tag:blogger.com,1999:blog-47044739805362315572024-03-18T18:48:41.917+09:00リバタリアン通信自由と平和に愛を込めて。木村 貴http://www.blogger.com/profile/17219070463990429317noreply@blogger.comBlogger2503125tag:blogger.com,1999:blog-4704473980536231557.post-19445568543023390482024-03-10T12:00:00.020+09:002024-03-10T12:00:00.136+09:00自由を奪った政府の責任<div>韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は3月1日、日本の植民地支配に抵抗した1919年の「三・一独立運動」の記念式典で演説し、日本との安全保障協力を推進する姿勢を示す一方で、日韓の歴史問題については「歴史が残した難しい課題」と抽象的な表現にとどめ、徴用工問題など具体的には言及しなかった。日本の主要紙はおおむね前向きに受け止めているが、甘いといわざるをえない。戦時下で個人の自由を奪った行為を真に反省・批判しないまま、安保協力というきな臭い「日韓友好」を推し進めれば、日本人自身、いつかそのツケを払うことになる。</div>
<blockquote class="twitter-tweet"><p dir="ltr" lang="ja">尹錫悦大統領「日本はパートナー」…北への対抗姿勢鮮明、韓国による統一の努力が「北朝鮮の住民の希望に」<a href="https://t.co/PEc1SsLAc5">https://t.co/PEc1SsLAc5</a><a href="https://twitter.com/hashtag/%E5%9B%BD%E9%9A%9B?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#国際</a></p>— 読売新聞オンライン (@Yomiuri_Online) <a href="https://twitter.com/Yomiuri_Online/status/1763686052076851276?ref_src=twsrc%5Etfw">March 1, 2024</a></blockquote> <script async="" charset="utf-8" src="https://platform.twitter.com/widgets.js"></script>
<div>尹大統領の演説に対し、韓国の革新系紙<a href="http://japan.hani.co.kr/arti/politics/49312.html">ハンギョレ</a>は「これまで癒やされず、清算されていない日本軍「慰安婦」と強制動員被害者問題など日帝強占(日本の植民地支配)をめぐる韓日の歴史認識の違いに関して、「加害者日本」の省察と責任、義務については触れず、「痛ましい過去」、「歴史が残した難題」というあいまいな言葉を並べた」と手厳しい。強制動員被害者問題とは徴用工問題を指す。</div><div><br /></div><div>一方、日本の新聞はおおむね前向きに受け止める。なかでも保守系の読売新聞は<a href="https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20240304-OYT1T50005/">3月4日</a>の社説で「日韓改善の流れを不可逆的に」と題し、「韓国で反日感情が刺激されがちな独立運動記念日に、大統領が日本と未来志向の関係を築く重要性を国民に訴えた意義は大きい」と持ち上げ、「元徴用工(旧朝鮮半島出身労働者)問題への言及もなかった」と評価する。</div><div><br /></div><div>題名の「不可逆的」とは、2015年12月28日、当時の岸田文雄外相らが発表した、軍慰安婦問題に関する「日韓合意」の「最終的かつ不可逆的に解決される」という文言を意識したものだろう。ようするに、徴用工にしろ軍慰安婦にしろ、韓国との歴史問題はすでに解決済みなのだから、二度と蒸し返すなというメッセージだ。これは日本政府の見解を踏まえたものでもある。</div><div><br /></div><div>日本政府は、1965年に結んだ日韓請求権協定により、徴用工問題などは解決済みと主張する。しかし同協定で放棄された請求権に、個人の賠償請求権は含まれない。そもそも法理論上、不法行為に対する個人の賠償請求権を消滅させることはできないからだ。この事実は外務省も認めている(2018年11月衆院外務委員会)。</div><div><br /></div><div>それにもかかわらず、2018年10月に韓国大法院(最高裁)が元徴用工に慰謝料の賠償請求権があることを認める判決を下すと、当時の安倍晋三首相は「日韓請求権協定によって完全かつ最終的に解決している」と従来の見解を繰り返し、「国際法に照らせば、ありえない判断」と反発した。しかし同協定で個人請求権は消滅していないのだから、韓国最高裁の判断は国際法に照らして十分ありうる判断だ。2005年に国連が採択した基本原則は、重大な人権侵害の被害者は、真実、正義、賠償、再発防止を求める権利を持つとしている。</div><div><br /></div><div>さらに安倍政権は、韓国に進出している日本企業を集めて政府の立場を説明した。日本製鉄や三菱重工業は政府の見解に同調し、原告側と対話することを拒んだ。政府が事実上、企業と原告との協議に介入し、和解に進む道を閉ざしたといえる。2019年7月に政府は韓国への輸出規制を始め、8月には韓国を輸出優遇措置の対象となる「ホワイト国(現「グループA」)」の指定から外した(2023年7月に再指定)。表向きは否定したものの、これらは徴用工判決への報復措置とみるべきだろう。自由な貿易を妨げる迷惑かつ不当な行為だ。</div><div><br /></div><div>昨年3月、尹政権は日本企業の代わりに韓国政府傘下の財団が原告に判決金を支払い、賠償を肩代わりする仕組みを発表した。原告・遺族の多くは財団から判決金を受け取ったものの、他の原告・遺族はあくまで日本政府・企業からの謝罪と賠償を求め、受け取りを拒否している。</div><div><br /></div><div>歴史研究者の竹内康人氏は「日韓の友好は日本が植民地責任をとることからはじまります」(『韓国徴用工裁判とは何か』)と指摘する。政府同士が被害者の頭越しに「手打ち」をしても、真の友好への道は開けない。戦時の動員を口実に過酷な労働を強い、個人の自由を踏みにじった日本政府の責任をあいまいに済ませれば、やがて日本人自身が報いを受けることになるだろう。</div>木村 貴http://www.blogger.com/profile/17219070463990429317noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-4704473980536231557.post-44328550490367999342024-03-06T12:00:00.008+09:002024-03-06T13:48:25.001+09:00核とリベラル派の堕落<div>米ソ冷戦下の1954年3月1日、米国の水爆実験で太平洋マーシャル諸島・ビキニ環礁は壊滅的な被害を受けた。現地住民だけでなく、周辺海域で操業していた日本のマグロ漁船、第五福竜丸も空から灰状の放射性降下物を浴び、23人の乗組員全員が被曝する。事故から70年を迎えたのを機に朝日新聞は<a href="https://digital.asahi.com/articles/DA3S15876500.html">3月2日</a>の社説で取り上げ、「世界のヒバクシャらと連帯を強め、核なき世界へ歩みを進めねばならない」と訴えた。その言やよしだが、もし日頃、核大国間の紛争激化を煽るような戦争報道をしていなければ、もっと説得力があっただろう。</div>
<blockquote class="twitter-tweet"><p dir="ltr" lang="ja">[朝日新聞] ビキニ事件70年 非核の連帯を広げよう (2024年03月02日) <a href="https://twitter.com/hashtag/%E7%A4%BE%E8%AA%AC?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#社説</a> <a href="https://t.co/Qr9S1RJzkC">https://t.co/Qr9S1RJzkC</a></p>— 新聞社説一覧 (@ktaro38) <a href="https://twitter.com/ktaro38/status/1763688380553216470?ref_src=twsrc%5Etfw">March 1, 2024</a></blockquote> <script async="" charset="utf-8" src="https://platform.twitter.com/widgets.js"></script>
<div>実験された新型水爆「ブラボー」の破壊力は広島原爆の1000倍もあった。第五福竜丸の乗組員は全員、放射線でやけどの状態になり、頭痛、吐き気、目の痛みなどを訴え、顔はどす黒く変わり、歯ぐきからは血がにじみ出、髪の毛を引っ張ると根元から抜けてしまうなど、急性放射能症にかかった(川崎昭一郎「第五福竜丸」)。このうち無線長の久保山愛吉さんは半年後、40歳の若さで死亡した。死因は「急性放射能症とその続発症」と発表されたが、現在では、急性放射線障害と治療の輸血に伴う劇症肝炎が多臓器不全を引き起こしたとされる(小沢節子「第五福竜丸から「3.11」後へ」)。第五福竜丸だけでなく、外国船を含め1万人を超える乗組員が被爆したといわれる。だが朝日が指摘するように、日本政府は米側からの見舞金で政治決着を図り、被曝の影響を否定して健康調査もしなかった。</div><div><br /></div><div>実験場とされたマーシャル諸島の人々も痛ましい運命をたどった。オンラインマガジンの<a href="https://thediplomat.com/2024/03/ashes-of-death-the-marshall-islands-is-still-seeking-justice-for-us-nuclear-tests/">ディプロマット</a>が述べるように、米政府は実験に先立ち、ビキニ環礁の住民に対し「一時的に」故郷を離れるよう求めたが、その後ビキニは居住不可能なままで、元住民は今も戻れていない。ビキニに近いロンゲラップ環礁などの住民はまったく避難させておらず、子供たちは降灰の中で遊んでいた。米軍は3月3〜4日に住民を避難させたが、すでに多くの人が放射線で体調を崩していた。米政府は今も一部を除く島々について放射性降下物の範囲や深刻さを認めておらず、何千人ものマーシャル人が米国の医療対策の対象となっていない。</div><div><br /></div><div>朝日はビキニ事件の反省を踏まえ、「すべての核被害者の先頭に立ち、核廃絶への道を切り開くのは被爆国・日本の使命である」として、核兵器禁止条約と距離を置く姿勢をただちに改めるよう、政府に強く求めた。正論だが、核兵器の恐ろしさをそれほど理解しているのならなぜ、たとえば<a href="https://digital.asahi.com/articles/DA3S15871126.html">2月24日</a>の社説ではウクライナ戦争について、即時停戦を訴えるのでなく、「息長くウクライナを支えていく責務がある」などと書くのだろうか。戦争当事者であるロシアも、ウクライナを支援する米国も核大国であり、戦争が長引けばその分、核戦争の可能性が強まるというのに。</div><div><br /></div><div>2月21日にはリベラル派の国際政治学者、藤原帰一氏が朝日の<a href="https://digital.asahi.com/articles/DA3S15869294.html">連載コラム</a>で、イスラエルのガザ攻撃については攻撃のすべてとヨルダン川西岸への入植の即時停止を求めながら、ウクライナについては「ロシアとウクライナとの停戦ではなく、ウクライナへの軍事・経済支援を強化し、侵攻したロシアを排除することが必要」だと主張した。ロシアの攻撃が軍人と文民を区別しない「国際人道法に反する攻撃」であることが理由だという。その理屈でいけば、ウクライナがそれこそ人道に反し、自国のロシア系住民を<a href="https://libertypressjp.blogspot.com/2023/03/blog-post_27.html">迫害・殺傷</a>してきたことに対して、ロシアが軍事的手段に訴えたことを批判できないはずだ。いずれにせよ戦争は長引き、核戦争のリスクは高まる。</div><div><br /></div><div>朝日新聞の混迷ぶりは、日本のリベラル派の限界と堕落を象徴している。</div>木村 貴http://www.blogger.com/profile/17219070463990429317noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-4704473980536231557.post-3259708035890358762024-03-03T12:33:00.003+09:002024-03-03T12:50:25.726+09:00永田町の特権集団<div>衆院政治倫理審査会が2日間にわたって開かれ、岸田文雄首相と安倍、二階両派の幹部が出席し、自民派閥の政治資金パーティー収入不記載事件について弁明した。主要各紙の社説はいずれも、政府・自民に批判的ではある。ところが、国民にとって最大の問題がなぜか論じられていない。税の問題だ。</div>
<blockquote class="twitter-tweet"><p dir="ltr" lang="ja">繰り返す「在日特権」論は100年前のドイツと同じ 社会保障の行き詰まりを「あいつらのせい」に転嫁<a href="https://t.co/NOfrs43I4j">https://t.co/NOfrs43I4j</a></p>— 東京新聞(TOKYO Web) (@tokyo_shimbun) <a href="https://twitter.com/tokyo_shimbun/status/1763401323096219761?ref_src=twsrc%5Etfw">March 1, 2024</a></blockquote> <script async="" charset="utf-8" src="https://platform.twitter.com/widgets.js"></script>
<div>たとえば、産経新聞は<a href="https://www.sankei.com/article/20240301-APSADRLXCVN3BBYD3B4Z5QAD2Y/">3月1日</a>の社説で、岸田首相の弁明について「還流資金の政治資金収支報告書への不記載をいつ、だれが、どのような理由で開始したのか、またその使途など、肝心な点は明らかにならなかった」と述べる。政治資金規正法に違反し、収支報告書に記載しなかったことはたしかに問題だが、国民、つまり納税者にとって「肝心な点」はそこではない。数億円単位の裏金を「政治資金」として届ければ課税されない、という制度そのものが問われているのだ。</div><div><br /></div><div>市民グループの12人が2月1日、東京地検に告発状を提出した。自民党安倍派の議員10人が2018〜22年に、派閥主催のパーティー券の売上金を税務署に申告せずに脱税したとする内容だ。東京新聞は「こちら特報部」(<a href="https://www.tokyo-np.co.jp/article/306792">2月2日</a>)でこの件を取り上げ、告発した市民グループ代表の「庶民なら厳罰を科されるのに、政治家なら2000万円を懐に入れても、収支報告書の修正で済まされる」というもっともな怒りの声を紹介。元官僚の政策アナリスト古賀茂明氏の「国民からは1円でも厳しく税を徴収するのに、権力者なら許されるというのは、明らかな差別」という発言を伝えた。</div><div><br /></div><div>一部の人々は、政治家の税の特権には目もくれず、ありもしない特権を躍起になって糾弾する。いわゆる在日特権だ。在日コリアンへの憎悪をあおるデマとして知られるが、一部の保守派政治家や活動家はいまだに固執する。自民党の杉田水脈衆院議員はX(旧ツイッター)に、在日特権は「実際には存在します」と投稿し、批判を招いた。</div><div><br /></div><div>2月28日の衆院予算委員会分科会では、日本維新の会の高橋英明議員が在日特権を取り上げ、税制面の優遇措置といった特権はあるのかと質問。国税庁は「対象者の国籍であるとか、特定の団体に所属していることをもって特別な扱いをすることはない」と<a href="https://nordot.app/1135494349859848908">否定</a>した。</div><div><br /></div><div>この問題についても東京新聞が「こちら特報部」(<a href="https://www.tokyo-np.co.jp/article/312299">3月1日</a>)で扱い、税以外にも在日特権は存在しないと指摘している。たとえば、入国審査時の顔写真の撮影や指紋採取などが免除される「特別永住資格」だ。日本は1910年に日韓併合で朝鮮人を「日本国民」にして、労働力として日本で炭鉱労働などに従事させ、終戦後に日本国籍を剥奪した。韓国政府と議論の結果、子孫を含め、安定的な生活が送れるように整備されたのが特別永住資格だ。出入国在留管理庁は「日本への定住性が強いことや、日本国籍を失わせてしまったことへの配慮は必要で、結果的に一般の永住者と違いが生じた」と説明する。日本の植民地支配という歴史的な背景があるのだ。</div><div><br /></div><div>日本における最大の特権集団は、永田町にいる政治家たちだ。メディアは日頃、さまざまな差別問題を取り上げ、差別はよくないと叫ぶけれども、政治家の巨大な特権や庶民との差別には、気づかないか、気づかないふりをする。</div>木村 貴http://www.blogger.com/profile/17219070463990429317noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-4704473980536231557.post-51589094068746838002024-03-02T12:00:00.026+09:002024-03-02T12:29:51.825+09:00靖国神社という政治の道具<div>靖国神社に自衛隊の幹部や隊員が集団参拝し、議論を呼んでいる。1月9日には陸上幕僚副長らが靖国神社に集団参拝し、公用車の使用が不適切だったとして計9人が処分された。また2月には、海上自衛隊の幹部候補生学校の卒業生が昨年5月、練習艦隊の当時の司令官らとともに参拝していたことが明らかになった。これについて産経新聞が参拝擁護の持論を展開しているが、ついていけない。</div>
<blockquote class="twitter-tweet"><p dir="ltr" lang="ja">海自隊員ら靖国集団参拝 幕僚長「私的」問題視せず<a href="https://t.co/jMZQUuKfNM">https://t.co/jMZQUuKfNM</a><br /><br />海自トップの酒井良海上幕僚長は20日の記者会見で「研修の合間の時間に、個人の自由意思で私的に参拝した。問題視しておらず、調査する方針はない」と述べた</p>— 産経ニュース (@Sankei_news) <a href="https://twitter.com/Sankei_news/status/1759881689277645198?ref_src=twsrc%5Etfw">February 20, 2024</a></blockquote> <script async="" charset="utf-8" src="https://platform.twitter.com/widgets.js"></script>
<div>コラム「<a href="https://www.sankei.com/article/20240226-XQ6ZYGBZABLUDJKCQJ2X6HM7XQ/" target="_blank">産経抄</a>」は2月26日、「靖国神社に参拝してなぜ悪い」と題し、参拝を問題視する朝日新聞を批判。「弊紙は首相をはじめ、靖国神社に参拝しないほうがおかしいと主張している」と述べた。</div><div><br /></div><div>産経の主張の内容を、1月16日の<a href="https://www.sankei.com/article/20240116-3R3N5OQ3KNJYVACCSLHO4MGNUQ/" target="_blank">社説</a>で確かめよう。宗教の礼拝所を部隊で参拝することなどを禁じた1974年の防衛事務次官通達について、産経は「靖国神社や護国神社は近代日本の戦没者追悼の中心施設で、他の宗教の礼拝所と同一視する次官通達は異常だ」としたうえで、「戦没者追悼や顕彰を妨げる50年も前の時代遅れの通達は改めるべきだ」と批判する。</div><div><br /></div><div>靖国神社が「近代日本の戦没者追悼の中心施設」だという主張にはごまかしがある。幕末・維新の内戦では官軍の戦死者だけが祀られ、幕府側や西南戦争の西郷隆盛などの戦死者は天皇にそむいた「賊軍」だとして祀られていないし、対外戦争についても基本的には軍人・軍属だけで、原爆や空襲などで死んだ民間人は合祀されていない。</div><div><br /></div><div>静かに「追悼」するだけならまだしも、「顕彰」(靖国神社<a href="https://www.yasukuni.or.jp/history/detail.html" target="_blank">ホームページ</a>の表現では「事績を永く後世に伝える」)は問題が大きい。旧日本帝国は、支那事変(日中戦争)や大東亜戦争(アジア太平洋戦争)以前にも、日清戦争、台湾征討、北清事変、日露戦争、第一次世界大戦、済南事変、満州事変と数年ごとに対外戦争を繰り返し、勝利して多くの植民地を獲得するとともに、抵抗運動を弾圧した。これが侵略戦争でないというのは無理がある。その「事績」を永く後世に伝えたいという靖国神社の姿勢は、侵略戦争を肯定していると見られても仕方がない。</div><div><br /></div><div>靖国神社の死者の圧倒的多数を占めるアジア太平洋戦争の「英霊」たちは、「日本を守るため尊い命をささげた」と産経はいう。尊い命を本当に自発的に「ささげた」のかという問題を別にしても、兵士たちが守ろうとした日本とは、それ以前の多くの戦争によって築かれた植民地帝国であり、それ自体が日本軍のアジア侵略の産物にほかならない。</div><div><br /></div><div>靖国神社が一宗教法人としての信念から、いわゆるA級戦犯を含め、侵略戦争や植民地支配に責任のある人々であっても、その霊を鎮めたいというなら、そうすればいい。しかし首相や閣僚、自衛隊幹部らによる参拝は、引退後ならともかく、少なくとも現役中は(たとえ「私人」の立場だと強弁しようと)認めるべきではない。部下の自衛官に圧力をかけて、見せかけだけの「<a href="https://www.sankei.com/article/20240220-OLDZRETIXJJ7RFS2VZC2TAV5LE/" target="_blank">個人の自由意志</a>」で参拝させることも同様だ。</div><div><br /></div><div>なぜなら、国家が宗教を利用して過去の戦死者を称えることは、現在の国民の戦争に対する嫌悪や抵抗を弱め、将来の戦争に協力させるための常套手段だからだ。それが過去の侵略戦争を否定しない、あるいは積極的に肯定しさえする宗教・宗派だとすれば、戦争への歯止めはさらに弱くなるだろう。</div><div><br /></div><div>「国内左派の批判や外国の内政干渉におびえ、首相や閣僚の参拝が近年減ったのは残念だ」と産経は嘆くけれども、戦争は御免だと願う普通の日本人として、首相や閣僚の靖国参拝が減るのはまったく残念ではないし、むしろ喜ばしい。宗教を、戦争を煽る政治の道具として利用させてはならない。国民に重税を課し、自分たちは裏金によって課税を不当に免れるような、平時から国民をないがしろにする政治家たちであれば、なおさらだ。</div><div><br /></div><div>ところで産経は、北方領土を占領し、ウクライナに攻め込んだロシアを「侵略者」と<a href="https://libertypressjp.blogspot.com/2024/02/blog-post_28.html">呼んで</a>しきりに非難している。よほど侵略戦争が許せないらしい。その報道のおかげで日本人の間に「侵略戦争は許せない」という感情が広まり、日本の過去のアジア侵略を反省する人が増えれば、靖国参拝を安易に支持する人は減るだろう。呵呵。</div>木村 貴http://www.blogger.com/profile/17219070463990429317noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-4704473980536231557.post-49964951736910214932024-02-28T19:12:00.000+09:002024-02-28T19:12:27.864+09:00領土問題で対立を煽るな<div>2月は領土問題にまつわる出来事が相次いだ。1日には、尖閣諸島沖の日本の排他的経済水域(EEZ)内に中国が設置したとみられるブイを先月発見したと政府が発表した。7日は「北方領土の日」、22日は「竹島の日」だった。保守派の産経、読売新聞がそれぞれ社説でこれらの話題の全部または一部を取り上げたが、その多く、とりわけ北方領土については、相手国との対立を無用に煽り立てるものだ。</div>
