianism.org

税は善ならず
米国の民主主義はさまざまな圧力団体にとらはれ、巨大な行政国家に実質服従してゐる。これを選挙で変へるのは難しい。課税が公共善に役立つといふ楽観論は受け入れがたい。政府が生身の人間によつて私的に所有され、独自の利害をもつ存在なら、税は正しいとなぜ信じられよう。
Are Taxes a Democratic Alternative to Charity? | Libertarianism.org

公教育の害悪
作家アイン・ランドは公教育に反対だつた。政府の運営する学校は自由な社会の基礎を危ふくする。子供たちにお前は集団の中の無力なメンバーだと言ひ、理性の力をもつ自由な個人だと教へない。民間教育への支出に税控除を行ひ、政府の行ふ教育の害悪を和らげなければならない。
School Choice from Rand to Ron | Libertarianism.org

非暴力の効果
非暴力によつて政府と闘ふことで、生命・財産の喪失を最小限にできるだけでなく、政府は神聖だといふ嘘を暴くうへで暴力革命より大きな効果がある。無政府主義者が暴力革命を推進するのは非生産的であるばかりか、個人の自由を尊重し強制に反対する無政府主義の本質に反する。
Nonviolence and Modern Libertarianism | Libertarianism.org

2019-08-15

児童労働をなくすには

児童労働をなくすには
機械化で農業の生産性が高まると、人々はより良い暮らしを求め都会へ向かつた。最初こそ生活条件は悲惨で、多くの子供が鉱山や工場で働いたが、19世紀半ばに労働条件が改善し始める。労働力を求める競争が強まり賃金が上昇。親たちは子供を働かせるのをやめ、学校に通はせた。
Growth is the ultimate weapon in the fight to end child labour - CapX

市場競争は女性を助ける
自由経済と市場競争は女性を助ける。より健康になり、寿命が延び、ほとんど世界中で男性より長生きになつた。出産時の死亡も減つた。調理器具によつて台所仕事の時間が減り、洗濯機のおかげで以前は1日仕事だつた洗濯が1時間で済むやうになった。家事からの解放は世界で進む。
How Economic Advancement Has Benefited Women

世界は良くなつてゐる
日々の暗い報道にもかかはらず、世界の多くの国で生活水準は改善が続く。50年前、平均寿命はわづか56歳だつたが今では72歳と29%伸びた。生後1年未満で死亡する乳児は1000人中113人だつたのが今は32人。収入の中央値はインフレ調整後で約6000ドルから約1万6000ドルに上昇した。
How globalisation saved the world - CapX

悲観論が好まれる理由
世界中で生活水準が上がつてゐるにもかかはらず、人は将来を悲観する言説を好む。それには進化論的理由がある。生き残ることが一番大切なので、怒り、憎しみ、恐れといふ基本感情に関する情報が人の注意を最もひく。つまり人は悪い知らせを優先して感知するやう進化したのだ。
Things are getting better - so why are we all so gloomy? - CapX

2019-08-09

特権から市場へ

特権から市場へ
市場経済が発展したおかげで、人が社会的地位を改善するためには、戦争で手柄を立てたり、役人におべつかを使つたりしなくても済むやうになつた。女性は貧困から抜け出す目的で結婚しなくてもよくなり、男性は第一子に生まれなくても、兵士や僧にならなくて済むやうになつた。
Capitalism Didn't Invent "Keeping Up with the Joneses" | Mises Wire

過剰消費の元凶
経済では消費と投資のどちらも重要だ。市場には貯蓄と投資のバランスを取る仕組みがある。金利だ。しかし政府と中央銀行が経済を「刺激」しようと介入すると、消費が必要以上に活発になる。よく非難される過剰な贅沢や無駄遣ひをもたらすのは資本主義ではなく、政府の政策だ。
Capitalism Doesn't Cause Consumerism — Governments Do | Mises Wire

無益な戦ひ
『ロード・オブ・ザ・リング』の原作者トールキンが信じたやうに、世界から悪を完全になくすことはできない。悪との戦ひは罪にまみれた世界で勝利することはない。『ロード』は善の栄光が影でしかなくなつた世界の話だし、百年後を描いた続編『新たな影』では悪がよみがえる。
Tolkien, Christianity, and the State | Mises Wire

福祉介入は有害
英政治思想家バークは飢饉の最中、商取引の規制に反対した。欠乏を満たすのは政府の力ではできない。政治家にそれができると思つてはいけない。国民が政治家を支へるのであり、逆ではない。政府に悪を防ぐことはできない。とくに福祉の分野ほど政府の介入が有害なものはない。
Edmund Burke’s Case for Private Charity Over the Welfare State | Mises Wire

2019-08-01

唐を滅ぼした大型間接税

中国の唐帝国は7世紀に最盛期を迎えるが、8世紀に動揺期に移り、9世紀後半に滅亡期に入る。衰亡の原因となったのは、歴史上のさまざまな大国と同じく、経済と人民を疲弊させる重税だった。とくに唐の場合、一種の間接税である塩の専売制度が国家を内側から蝕んだ。


唐は初期の国内統治では、戸籍を整備したうえで民衆に土地を支給し、負担として租庸調と呼ばれる租税・労役と兵役を課すという、土地制度・税制・兵制が一体となった制度を敷いた。日本で奈良時代に成立した律令制度が手本としたことで知られる。

しかし労働者の多くを占める農民は、租庸調や兵役の負担で没落して逃亡する者が増えていく。貴族や新興の地主は、これら没落した農民を隷属させたり小作人にしたりして、広大な荘園を経営した。

こうして8世紀前半には土地制度・税制・兵制が一体となった体制は崩れ、現実に対応して諸制度が切り替えられていく。兵制は傭兵による募兵制に移行した。財政再建のために土地支給、租庸調の原則も放棄され、現住地で所有している土地・財産に応じて課税する両税法が新たに採用された。

募兵制の下、国境の守備は傭兵軍団を率いる節度使に委ねられた。そのひとりで、イラン系ソグド人の武将、安禄山が755年、部下の史思明とともに反乱を起こす。いわゆる安史の乱である。当時の玄宗皇帝が寵愛した楊貴妃のいとこで、政治の実権を握る楊国忠を排除するというのが反乱の理由だった。

安史の乱は9年にも及び、トルコ系騎馬遊牧民ウイグルの援軍でようやく鎮圧されたが、唐王朝は大打撃をこうむり、軍事的に弱体化した。それでも命脈を永らえ、その後なお150年ほど存続する。支えとなったのは、税収入である。

税には直接税、間接税の二つの柱があった。直接税の柱は、すでに安史の乱以前から実施されていた、前述の両税法である。本籍地に居住するかしないかにかかわらず、現に耕作している農民の土地所有を認め、土地の面積や生産力に応じて夏と秋の2回、銅銭で税を納めさせた。実際には銭納の代わりに絹布による納入が多かった。

一方、間接税の柱は、塩の専売制である。安史の乱中、深刻な財政難に陥ったことを受け、導入された。塩の専売は紀元前2世紀の漢代でも行われたが、制度として定着するのはこれ以降のことである。