<blockquote class="twitter-tweet"><p dir="ltr" lang="ja"><主張>北方領土の日 ウクライナと連帯強化を<a href="https://t.co/HKFXLHTtBB">https://t.co/HKFXLHTtBB</a><br /><br />ウクライナはロシア軍に侵攻され、領土を占領されている。北方領土とウクライナは同じ構図の問題といえる。</p>— 産経ニュース (@Sankei_news) <a href="https://twitter.com/Sankei_news/status/1754995684481331592?ref_src=twsrc%5Etfw">February 6, 2024</a></blockquote> <script async="" charset="utf-8" src="https://platform.twitter.com/widgets.js"></script>
<div>北方領土について、産経新聞は<a href="https://www.sankei.com/article/20240207-7TWVF6RAJNIRBAFTR47T6YJATY/">7日の社説</a>を「ロシアのプーチン大統領がウクライナ侵略を始めてから2度目の「北方領土の日」を迎えた」と書き出し、北方領土とウクライナを同列に論じた。「ウクライナはロシア軍に侵攻され、領土を占領されている。北方領土とウクライナは同じ構図の問題といえる」としたうえで、「領土を取り戻すために日本とウクライナは連帯を強め、侵略者ロシアに立ち向かいたい」と勇ましく主張する。読売新聞の<a href="https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20240208-OYT1T50011/">8日の社説</a>も同様の趣旨だ。</div><div><br /></div><div>ロシアのウクライナ侵攻は、戦争という手段に訴えたことが良いとはいえないものの、ウクライナ政府から暴力による迫害を受けたロシア系住民を救うという目的があった。ロシアが侵略者だとすれば、ウクライナは自国民を殺傷した迫害者だ。産経は岸田文雄政権に対し「日本はウクライナと同様に、ロシアに領土を不法に奪われている被侵略国だ―という事実を内外に強く発信する」よう求めるけれども、グローバルサウスと呼ばれる新興・途上国を中心として、ロシアを一方的に侵略者と非難する米欧の主張を信じない国は多い。産経が政府に求めるような「発信」は、世界で失笑を買うだろう。</div><div><br /></div><div>たしかに、ソ連時代のロシアが第二次世界大戦の末期、降伏交渉に入った日本に対し、中立条約に反して攻撃を加え、北方四島を占領したり、日本がサンフランシスコ講和条約で、連合国の「領土不拡大原則」に反する千島列島の放棄に同意させられたりしたことは、日本のアジア侵略の問題とは別に、不当きわまりない。</div><div><br /></div><div>もっとも、ソ連の占領や千島列島放棄の起源は、米国がソ連の対日参戦の見返りに千島列島を引き渡すとひそかに約束した「ヤルタ密約」にある。侵略をそそのかした米国には何も言わず、ロシアだけを居丈高に非難するのは、これまた世界の笑い物だ。</div><div><br /></div><div>なにより、相手国と対立すれば問題の解決はむしろ遠ざかるし、最悪の場合、武力行使に発展すれば、たとえ小さな島を手に入れたとしても、犠牲ははかりしれない。戦争は高くつく。紛争は平和的に解決しなければならない。</div><div><br /></div><div>領土問題は国民感情を揺さぶり、ナショナリズムを高揚させやすい。だからこそジャーナリズムによる冷静な議論が必要だ。売るために対立を煽るメディアはいらない。</div>木村 貴http://www.blogger.com/profile/17219070463990429317noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-4704473980536231557.post-5639080510296350862024-02-24T18:30:00.026+09:002024-02-24T18:30:00.160+09:00戦争をやめさせない新聞<div>ロシアがウクライナに侵攻して2月24日で丸2年となった。新聞各紙は一斉に社説で取り上げたが、たいていの論調はこれまでとまったく変わらない。ウクライナはあくまで戦い続けろ、という勇ましい主戦論だ。戦況がウクライナに不利となり、多数の兵が戦場で日々命を落としているにもかかわらず、戦争をやめるなという主張は、ウクライナ人はもっと大勢死ねと言うに等しい。</div>
<blockquote class="twitter-tweet"><p dir="ltr" lang="ja">(社説)ウクライナ侵攻2年 長期化見すえ持続的支援を <a href="https://t.co/Y2SBSLOjbI">https://t.co/Y2SBSLOjbI</a><br /> <br />ロシアが国際規範をふみにじり、隣国ウクライナへの全面的な侵略を始めて、きょうで2年になる。ロシアが一方的に始めた戦争を終わらせられるのは、ロシアだけだ。プーチン大統領に改めて求める。</p>— 朝日新聞(asahi shimbun) (@asahi) <a href="https://twitter.com/asahi/status/1761120763195846935?ref_src=twsrc%5Etfw">February 23, 2024</a></blockquote> <script async="" charset="utf-8" src="https://platform.twitter.com/widgets.js"></script>
<div>とくに目に余るのが、日ごろは日本国憲法の平和主義を守れと唱える、朝日新聞のタカ派ぶりだ。24日の<a href="https://digital.asahi.com/articles/DA3S15871126.html?">社説</a>で「ロシアが一方的に始めた戦争を終わらせられるのは、ロシアだけだ」と決めつけ、あらためてプーチン露大統領に対し「ただちに停戦し、ウクライナ領土から全軍を撤退させよ」と、中身に全然進歩がない。</div><div><br /></div><div>朝日の「ロシアが一方的に始めた戦争」という言葉に読者は、ウクライナとの戦争は2年前の侵攻で突然始まったと思い込むだろう。しかし今回の戦争は、激化はしたものの、長期の紛争の一局面にすぎない。紛争は2014年2月にウクライナで起こったクーデター「マイダン革命」から断続的に続いている。親露派の大統領を倒し、親米派を据えたクーデターで、米国が関与していた。</div><div><br /></div><div>民族主義色の濃い新政権は、ロシア語の使用禁止などロシア系住民差別政策を打ち出し、このため東・南部で大規模な抗議デモが起こる。政府はこれを暴力で弾圧し、その後も度重なる砲撃で女性や子供を含む多数が死傷してきた。2年前にロシアが侵攻に踏み切った際、ロシア系住民の保護を目的としたのはそのためだ。内戦への武力介入という選択が最善だったかどうかはともかく、経緯を無視して断罪するのは乱暴すぎる。他国への人道的介入は米国もたびたび行っている。</div><div><br /></div><div>別の背景として、シカゴ大学のジョン・ミアシャイマー教授が<a href="https://libertypressjp.blogspot.com/2022/03/blog-post_25.html">指摘する</a>ように、米欧が北大西洋条約機構(NATO)をそれこそ一方的に東方に拡大し、ロシアの安全を脅かしてきたことも見落とせない。</div><div><br /></div><div>朝日はプーチン大統領に対し「ただちに停戦」せよと求めるが、ロシアはこれまで停戦を探っており、それを米欧が阻んできたというのが事実だ。2022年3月、ロシアとウクライナはトルコのイスタンブールで停戦について会談し、ほぼ合意した。ところが米英が介入してウクライナのゼレンスキー大統領に合意を破棄させ、長期戦に踏み切らせた。仲介を務めたイスラエルの<a href="https://jacobin.com/2023/02/ukraine-russia-war-naftali-bennett-negotiations-peace">ベネット元首相</a>らが明らかにしている。</div><div><br /></div><div>また、今月13日の<a href="https://www.reuters.com/world/europe/putins-suggestion-ukraine-ceasefire-rejected-by-united-states-sources-say-2024-02-13/">ロイター通信</a>の報道によれば、昨年末から今年初めにかけて、ロシアが米国に接触し、停戦の可能性を探ったものの、米国に拒否されたという。</div><div><br /></div><div>プーチン大統領は今月、米国人記者タッカー・カールソン氏の<a href="https://www.youtube.com/watch?v=fOCWBhuDdDo&t=2s">インタビュー</a>で、停戦に向けた対話について聞かれ、イスタンブール会談が中断された以上、ロシアから最初の一歩を踏み出すつもりはないとして、こう答えた。「なぜ、他人の過ちをわざわざ正さなければならないのか」。当然の言い分だろう。</div><div><br /></div><div>朝日は「侵略者が得をする事態に至れば、模倣する勢力が後に続き、力と恐怖が支配する世界が現出しかねない」と書く。そのご高説を、徴兵され前線に送られるウクライナの兵士やその家族に聞かせてやればいい。きっと喜んで犠牲になってくれるはずだ。</div>木村 貴http://www.blogger.com/profile/17219070463990429317noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-4704473980536231557.post-54091896805441301452024-02-23T16:00:00.017+09:002024-02-23T16:05:34.428+09:00騒がれる獄中死、無視される獄中死 <div>ロシアの野党活動家アレクセイ・ナワリヌイ氏が、獄中で急死した。これに対し米欧政府は、死因もまだ定かでないのに、プーチン露大統領に責任があると非難した。日本の主要紙はその尻馬に乗るかのように、一斉にナワリヌイ氏をほめたたえてその死を悼み、ロシアを叩いている。</div>
<blockquote class="twitter-tweet"><p dir="ltr" lang="ja">(社説)ナワリヌイ氏 弾圧国家が恐れた勇気 <a href="https://t.co/faaR5hpupm">https://t.co/faaR5hpupm</a><br /> <br />違法な侵略戦争を進めながら、市民からの正当な批判を恐れ、封殺する。プーチン体制の危険性だけでなく、その本質的な弱さも浮き彫りにされたとみるべきだ。</p>— 朝日新聞(asahi shimbun) (@asahi) <a href="https://twitter.com/asahi/status/1759308829685399911?ref_src=twsrc%5Etfw">February 18, 2024</a></blockquote> <script async="" charset="utf-8" src="https://platform.twitter.com/widgets.js"></script>
<div>朝日新聞は2月19日の<a href="https://digital.asahi.com/articles/DA3S15866497.html">社説</a>で「直接の死因は不明だが」と断りつつ、「過酷な環境で自由を奪われていたことを考えれば、プーチン政権による弾圧が引き起こした悲劇であることに間違いはない」と決めつける。苦しい屁理屈だ。もし朝日のこの理屈が正しいのなら、同じ「過酷な環境」の刑務所で自由を奪われて過ごす囚人たちがバタバタ倒れていなければおかしいが、そんな情報はない。</div><div><br /></div><div>朝日の主張は、「何が起きたのか正確には分からないが」と前置きしつつ、「プーチンと彼の悪党たちがしたことの結果であることに疑いはない」となぜか自信満々断言した、バイデン米大統領の無責任な発言と大した違いはない。</div><div><br /></div><div>朝日は続けて、ナワリヌイ氏の経歴について「2000年代から、政府高官の隠し資産や豪邸などを暴露するブロガーとして人気を集めた」とだけ述べる。間違いではないが、これだけでは同氏がどんな人物かわからない。</div><div><br /></div><div>ナワリヌイ氏がロシア政界で頭角を現したのは2006年、極右の年次集会「ロシアの行進」(同年モスクワで禁止)を支持してからだ。同氏はイスラム地域からの移民を「虫歯」にたとえ、移民の自由に反対した。12年には、「ロシアの外交政策はウクライナやベラルーシとの統合に最大限向けるべきだ」と<a href="https://original.antiwar.com/thomas-knapp/2024/02/19/russia-why-navalny-and-whats-next/">説いた</a>。</div><div><br /></div><div>つまりナワリヌイ氏は、進歩的な朝日が忌み嫌うはずの、ヘイトスピーチを行う極右だったうえ、ウクライナのロシア統合を説く民族主義者だったのである。実際、ウクライナではロシアの民族主義者として非難された。ロシアの「侵略」と戦うウクライナを応援する日本のメディアが、そんな人物をほめたたえるのは筋が通らない。</div><div><br /></div><div>その後、ナワリヌイ氏の発言は穏やかになったが、それは純粋な信念の変化というよりも、西側諸国の支持を得たり、自らを「反プーチン」と称したりするためだったとみられている。朝日など日本のメディアが同氏を持ち上げるのも結局、「反プーチン」なら誰でもいいからだろう。</div><div><br /></div><div>大騒ぎされるナワリヌイ氏の死と対照的なのは、先月ウクライナの刑務所で死去した米国人ジャーナリスト、ゴンザロ・リラ氏だ。ウクライナ東部ハリコフ州に住み、ブログや動画で情報発信してきたリラ氏は昨年5月、ウクライナ保安局(SBU)に逮捕され、ウクライナの指導部と軍の「信用を失墜させた」として訴えられていた。</div><div><br /></div><div>同氏の父親によれば、リラ氏は獄中で重い肺炎にかかったのに刑務所から無視された。父親は「息子の死に方を受け入れることはできない。拷問され、恐喝され、8カ月と11日間も隔離されていたのに、米大使館は息子を助けるために何もしなかった」と<a href="https://x.com/RealAlexRubi/status/1745863733438488629?s=20">嘆いた</a>。</div><div><br /></div><div>リラ氏の非業の死について、日本のメディアがウクライナ政府に対し怒りを表明することはなかった。同じ獄中死でも、政治的な事情によって、騒がれたり無視されたりする。これがジャーナリズムの現実なのだ。</div>木村 貴http://www.blogger.com/profile/17219070463990429317noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-4704473980536231557.post-30864656605396387082024-02-21T12:00:00.017+09:002024-02-21T12:00:00.317+09:00嘘の戦争<div><a href="https://libertypressjp.blogspot.com/2024/02/blog-post_20.html">前回</a>触れたコロンビア大学のジェフリー・サックス教授は、ウクライナ戦争の報道について「ニューヨーク・タイムズ、ウォールストリート・ジャーナル、ワシントン・ポスト、MSNBC、CNNといった主要メディアは、バイデン米大統領の嘘を繰り返し、国民から歴史を隠す、政府の単なる代弁者になっている」と厳しく<a href="https://libertypressjp.blogspot.com/2023/12/blog-post_20.html">批判する</a>。これら米メディアの報道を右から左に垂れ流す日本のマスコミも、「国民から歴史を隠す、政府の単なる代弁者」だといわざるをえない。</div>
<blockquote class="twitter-tweet"><p dir="ltr" lang="en">A WAR OF LIES<br /><br />The war in Ukraine is based on lies — lies about how it started, how it’s going, and how it will end. <br /><br />We are told that Ukraine is winning when in fact it is losing. We are told that the war makes NATO stronger when in fact it is depleting it. We are told that…</p>— David Sacks (@DavidSacks) <a href="https://twitter.com/DavidSacks/status/1758976951744897179?ref_src=twsrc%5Etfw">February 17, 2024</a></blockquote> <script async="" charset="utf-8" src="https://platform.twitter.com/widgets.js"></script>
<div>日本のマスコミはことあるごとに、米欧日の西側諸国は「民主主義陣営」だと胸を張る。けれども、政府やメディアが正しい情報を提供しなければ、民主主義の主役であるはずの国民は、物事を適切に判断できない。「ロシアは悪、ウクライナと西側は善」という<a href="https://libertypressjp.blogspot.com/2023/01/blog-post_06.html">単純な図式</a>、つまり嘘を振り撒くのは、ジャーナリズムではなくプロパガンダでしかない。</div><div><br /></div><div>起業家で論客としても知られるオリバー・サックス氏(サックス教授とは無関係)は2月18日、ソーシャルメディアのX(旧ツイッター)で、「嘘の戦争」と題する長文の<a href="https://twitter.com/DavidSacks/status/1758976951744897179?">投稿</a>をした。ウクライナ戦争に関する西側の情報は、戦争の始まりだけでなく、進行中の出来事についても嘘にまみれていると告発し、終わるときにも嘘でごまかすだろうと予言する。</div><div><br /></div><div>サックス氏は戦争の現状について、こう述べる。「ウクライナは勝っているといわれるが、実際は負けている。(略)ウクライナの最大の問題は米議会からの資金不足だといわれるが、実際には西側諸国は十分な弾薬を生産できない。解決には数年かかる問題だ」</div><div><br /></div><div>サックス氏によれば、欺瞞はそれだけでは終わらない。「和平の機会はないといわれるが、実際には交渉による解決の機会を何度も拒まれた。ウクライナが戦闘を続ければ、交渉上の地位が高まるといわれるが、実際には、すでに提示し拒否された条件よりもはるかに悪くなるだけだ」</div><div><br /></div><div>こうした嘘が紛争を長引かせ、その結果、ウクライナは「肉挽き機」(多数が戦死する戦場)にかける人々をさらに動員しようとし、国民の不満が急増し、ゼレンスキー政権の崩壊につながるとサックス氏は予測する。</div><div><br /></div><div>さらにサックス氏はいう。ウクライナがついに戦争に敗れ、国が廃墟と化したとき、「嘘つきども」はこういうだろう。我々は最善を尽くした。プーチン(露大統領)に立ち向かった。プーチン擁護派の第五列(スパイ)がいなければ成功していた、と。同氏はこう締めくくる。「そして責任を転嫁し、自らをほめ称えると、アフガニスタンやイラクで大失敗した後にウクライナに移ったように、あっけらかんと次の戦争に移るだろう」</div><div><br /></div><div>この投稿に対し、Xの会長を務める起業家イーロン・マスク氏は「的確だ」と<a href="https://x.com/elonmusk/status/1758978033443127759?">コメント</a>した。</div><div><br /></div><div>サックス氏の予測が的中するかどうかはともかく、政府の公式見解に反するこうした見方もすくい上げ、公平に紹介するのが、言論の自由を掲げるジャーナリズムの役割だろう。今やその役割を果たしているのはXのような一部のソーシャルメディアであり、大手マスコミではない。</div>木村 貴http://www.blogger.com/profile/17219070463990429317noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-4704473980536231557.post-45444506009659079052024-02-20T18:00:00.019+09:002024-02-20T18:10:37.009+09:00ウクライナ支援停滞は当然だ<div>日本経済新聞は2月10日の社説で「ロシアによる侵攻を受けたウクライナへの欧米による資金支援が滞っている」と述べ、「支援の停滞が続けば、「法の支配」を守る民主主義陣営の決意の揺らぎとして世界に誤ったシグナルを発することになる」と警告を発した。正義のためなら金を惜しむなという、経済紙らしからぬ勇ましい主張だ。</div>
<blockquote class="twitter-tweet"><p dir="ltr" lang="ja">[社説]危ういウクライナ支援停滞<a href="https://t.co/EqQZaoQsTh">https://t.co/EqQZaoQsTh</a></p>— 日本経済新聞 電子版(日経電子版) (@nikkei) <a href="https://twitter.com/nikkei/status/1756257005931753545?ref_src=twsrc%5Etfw">February 10, 2024</a></blockquote> <script async="" charset="utf-8" src="https://platform.twitter.com/widgets.js"></script>
<div>もしお金が無尽蔵にあれば、正義のためにどれだけ支援しても構わないだろう。しかし残念ながら、お金は無尽蔵ではないし、コストを増税や物価高などの形で負担させられるのは、各国の納税者なのである。資金支援が滞るのは当然だ。</div><div><br /></div><div>日経は、米国を中心とする西側諸国が「「法の支配」を守る民主主義陣営」だと持ち上げるが、いまどきそんなことを信じているのは、よほど国際情勢にうとい読者だけだろう。早い話、もし米国がそのようにご立派な「陣営」の代表だとすれば、イスラエルによるパレスチナ自治区ガザの住民の大量殺害という「明白な国際人道法違反」(グテレス国連事務総長)を放置するばかりか、イスラエルに対し武器・資金の支援まで続けて平気なはずがない。</div><div><br /></div><div>日経は、ロシアが「侵攻による利益を手にしたまま強引な停戦で幕引きをはかろうとしている」と書くが、今回の紛争がロシアの一方的な「侵攻」で起こった単純なものでないことは、政府やマスコミの垂れ流す物語を信じるだけの浅はかな読者でない限り、いい加減気づいている。</div><div><br /></div><div>イスラエルとパレスチナの紛争が昨年10月7日に突然始まったのではないように、ロシアとウクライナの紛争も2022年2月24日にいきなり始まったのではない。コロンビア大学のジェフリー・サックス教授が<a href="https://libertypressjp.blogspot.com/2023/12/blog-post_20.html">整理する</a>とおり、その原因は冷戦終結時、米欧が北大西洋条約機構(NATO)の拡張はしないとソ連に約束したにもかかわらず、それを無視して東方への拡大を続けたことにある。ロシアを悪、ウクライナを善と決めつける<a href="https://libertypressjp.blogspot.com/2023/01/blog-post_06.html">勧善懲悪の浪速節</a>はもうたくさんだ。</div><div><br /></div><div>かりに、ロシアが「強引な停戦」に持ち込んだとして、その何が悪いのか。勝ち目のない戦いをいつまでもやめさせてもらえず、日々多くの命を落とすウクライナの人々からすれば、「民主主義陣営」のメンツなどどうでもいいから、一刻も早く戦争を終わらせてほしいに違いない。</div><div><br /></div><div>どうしてもウクライナが戦争を続けたいのであれば、自分の金でやってもらいたい。冷たく聞こえるかもしれないが、もっと早く資金支援をやめておけば、ウクライナ(とロシア)の人々はこれほど大勢死なずに済んだ。</div><div><br /></div><div>日経は、米欧で「厭戦気分」が広がってきたという。やがて丸2年になる戦争が嫌になるのは当然だし、資金支援が尽きるのは、戦争をやめたいウクライナの人々に良いことだ。しかし日経はそれを嘆き、日本は「ウクライナを助けていく必要がある」と尻を叩く。人道支援や避難民の受け入れはともかく、ただでさえ負担増にあえぐ日本の納税者に、遠く離れた外国の戦争のために払う金は、もうない。</div>木村 貴http://www.blogger.com/profile/17219070463990429317noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-4704473980536231557.post-49727583180822722982024-02-17T12:00:00.037+09:002024-02-17T12:00:00.170+09:00香港「民主化運動」の真実<div>産経新聞は2月9日の<a href="https://www.sankei.com/article/20240209-P5BFXWAVDVIT3OF3EPILR7NIAM/">社説</a>で、香港の民主活動家で、カナダに事実上亡命していた周庭(アグネス・チョウ)氏が香港警察に指名手配されたことについて、「自由を求めてカナダにとどまり、香港に戻らないことを決めた周氏への報復である」と断じ、「今後、周氏の安全が脅かされることがないよう国際社会は中国と香港政府への監視を強めなければならない」と訴えた。個人の自由はもちろん、守らなければならない。しかしそれは、他人の自由を侵さない場合に限る。</div>
<blockquote class="twitter-tweet"><p dir="ltr" lang="ja">周庭氏の指名手配 自由への脅迫は許されぬ <a href="https://t.co/ftGP1c9cUw">https://t.co/ftGP1c9cUw</a><br /><br />周氏の基本的人権を踏みにじるその言動は、背後で香港政府を操る中国共産党政権の本性をあらわにしている。</p>— 産経ニュース (@Sankei_news) <a href="https://twitter.com/Sankei_news/status/1755738278173581665?ref_src=twsrc%5Etfw">February 8, 2024</a></blockquote> <script async="" charset="utf-8" src="https://platform.twitter.com/widgets.js"></script>
<div>香港政府は2020年、「国家分裂」「政権転覆」「テロ活動」「外国勢力と結託し国家に危害を加える」という4つの行為を処罰対象とする香港国家安全維持法(国安法)を施行した。周氏は同年8月、同法違反の容疑で逮捕される。その後保釈されたが、条件として警察に定期的に出頭する義務などを課せられていた。昨年9月、留学のためカナダに渡航した周氏は出頭日の12月28日、香港に戻らなかった。このため香港警察は周氏を指名手配した。</div><div><br /></div><div>これに対し産経は、「自由に生きたい」という周氏の基本的人権を踏みにじるものだとして、「背後で香港政府を操る中国共産党政権の本性をあらわにしている」と中国を非難する。もし中国政府がそこまで人権無視の極悪非道なら、保釈などしないだろう。産経を含め日本の新聞・テレビがまったく報じない、香港の「民主化運動」の実態を考えれば、なおさらだ。</div><div><br /></div><div>周氏は民主化を求めた14年の大規模デモ「雨傘運動」で注目を集めた。19年の反政府デモでは政治団体「香港衆志(デモシスト)」の幹部として、日本を含む国際社会に対中制裁など圧力強化を訴えた。日本のマスコミはこうした「民主化運動」をひたすら持ち上げるが、筑波大学名誉教授の<a href="https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/99fad3d9632878f09100341df04b26d86f08575a">遠藤誉氏</a>や海外の<a href="https://ronpaulinstitute.org/violent-protests-in-hong-kong-reach-their-last-stage/">オルタナティブ(代替)メディア</a>によれば、この運動は「全米民主主義基金(NED)」から支援を受けている。NEDは冷戦時代に創設された団体で、米議会が出資する。世界各国の政治に影響を及ぼすため、多くの選挙やデモに介入してきたとされる。いわゆる<a href="https://libertypressjp.blogspot.com/2023/06/blog-post_16.html">カラー革命</a>の工作部隊だ。</div><div><br /></div><div>19年の反政府デモでは、香港国際空港がデモ隊に占拠され、マヒした。現場では暴力がエスカレートし多数が負傷。中国共産党系メディア環球時報の記者が空港で抗議グループに縛られ、暴行を加えられる<a href="https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/3383e886324e50e94a1d64b9f771c31c3a7112ea">事件</a>が起きた。平和な抗議活動とはいえず、他者の自由・権利を明らかに侵害している。</div><div><br /></div><div>もし日本で、中国共産党に支援された暴力的な反政府デモが起きて羽田空港を占拠し、デモ隊から自社の記者が暴行を受けたら、産経は何と言うだろうか。間違っても、民主化運動はすばらしいと称えたり、デモを主導した政治団体の幹部が「自由に生きたい」と海外に旅立ち、帰ってこないのを喜んだりはしないだろう。</div><div><br /></div><div>産経など日本のメディアは、香港の「民主化運動」の真実を正直に伝えたうえで、中国・香港政府の対応を評価してもらいたい。</div>木村 貴http://www.blogger.com/profile/17219070463990429317noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-4704473980536231557.post-61317012644423216892024-02-15T08:00:00.007+09:002024-02-15T20:04:55.681+09:00日本は建国4万年<div>産経新聞は2月11日の社説で、当日の「建国記念の日」をテーマに取り上げた。元日に能登半島地震が起き、被災地への支援で国民の結束が求められる中、「国を愛してこそ国民の絆も強まる。日本建国の由来と意義を、改めて深くかみしめたい」と訴えた。</div>
<blockquote class="twitter-tweet"><p dir="ltr" lang="ja">[産経新聞] <主張>建国記念の日 日本の由来をしのびたい (2024年02月11日) <a href="https://twitter.com/hashtag/%E7%A4%BE%E8%AA%AC?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#社説</a> <a href="https://t.co/6cnuQinNsM">https://t.co/6cnuQinNsM</a></p>— 新聞社説一覧 (@ktaro38) <a href="https://twitter.com/ktaro38/status/1756410695099502835?ref_src=twsrc%5Etfw">February 10, 2024</a></blockquote> <script async="" charset="utf-8" src="https://platform.twitter.com/widgets.js"></script>
<div>震災で崩れた能登の姿に心を痛め、被災した人々に同情するのは、人間として自然の感情だろう。しかし自然に生じる「絆」は、政府によって定められた「建国記念の日」とは何の関係もない。美しい日本列島やそこに暮らす人々の歴史は、日本が「建国」されたというたかだか二千数百年前よりも、はるか昔にさかのぼるからだ。</div><div><br /></div><div>産経は建国記念の日の由来について、初代天皇の神武天皇が東に軍勢を進めて大和を平定し、現在の暦で紀元前660年2月11日に即位したことによると解説する。この説明ははしょりすぎている。神武天皇の実在そのものからして歴史学的に証明されていないのはともかく、問題は2月11日という日付だ。</div><div><br /></div><div>『日本書紀』によると、即位は「正月」すなわち1月1日である。そこで明治政府はいったん、旧暦明治6年1月1日、すなわち新暦1月29日を紀元節(建国記念の日の前身)と定めたが、孝明天皇(明治天皇の父)の命日が1月30日だったため、前日では不都合だとして制定し直した。それもどうかと思うが、さらにあきれたことに、制定し直した2月11日という日付の理由が、よくわからない。当時の文部省天文局が「算出」したともいわれるが、算出方法は不明だ。「建国の由来と意義」を「深くかみしめ」るための日付としては、あまりにもテキトーではなかろうか。</div><div><br /></div><div>そんなことは気にならないのか、産経は、「これは日本が建国以来、一度も滅んでいないということを示している」と誇らしげに書く。天皇家の立場でみれば(「万世一系」が事実だとして)そうなるだろう。けれども当然ながら、天皇による「建国」以前にも日本列島には人が住み、歴史があった。</div><div><br /></div><div>たとえば、さきほど触れたとおり、神武天皇は即位前、「東征」と呼ばれる戦争で敵対勢力を次々と滅ぼしている。『古事記』によれば、土雲と呼ばれる先住民にご馳走をふるまい、油断したところを斬りかからせて皆殺しにした。土雲からすれば「一度も滅んでいない」どころか、全滅だったのである。</div><div><br /></div><div>日本列島に人が住み始めたのは、それよりはるか昔、約4万年前の旧石器時代といわれる。もちろん当時、「日本」という国家はなかったが、国土はあり、人々は協力して暮らしていた。そういう意味での「国」は、その頃からあったといえる。</div><div><br /></div><div>産経は「悠久の歴史を歩む国家の一員であることを喜びたい」と書く。「悠久の歴史」が二千数百年とは短かすぎる。日本の「建国」は4万年前だ。そのころ今と同じ太陽を見上げ、風に吹かれていた人々は、列島の歴史と政府の歴史を同一視する、現代の日本人をきっと笑うに違いない。</div>木村 貴http://www.blogger.com/profile/17219070463990429317noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-4704473980536231557.post-77750712514798582842024-02-14T21:00:00.002+09:002024-02-14T21:33:41.329+09:00NATOはいらない<div>日本経済新聞は2月13日の<a href="https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK134YB0T10C24A2000000/">社説</a>で「トランプ前米大統領のNATO発言を憂う」と題し、北大西洋条約機構(NATO)に関するトランプ前米大統領の発言を批判した。「NATOの信頼性を傷つけ、ロシアを利する言辞だ。決して看過できない」と大変な剣幕だ。しかしトランプ氏の発言は、的外れだとは思えない。</div>
<blockquote class="twitter-tweet"><p dir="ltr" lang="ja">[社説]トランプ前米大統領のNATO発言を憂う<a href="https://t.co/b4EJ5lM9GK">https://t.co/b4EJ5lM9GK</a></p>— 日本経済新聞 電子版(日経電子版) (@nikkei) <a href="https://twitter.com/nikkei/status/1757346435304149231?ref_src=twsrc%5Etfw">February 13, 2024</a></blockquote> <script async="" charset="utf-8" src="https://platform.twitter.com/widgets.js"></script>
<div>トランプ氏が支持者集会で語ったところによれば、大統領在任中に出席したNATO会合で、ある欧州の首脳から、国防費の負担目標を達成していなくてもその国がロシアから攻撃されたら米国が守るかどうかを問われ、「守らない」と返答したという。</div><div><br /></div><div>背景にあるのは、NATOの国防費分担問題だ。すべてのNATO加盟国は国内総生産(GDP)の2%を国防費に充てるよう求められているが、日経も触れているとおり、31の加盟国で実現したのは米英など推計11カ国にとどまり、大国であるドイツやフランスは未達だ。</div><div><br /></div><div>北大西洋条約第5条は、いずれかの加盟国への攻撃にその他の加盟国が集団的自衛権を行使して反撃する集団防衛を定める。「トランプ氏の発言はこれをないがしろにするものだ」と日経は非難する。けれども、いくら条約で決まっていても、義務を果たさない国を守れといわれたら、米国の納税者の多くが納得するまい。大統領返り咲きを狙って選挙運動中のトランプ氏の発言は、納税者のまっとうな不満や疑念を意識したものだろう。</div><div><br /></div><div>そもそも、日経など大手メディアが決して語らないことだが、NATOという軍事同盟は本当に必要なのか。冷戦時代にソ連に対する防衛を理由に結成されたのだから、本来なら冷戦終結とともに解散するべきだった。しかし米欧の軍産複合体の利権と結びついたNATOはその道を選ばず、人権や対テロ戦争を旗印に掲げ、荒っぽい「世界の警察官」として振る舞い始めた。ユーゴ空爆、アフガン攻撃、リビア空爆などだ。いずれも多数の市民の命を奪い国土を荒廃させたうえ、混乱だけを残す大失敗に終わった。</div><div><br /></div><div>日経は「ロシアのウクライナ侵攻でNATOの重要性は増した」という。しかしロシアがウクライナに攻め込んだのも、元はといえばNATOがロシアとの約束を無視して<a href="https://libertypressjp.blogspot.com/2023/01/blog-post_29.html">東方拡大</a>を進め、ついにウクライナまで加盟させようとしたのが原因だ。</div><div><br /></div><div>そのNATOが、今度はインド太平洋地域進出を<a href="https://libertypressjp.blogspot.com/2023/05/blog-post_06.html">狙っている</a>。過去の「実績」から、ろくなことにならないのは明らかだ。日経は「中国は同盟国を軽んじるトランプ氏の発言を注視しているに違いない」と中国の脅威をあおるが、少なくとも中国はNATOのような害悪を世界に及ぼしたことはない。トランプ氏はNATOそのものを否定まではしていないが、NATOはいらない。</div>木村 貴http://www.blogger.com/profile/17219070463990429317noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-4704473980536231557.post-6170029084325943982024-02-03T12:00:00.064+09:002024-02-03T13:10:02.431+09:00リバタリアンとガザ攻撃<p>昨年10月7日にパレスチナの武装勢力ハマスが行った大規模なロケット弾攻撃に対する「報復」として、今もイスラエルによるガザ地区、ヨルダン川西岸地区への<a href="https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN130200T11C23A2000000/">無差別爆撃</a>が続き、世界の注目を浴びている。この問題について、リバタリアンはどう考えるのだろうか。</p>
<blockquote class="twitter-tweet"><p dir="ltr" lang="en">Lew Rockwell and Hans-Hermann Hoppe kick Walter Block right the hell out of the libertarian movement for being an "unhinged, bloodthirsty [Zionist] monster," and a very bad arguer.<br /><br />"The Murray Rothbard I knew would have immediately called [Block's arguments] out as unhinged,… <a href="https://t.co/HJUbJUZHOe">pic.twitter.com/HJUbJUZHOe</a></p>— Scott Horton (@scotthortonshow) <a href="https://twitter.com/scotthortonshow/status/1752617090123514032?ref_src=twsrc%5Etfw">January 31, 2024</a></blockquote> <script async="" charset="utf-8" src="https://platform.twitter.com/widgets.js"></script>
<p><span style="font-size: x-small;"><b>(写真左からホッペ、ロスバード、ロックウェル)</b></span></p><p>リバタリアニズムとは「米国型資本主義」をひたすら礼賛する弱肉強食の思想だと信じ、毛嫌いする人は、その米国が肩入れし支援するイスラエルのガザ攻撃を、リバタリアンは当然支持するものだと思うかもしれない。それは間違いだ。この誤解を解く格好の「事件」が最近起こった。</p><p>ウォルター・ブロックといえば、現代のリバタリアン経済学者を代表する一人だ。著書『<a href="https://booklog.jp/item/1/B083ZCDZB9">不道徳な経済学</a>』は、売春婦や転売屋は社会の役に立つと大胆に主張する興味深い本で、私自身、昨秋から神奈川減税会の<a href="https://x.com/bettymama4/status/1745595792327680090?s=20">勉強会</a>でこの本の邦訳書を教材に選び、読み進めている。ブロックは他にも切れ味鋭い論文やコラムを数多く発表しており、すばらしいリバタリアン知識人だと思っていた。</p><table align="center" cellpadding="0" cellspacing="0" class="tr-caption-container" style="margin-left: auto; margin-right: auto;"><tbody><tr><td style="text-align: center;"><a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEiXcedi4MFmVSBjs_OeDh5BHlAXtr0qCejhinU9v4vGfp8lfxsG1mBh9MBkwqXvsJ-t1FZJwJd9C_uB2e9cfW3vxOdhWFLhelM93hrmVbX82MbpwCCO_VbhY6Qh37giViLZFettCiqnFr4KuN88gFzLGQxiFepLEP70i2Vvep3xzHx_4FFEktOy6512KObm/s197/%E7%94%BB%E5%83%8F.jpeg" style="margin-left: auto; margin-right: auto;"><img alt="ウォルター・ブロック" border="0" data-original-height="197" data-original-width="148" height="320" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEiXcedi4MFmVSBjs_OeDh5BHlAXtr0qCejhinU9v4vGfp8lfxsG1mBh9MBkwqXvsJ-t1FZJwJd9C_uB2e9cfW3vxOdhWFLhelM93hrmVbX82MbpwCCO_VbhY6Qh37giViLZFettCiqnFr4KuN88gFzLGQxiFepLEP70i2Vvep3xzHx_4FFEktOy6512KObm/w240-h320/%E7%94%BB%E5%83%8F.jpeg" title="ウォルター・ブロック" width="240" /></a></td></tr><tr><td class="tr-caption" style="text-align: center;">ウォルター・ブロック<br />(wikipedia.org)</td></tr></tbody></table><p>ただし、気になることがあった。ユダヤ系米国人のブロックは2021年、アラン・フューターマンという経済学者と共著で『イスラエルを支持する古典的自由主義の主張』という本を出版している。序文を寄せたのは、今まさにガザを激しく攻撃している、イスラエルのネタニヤフ首相だ。違和感を覚えたものの、値段が高い(<a href="https://www.amazon.co.jp/Classical-Liberal-Case-Israel-English-ebook/dp/B09KX5BVMT/">キンドル版</a>で約1万6000円)こともあり、内容を確かめることなく、ほったらかしてしまった。</p><p>そして昨年、ガザ攻撃の始まった数日後の10月11日。ブロックはフューターマンと連名で、米経済紙ウォールストリート・ジャーナルのオピニオン欄に「ハマス壊滅の道徳的義務」と題する<a href="https://www.wsj.com/articles/the-moral-duty-to-destroy-hamas-ba626a41">記事</a>を寄稿した。「イスラエルは、その隣に存在するこの邪悪で堕落した文化を根絶やしにするために、必要なことは何でもする権利がある」という勇ましいリード文が、内容を端的に示している。この主張がいかにリバタリアニズムに反するものかは、後の説明でわかるだろう。</p><p>ブロックらの寄稿に対しては、リバタリアンの間で非難が起こった。反戦派ジャーナリストのスコット・ホートンはユーチューブで、「ウォルターはイスラエル・ガザの見解のおかげでリバタリアニズムから追い出された」と<a href="https://www.youtube.com/watch?v=ajuyCix3rG4&t=4074s">語り</a>、ファンドマネジャーのケビン・ダフィーはブロックの主張をその師マレー・ロスバード(故人)と比較し、「戦争における民間人の殺害に関して、リバタリアン論壇の中に亀裂を感じる。それともブロックは単に敵前逃亡したのだろうか」と<a href="https://www.lewrockwell.com/2023/11/kevin-duffy/invasion-of-gaza-rothbard-vs-block/">述べた</a>。</p><p>エコノミストのサイファディーン・アモウズ(邦訳書に『<a href="https://booklog.jp/item/1/4623090299">ビットコイン・スタンダード</a>』)は以前、パレスチナ問題についてブロックと議論したことがあった。10月の記事が出た後、ブロックから、意見の異なるリバタリアンであっても、同意する問題については協力できることを示そうと論文の共同執筆を提案され、次のような厳しい返信(本人の許可を得てステファン・キンセラがブログに<a href="https://www.stephankinsella.com/2024/01/ammous-vs-block-on-israel/">掲載</a>)で怒りをあらわにした。</p><p></p><blockquote><p>ウォルターへ</p><p>私たちの討論で、あなたがパレスチナ人の私有財産権の正当性を認めず、社会主義的な政府機関であるイスラエル土地公社によるパレスチナの土地の独占継続を支持していることがはっきりした。また、あなたは最近、ウォールストリート・ジャーナルの血に飢えた論説で明らかにしたように、罪のない民間人を絨毯爆撃しても、自分の仲間でなければ許されると考えている。この2つの事実は、人間関係の基本として財産権を認め、自分から攻撃をしかけることを否定する私のような文明的な人間と、暴力と窃盗を支持するあなたのような野蛮な社会主義者の怪物との間に、建設的な対話の余地がないことを意味している。あなたのような考えを持つ人と付き合うことで名前を汚すような提案は、誰からであれ、ありえない。</p><p>(ガザ問題と)無関係な論文を私と書くことで、大量虐殺を支持することへの罪悪感を和らげようとするよりも、(経済学者)ルートヴィヒ・フォン・ミーゼスの『ヒューマン・アクション』を読んで、文明にとって財産権が切っても切り離せない重要性を理解し、ホッペ教授(後述)の議論倫理学を読んで、財産権を否定する社会主義者と私が関わることがなぜ無意味なのかを理解するよう勧める。これらの点については、ここに添付した私の最新刊『経済学原理』でも詳しく論じている。これらの著者が書いているのは、売春や政治的シオニズム、その他の憎むべき退廃を擁護することに専心する、ウケ狙いの浅はかなリバタリアニズムという、あなたの白痴的なブランドよりもはるかに知的レベルの高いものであることは承知しているが、あなたが根気強く自らを奮い立たせれば、人間社会がどのように平和的に機能するかを理解し、晩年には自分を取り戻せるかもしれないと期待している。</p><p>もしあなたがこれらの本を読み、正気に戻り、歴史的パレスチナの土地の私有化を公に支持し、民間人への爆撃を糾弾する気があるなら、喜んであなたと仕事をすることを検討したい。それまでは、文明的な人間とだけ協力し続け、あなたとその仕事はこのまま無関心を装ううちに消えていくだろう。</p><p>サイファディーンより</p></blockquote><p></p><p>売春を擁護するブロックの著書まで「ウケ狙いの浅はかなリバタリアニズム」とばっさりやられては、勉強会の教材に選んだ私の立つ瀬がないが、それはともかく、ガザ問題に関するアモウズのブロック批判は正しい。とくに、罪のない民間人に対する無差別爆撃が、暴力による身体・財産への一方的な侵害を否定する、リバタリアンの「非侵害原則」に反することは明らかである。</p><p><span></span></p><a name='more'></a>しかしブロックは、これらの批判を意に介さないかのように、12月17日、再びフューターマンと連名で、ウォールストリート・ジャーナルに親イスラエルの新たな<a href="https://www.wsj.com/articles/how-jews-escaped-their-dismal-fate-zionism-israel-war-gaza-oct-7-persecution-479544f2">記事</a>「ユダヤ人はいかにして悲惨な運命から逃れたか」を掲載した。<p></p><p>これに対し今週(1月31日)、それまで沈黙を守っていた大物が、ついに動いた。「<a href="https://www.lewrockwell.com/2024/01/hans-hermann-hoppe/breaking-up-is-hard-to-do-but-sometimes-necessary/">ウォルター・ブロックへの公開書簡</a>」をウェブで公開し、ウォールストリート・ジャーナルへの寄稿を含むブロックの主張に対し、徹底した批判を展開したのだ。筆者は、さきほど名前の出たハンス・ヘルマン・ホッペ。ドイツ出身のリバタリアン経済学者・哲学者であり、ブロックと同じく、米リバタリアン運動の中心人物だったロスバードの弟子にあたる。ブロックとは共同で論文を書いたこともある、かつての盟友だが、その攻撃は容赦ない。</p><p>ホッペはまず、「彼(ブロック)はリバタリアンの基準で合格とされる記事を数え切れないほど発表してきたし、これからもたくさん発表するだろう」と評価したうえで、「しかしまた、リバタリアンやロスバード主義者としては明らかに失格であり、(略)大量殺戮の衝動に取りつかれた、動揺した集団主義者であることを明らかにするような文書を発表している」と指摘する。</p><p>ホッペはその批判の根拠として、3つの具体例をあげる。</p><p>第1に、ブロックは、現在パレスチナ人が所有する土地はかつてユダヤ人から奪ったものであり、したがってイスラエルに返還せよと主張する。しかしホッペが指摘するとおり、過去のユダヤ人であるベンやネイトといった個人に対してなされた犯罪に対する賠償は、「ユダヤ人」という集合にではなく、その相続人であるデビッドやモシェといった個人に対してなされるべきものだ。しかし、古代のベンやネイトの相続人として特定できるデビッドやモシェを現在見つけることができない以上、現在の所有者に向けられた賠償請求には根拠がない。</p><p>第2に、ブロックはガザに潜伏するハマスへのイスラエルによる総攻撃を訴え、「民間人が犠牲になった場合、その責任はハマスが負うことになる。原因と結果だ。彼らは自らの破滅とその結果を生み出したのだ」と言い放つ。</p><p>これに対しホッペは「では、ハマスのメンバーとガザの住民一般を区別する必要はまったくないのか。赤ん坊も子供も含めて、全員が無差別に有罪であり、堕落した文化の一部であり、きっぱりと根絶やしにしなければならない集団悪だというのか」と詰め寄り、ブロックの主張が論理的に行き着くおぞましい帰結をこう述べる。「それなら、ガザに<a href="https://libertypressjp.blogspot.com/2023/08/blog-post.html">原爆</a>を落とすのはどうだろう。約80年前、米国が広島と長崎の民間人に対し、日本の政府組織による犯罪に対する集団的懲罰として行ったように」</p><p>第3に、ブロックは、師であるロスバードもすべての戦争に反対していたわけではないと述べ、自分の主張を正当化しようとする。だがホッペが指摘するように、ロスバードが正当化されうると考えた戦争は、分離独立を戦争によって阻止しようとする中央政府に対し独立運動側が用いる防衛的な暴力であり、ブロックが唱える全面戦争とはまったく違う。</p><p>ブロックの詭弁を、ホッペは「グロテスクだ」と吐き捨て、「全面的で無制限な戦争と罪のない民間人の無差別殺戮を求める彼の主張は、実際には、ロスバード理論のまさに礎石の一つを構成する非侵害原則を完全かつ奔放に否定し、放棄するもの」と批判する。そして最後に、ウォールストリート・ジャーナルへのブロックの寄稿について「私が知っているロスバードは、この記事を怪物的なものとしてはっきりと非難し、許しがたい異常で恥ずべきものだと考えただろう」と断じる。</p><p>「身内」に対する遠慮など一切なく、論理的にも筋の通った、みごとな批判だ。もう一つ特筆すべきは、この公開書簡がリバタリアン系ウェブサイト、「ルー・ロックウェル」の<a href="https://www.lewrockwell.com/?d=2024-01-31">トップ</a>に掲載されたという事実である。サイトを運営するルー・ロックウェルは、約40年前にロスバードらとともにシンクタンク「ミーゼス研究所」を創立し、今は同研究所の会長を務める。そのロックウェルがホッペのブロック批判をトップに載せたのは、ロックウェル自身、ブロックの暴走に腹を据えかねたということだろう。公開書簡は翌日、ミーゼス研究所のサイトにも<a href="https://mises.org/wire/open-letter-walter-e-block">掲載</a>された。</p><p>スコット・ホートンはX(旧ツイッター)でホッペの公開書簡を紹介し、ありし日のロスバード、若き日のロックウェル、ホッペの3人が並んで映った写真を添えて、「ロックウェルとホッペは、ブロックをリバタリアン運動から完全に追い出した」と<a href="https://x.com/scotthortonshow/status/1752617090123514032">記した</a>。82歳のブロックがこのまま晩節を汚さず、「反政府、反戦、市場支持」(「ルー・ロックウェル」の標語)の真のリバタリアンとして戻ってくるよう期待したい。</p>木村 貴http://www.blogger.com/profile/17219070463990429317noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-4704473980536231557.post-88500639193238299492024-01-11T12:27:00.003+09:002024-01-11T13:27:29.675+09:00規制で自滅する日本経済<div>日本経済新聞は1月8日の<a href="https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK285S10Y3A221C2000000/">社説</a>で「構造的な人手不足に克つ大改革を」と題し、2024年は運輸・建設業などで人手不足が今まで以上に大きな社会課題となるとして、「官民挙げて聖域なき改革に踏み出す」よう求めた。</div>
<blockquote class="twitter-tweet"><p dir="ltr" lang="ja">[社説]構造的な人手不足に克つ大改革を<a href="https://t.co/5WGNHpTWw6">https://t.co/5WGNHpTWw6</a></p>— 日本経済新聞 電子版(日経電子版) (@nikkei) <a href="https://twitter.com/nikkei/status/1744299968779911382?ref_src=twsrc%5Etfw">January 8, 2024</a></blockquote> <script async="" charset="utf-8" src="https://platform.twitter.com/widgets.js"></script>
<div>「官民挙げて」とはメディアでよく目にする景気のいい言葉だが、社会課題を解決するのに必要なのは「民」(民間)の力であって、「官」(政府)は引っ込んでおいてもらいたい。そもそもたいていの社会問題は、政府の規制が原因だからだ。政府がまたぞろしゃしゃり出れば、問題はむしろ悪化する。人手不足も例外ではない。</div><div><br /></div><div>運輸業界では「2024年問題」が騒がれる。その要因は、今年4月から施行されるトラックドライバーの時間外労働の規制強化だ。時間外労働時間は年間960時間に規制されるほか、国がルールとして定める年間の拘束時間が、3300時間に見直される。これまでは時間外労働に関する規制はなく、年間の拘束時間についても3516時間となっていた。</div><div><br /></div><div>政府は今回の規制強化をトラックドライバーの労働環境改善につなげるというが、他のあらゆる規制同様、むしろ逆効果だ。時間外労働が減れば当然、収入は減る。すでにドライバーの間で、働く時間が短くなれば、その分給与が減ってしまうので、そちらのほうが困るという声が上がっている。仕事が楽になっても給与が減ってしまっては、本末転倒だ。収入減を補うために無理なアルバイトなどを強いられれば、結局、体は楽にならない。</div><div><br /></div><div>NHKが<a href="https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230124/k10013958651000.html">取材した</a>埼玉県の運送会社では、長距離輸送の仕事を減らさざるをえないという。規制が強化されると交代のドライバーが同乗する必要があるが、人手不足で新たな雇用は難しい。このため長距離輸送の受注を減らし、代わって短中距離輸送を増やす方針だが、単価の高い長距離輸送を減らせば、売り上げに響きかねない。会社の経営が苦しくなれば、ドライバーの待遇や雇用にも当然響く。</div><div><br /></div><div>日経は、「長時間働いて稼ぐ」という意識を変えるには、「歩合給から固定給への転換が重要」と説くけれども、固定給は会社にとってはコスト上昇になりやすく、ドライバーのリストラにつながりかねない。</div><div><br /></div><div>本来なら時間外労働への規制強化そのものを撤回すべきだが、それが無理なら、日経が述べるように、自動運転、ドローンでの配達、ロボットによる積み荷、ライドシェアの解禁など、さまざまな創意工夫を可能にする規制緩和を急ぐべきだ。だが政府の腰は重い。このままでは、日本経済は規制にがんじがらめとなり、自滅するしかない。</div>木村 貴http://www.blogger.com/profile/17219070463990429317noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-4704473980536231557.post-10949906468776314072024-01-08T12:00:00.059+09:002024-01-08T12:06:39.530+09:00民主主義で分断は解決できない<div>朝日新聞は1月6日の<a href="https://digital.asahi.com/articles/DA3S15832182.html">社説</a>で、世界各地で社会の分断が極度の政治不信を生んでいるとして、民主主義が機能するためには「政治的に競い合う相手を「排除すべき敵」ではなく、正当な存在と認める自制と寛容が必要だ」と説いた。ご立派な主張だが、問題点が少なくとも2つある。</div>
<blockquote class="twitter-tweet"><p dir="ltr" lang="ja">[朝日新聞] 岐路の国際協調 力頼みの秩序にせぬために (2024年01月06日) <a href="https://twitter.com/hashtag/%E7%A4%BE%E8%AA%AC?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#社説</a> <a href="https://t.co/a4mrsec1nU">https://t.co/a4mrsec1nU</a></p>— 新聞社説一覧 (@ktaro38) <a href="https://twitter.com/ktaro38/status/1743364678141821233?ref_src=twsrc%5Etfw">January 5, 2024</a></blockquote> <script async="" charset="utf-8" src="https://platform.twitter.com/widgets.js"></script>
<div>まず、朝日を含む大手メディア自身が社会の分断をあおってきた事実を無視している。次に、社会の分断は民主主義で解決することはできない。順に説明しよう。</div><div><br /></div><div>朝日は、米バイデン政権は前任のトランプ政権の政策のひずみを正さず、むしろ中国やロシアへの対抗を念頭に「専制主義か、民主主義か」という対立軸を打ち出し、新たな分断を助長したと批判する。だが朝日など日本の大手メディアは、バイデン政権やその忠実なしもべである岸田政権の尻馬に乗り、中国やロシアを、民主主義を踏みにじる専制国家として非難してきた。</div><div><br /></div><div>とくにロシアに対する攻撃は目に余る。朝日は同じ社説で、3月に予定されるロシア大統領選は「プーチン氏の独裁とウクライナ侵略を正当化する茶番になるだろう」と切り捨て、ロシアでは「反対勢力は排除され、言論統制は一層深まった」と非難する。一方のウクライナでロシア以上の言論統制や反対勢力の排除が<a href="https://libertypressjp.blogspot.com/2023/01/blog-post_18.html">横行している</a>ことには、知らんぷりだ。</div><div><br /></div><div>ウクライナとロシアの紛争には、昨年10月激化したイスラエルとパレスチナの紛争と同じく、それまでの<a href="https://libertypressjp.blogspot.com/2023/01/blog-post_29.html">長い経緯</a>があるのに、それを無視してロシアを一方的に「排除すべき敵」と決めつける。「正当な存在と認める自制と寛容」などかけらもない。</div><div><br /></div><div>次に、朝日によれば、米国の民主主義は秋の大統領選で試練に直面する。バイデン氏当選を認めない共和党支持者がなお6割超もいる中で、トランプ氏が返り咲けば、内外の分断と対立はより深まりかねないという。そうなるかもしれない。だからといって、社会の分断と対立は民主主義で解決することはできない。</div><div><br /></div><div>民主主義とは、ざっくり言ってしまえば、意見の異なる人々を多数決で無理やりまとめ、同じ考えに従わせようとする制度である。自分の意見が認められない人は他者と反目し、溝を深める。民主主義はそもそも分断や対立を招きやすい政治制度なのだ。その弊害は国が大きくなるほど深刻になる。価値観や主張の異なる多くの人々が住むからだ。</div><div><br /></div><div>そうだとすれば、改善策は一つしかない。国をできるだけ小さくすることだ。具体的には、既存の国からの分離独立である。米国で共和党支持者の多い「赤い州」が、民主党支持者の多い「青い州」と別れて別の国になれば、社会の分断・対立はかなり和らぐだろう。実際、カリフォルニア州、テキサス州、ニューハンプシャー州などに分離独立の運動がある。</div><div><br /></div><div>日本でも政府の<a href="https://news.yahoo.co.jp/articles/e056b488d22289845d0cf88464ae995ced8775bb">増税政策</a>に我慢ならない人は、どこかの町か村に集まって、分離独立を試みてはどうだろう。政府や大手メディアはきっと反対しないはずだ。政府やメディアがいまだに熱心に<a href="https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240108/k10014313131000.html">支援する</a>ウクライナは、ソ連から独立してできた国なのだから。</div>木村 貴http://www.blogger.com/profile/17219070463990429317noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-4704473980536231557.post-58145126660488276922024-01-03T12:00:00.013+09:002024-01-03T18:39:22.638+09:00被災者支援は市場の力で<div>元日の夕方、石川県の能登地方でマグニチュード7・6、最大震度7の強い地震が起きた。輪島市で約200棟が燃える大規模火災が発生したほか、各地で建物の倒壊が相次いだ。命を落とした人以外に、倒壊や火災で家を失った被災者が多く、避難生活の長期化も懸念される。</div>
<blockquote class="twitter-tweet"><p dir="ltr" lang="ja">【主張】能登半島地震 救命救助に全力尽くせ 国民一体で被災者を支えよう <a href="https://t.co/oeC4YCyOYN">https://t.co/oeC4YCyOYN</a><br /><br />能登半島沖の地震に関しては、短期的な警戒だけではなく中長期的な地震活動への警戒も必要だ。</p>— 産経ニュース (@Sankei_news) <a href="https://twitter.com/Sankei_news/status/1742315369967374699?ref_src=twsrc%5Etfw">January 2, 2024</a></blockquote> <script async="" charset="utf-8" src="https://platform.twitter.com/widgets.js"></script>
<div>3日付の社説で<a href="https://www.sankei.com/article/20240103-4TLUJDWLFFJ5TIIM3B2XHW4RU4/">産経新聞</a>は「被災者を支えるために国民一人一人が「できることをやる」という意識を共有することが大事だ」と述べた。同じく<a href="https://digital.asahi.com/articles/DA3S15829740.html">朝日新聞</a>は「国や自治体が果たすべき「公助」が追いつかない時が増えている。こういう時こそ、地域のつながりによる「共助」の力も十分に発揮したい」と訴えた。</div><div><br /></div><div>これらの主張は大切なことを見落としている。被災者支援に最も力を発揮するのは、「公助」でもなければ、「共助」でもない。自由な市場経済の力だ。そして市場経済が存分にその力を発揮するうえで、国民一人一人の「できることをやる」という道徳意識などは必要ない。平時と変わらず利益を追求する企業家精神があればいい。</div><div><br /></div><div>朝日は「温かい食べ物は供給できているか。ベッドや布団、暖房器具などは十分か。物資の供給には全力を尽くしたい」と力を込める。ここに列挙された、温かい食べ物、ベッド、布団、暖房器具のうち、国や自治体の「公助」や、地域のつながりによる「共助」によって生産できるものは一つもない。いずれもそれぞれ専門の民間企業によって作られ、販売される。列挙された以外の多数の製品・サービスについても同様だ。</div><div><br /></div><div>民間企業の活動を導くのは、つねに利益だ。企業のオーナーが被災地に多額の寄付をすることもあるが、それは個人としての行動であり、企業はあくまでも利益の獲得を目的とした製品・サービスの供給を通じて社会に貢献する。それは平時においても、自然災害のような有事においても変わらない。</div><div><br /></div><div>むしろ有事こそ、民間企業の迅速な対応力が明らかになる。地震のあった石川、新潟、富山などでセブン―イレブンやファミリーマートなどコンビニエンスストアは一時休業したものの、安全確認と清掃が終わり次第、順次営業を再開している。総合スーパーなどを展開するイオンは、一部専門店で営業を見合わせているが、食品・日用品を中心に全店で営業している。</div><div><br /></div><div>政府は岸田文雄首相を本部長とする非常災害対策本部で、コンビニやスーパーなどの民間事業者と協力することを決めたという。しかしはっきり言って、余計なお世話だ。民間企業は政府から言われるまでもなく、営利活動を通じてすでに被災地を支えている。政府がやるべきは、市場経済が今以上に力を発揮できるよう、各種の減税や規制撤廃をただちに実行することだ。</div>木村 貴http://www.blogger.com/profile/17219070463990429317noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-4704473980536231557.post-60165883740895699212024-01-01T12:00:00.016+09:002024-01-01T15:26:45.392+09:00「米国による平和」の嘘<div>朝日新聞は<a href="https://digital.asahi.com/articles/DA3S15829588.html">元日の社説</a>で「紛争多発の時代に」と題し、国際紛争の多発について論じている。一読して驚いた。紛争多発の原因に関する認識が、事実とあまりにかけ離れているからだ。</div>
<blockquote class="twitter-tweet"><p dir="ltr" lang="ja">[朝日新聞] 紛争多発の時代に 暴力を許さぬ 関心と関与を (2024年01月01日) <a href="https://twitter.com/hashtag/%E7%A4%BE%E8%AA%AC?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#社説</a> <a href="https://t.co/uA7XUZGhQn">https://t.co/uA7XUZGhQn</a></p>— 新聞社説一覧 (@ktaro38) <a href="https://twitter.com/ktaro38/status/1741582782764290057?ref_src=twsrc%5Etfw">December 31, 2023</a></blockquote> <script async="" charset="utf-8" src="https://platform.twitter.com/widgets.js"></script>
<div>朝日が引用するスウェーデンのウプサラ大学の分析によれば、冷戦終了後に着実に減りつつあった武力紛争は、2010年を境に増加に転じた。直近の集計では世界で進行中の紛争は187に達しているという。</div><div><br /></div><div>問題はここからだ。まず、朝日はこう書く。「2010年といえば、米国はオバマ政権の1期目。リーマン・ショックによる不況が尾を引き、米国の対外政策が一気に内向きに転じた年である。パックス・アメリカーナ(米国による平和)の陰りは隠しようもなく、一方で中国が大国志向を強めた」</div><div><br /></div><div>2010年から米国の対外政策が「内向きに転じた」と朝日は批判し、それによってそれまでの「パックス・アメリカーナ」が乱れたと嘆いている。しかし世界の平和はすでにそれ以前から、アフガニスタン戦争(開始は2001年、以下同)やイラク戦争(2003年)といった「対テロ戦争」によって乱されていたし、その軍事介入を主導したのはほかならぬ米国だ。「内向きに転じた」という2010年以降も、米国はリビア(2011年)やシリア(2014年)で軍事介入を主導してきた。</div><div><br /></div><div>「米国による平和」どころか、「米国による戦争」である。朝日はこうした事実を無視したうえで、さらにこう述べる。</div><div><br /></div><div><blockquote>かくして冷戦後の国際秩序は根底から揺らぎ、「警察官」を失った世界は不安定化した。抑え込まれてきた緊張関係や、先進諸国から忘れ去られていた地域紛争が、相次いで「着火」した。</blockquote></div><div><br /></div><div>国際情勢が不安定になり、紛争が多発するようになったのは、米国が世界の「警察官」の役割を果たさなくなったからだというのだ。しかし、これまで述べた事実に照らせば、実際は正反対だろう。米国が世界の警察官気取りで、各国で軍事介入を繰り返したことこそが、国際情勢を不安定にしたのだ。日本もその誤った対外政策に追随してきた。</div><div><br /></div><div>今この瞬間も、米国は北大西洋条約機構(NATO)を通じてウクライナを支援し、ロシアとの紛争を長引かせているし、イスラエルに武器・資金を供与し、パレスチナ自治領ガザに人道危機をもたらしている。どちらも、遠く離れた米国の自衛に必要な介入だとは思えない。</div><div><br /></div><div>自衛に無関係な軍事介入はしないのが、米国の伝統のはずだ。第6代大統領<a href="https://libertypressjp.blogspot.com/2018/05/blog-post_32.html">ジョン・クインシー・アダムズ</a>は「諸外国が米国の志向する理念や理想に反する内政を行っても、他国の問題に干渉するのを慎んできた」と述べ、「米国は倒すべき怪物を探しに海外へ行ったりしない」と戒めた。</div><div><br /></div><div>大統領選を控える2024年、米国がなすべきは、朝日があおるような、世界の警察官として張り切るのではなく、多数の人々を不幸にするおせっかいな軍事介入をやめることだ。</div>木村 貴http://www.blogger.com/profile/17219070463990429317noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-4704473980536231557.post-52658904421597012952023-12-29T12:00:00.015+09:002023-12-29T14:53:56.168+09:002023年に何が起こったか、2024年に何が起こるか<div style="text-align: right;">作家・投資家、ダグ・ケイシー</div><div style="text-align: right;">(2023年12月28日)</div><div><br /></div><div><b>インターナショナル・マン</b> 年の瀬も押し迫った今、一歩引いて大局を見つめ、2023年を俯瞰することで、次に何が起こるかをよりよく理解しましょう。</div>
<blockquote class="twitter-tweet"><p dir="ltr" lang="en">Doug Casey On What Really Happened In 2023 And What Comes Next <a href="https://t.co/rNVaH6Vgoa">https://t.co/rNVaH6Vgoa</a></p>— zerohedge (@zerohedge) <a href="https://twitter.com/zerohedge/status/1740136759525101750?ref_src=twsrc%5Etfw">December 27, 2023</a></blockquote> <script async="" charset="utf-8" src="https://platform.twitter.com/widgets.js"></script>
<div>2023年は金融、経済、政治、文化、地政学的に大きな動きがありました。</div><div><br /></div><div>文化面では、2023年は「社会正義に目覚めた(ウオーク)狂気」に対する風潮が変わり始めた年かもしれません。</div><div><br /></div><div>米資産運用会社<a href="https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN26CDP0W3A620C2000000/">ブラックロック</a>のフィンク最高経営責任者(CEO)はESG(環境・社会・企業統治)という言葉を使うのをやめました。「目覚めた」映画は映画館で大爆死を続けています。ビール「<a href="https://www.mashupreporter.com/anheuser-busch-loses-5-billion-dylan-mulvaney-budlight/">バドライト</a>」、ディスカウントストア大手の<a href="https://www.bbc.com/japanese/65692736">ターゲット</a>、<a href="https://jp.reuters.com/article/idUSKBN2NV03M/">ディズニー</a>は、わざと顧客層を遠ざけることの痛みを感じ続けています。</div><div><br /></div><div>2023年の文化の動きについてどうお考えですか。</div><div><br /></div><div><b>ダグ・ケイシー</b> 大きな風潮に対する反動はつねにある。それは注目に値するものの、「覚醒運動」の悪質さを考えると、反動は微々たるものだ。現状維持のために戦う後衛はつねに存在する。それはすばらしいことだ。というのも、目覚めた連中は、文化全体をひっくり返そうとしているからだ。革命期のフランスでジャコバン派(恐怖政治を繰り広げた党派)が文化を覆したように、ロシアでボリシェビキ(ロシア共産党の前身)が文化を覆したように、中国で紅衛兵(文化大革命時に毛沢東の指導で作られた青少年組織)が文化を覆したように、カンボジアでポル・ポト(社会主義独裁者)が文化を覆したように。</div><div><br /></div><div>目覚めた連中は危険をはらむ。というのも、連中の考え方は西洋のどこにでもあるからだ。</div><div><br /></div><div>言論の自由、思想の自由、自由市場、伝統、小さな政府に激しく反対しているという点では、今述べた(ジャコバン派らの)運動と似ている。しかし連中はジェンダーと人種をも武器にしている。凶暴で、ユーモアがなく、清教徒的だ。自分たちを未来の波だと考えているが、マルクス、レーニン、スターリン、ヒトラーの概念を再包装しただけだ。</div><div><br /></div><div>私の考えでは、目覚めた連中は人間性を憎み、自分自身を憎んでいる。彼らは不誠実で、傲慢で、特権階級だ。多様性重視で雇われた<a href="https://www.worldtimes.co.jp/global/north-america/20231227-177560/">ハーバード大学</a>、ペンシルベニア大学、マサチューセッツ工科大学の学長たちのスキャンダルを見てほしい。連中はまったく恥さらしだ。理事会がこのような愚か者を任命したという事実が、腐敗の深さを物語っている。</div><div><br /></div><div>目覚めた連中には心理的・精神的な異常が根付いている。</div><div><br /></div><div>連中が支配しているのは、学界、金融、エンターテインメント、メディアだけではない。国家機構をも支配している。つまり、法律をほぼ味方につけているのだ。</div><div><br /></div><div>おそらくESGは、新手の吸血イカであるブラックロックによって重視されなくなってきているのだろうが、それは連中が信念を重んじるよりも、お金を失うことを恐れているからに他ならない。より悪質なDEI(多様性、公平性、包括性)は、依然として文化の大きなトレンドだ。</div><div><br /></div><div>それはどこで終わるのだろうか。</div><div><br /></div><div>覚醒主義は一過性の流行ではない。文化的に保守的な考えを持つ人々と、西洋文明を破壊し、我々が知っている社会のあり方をひっくり返そうとする人々との間の暴力的な対立で終わる可能性が高い。</div><div><br /></div><div><b>インターナショナル・マン</b> 2023年は地政学的に大きな動きがあった年でした。</div><div><br /></div><div>ウクライナでの戦争が北大西洋条約機構(NATO)にとってうまくいっていないことは、主要メディアでさえ明らかになりました。</div><div><br /></div><div>イスラム組織ハマスの攻撃とイスラエルのパレスチナ自治区ガザ侵攻もありました。</div><div><br /></div><div>アゼルバイジャンはアルメニアを破り、長年の係争地域を取り戻しました。</div><div><br /></div><div>サウジアラビアはシリアをアラブ連盟に復帰させ、イエメン戦争を終結させ、イランとの国交を回復させ、BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)諸国に加盟し、中国との経済関係を拡大しました。</div><div><br /></div><div>これらは2023年の地政学的な出来事のほんの一部です。</div><div><br /></div><div>地政学的状況と今後の方向性についてどう思われますか。</div><div><br /></div><div><b>ダグ・ケイシー</b> あらゆる分野において、世界に対する米国の覇権主義の終焉は明白になりつつある。世界は米政府にいじめられ、支配されていることに腹を立てている。</div><div><br /></div><div>世界は、米政府が破産し、印刷されたお金だけで生活していることに気づいている。軍備は肥大化し、米国が負担できる以上の費用がかかっている。</div><div><br /></div><div>肥大化する一方で解体されつつあり、新しい兵士や水兵を採用することもできない。その理由は簡単だ。人々は至るところで無意味な戦争があおられるのを目の当たりにしている。伝統的に軍に入隊するタイプの人々は、軍にはびこる目覚めたミーム(流行)に嫌悪感を抱いている。つねに軍隊を支えてきた白人男性は、盛んに差別されることに愕然としている。</div><div><br /></div><div>米国の覇権は、財政的にも経済的にも軍事的にも終わりつつある。</div><div><br /></div><div>バイデン(大統領)とハリス(副大統領)というまったく無能で無力な愚か者が政府の名目上のトップであることを見れば、それは明らかだ。言うまでもなく、閣僚は劣化し、心を病んだ者ばかりだ。もちろん、もう誰も米国を尊敬していない。</div><div><br /></div><div>過去100年にわたる米国の覇権は消えつつある。古い秩序が変わるにつれ、動揺が生じるだろう。米国は、他の勢力によって埋められる空白を残すだろう。</div><div><br /></div><div>実際、米政府は今日の世界にとって最大の脅威だ。秩序を提供していない。どこでも他人の仕事に首を突っ込むことで、混乱を助長している。世界中にある800以上の基地は挑発行為だ。徘徊している空母群は、今日の技術では格好のカモだ。米国は世界のリスクの主な源であり、安全の源ではない。</div><div><br /></div><div>米国の軍事費は、実際には5大「防衛」企業への助成にすぎず、これら企業は前の戦争か、その前の戦争を戦うのにしか適さない兵器を製造している。例えば、空母を守るミサイル・フリゲート艦や駆逐艦は、1発200万ドルの垂直発射対空ミサイルを100発搭載しているかもしれない。各ミサイルは1万ドルのドローンの撃墜に成功するかもしれない。しかし、敵が一度に200機のドローンを発射したらどうなるだろうか。空母はともかく、20億ドルの駆逐艦を失う可能性がある。</div><div><br /></div><div>米政府は、世界中の国や人々から嫌われているだけでなく、軽んじられていることに気づいている。米政府はますます、張り子の虎とみなされている。つまり、(童話に登場する見かけ倒しの)オズの魔法使いだ。怖がられなくなれば、ゲームオーバーだ。</div><span><a name='more'></a></span><div><br /></div><div><b>インターナショナル・マン</b> 2023年、米国は政治的な二極化の傾向をさらに強めました。</div><div><br /></div><div>米国の政治面で最も重要な出来事は何でしたか。そして次に何が起こると思いますか。</div><div><br /></div><div><b>ダグ・ケイシー</b> 米政府を支配しているジャコバン派は、私が言及した過去の革命家と同じ心理構造を持っていることを再度強調しておこう。</div><div><br /></div><div>この人々は考えを変えたり、改革したりすることができない。権力を維持するためなら、どんなことでもするだろう。</div><div><br /></div><div>一方、赤の州(共和党が優勢な州)に住む伝統的な米国人たちは、トランプ氏の大統領選を頓挫させようと同氏が法廷闘争に追い込まれるのを見ている。この人たちはこれまで以上に怒っている。今時点で、赤い人々(共和党支持者)と青い人々(民主党支持者)は本当に憎み合っており、互いに話し合うことができない。</div><div><br /></div><div>伝統的な価値観が洗い流され、国は完全に士気を失っている。今、この国は非常に不安定だ。</div><div><br /></div><div>来るべき選挙は、政治の争いにとどまらず、文化の争いになるだろう。文化戦争は、金融崩壊と経済崩壊の真っ只中にあっては特に危険なものだ。</div><div><br /></div><div><b>インターナショナル・マン</b> 2023年、米連邦債務の年間利払い見通しが初めて1兆ドルに達しました。</div><div><br /></div><div>米国人はコロナヒステリーでドルの価値が下落したツケをまだ払い続けており、食料品、保険、家賃、その他ほとんどのものの値段が2023年も上昇し続けました。</div><div><br /></div><div>2023年の経済情勢についてどうお考えですか。また、今後数カ月の見通しについてお聞かせください。</div><div><br /></div><div><b>ダグ・ケイシー</b> 歴史の素人ながら、米国は100年以上にわたって、自らをユニークな国にしてきた建国の理念から遠ざかっているように思う。今77歳だが、その間ずっと、この状況を目の当たりにしてきた。</div><div><br /></div><div>その傾向は加速している。</div><div><br /></div><div>哲学的な足場を失ったことで、この国は大規模な危機に向かっている。その結果、本当に深刻な恐慌が起こるだろう。私はこれを「大々恐慌」と呼んでいる。</div><div><br /></div><div>数百万ドルの家に住む持てる者と、テントで暮らす持たざる者の間の格差は、今に始まったことではない。結局のところ、イエスは「貧しい人たちはいつもあなたがたと一緒にいる」と言われたのだ。新しいのは、中産階級が貧困化していることであり、中産階級に残っているのは、深い負債を抱えた人々だ。学生ローン、クレジットカード、自動車ローン、住宅ローン。住宅ローンを抱えて家を持つほど幸運でない場合は、賃貸住宅に住んでいる。家賃は急速に上昇しており、普通の人々は500ドルの不測の出費があっても、それを支払うことができない。</div><div><br /></div><div>これは消費に悪影響だ。米経済は消費で成り立っているといわれるが、それは愚かな主張だ。米経済は生産で成り立っているというべきだからだ。しかし米国はもはや大して生産しているとは思えない。</div><div><br /></div><div>「働く」人々のほとんどは、ほぼデスクに座って書類をシャッフルしている。本当の富を活発に生み出している人はほとんどいない。</div><div><br /></div><div>そのうえ、この国は金融化が進みすぎている。</div><div><br /></div><div>債券市場はすでに大きく崩壊しているが、金利が1980年代初頭以降の水準に戻れば、さらに悪化する可能性がある。</div><div><br /></div><div>高金利のせいで、また人々が企業の生産物を大量に消費しなくなるせいで、株価は大幅に下がるだろう。</div><div><br /></div><div>不動産市場は負債の上に成り立っている。金利が上昇すれば、簡単に破綻する。すでに全米のオフィスビルがそうなっている。そしてもちろん、これらのオフィスビルは銀行から融資されている。銀行は融資したローンの債務不履行が相次ぐだろう。</div><div><br /></div><div>一方、ゼロ近くから5%、6%に上昇した金利に比例して債券価格は下落するため、債券に投資した銀行の資本は目減りしている。もし銀行が融資や資本投資を時価評価しなければならないとしたら、ほとんどの銀行はすでに倒産しているだろう。</div><div><br /></div><div>政府はさらに紙幣を刷って、これらすべてを帳消しにできるのだろうか。できるかもしれない。</div><div><br /></div><div>しかし、やがてドルは急速に価値を失い、熱いジャガイモのように扱われるだろう。政府は窮地に立たされているのだ。</div><div><br /></div><div><b>インターナショナル・マン</b> 今年は金価格が史上最高値を更新し、ウランは1ポンド81.25ドルに達し、暗号資産(仮想通貨)のビットコインは新たな強気相場に入って2倍以上になりました。一方、S&P500種株価指数はこの記事を書いている現在、年初来で約21%上昇しています。</div><div><br /></div><div>2023年に金融市場で起こったこと、そして次に起こりうることについてどうお考えですか。</div><div><br /></div><div><b>ダグ・ケイシー</b> 残念ながら、米国の中央銀行である連邦準備理事会(FRB)は市場に巨大な影響力がある。</div><div><br /></div><div>FRBはお金を刷る「量的緩和」も、お金を減らして人為的に金利を上げる「量的引き締め」もできる。</div><div><br /></div><div>博士号を持つ経済学者が何百人も在籍しているが、全員が世界の仕組みに関する<a href="https://libertypressjp.blogspot.com/2016/08/blog-post_27.html">インチキ・ケインズ理論</a>に基づいて動いている。紙幣と巨額の負債を土台に経済体系を構築した結果は、破滅的なものになる恐れがある。</div><div><br /></div><div>現時点では、経済はカミソリの刃の上にある。印刷ボタンを押し、それを長く押し続ければ、インフレが暴走するかもしれない。あるいは、インフレを抑えるために金利を引き上げ、マネーサプライ(通貨供給量)を縮小させ、1929年のような信用崩壊を引き起こすかもしれない。</div><div><br /></div><div>私たちは今、スキュラとカリュブディス(ギリシャ神話に登場する2匹の怪物)の狭間にいる。ソフトランディング(軟着陸)かハードランディング(硬着陸)かという問題ではない。不時着がどれほど壊滅的なものになるかが問題なのだ。</div><div><br /></div><div>このような状況からもう一度、好景気が生まれればと願っている。個人的には、たとえ人為的なものであっても、悪い時より良い時のほうが好きだからだ。悪い時代は現実になりそうだしね。</div><div><br /></div><div>Doug Casey On What Really Happened In 2023 And What Comes Next | ZeroHedge [<a href="https://www.zerohedge.com/political/doug-casey-what-really-happened-2023-and-what-comes-next">LINK</a>]</div>木村 貴http://www.blogger.com/profile/17219070463990429317noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-4704473980536231557.post-81121864861594230402023-12-28T12:00:00.004+09:002023-12-28T12:00:00.240+09:00メディアの表現、パレスチナの苦しみを矮小化<div style="text-align: right;">ミドルイースト・アイ</div><div style="text-align: right;">(2023年12月25日)</div><div><br /></div><div>世界的な出来事を報道する場合、言葉の使い方や用語の選択は重要な意味を持つ。言葉には、意見を動かしたり変えたり、イメージを暗示したりほのめかしたりする力があり、時には起きていることの程度を軽く見せることもある。</div>
<blockquote class="twitter-tweet"><p dir="ltr" lang="en">How language used by media outlets downplays Palestinian suffering<a href="https://t.co/TG4nMGiB2p">https://t.co/TG4nMGiB2p</a> <a href="https://t.co/wfLT7mLzPP">pic.twitter.com/wfLT7mLzPP</a></p>— Middle East Eye (@MiddleEastEye) <a href="https://twitter.com/MiddleEastEye/status/1739247515571023967?ref_src=twsrc%5Etfw">December 25, 2023</a></blockquote> <script async="" charset="utf-8" src="https://platform.twitter.com/widgets.js"></script>
<div>イスラエルとパレスチナの関係に関しては特にそうであり、活動家や人権運動家は、言葉の選択や受動態の使用について、報道機関にたびたび苦言を呈している。</div><div><br /></div><div>10月7日にパレスチナ自治区ガザで新たに戦闘が始まって以来、さまざまな報道機関、解説者、記者が報道で使用する用語に、注目が集まっている。</div><div><br /></div><div>米在住の言語学者でジャーナリストのアブドゥルカダー・アサド氏は、イスラエルのガザ攻撃に関する現在の報道について、言語は意味や意見を歪めるために操作することができるという。</div><div><br /></div><div>「言語は戦場の外では最も強力な道具であり、西側メディアはそれを知っていて、イスラエルに有利になるようにうまく使っている」とアサド氏はミドルイースト・アイに語った。</div><div><br /></div><div>同氏によれば、語彙の選択は、ニュースやその他のメディア報道の読者や視聴者に心理的、感情的な影響を与え、その人たちの意見に影響を与える可能性があるという。</div><div><br /></div><div>「西側メディアがイスラエル占領軍によるガザへの戦争について報道する際、見出しや冒頭の段落を『フレーミング』するのは、意図的に意見を揺さぶり、ガザとその住民全体が『武装勢力』であるという認識を定着させるためだ。こうして砲撃と殺害が正当化される」という。</div><div><br /></div><div>ガザに対する戦争は、10月7日にハマス主導でイスラエルが攻撃され、約1200人が死亡した後に始まった。</div><div><br /></div><div>これに対し、イスラエル軍はそれ以来、攻撃で2万人以上のパレスチナ人を殺害してきた。その過程で、住居の建物、礼拝所、学校は空爆によって破壊され、イスラエルは10月9日以来、包囲された飛び地であるガザへの燃料、水、食料、電気の供給をすべて遮断している。</div><div><br /></div><div>アサド氏によれば、英語学でいうところの「フレーミング」とは、意思決定に影響を与えるために特定の情報を提示する方法を指す。</div><div><br /></div><div>例えば、12月20日付のウォールストリート・ジャーナル紙の記事だ。「ハマス、イスラエルとの戦争終結に向けた計画を開始」という見出しである。この見出しはその後編集された。</div><div><br /></div><div>「この見出しは、ハマスがイスラエルに対して『戦争』を始めたという概念を伝えるために、ウォールストリート・ジャーナル紙によって強力にフレーミングされている」とアサド氏はいう。</div><div><br /></div><div>同氏はまた、この見出しは「言葉の偏見」の一例だともいう。</div><div><br /></div><div>「これはハマスがイスラエルとの戦争を始め、それを終わらせるつもりだと読者に信じ込ませるためのものだ」</div><div><br /></div><div>これはイスラエルを戦争の受動的な犠牲者として見せ、現在2カ月以上続いている不当な反撃を伝えていないため、問題があるという。</div><div><br /></div><h3 style="text-align: left;"><span style="color: #2b00fe;">パレスチナ人の人間性を奪う</span></h3><div><br /></div><div>主流メディアの報道のもう一つの問題は、受動態の使い方だと言語学者らはいう。</div><div><br /></div><div>エジプトを拠点とする作家で言語学者のララ・ギブソン氏は、受動態はしばしばパレスチナ人の犠牲者の人間性を奪うという。</div><div><br /></div><div>「西側の報道機関では、パレスチナ人が受動態で描写され、被害者の自主性を奪うことで人間性を奪っているのを何度も目にしてきた。同時に、イスラエルは一般的に能動態で記述され、西側の読者にイスラエルの言い分を支持し、その行動を正当化することができると思わせる」。ギブソン氏はミドルイースト・アイに語った。</div><div><br /></div><div>アサド氏も同意見で、パレスチナの苦しみを軽視するだけでなく、イスラエルの犯罪を軽視することにもなりかねないという。</div><div><br /></div><div>西側メディアは意図して「婉曲表現」を使い、イスラエルの戦争犯罪行為を表す厳しい言葉の真実を覆い隠している。</div><div><br /></div><div>「西側メディアが受動態を使う際、情報を完全なものにするために必要な『誰が』『誰に』『何を』したという原則をわざと無視する」</div><div><br /></div><div>「メディアは受動態を使って真実から逃れ、イスラエルの戦争犯罪を疑わしく見せている」</div><div><br /></div><div>アサド氏はロイター通信の一例を挙げ、10月13日に同通信のフォトジャーナリスト、イッサム・アブダラ氏が殺害された事件を報じた際、「イスラエル軍を無罪放免にした」という。</div><div><br /></div><div>ロイターの見出しはこうだ。「ロイターの映像カメラマン、イッサム・アブダラ氏がレバノン南部で勤務中に殺害された」</div><div><br /></div><div>「こうすれば、読者は誰がイッサムさんを殺したのかわからないし、もちろん、イスラエル軍がジャーナリストを殺したという事実を隠蔽するのに最も適している。この見出しを見た読者は、ジャーナリストが殺されたという事実を『記憶』するが、それをやった犯人を記憶することはない」とアサド氏はいう。</div><div><br /></div><h3 style="text-align: left;"><span style="color: #2b00fe;">あいまいな言葉 </span></h3><div><br /></div><div>今回の報道では、イスラエル軍とハマスが同列であることをほのめかしたり、あいまいな表現を使って責任をなすりつけるような言葉遣いが問題視されている。</div><div><br /></div><div>「ガザに対する壊滅的な攻撃については、いくつかの大手メディアが意図してあいまいな表現を使っているが、それとは対照的に、10月7日のイスラエルに対する攻撃については、信じられないほどはっきりとした描写で、暗にイスラエルの大義を支持している」とギブソン氏はいう。</div><div><br /></div><div>「『戦争』といった用語は、イスラエルによる大量虐殺ではなく、対等な争いをほのめかしている」と同氏はいう。</div><div><br /></div><div>オックスフォード・ランゲージズによる戦争の定義は、「異なる国または国内の異なる集団間の武力紛争状態」である。 </div><div><br /></div><div>米ニュースサイト、アクシオスの今年初めの報道によれば、イスラエルは年間200億ドルを超える軍事予算があり、米国の最新鋭の軍備を利用できる。イスラエルはまた、領土周辺の空と海の大部分を支配している。</div><div><br /></div><div>イスラエルは「ハマス排除」のためにガザにいると主張している。しかし、兵士たちは無誘導爆弾、無人爆撃機による空爆、ブルドーザーなどを使って民間人を標的にしている。</div><div><br /></div><div>一方、ハマスの武装組織であるカッサム旅団は、ロケット弾、狙撃手、自家製爆薬を使ったゲリラ戦法に頼っている。</div><div><br /></div><div>したがって、「戦争」という言葉を使うと、カッサム旅団もイスラエルも同じような力を持ち、ガザは包囲された飛び地ではなく国であることを意味し、起きている暴力の本質をあいまいにしてしまう、とギブソン氏は主張する。</div><div><br /></div><div>「『ハマスの武装勢力』という言葉は、イスラエルがパレスチナ市民の虐殺を正当化するために自由に使っていることから、イスラエルによってさらに武器化されている」と同氏はいう。</div><div><br /></div><div>また、一部の報道機関は「ガザの武装勢力」という言葉を使うことにしているが、これは包囲された飛び地の住民と攻撃を行っている人々を混同させ、そこにいる市民と否定的な関連付けをする危険性がある。</div><div><br /></div><div>アサド氏は、これは婉曲表現になりうると考えている。</div><div><br /></div><div>「これは不快な話題を和らげる言葉や表現だ。比喩的な言葉を使うことで、ある状況に正面から向き合うことなく、言及するのだ」と同氏は言う。</div><div><br /></div><div>広く使われている例としては、「殺される」の代わりに「死ぬ」という言葉を使うことだという。これは12月19日の英BBCの見出しにあった。</div><div><br /></div><h3 style="text-align: left;"><span style="color: #2b00fe;">不正確な用語</span></h3><div><br /></div><div>今回の報道では、不正確な用語や言い回しが使われていると指摘する声もある。</div><div><br /></div><div>そのひとつが、死傷者に関するさまざまな報告を引用する際に、パレスチナ保健省を「ハマス保健省」と呼んでいることだ。</div><div><br /></div><div>この呼称は正確ではない。ハマス組織は同省の文書作成には関与していないし、パレスチナ保健省はカイラ保健相を含め、占領下のヨルダン川西岸の都市ラマラを拠点に報告書を監督する、他の当局者と緊密に連携しているからだ。</div><div><br /></div><div>ハマスによるものということで、バイデン米大統領を含む一部の人々は、同省が発表する数字の妥当性や信頼性を疑問視している。</div><div><br /></div><div>アメリカ・イスラム関係評議会は、バイデン大統領がこの数字は信用できないと発言したことを受け、「衝撃的で非人間的な発言」に対して謝罪するよう求めた。</div><div><br /></div><div>パレスチナ保健省は、公表文書に関し信頼できることが証明されている。イスラエルがアルアハリ・アラブ病院を爆撃した後、殺害された人々のフルネームと詳細を記載した、殺害された人の数が疑問視された。</div><div><br /></div><div>文書に記載された情報は、各人の識別情報を含む内訳を示していた。</div><div><br /></div><div>報告書には、7028人の名前と性別、年齢、ID番号が記載されていた。</div><div><br /></div><div>多くの専門家は、パレスチナ保健省が提供した数字は、その入手方法、情報源、過去の発表の正確さから、信頼できると考えている。</div><div><br /></div><div>国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチのイスラエル・パレスチナ担当ディレクター、オマール・シャキール氏はワシントン・ポスト紙に対し、同省の数字は「一般的に信頼できることが証明されている」と語った。</div><div> </div><div>「特定の攻撃に関する数字を独自に検証したことがあるが、大きな食い違いがあったことはない」と同氏はつけ加えた。</div><div><br /></div><div>War on Gaza: How language used by media outlets downplays Palestinian suffering | Middle East Eye [<a href="https://www.middleeasteye.net/news/war-gaza-how-media-language-manipulated-justify-killing-palestinians-and-used-dehumanise-them">LINK</a>]</div>木村 貴http://www.blogger.com/profile/17219070463990429317noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-4704473980536231557.post-73501905670193299162023-12-27T12:00:00.000+09:002023-12-27T12:00:00.244+09:00北朝鮮非核化という空想<div style="text-align: right;">ケイトー研究所主任研究員、ダグ・バンドウ</div><div style="text-align: right;">(2023年12月19日)</div><div><br /></div><div>世論調査では、2024年の米大統領選でドナルド・トランプ氏がジョー・バイデン氏を上回っており、ワシントンの政策立案者たちは、再びトランプ政権が誕生する可能性を考えている。</div>
<blockquote class="twitter-tweet"><p dir="ltr" lang="en">The best way to at least moderate the North Korean nuclear threat would be to abandon the CVID campaign and instead promote arms control, meaningful and verifiable limits on the DPRK’s program in exchange for sanctions relief, writes <a href="https://twitter.com/Doug_Bandow?ref_src=twsrc%5Etfw">@Doug_Bandow</a> <a href="https://t.co/DENsoqKmWy">https://t.co/DENsoqKmWy</a></p>— Responsible Statecraft (@RStatecraft) <a href="https://twitter.com/RStatecraft/status/1737661667545333977?ref_src=twsrc%5Etfw">December 21, 2023</a></blockquote> <script async="" charset="utf-8" src="https://platform.twitter.com/widgets.js"></script>
<div>米国の外交政策に劇的な変化が起こるのは間違いない。北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国、DPRK)に対するワシントンの取り組みもそのひとつだ。</div><div><br /></div><div>政治専門サイト、ポリティコは報じた。「ドナルド・トランプ氏は、北朝鮮に核兵器を保持させ、新たな爆弾の製造を止めるための経済動機を提供する計画を検討している。トランプ氏の考えに詳しい3人の人物が明らかにした」</div><div><br /></div><div>これは、北が核兵器を放棄するという数十年にわたる国際的な主張を覆すもので、一般にCVID(完全で検証可能かつ不可逆的な非核化)と呼ばれている。これまでは、この政策に疑問を投げかけると、朝鮮半島ウォッチャーたちの間で激しい慟哭と歯ぎしり、衣服の引き裂きが起こっていた。</div><div><br /></div><div>従来の常識では、北朝鮮の核兵器が増え続けているにもかかわらず、米国は最後まで、あるいは必要であればその先まで、断固として立ち向かわなければならない。見積もりは大きく異なるものの、北朝鮮は少なくとも45~55発、おそらくその2倍の核兵器を製造できるだけの核分裂性物質を保有している。</div><div><br /></div><div>さらに、北朝鮮は核兵器を増やし続けている。物議を醸したある研究では、北朝鮮は今後数年間で242発もの核兵器を保有する可能性があると警告している。これはイスラエル、パキスタン、インド、英国をしのぐ規模である。</div><div><br /></div><div>北朝鮮が非核化するとは、事実上誰も信じていない。現存する核兵器を廃絶したのは、わずか6発の核兵器を保有した(もう1発は建設中だった)南アフリカだけである。北朝鮮の武装解除には、金王朝を倒すか崩壊させる必要がある。北朝鮮に関しては、空想が政策になったように見える。</div><div><br /></div><div>しかしトランプ氏は北朝鮮に関して、これまでの常識を覆す用意があるようだ。またしてもである。トランプ大統領は2017年に戦争を予告した後、金正恩総書記との首脳会談に転じたが、この切り替えはワシントンで広く非難された。交渉人としてのトランプ氏への不信感が広がり、同氏が成功してCVID以外のものに合意することが最も恐れられた。2019年のハノイ・サミットが合意に至らずに決裂した後、金氏は、完全な非核化への確約なしにトランプ氏が<a href="https://libertypressjp.blogspot.com/2022/11/blog-post_03.html">経済制裁</a>の緩和には応じないと判断したようだ。そして金氏は米国(と韓国)との対話を打ち切った。</div><div><br /></div><div>バイデン米大統領はCVIDを主張し続け、北朝鮮に対し再び核実験を行わないよう指図している。金総書記は、時には懇願に近い接触提案をしたにもかかわらず、対話を拒否している。むしろ金氏は、弾道ミサイルの<a href="https://libertypressjp.blogspot.com/2022/10/blog-post_26.html">発射実験</a>、人工衛星の打ち上げ、潜水艦発射兵器や戦術兵器の開発、核兵器の先制使用の威嚇など、北朝鮮の核戦力を拡大している。</div><div><br /></div><div>これらの努力は、今やロシアによって支援されているのかもしれない、ロシアはウクライナ戦争のために砲弾やおそらくそれ以上のものを供給するため、北に依存している。</div><div><br /></div><div>未来は楽観できない。昨年、最高人民会議が北の核保有を法制化した後、金正恩氏は「核兵器が地球上に存在し、帝国主義と米国とその追随勢力による反北朝鮮工作が続く限り、我々の核戦力強化への道は決して終わらない」と宣言した。</div><div><br /></div><div>この方針は「不可逆的」だと金氏は付け加えた。核抑止力を強化するのは、米政府との会談に備えるためだろう。おそらく、制裁緩和と核の制限を交換することを提案しているのだろう。</div><div><br /></div><div>政策立案者たちは、ほぼ一様にこの方針を拒否している。軍備管理では米政府が望む非核化は実現しないからだ。しかし、それでも北朝鮮が核兵器の保有量を増やし続け、パキスタンに代わって世界的な「核兵器保有国」になるよりは、はるかにましだろう。しかし、評論家たちにとってはそんなことは問題ではない。</div><div><br /></div><div>北朝鮮は核兵器を持つことはできないと主張する者もいる。もちろん持つべきではないが、歴代の米大統領はその点を繰り返し、北朝鮮を紛れもない核保有国として放置してきた。</div><div><br /></div><div>もう一つの主張は、CVIDを廃棄すれば核不拡散体制が損なわれるというものだ。しかし核不拡散の真の課題は、北朝鮮が核兵器を保有していることであり、その現実を米国が認めていることではない。</div><div><br /></div><div>もう一つの主張は、韓国と日本が北の非核化に対する米国の取り組みを疑うだろうというものである。しかし北朝鮮が非核化の目標を拒否すれば、米国の態度はほとんど問題にならない。同盟の協力にやみくもな独断専行は必要ない。</div><div><br /></div><div>一部のアナリストが最も恐れるのは、北の核保有を認めることで、韓国で自前の核抑止力に対する支持が高まることである。繰り返すが、北朝鮮が核兵器を保有していないように装っても、核兵器が消えるわけではない。米政府の無様なCVID政策は、北からの核の脅威と米国の軍事対応の意志を心配する韓国人を慰めることはないだろう。</div><div><br /></div><div>実際、米国の軍事対応の意志は、今日のダチョウ政策(安全保障上の危機を直視しようとしないこと)にとって最大の問題である。北朝鮮が核兵器とその運搬手段を拡大していることは誰もが知っている。韓国民は、もし戦争になった場合、米国が米本土と場合によっては何百万人もの米国人の命を危険にさらしてでも韓国を守ろうとしている限り、CVIDが重大な目的だという見せかけを受け入れるかもしれない。</div><div><br /></div><div>しかし残念なことに、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の訪米から生まれた「ワシントン宣言」は、魔法のような思考だった。両政府はこう発表した。「韓国は米国の拡大抑止の取り組みを全面的に信頼し、米国の核抑止力への永続的な依存の重要性、必要性、利益を認識する」</div><div><br /></div><div>すばらしい言い回しであり、両大統領の仲の良さを考えれば驚くにはあたらない。しかし北朝鮮の軍備が高度化すればするほど、この政策は信用できなくなる。</div><div><br /></div><div>北朝鮮は米国に先制攻撃を仕掛けるつもりはない。実際、米国が韓国に安全保障を保証し、軍隊を駐留させなければ、北朝鮮はベルギーや、率直にいってインドやオーストラリアよりも米国に注意を払うことはないだろう。しかし米国は北を攻撃する用意があり、戦争になればほぼ間違いなく金王朝を転覆させようとするだろう。</div><div><br /></div><div>したがって北朝鮮は、戦術兵器と戦略兵器をミックスし、戦略兵器を潜水艦ミサイルと陸上ミサイルに分散させ、陸上ミサイルには複数の弾頭を搭載するという、拡大抑止力を望んでいるのだ。では、米国より韓国を優先するような無謀で非合理的な米大統領がいるだろうか。自国を十分に守ることができる韓国を守ることは、何百万人もの米国人の命を危険にさらすに値しない。</div><div><br /></div><div>要するに、北朝鮮が米本土を脅かすという信憑性が高まれば、いくら大統領のカラオケを披露しても、拡大抑止力に対する信頼を維持することはできないだろう。少なくとも北朝鮮の核の脅威を和らげる最善の方法は、CVID政策を放棄し、代わりに軍備管理を推進し、制裁の緩和と引き換えに、北朝鮮の核計画に意味のある検証可能な制限を設けることだろう。そして、早急にそうすることである。</div><div><br /></div><div>少なくとも、現実的な目標を設定することで、成功する可能性は高まるだろう。そして、外交が北を抑制すれば、米国は将来の交渉でCVIDを復活させることができるだろう。おそらく北朝鮮の政策、指導者、<a href="https://libertypressjp.blogspot.com/2018/08/blog-post_29.html">体制</a>はいずれ変わるだろう。</div><div><br /></div><div>トランプ氏の外交政策上の間違いは数多くあったが、北の核問題に関しては、ほとんどの外交政策アナリストに比べれば先見の明があった。それは誰もが望むような形ではなく、ありのままの北朝鮮に対処する意志があると報じられたことでもわかる。北朝鮮は核保有国である。今こそその現実に立ち向かうときだ。</div><div><br /></div><div>Why Trump is right about North Korea | Responsible Statecraft [<a href="https://responsiblestatecraft.org/donald-trump-north-korea/">LINK</a>]</div><div><br /></div><div>【訳者コメント】北朝鮮が弾道ミサイルを発射するたびに、日米韓は「強く非難」し、「挑発行為」をやめ、「(非核化に向けた)前提条件をつけない対話」に応じるよう求める。しかしバンドウ氏が指摘するように、そもそも北朝鮮がミサイル発射実験を繰り返すのは、米国やその「追随勢力」である日韓が北朝鮮の一方的な核放棄という非現実的な要求にこだわり、近隣での軍事演習という「挑発行為」や経済制裁をやめようとしないからだ。トランプ氏が大統領に返り咲くことで北朝鮮との緊張緩和が進むのであれば、期待したい。</div>木村 貴http://www.blogger.com/profile/17219070463990429317noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-4704473980536231557.post-39085604467890493582023-12-26T12:00:00.128+09:002023-12-27T08:30:19.217+09:00第一次世界大戦のクリスマス休戦<div style="text-align: right;">作家、ウィル・グリッグ</div><div style="text-align: right;">(2017年12月25日)</div><div><br /></div><div>1914年8月、欧州の大国は嬉々として戦争に身を投じた。巨大な野望を抱く新興国ドイツは、ロシアが動員される前にフランスを迅速に牽制し、二正面戦争の見通しを回避しようと、ベルギーを横断した。何千人もの若いドイツ人が、6週間の紛争を予期し、楽観的な歌詞を歌いながら部隊列車に乗り込んだ。「パリへ小旅行。シャンゼリゼ通りでまた会おう」</div>
<blockquote class="twitter-tweet"><p dir="ltr" lang="en">The Christmas Truce of World War I by Will Grigg<br /><br />For a tragically short time, the Spirit of the Prince of Peace drowned out the murderous demands of the State.<br />In August 1914, Europe’s major powers threw themselves into war with gleeful abandon. Germany, a rising power with… <a href="https://t.co/zWYDPrDiJI">pic.twitter.com/zWYDPrDiJI</a></p>— Scott Horton (@scotthortonshow) <a href="https://twitter.com/scotthortonshow/status/1738942131085980139?ref_src=twsrc%5Etfw">December 24, 2023</a></blockquote> <script async="" charset="utf-8" src="https://platform.twitter.com/widgets.js"></script>
<div>フランスは1870年にアルザスとロレーヌをドイツに奪われた復讐に燃えていた。ドイツの勢力が拡大するのを警戒していた英政府は、「フン族に教訓を与える」ために何十万人もの若者を動員した。英歴史家サイモン・リーズ氏によれば、大陸全域で「何百万人もの軍人、予備役、志願兵が……戦旗に熱狂的に駆け寄った。……その雰囲気は、争いというよりむしろ休暇のようであった」。</div><div><br /></div><div>各陣営とも、クリスマスまでには勝利すると期待していた。しかし12月に入ると、フランスとベルギーを何百マイルも縦断する塹壕が立ち並ぶ西部戦線は拮抗状態に陥った。戦線のある地点では、両軍の距離は1メートルも離れていなかった。粗末な堡塁は、白っぽい灰色の泥土に大きな溝を掘っただけのものだった。冬の装備も整っていない兵士たちは、人間が快適に過ごすには冷たすぎるが、凍るには暖かすぎる汽水の中をのろのろと歩いた。</div><div><br /></div><div>ノーマンズランド(中間地帯)に指定された未開拓地には、戦争のひどい残滓が散乱していた。使用済みの弾薬と、弾薬が使われた人々の生気のない死体である。有刺鉄線のフェンスには、多くの戦死した兵士の亡骸がグロテスクに編み込まれていた。村や家は廃墟と化していた。廃墟と化した教会が軍事基地として使われていた。</div><div><br /></div><div>損害が増え、膠着状態が固まるにつれ、双方の戦争熱は冷め始めた。西部戦線に投入された兵士の多くは、最初の血に飢えた熱狂には屈しなかった。フランス軍、ベルギー軍、英国軍とともに戦ったのは、インドから来たヒンズー教徒やシーク教徒、ヒマラヤのネパール王国から来たグルカ兵だった。</div><div><br /></div><div>これら植民地徴兵兵は、祖国から輸送され、冬のベルギーのキャベツ畑を切り開いた塹壕に配備された。スコットランド高地出身者も戦線におり、12月の厳しい寒さに負けず、誇らしげにキルトを着用していた。</div><div><br /></div><div>ドイツ軍は、好色なユンカー貴族を代表するプロイセンのエリート将校が率いていた。ドイツ軍にはバイエルン人、ザクセン人、ウェストファーレン人、ヘッセン人の予備兵がおり、その中には英国に住んでいた、あるいは英国で生まれ、完璧な英語を話す者も少なからずいた。散り散りになっていたドイツの諸邦を統合しようとした(ドイツ帝国宰相)<a href="https://libertypressjp.blogspot.com/2021/09/blog-post_08.html">ビスマルク</a>の努力にもかかわらず、多くのドイツ軍兵士は、彼らにとって抽象的なドイツ国家よりも、自分たちの地域社会に愛着を持ち続けていた。</div><div><br /></div><h3 style="text-align: left;"><span style="color: #274e13;">戦友たち</span></h3><div><br /></div><div>凍てつくような雨に打たれ、腐敗した仲間の遺体に囲まれながら、両軍の兵士たちは寒々とした腐敗した下水道に身を投じ、厳しい軍規を守っていた。12月7日、ローマ教皇ベネディクト15世はクリスマスの停戦を呼びかけた。この提案は、両陣営の政治・軍事の指導者たちから熱狂的な支持をほとんど得られなかった。しかし、疲弊しきっていた前線部隊は違った。</div><div><br /></div><div>12月4日付の英国第2軍団司令官からの通達は、戦線に蔓延していた「生かされて生きる人生論」を非難していた。敵対する部隊の間にあからさまな友好関係はほとんど見られなかったが、それと同様に、優位に立つ可能性のある相手に圧力をかける主体性もほとんど見られなかった。食事の時間には双方とも発砲せず、ノーマンズランドでは友好的な会話が頻繁に交わされた。エジンバラ・スコッツマン紙に掲載された手紙の中で、英王立工兵隊のアンドリュー・トッドは、自分がいた戦線沿いの兵士たちが「ある場所では60ヤードしか離れていなかったが……非常に『親密』になっていた」と伝えた。</div><div><br /></div><div>兵士たちは相手に鉛を投げつけるのではなく、時には新聞(石で重くしたもの)や配給缶を戦線を横切って投げつけた。侮辱の砲撃もときどき起こったが、それは「ロンドンのタクシー同士が軽い衝突事故を起こした後よりも、概して敵意は小さかった」とクイーンズ・ウエストミンスター連隊のレスリー・ウォーキントンは報告している。</div><div><br /></div><div>12月に入ると、前線部隊の戦闘意欲は衰えた。クリスマスが近づくにつれ、敵陣を越えて親善の仕草が散見されるようになった。クリスマスの約1週間前、アルマンティエール近郊のドイツ軍は、「素晴らしい」チョコレートケーキを戦線を越えて英国側に差し出した。そのおいしい平和の捧げものには、驚くべき招待状が添えられていた。</div><div><br /></div><div><blockquote>今夜は大尉の誕生日なので、コンサートを開こうと思う。ただし、7時30分から8時30分までの間に敵対行為を停止することに同意するよう、客人として約束してくれることを条件とする。……我々が7時30分ちょうどに塹壕の端でキャンドルとフットライトに火を灯すのを見たら、安心して塹壕の上に頭を出してくれていい。我々も同様にし、コンサートを始める。</blockquote></div><div><br /></div><div>コンサートは時間通りに進行し、目撃者の証言によれば、ほおひげを生やしたドイツ軍兵士たちが「クリスティ・ミンストレルズ(米国の大衆芸能団)のように」歌ったという。一曲ごとに英軍から熱狂的な拍手が起こり、ドイツ兵は「一緒に歌おう」と英国軍を誘った。ある英国兵は大胆にも、「ドイツ語を歌うくらいなら死んだほうがましだ」と叫んだ。この軽口に対して、ドイツ軍からは気さくな返事が即座に返ってきた。「そんなことをしたら、おれたちが死んでしまう」。コンサートは「ラインの守り」の熱唱で幕を閉じ、クリスマス前の短い休息が終わったことを告げる、暗くなりかけた空をわざと狙った数発の銃声で締めくくられた。</div><div><br /></div><div>戦線の他の場所では、倒れた兵士を収容し、適切な治療を施したり埋葬したりするための準備が進められていた。</div><div><br /></div><div>第2クイーンズ・ウエストミンスター連隊のジェフリー・ハイネキー中尉は、母親に宛てた手紙の中で、12月19日に起こったそのような出来事の一つを紹介している。「何人かのドイツ兵が外に出てきて手を挙げ、負傷者を収容し始めたので、僕たちもすぐに塹壕から出て負傷者を収容し始めました。ドイツ兵が手招きしたので、多くの者がドイツ兵のところに行って話をしました。そのうちの何人かと話しましたが、非常に立派な人たちでした。……言葉では言い表せないほど皮肉なことでした。前夜、僕たちは凄まじい戦いを繰り広げていましたが、その翌朝、僕たちは彼らのタバコを吸い、彼らは僕たちのタバコを吸っていました」</div><span><a name='more'></a></span><div><br /></div><h3 style="text-align: left;"><span style="color: #274e13;">中間地帯でサッカー</span></h3><div><br /></div><div>やがて戦線では、クリスマスにちなんだ正式な停戦の話が持ち上がった。この案もまた、上層部の抵抗に遭った。歴史家スタンリー・ワイントラウブ氏は著書『きよしこの夜——第一次世界大戦クリスマス休戦の物語』でこう語る。</div><div><br /></div><div><blockquote>ほとんどの上層部は、以前ちらほらと親睦を深めていたとき、見て見ぬふりをしていた。しかし、クリスマスの休戦は別問題だった。クリスマスの週に行動を緩めれば、観念的な熱狂に欠ける部隊の犠牲的精神が損なわれる恐れがあった。宣伝担当者の努力にもかかわらず、ドイツ軍予備兵はほとんど憎しみを示さなかった。ドイツ軍を軽蔑するよう促された英国兵は、フランスやベルギーの十字路やキャベツ畑を取り戻すことに何の興味も示さなかった。むしろ両陣営は、ほとんどの戦争で兵士が戦うように、生き残るために、そして大家族となった兵士たちを守るために戦ったのである。</blockquote></div><div><br /></div><div>いわば、戦争そのものが大きな家族の中で繰り広げられていたのである。ドイツ皇帝ウィルヘルム2世も英国王ジョージ5世もビクトリア女王の孫だったのだから。さらに重要なのは、戦争をしている国々はすべて、かつてキリスト教国として知られていた国の一部だったということだ。この皮肉な事実は、クリスマスを戦線で過ごすことになった者たちにも理解された。</div><div><br /></div><div>クリスマスイブになると、ドイツ側の戦線は、小さなクリスマスツリーであるもみの木の輝きに包まれた。聖なる日を記念しようと決意した部隊によって、時には銃撃を受けながら設置されたものだ。ワイントラウブ氏は書く。「ほとんどの英国兵にとって、ドイツ軍がクリスマスを祝うことにこだわったことは、ドイツ人は獣だというプロパガンダの後では驚きだった。フランス人からも英国人からも異教徒とみなされ、野蛮人とさえみなされた現実主義者のドイツ人は、愛するもみの木のために命を賭けることなど予想されていなかった。しかし何本かが悪鬼のような砲撃で倒れたとき、(英国軍の)戦線の反対側にいたサクソン人は、強情にも欄干に登って、危機に瀕した木々を立て直した」</div><div><br /></div><div>光り輝くクリスマスツリーは、ヒンズー教徒に「光の祭典」を祝うランタンを思い起こさせた。その中には、キリスト教国同士を戦わせる戦争の兵士として、凍え、栄養不足に陥り、故郷から何千キロも離れた場所で孤独な死に直面することに戸惑いを覚えた者もいたに違いない。「これが戦争だと思ってはいけない。これは戦争ではない。世界の終わりなのだ」と、あるパンジャブ人兵士は親戚に宛てた手紙に書いている。</div><div><br /></div><div>しかし、その争いの中にも、キリスト教国の良識を守ろうと決意した魂たちが、それぞれの側にいた。クリスマスが明けると、ドイツのザクセン軍は向かいの英国軍に挨拶を叫んだ。「英国人よ、幸せなクリスマスを!」。その挨拶に、スコットランド人部隊の一人は、英国人と呼ばれたことに軽いいら立ちを覚え、あざ笑うような返事を返した。「フリッツ、お前もな。ただし、ソーセージを食べ過ぎるなよ!」</div><div><br /></div><div>突然の冷え込みで戦場は凍りつき、泥沼にはまり込んでいた部隊にとっては救いとなった。戦線に沿って、部隊は塹壕や掘っ立て小屋から身を起こし、警戒しながら、そして熱心に、中間地帯を越えて互いに近づいていった。挨拶や握手が交わされ、故郷から送られた小包からあさった贈り物もあった。通常であれば流血によってしか手に入らないようなドイツ土産(たとえばツノのついたピッケルハウベのヘルメットや「神は我らと共に」〔プロイセン王家ホーエンツォレルン家の標語〕のベルトのバックルなど)が、同じような英国の装身具と物々交換された。ドイツ語、英語、フランス語でキャロルが歌われた。中間地帯では、英独の将校が丸腰で並んで立っている写真が何枚か撮られた。</div><div><br /></div><div>イーペル堡塁の近くでは、ドイツ人とスコットランド人が野ウサギを追いかけ、捕まえると思いがけないクリスマスのごちそうとなった。おそらく、野ウサギを追いかけるという突然の運動が、何人かの兵士にサッカーの試合をさせようと思わせたのだろう。そしてまた、若くて競争心の強い男たち(その多くはサッカー場から募兵された英国の若者たち)を刺激して試合をさせるのに、ほとんど何のきっかけも必要なかっただろう。いずれにせよ、1914年のクリスマスに、ドイツ兵と英国兵が中間地帯の凍った芝生の上でサッカーをしたことは、手紙や日誌に数多く記されている。</div><div><br /></div><div>英国の野戦砲兵中尉ジョン・ウェッダーバーン・マクスウェルは、この出来事を「全戦争中おそらく最も異常な出来事——将校や将軍の承認なしに行われた兵士の休戦……」と表現している。</div><div><br /></div><div>この出来事が無条件に承認されたわけではない。戦線沿いでは銃声が飛び交い、戦争がまだ進行中であることを思い知らされた。</div><div><br /></div><div>戦線後方の位置から、「厚く黒い口ひげを蓄え、奥二重の目をした、やつれて浅黒い兵士」が、キリスト教的な親交が自然に沸き起こるのを憎悪に満ちた軽蔑の目で目撃した。このオーストリア生まれのドイツ軍伝令兵は、英国軍兵士とクリスマスの挨拶を交わしていた仲間を軽蔑した。「そんなことは戦時中にあってはならないことだ」とアドルフ・ヒトラー伍長は憤慨した。「ドイツ人の名誉意識はまったく残っていないのか」。ヒトラーの反応には「愛国的な呵責以上のものがあった」とワイントラウブ氏は指摘する。「洗礼を受けたカトリック教徒でありながら、自分の部隊がメシーネ修道院の地下室でこの日を迎える間、彼は宗教的な儀式をことごとく拒否した」</div><div><br /></div><h3 style="text-align: left;"><span style="color: #274e13;">もしも……?</span></h3><div><br /></div><div>1915年1月2日付のロンドン・デイリー・ミラー紙は、クリスマス休戦に関する記述の中で、「憎しみの福音」は、お互いを知るようになった兵士たちにとって魅力を失ったと述べている。</div><div><br /></div><div>同紙はこう評した。「兵士の心に憎しみが宿ることはめったにない。それが仕事だから戦いに行くのだ。それ以前のこと、つまり戦争の原因や、なぜ、どうして、などということは、ほとんど気にならない。彼は国のために戦い、国の敵と戦う。集団として、彼らは非難され、粉々に吹き飛ばされる。個人としては、彼らは悪い連中ではないと思っている」</div><div><br /></div><div>「多くの英独の兵士、そして一線級の将校たちは、互いを紳士的で高潔な人間として見ていた」とワイントラウブ氏は書く。ライフル銃の向こう側にいるのは、観念的なプロパガンダに描かれるような魂のない怪物ではなく、怯えていて、生き延びて家族のもとに帰ろうと必死になっている男なのだ、と兵士たちは理解するようになった。戦線の多くの人々にとって、こうした現実はドイツのもみの木の光によって初めて明らかになった。</div><div><br /></div><div>クリスマスツリーという共通の象徴(異教的な起源を持つ装飾品が何世紀も前にキリスト教徒によって転用されたもの)の中に、英国軍とドイツ軍は「突然の驚くべきつながり」を見いだしたと、〔「シャーロック・ホームズ」の作者〕英作家コナン・ドイル(この戦争で息子の命を奪われた)は戦後述べている。「驚くべき光景だった」とドイルは振り返り、「世界の平和に逆らう高貴な陰謀家たちが、狂気の野望のために、このような男たちを追い詰め、互いに手を取り合うのではなく、喉をつかみ合うように仕向けたのだという苦々しい思いを込み上げさせるに違いない」と述べた。</div><div><br /></div><div>1月4日にロンドンのタイムズ紙に掲載された驚くべき手紙の中で、あるドイツ軍兵士は「(クリスマスの)塹壕でのすばらしい光景が示すように、我々の側に悪意はないし、我々に敵対する多くの人々にも悪意はない」と述べた。しかし、戦争を画策した者たち、すなわち「世界の平和に逆らう高貴な陰謀家たち」にとっては、決してそうではなかった。英歴史家ニール・ファーガソン氏が指摘するように、戦争屋たちの世界に対する計画は、「最小の費用で最大の殺戮」を必要としていた。</div><div><br /></div><div>非公式休戦はクリスマスまで続き、戦線によっては翌日(英国軍には「ボクシングデー」と呼ばれた)まで続いた。しかし元旦を待たずに戦争は再開され、キリスト教国の自滅はとどまるところを知らなかった。</div><div><br /></div><div>たいていの戦争は、大量殺人と無益な破壊の無意味な訓練である。しかし第一次世界大戦は、ほとんどの戦争よりも回避可能で正当化できないという点だけでなく、地獄の門を開く役割を果たしたという点でも注目に値する。戦争とその余波でドイツにもたらされた大量の飢餓と経済破滅は、国家社会主義(ナチス)運動を育てた。レーニンとボリシェビキ(ロシア共産党の前身)が権力を握ったロシアでも、ほぼ同じような破滅がもたらされた。イタリアではかつてレーニンの後継者と目された社会主義運動家ベニート・ムッソリーニが権力を握った。不寛容な全体主義ナショナリズムの急進的な変種が欧州を蝕んだ。中東では将来の戦争とテロリズムの種が深くまかれた。</div><div><br /></div><div>もし1914年のクリスマス休戦が続いていたら? 少なくともしばらくの間は、キリスト教国が守られ、交渉による平和が続いていたかもしれないだろうか。それはわからない。「世界の平和に逆らう高貴な陰謀家たち」の邪悪な計画の遂行を、長く抑えられたかどうかは疑わしい。しかしこの休戦は、破壊の交響曲における歓迎すべき休符であり、創造主によって設計された人間の魂本性の時代を超えた真実を物語っていた。</div><div><br /></div><div>クリスマス休戦を振り返って、スコットランドの歴史家ローランド・ワトソン氏はこう書いている。「国家は『殺せ! 殺せ! 征服せよ!』と叫ぶが、個人の内にある深い本能は、大した罪を犯したわけでもない他人を簡単に銃弾で撃ち殺そうとはしない。むしろこう言うだろう。「自分はここで何をしているのか」</div><div><br /></div><div>悲劇的なほど短い間だったが、<a href="https://libertypressjp.blogspot.com/2016/05/blog-post_20.html">平和の君</a>(イエス・キリスト)の精神は、政府の人殺しの要求をかき消したのである。</div><div><br /></div><div>The Christmas Truce of World War I | The Libertarian Institute [<a href="https://libertarianinstitute.org/articles/the-christmas-truce-of-world-war-i/">LINK</a>] [<a href="https://fee.org/articles/the-christmas-truce-of-world-war-i/">LINK</a>]</div><div><br /></div><div>【訳者コメント】人間はときに憎み合うが、「大した罪を犯したわけでもない他人を簡単に銃弾で撃ち殺そうとはしない」。また、「兵士の心に憎しみが宿ることはめったにない。それが仕事だから戦いに行く」にすぎない。むしろ人間の本性は、他者と友好関係を結び、協力し合おうとする。ところが、それでは都合の悪い人々がいる。「世界の平和に逆らう高貴な陰謀家たち」、つまり「<a href="https://libertypressjp.blogspot.com/2018/08/blog-post_13.html">軍産複合体</a>」と呼ばれる、戦争で利益を得る政府・軍関係者や軍需産業である。彼らは国籍が異なるだけの人間を殺し合わせるために、メディアを通じナショナリズムや愛国心といった「観念的なプロパガンダ」で洗脳しようとする。しかし幸い、人はその嘘に気づき、殺し合いをやめることができる。第一次世界大戦のクリスマス休戦という奇跡のような出来事は、人間の未来に一条の希望の光を投げかける。</div>木村 貴http://www.blogger.com/profile/17219070463990429317noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-4704473980536231557.post-61990172380831063342023-12-25T12:00:00.076+09:002023-12-25T12:00:00.174+09:00「ロシアの欧州征服計画」の嘘<div style="text-align: right;">シカゴ大学教授、ジョン・ミアシャイマー</div><div style="text-align: right;">(2023年12月18日)</div><div><br /></div><div>2022年2月24日にウクライナで戦争が始まった直後、ロシアとウクライナが戦争を終わらせるための真剣な交渉に参加していたことを示す説得力のある証拠が増えつつある。この交渉は、トルコのエルドアン大統領とイスラエルのベネット前首相によって進められ、和解の条件について詳細かつ率直な話し合いが行われた。</div>
<blockquote class="twitter-tweet"><p dir="ltr" lang="en">The Myth That Putin Was Bent on Conquering Ukraine and Creating a Greater Russia<br />by John Mearsheimer<a href="https://twitter.com/MearsheimerJ?ref_src=twsrc%5Etfw">@MearsheimerJ</a> <a href="https://twitter.com/hashtag/Ukraine?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#Ukraine</a> <a href="https://twitter.com/hashtag/Russia?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#Russia</a> <a href="https://twitter.com/hashtag/NATO?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#NATO</a> <a href="https://twitter.com/hashtag/Putin?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#Putin</a> <a href="https://twitter.com/hashtag/Zelensky?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#Zelensky</a> <a href="https://t.co/FOPRc35TqI">https://t.co/FOPRc35TqI</a> <a href="https://t.co/kTpxAFSVI0">pic.twitter.com/kTpxAFSVI0</a></p>— Antiwar.com (@Antiwarcom) <a href="https://twitter.com/Antiwarcom/status/1736799885847146706?ref_src=twsrc%5Etfw">December 18, 2023</a></blockquote> <script async="" charset="utf-8" src="https://platform.twitter.com/widgets.js"></script>
<div>誰が見ても、2022年3月から4月にかけて行われたこの交渉は、実際に進展していたのだが、英国と米国がウクライナのゼレンスキー大統領に交渉を放棄するよう指示し、同大統領はそれを実行した。</div><div><br /></div><div>これらの出来事に関する報道は、それ以来、ウクライナが死と破壊を被り、戦争に負けそうになっていることを考えれば、バイデン米大統領とジョンソン英首相がこれらの交渉に終止符を打ったことがいかに愚かで無責任であったかに焦点を当てている。</div><div><br /></div><div>しかし、ウクライナ戦争の原因に関するこの話の特に重要な側面は、ほとんど注目されていない。西側諸国では、プーチン露大統領はウクライナを征服し、大ロシアの一部にするためにウクライナに侵攻したというのが従来の通説だ。その後、プーチン氏は東欧の他の国々を征服するだろうという。西側諸国ではあまり支持されていないが、プーチン氏の侵攻の動機は主に、ウクライナが北大西洋条約機構(NATO)に加盟し、ロシア国境の西側の防波堤になるという脅威にあったという反論がある。プーチン氏をはじめとするロシアのエリートたちにとって、ウクライナが<a href="https://libertypressjp.blogspot.com/2023/01/blog-post_29.html">NATOに加盟</a>することは存亡の危機だったのだ。</div><div><br /></div><div>2022年3月から4月にかけての交渉は、主に二つの理由から、戦争の原因に関する従来の常識が間違っており、反論が正しいことを明らかにしている。第一に、この交渉は、ウクライナがNATOの一員にならず中立国になるというロシアの要求を満たすことに直接焦点が当てられていた。交渉に携わった誰もが、ウクライナとNATOの関係がロシアの核心的関心事であることを理解していた。第二に、もしプーチンがウクライナ全土の征服に執念を燃やしていたなら、このような交渉には応じなかっただろう。交渉の本質は、ロシアがウクライナ全土を征服する可能性と矛盾していたからだ。プーチン氏がこのような交渉に参加し、自らの野心を隠すために中立性を強調したという見方もできる。しかし、この主張を裏付ける証拠はない。言うまでもなく、1)ロシアの小さな侵攻軍にウクライナ全土を征服・占領する能力はなかったし、2)大規模な攻勢を遅らせても意味がなかった。ウクライナに防衛を強化する時間を与えることになるからだ。</div><div><br /></div><div>要するに、プーチン氏はウクライナに限定的な攻撃を仕掛けたのだ。その目的は、ゼレンスキー大統領に、ウクライナの西側諸国との協調政策とNATO加盟を断念させることだった。英国と西側諸国が交渉に介入しなければ、プーチン氏はこの限定的な目的を達成し、戦争終結に合意していたと考える十分な理由がある。</div><div><br /></div><div>また、ロシアがウクライナのドネツク、ルガンスク、ケルソン、ザポリージャの4州を併合したのは、交渉が終了した2022年9月のことだった。 もし協定が成立していれば、ウクライナはほぼ間違いなく、現在よりもはるかに大きな領土を支配していただろう。</div><div><br /></div><div>ウクライナの場合、西側のエリートたちと西側の主要メディアの愚かさと不誠実さのレベルの高さには驚かされるばかりである。</div><div><br /></div><div>The Myth That Putin Was Bent on Conquering Ukraine and Creating a Greater Russia - Antiwar.com [<a href="https://original.antiwar.com/john-mearsheimer/2023/12/17/the-myth-that-putin-was-bent-on-conquering-ukraine-and-creating-a-greater-russia/">LINK</a>]</div><div><br /></div><div>【訳者コメント】ツイッターのユーザー名にウクライナの国旗を誇らしげにあしらった、ウクライナ応援団。彼らは「ウクライナは侵略されたかわいそうな善、ロシアは侵略で欧州征服をたくらむ悪」という政府やメディアの<a href="https://libertypressjp.blogspot.com/2023/05/blog-post_48.html">プロパガンダ</a>を信じ込み、ウクライナはロシアに<a href="https://libertypressjp.blogspot.com/2023/06/blog-post_04.html">屈せず</a>、戦場で打倒せよと騒ぎ立てた。しかしミアシャイマー教授が指摘するように、ウクライナは本当は早くロシアと妥協し、戦争をやめたかったのだ。その努力は米英に妨害されて挫折し、それから現在に至るまで膨大な数のウクライナ人が命を落とし続けている。和平拒絶の世論形成に加担したウクライナ応援団は、どう責任を取るつもりなのか。</div>木村 貴http://www.blogger.com/profile/17219070463990429317noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-4704473980536231557.post-12140365750026397742023-12-24T12:30:00.001+09:002023-12-24T12:41:43.513+09:00米政府、TikTokに検閲圧力<div style="text-align: right;">ロン・ポール研究所 上級研究員、アダム・ディック</div><div style="text-align: right;">(2023年12月3日)</div><div><br /></div><div>5年前、テクノロジー企業はオルタナティブ(代替的)な声を取り締まることに本腰を入れていた。その取り締まりはその後も続いている。さらに、米政府の諜報員がどのように裏で取り締まりを推進してきたかを裏付ける証拠も次第に明らかになってきた。</div>
<blockquote class="twitter-tweet"><p dir="ltr" lang="en">Glenn Greenwald Explains how Threats to Ban TikTok are Part of the Effort to Expand US Censorship through Tech Companies<a href="https://t.co/HXAwiVmraV">https://t.co/HXAwiVmraV</a></p>— Ron Paul Institute (@RonPaulInstitut) <a href="https://twitter.com/RonPaulInstitut/status/1731427728983777372?ref_src=twsrc%5Etfw">December 3, 2023</a></blockquote> <script async="" charset="utf-8" src="https://platform.twitter.com/widgets.js"></script>
<div>こうした背景を考えると、米政府の政治家や官僚、そのメディア関係者が、〔動画共有アプリ〕「TikTok(ティックトック)」は中国政府のプロパガンダを流しているから禁止する必要があると騒いでいることに疑いの目を向けるのは賢明なことだ。まるで狐に鶏小屋を見張らせるようなものだ。米国は、米国人を検閲から守るために、検閲に固執するのをやめているのだろうか。TikTokを禁止するというこの話について、もっとありうる説明は、この脅しによって、TikTokを米国の宣伝活動にさらに引き込もうとする努力の一部だということ、つまり米政府は、同社のソーシャルメディア・プラットフォームの利用者を保護するためではなく、自身の利益を促進しようとしているということではないのか。</div><div><br /></div><div>これは〔ジャーナリスト〕グレン・グリーンウォルド氏の見解であり、彼のニュース番組「システム・アップデート」のエピソードで巧みに紹介された。グリーンウォルド氏はこの状況を要約して、次のようにコメントした。</div><div><br /></div><div></div><blockquote><div>フェイスブックやグーグル、イーロン・マスク氏以前のツイッターなど、大手テクノロジー・プラットフォームは、ご存じのとおり、政府から検閲対象について常に命令を受け、それを実行してきた。彼らがイーロン・マスク氏に執着し、〔動画サイト〕「ランブル」などの命令に従わないサイトを憎む理由は、米国人がプラットフォーム上で、自分たちが止められない意見を伝えることができるという考えに耐えられないからだ。</div><div><br /></div><div>そしてこれが、TikTokを禁止するという脅しの正体なのだ。ウクライナのゼレンスキー大統領とウクライナ戦争に関する批判的な動画や、〔国際テロ組織アルカイダの〕オサマ・ビン・ラディンに関する動画が検閲されるように、米政府が検閲の決定を指揮できるようにしようとしている。米政府がそうすることを望み、グーグルやフェイスブックに簡単に検閲させることができるからだ。TikTokの場合は少し難しい。TikTokは次第に従わざるをえなくなっている。TikTokは政治検閲を気にせず、利益を重視する。資本家なのだ。米政府に投稿監視をコントロールさせることを気にしていない。非常に有利な米市場へのアクセスを保つための条件であれば、喜んでそれを行う。</div></blockquote><div></div><div><br /></div><div>システム・アップデートのエピソードでTikTokに関するグリーンウォルド氏の議論は<a href="https://rumble.com/v3ynvpj-no-tiktok-is-not-a-chinese-spy-app.html">こちら</a>から。</div><div><br /></div><div>動画の中で、グリーンウォルド氏はさらに、TikTokがその行動に対する米政府のコントロールにすでにほとんど屈服していると論じている。しかし、米政府はまだ満足していない。</div><div><br /></div><div>Glenn Greenwald Explains how Threats to Ban TikTok are Part of the Effort to Expand US Censorship through Tech Companies - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [<a href="https://ronpaulinstitute.org/glenn-greenwald-explains-how-threats-to-ban-tiktok-are-part-of-the-effort-to-expand-us-censorship-through-tech-companies/">LINK</a>]</div><div><br /></div><div>【訳者コメント】「中国には言論の自由がない」とよく批判される。それは事実だが、「自由の国」を自認する米国でソーシャルメディアへの圧力を通じ、言論が弾圧されている事実はあまり話題にならず、批判もされない。政府が無関係を装うだけ、陰湿であり悪質だ。</div>木村 貴http://www.blogger.com/profile/17219070463990429317noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-4704473980536231557.post-46553491699403714082023-12-24T12:00:00.055+09:002023-12-24T12:00:00.143+09:00イスラエル・パレスチナ和平の枠組み<div style="text-align: right;">コロンビア大学教授、ジェフリー・サックス</div><div style="text-align: right;">(2023年11月30日)</div><div><br /></div><div>今急務なのは、パレスチナ自治区ガザの人質を解放し、イスラエルとパレスチナの流血を止め、イスラエルとパレスチナの人々のために永続的な安全保障を確立し、パレスチナの人々が望む主権国家を実現し、東地中海・中東(EMME)地域に真の持続可能な発展の流れを確立することだ。これはパレスチナを国連加盟国として即座に迎え入れることで、動き出すことができる。</div>
<blockquote class="twitter-tweet"><p dir="ltr" lang="en">A Framework for Peace in Israel and Palestine<br />by Jeffrey D. Sachs<a href="https://twitter.com/JefferySachs?ref_src=twsrc%5Etfw">@JefferySachs</a> <a href="https://twitter.com/hashtag/Israel?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#Israel</a> <a href="https://twitter.com/hashtag/Gaza?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#Gaza</a> <a href="https://twitter.com/hashtag/gazaceasefirenow?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#gazaceasefirenow</a> <a href="https://twitter.com/hashtag/Palestine?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#Palestine</a> <a href="https://twitter.com/hashtag/Palestinians?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#Palestinians</a> <a href="https://t.co/Ol10SMfx7A">https://t.co/Ol10SMfx7A</a> <a href="https://t.co/mp9xSVqDWh">pic.twitter.com/mp9xSVqDWh</a></p>— Antiwar.com (@Antiwarcom) <a href="https://twitter.com/Antiwarcom/status/1730252784094814279?ref_src=twsrc%5Etfw">November 30, 2023</a></blockquote> <script async="" charset="utf-8" src="https://platform.twitter.com/widgets.js"></script>
<div>パレスチナはすでに主権国家として広く認められており、米国や欧州連合(EU)の大半は承認していない(スウェーデンは2014年に承認し、スペインは最近承認の可能性を示唆した)ものの、国連加盟193カ国のうち139カ国が承認している(2023年6月現在)。しかし、パレスチナの外交や運命を左右する国際問題への参加にとって極めて重要なのは、まだ国連に加盟していないことである。2011年9月23日、パレスチナ自治政府は、1967年以前の国境線に基づく二国家解決を求める数十年にわたる国連安全保障理事会決議に基づき、国連加盟を申請した。この書簡は、安保理の新加盟国承認委員会に正式に送られた。</div><div><br /></div><div>パレスチナのアッバス大統領は、申請書の中で次のように述べている。</div><div><br /></div><div>「パレスチナ人民の自決権と独立、そしてイスラエルとパレスチナの紛争に対する二国家による解決というビジョンは、国連総会で決議された数多くの決議で確固たるものとなっている。特に、総会決議181(II)(1947年)、同3236(XXIX)(1974年)、同2649(XXV)(1970年)、同2672(XXV)(1970年)、同65/16(2010年)、同65/202(2010年)、国連安全保理決議242(1967年)、同338(1973年)、同1397(2002年)、2004年7月9日の国際司法裁判所勧告的意見(被占領パレスチナ地域における壁建設の法的帰結に関する)である。さらに、国際社会の大多数は、1967年6月4日の国境線に基づき、東エルサレムを首都とするパレスチナ国家を二国間承認することにより、国家への帰属を含む、民族としての不可侵の権利を支持しており、そのような承認の数は日を追うごとに増え続けている」</div><div><br /></div><div>国連安全保理に提出された後、米国は加盟国委員会の舞台裏で、委員会、安保理自体、国連総会全体において圧倒的な支持があったにもかかわらず、この申請を阻止するために動いた。安保理は米国の反対によりパレスチナの加盟申請について採決すら行わず、パレスチナは当時、オブザーバー(投票権を持たない)の地位で決着した。安保理は十数年後の今、パレスチナの申請を承認すべきだが、今回は、米国が表向きにはずっと主張してきたが、実際には支持しなかったこと、つまりパレスチナの完全な国家資格と国連加盟を公的に認めるべきだ。</div><div><br /></div><div>ネタニヤフ・イスラエル首相の戦争は、明らかに公正な平和の追求ではない。同首相とその内閣は、二国家解決策を明確に否定し、ガザとヨルダン川西岸地区のパレスチナ人を制圧することを目的とし、占領下のパレスチナにおけるイスラエル入植地の拡大と、東エルサレムに対するイスラエルの恒久的な主権を提案している。その政策は、アパルトヘイト(人種隔離)と民族浄化に等しい。まさにこうした不公正のために、正当な政治解決策が確立されない限り、戦争は(親イラン民兵組織)ヒズボラやイランなども巻き込んだ地域戦争へと激化する可能性が高い。</div><div><br /></div><div>(イスラエル軍とイスラム組織ハマスの戦闘が始まった)10月7日以前、ネタニヤフ首相はパレスチナ国家の必要性にも言及することなく、アラブ諸国との関係を「正常化」しようとしたが、このひねくれたやり方は失敗する運命にあった。真の永続的な和平は、パレスチナの人々の政治的権利とともにしか達成できない。</div><div><br /></div><div>エジプトの偉大な指導者サダト大統領やイスラエルの勇敢なラビン首相(ともに暗殺)など、平和のための真の指導者たちは繰り返し殉教してきた。また、イスラエル人とパレスチナ人の和平を求めて、名も知れない無数のパレスチナ人とイスラエル人が、しばしば自分たちの集団内の過激派によるテロの犠牲となり、命を落としている。</div><div><br /></div><div>このような深刻な障害があるにもかかわらず、国連を通じた和平には明確な道筋がある。というのも、アラブ・イスラム諸国は以前から、パレスチナ自治政府の求める二国家解決策に基づくイスラエルとの和平を求めてきたからだ。11月11日にリヤドで開催された臨時アラブ・イスラム合同首脳会議において、アラブ・イスラム諸国の指導者たちは、二国家解決を支持する次のような宣言を行った。</div><div><br /></div><div>「できるだけ早く、国際法、正当な国際決議、平和のための土地の原則に基づいて、信頼できる和平プロセスを開始すべきである。これは特定の時間枠内で、国際的な保証を伴う二国家解決策の実施に基づくべきであり、東エルサレム、占領下のシリア領ゴラン、シェバア農場、カフルヒルズ、ショバ、レバノンの町アル・マリ近郊を含むパレスチナ領土のイスラエルによる占領の終結につながる」(アラビア語原文の英訳)</div><div><br /></div><div>重要なのは、アラブとイスラムの指導者たちが、すでに21年前に確認した2002年のアラブ和平イニシアチブに特別な注意を喚起したことである。</div><div><br /></div><div>「中東における公正かつ包括的な和平は、アラブ諸国の戦略的選択肢であり、国際的な合法性に従って達成されるべきであり、イスラエル政府側にも同等の決意が必要である。…(そして)さらにイスラエルに対し、(特に)1967年6月4日以来ヨルダン川西岸とガザ地区で占領されているパレスチナ領土に、東エルサレムを首都とし、主権を有する独立したパレスチナ国家を樹立することを受け入れることを確認するよう求める」</div><div><br /></div><div>アラブ諸国はすでに2002年に、このような結果がアラブ諸国とイスラエルの和平につながると明言している。具体的には、アラブ諸国は「アラブ・イスラエル紛争が終結したとみなし、イスラエルと和平協定を結び、この地域のすべての国家に安全保障を提供する」と述べている。残念なことに、ネタニヤフ首相は2009年以降のほとんどの期間、政権を握っており、できる限りのことをしてアラブ和平構想を無視し、イスラエル国民の目に触れないようにしてきた。</div><div><br /></div><div>すべての常任理事国(P5)を含む国連安保理は、パレスチナをただちに国連に加盟させ、パレスチナが歓迎する平和維持要員を含め、二国家解決策の実施に向けた運営・財政支援を提供するよう約束すべきである。特に安保理決議は、国連と近隣諸国がイスラエルと国連の新加盟国パレスチナの双方を支援し、相互の安全保障を確立すること、そして民兵部隊の非武装化を約束すべきである。</div><div><br /></div><div>安保理決議には、以下の点を盛り込むことが有益であろう。</div><div><br /></div><div><ul style="text-align: left;"><li>パレスチナを194番目の国連加盟国としてただちに樹立。国境は1967年6月4日時点とし、首都を東エルサレムに置き、イスラム聖地を管理</li><li>すべての人質の即時解放、すべての当事者による恒久的な停戦、国連の監視下で人道援助を運搬</li><li>パレスチナに平和維持軍を派遣。大部分はアラブ諸国が占め、安保理の委任を受けて活動</li><li>和平の一環として、平和維持軍によるハマスとその他の民兵の即時武装解除と動員解除</li><li>パレスチナ国家の国連加盟に伴い、イスラエルとすべてのアラブ連盟諸国との間に外交関係を樹立</li><li>国連平和開発基金の新設。私が最近安保理で提唱したように、その目的はパレスチナ、イスラエル、シリア、レバノン、ヨルダン、エジプト、その他近隣諸国を含む東地中海地域における長期的で持続可能な開発計画の資金調達などの支援である</li></ul></div><div><br /></div><div>もちろん、相互に合意した国境線の調整など、交渉すべきことは多く残るだろうが、こうした交渉は平和のうちに、主権を有する2つの国連加盟国の間で、安保理、国連総会、そしてきわめて重要なこととして、国連憲章と世界人権宣言の支持のもとに行われることになる。</div><div><br /></div><div>A Framework for Peace in Israel and Palestine - Antiwar.com [<a href="https://original.antiwar.com/Jeffrey_Sachs/2023/11/29/a-framework-for-peace-in-israel-and-palestine/">LINK</a>]</div><div><br /></div><div>【訳者コメント】サックス教授はリバタリアン(自由放任主義者)ではなく、リベラル(左派)の経済学者だ。その思想の一端は、記事終盤の提言の一つとして、国連平和開発基金の新設、つまり税金による経済支援を挙げたことに現れている。しかし、そんなささいなことを理由に同教授にケチをつけようとは思わない。戦争は個人の身体・財産に対する最大の脅威であり、その戦争を止める方策を、米政府や主力メディアに抗して訴えるサックス教授の勇気ある姿勢は、生半可なリバタリアンよりもはるかに立派である。</div>木村 貴http://www.blogger.com/profile/17219070463990429317noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-4704473980536231557.post-60086303521938275292023-12-23T12:30:00.000+09:002023-12-23T12:30:00.152+09:00米国防長官、非介入主義者を非難<div style="text-align: right;">元米下院議員、ロン・ポール</div><div style="text-align: right;">(2023年12月5日)</div><div><br /></div><div>オースティン米国防長官は週末、米国民に向けて、米国の外交政策の何が本当に間違っているのかを説明した。その結論を意外に思う人もいるかもしれない。</div>
<blockquote class="twitter-tweet"><p dir="ltr" lang="en">Lloyd Austin: Non-Interventionists Are the REAL Enemy<br />by Ron Paul<a href="https://twitter.com/RonPaul?ref_src=twsrc%5Etfw">@RonPaul</a> <a href="https://twitter.com/RonPaulInstitut?ref_src=twsrc%5Etfw">@RonPaulInstitut</a> <a href="https://twitter.com/hashtag/war?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#war</a> <a href="https://twitter.com/hashtag/militaryindustrialcomplex?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#militaryindustrialcomplex</a> <a href="https://twitter.com/hashtag/Ukraine?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#Ukraine</a> <a href="https://twitter.com/hashtag/Russia?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#Russia</a> <a href="https://twitter.com/hashtag/NATO?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#NATO</a> <a href="https://twitter.com/hashtag/Gaza?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#Gaza</a> <a href="https://twitter.com/hashtag/Israel?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#Israel</a> <a href="https://twitter.com/hashtag/China?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#China</a> <a href="https://twitter.com/hashtag/Taiwan?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#Taiwan</a> <a href="https://t.co/rKfqdTRfxZ">https://t.co/rKfqdTRfxZ</a> <a href="https://t.co/bmzz95gMYe">pic.twitter.com/bmzz95gMYe</a></p>— Antiwar.com (@Antiwarcom) <a href="https://twitter.com/Antiwarcom/status/1732051915016696129?ref_src=twsrc%5Etfw">December 5, 2023</a></blockquote> <script async="" charset="utf-8" src="https://platform.twitter.com/widgets.js"></script>
<div>世界における米国の地位が損なわれているのは、9・11テロとは無関係のアフガニスタン政府と20年間も戦ったからではない。イラクの大量破壊兵器に関するネオコン(新保守主義者)の嘘が、またしても失敗した「民主化」作戦で数え切れないほどの民間人の死を招いたからでもない。過去約2年間、米政府がウクライナを通じてロシアとの代理戦争を戦うために、米国民から1500億ドル以上を巻き上げてきたからでもない。</div><div><br /></div><div>軍産複合体や、議会、シンクタンク、メディアを通じて広がる、その巨大なロビー活動の力のせいでもない。</div><div><br /></div><div>オースティン長官は、カリフォルニア州シミバレーで開催されたレーガン国防フォーラムで、米国の世界軍事帝国に対する真の危機をついに説明した。</div><div><br /></div><div>それは私たちである。</div><div><br /></div><div>オースティン長官によれば、世界を不安定にしているのは「米国の責任からの後退」を主張する非介入主義者たちであり、ネオコンによる終わりのない戦争ではないという。</div><div><br /></div><div>オースティン長官は、米国は世界の警察官という軍事覇権の役割を果たし続けなければならないと述べた。なぜなら「暴君やテロリストが、大規模な侵略や大量殺戮から逃れられると信じれば、世界はより危険になるだけだからだ」。</div><div><br /></div><div>理性と論理に照らしたらどうだろう。オースティン氏と介入主義エリートたちは、30年にわたる外交政策の失敗を事実検証し、「非介入主義者が主導権を握っていたら、もっとひどいことになっていただろう」と結論づけた。</div><div><br /></div><div>これがネオコンの最大の問題点の一つである。彼らは自らを省みることができない。米政府が彼らの助言に従って別の大惨事を引き起こすたびに、いつも誰かのせいにする。今回の場合、オースティン氏が語っているように、米国の外交政策の失敗の責任は、「やるな」と言った人々にある。</div><div><br /></div><div>シリアの世俗指導者アサド大統領を打倒するために〔国際テロ組織〕アルカイダを支援するというオバマ大統領(当時)の決断を、「やるな」と言った人々が担当していたらどうなっていただろうか。ネオコンがリビアを破壊するために「人権」を口実にでっち上げたとき、「やるな」と言った人々が責任者だったらどうだろう。オバマ氏のネオコンが、ウクライナの民主的に選ばれた政府を転覆させるのはすばらしいアイデアだと考えたとき、「やるな」と言った人々が責任者だったらどうだろう。</div><div><br /></div><div>もし米政府が関与しなければ、暴君やテロリストが権力を得ていただろうか。いや、米政府がこれらの危機に介入したからこそ、暴君やテロリストが優勢になったのだ。</div><div><br /></div><div>オースティン長官がさらに説明したように、米国の問題の一部は民主主義そのものにある。「我々の競争相手は絶え間ない決議の下で活動する必要はない」と同長官は訴えた。国民がその代表者を通じて戦争支出を管理することは、同長官にとって何という重荷であることか。</div><div><br /></div><div>議会では、保守派の間で「米国第一」の外交政策が台頭しており、オースティン長官とその一派を激怒させている。同長官は、ウクライナとイスラエルでの戦争にさらに数十億ドルを今すぐ使いたいと考えている!</div><div><br /></div><div>経済問題はどうか。それも私たちの責任だ。「跳ね橋を引き上げようとする〔軍事支出を止めようとする〕」人々は、数十年の繁栄をもたらした安全保障を台無しにする、とオースティン長官は言う。繁栄? 彼は国の借金を見たことがあるのか? インフレは? ドルの破壊は?</div><div><br /></div><div>ここには明るい兆しもある。オースティン長官とネオコンが私たち非介入主義者を攻撃するということは、私たちが地歩を固めつつあるということだ。彼らは私たちを気にかけている。これは、私たちが本当に声を上げるチャンスなのだ!</div><div><br /></div><div>Lloyd Austin: Non-Interventionists Are the Real Enemy - Antiwar.com [<a href="https://original.antiwar.com/paul/2023/12/04/lloyd-austin-non-interventionists-are-the-real-enemy/">LINK</a>]</div><div><br /></div><div>【訳者コメント】他国の紛争に手出しをしない不介入主義は、リバタリアンの外交政策の基本だ。それに対し、米国の外交政策を牛耳るネオコンは、世界のあちこちで軍事介入を繰り返し、それが原因で自国の安全保障が揺らいでいる。あげくの果てに、介入を批判してきた不介入主義者のせいにするとは、リバタリアンのロン・ポール氏でなくても、あまりの厚顔無恥にあきれるばかりだ。日本はいつまで米国に追随し続けるのだろうか。</div>木村 貴http://www.blogger.com/profile/17219070463990429317noreply@blogger.com0