2019-06-28

ベーシックインカムの肥大

ベーシックインカムの肥大
ベーシックインカムの規模は必ず肥大する。導入後、さまざまな集団が増額を求めるのは時間の問題である。身体に障害がある、生活費の高い都市に住んでゐる、高齢である、勤務地が遠い…など数限りない理由に基づき、人々は支給額の引き上げを主張し、それが支持されるだらう。
4 New Reasons to Fear a Universal Basic Income | Mises Wire

政府事業のコスト
第二次世界大戦によつて合成ゴムが開発され、手間暇のかかる天然ゴムの生産から解放された。同じく政府の宇宙計画によつて、さまざまな技術が開発された。これらは政府事業で得たメリットだ。しかし問題は、代はりに民間事業を諦め、生まれるはずだつた価値が失はれたことだ。
Why It's Important to Understand "Economic Costs" | Mises Wire

経済学はなぜ重要か
市民が経済学をよく理解してゐるかどうかによつて、社会は野蛮にも健全にもなる。自然科学など他の科学も大切だが、それらは一部の専門家さへよく理解してゐれば、その成果が社会全体に広まる。しかし政府の政策は、市民が経済学を正しく理解してゐなければ、しばしば間違ふ。
Economics is the Most Important Science for the Layman | Mises Institute

人間の本性の否定
左派は累進課税を強め、企業の規制を強化し、性などの差別を法律で禁じることで、経済を活性化できると主張する。これらは人間の本性に反するから、左派は必要なら力づくでも人間の本性を変へなければならなくなる。その結果、中国の文化大革命のやうに、全体主義をもたらす。
Why Are Progressives so Bad at Governing? | Mises Wire

2019-06-20

格差で貧しくはならない

格差で貧しくはならない
AさんとBさんがゐて、Aさんが1日かけて小屋を作つたとする。Aさんは豊かになる。これによつてBさんは貧しくなるだらうか。ならない。Bさんの状態は変はらない。あへて言へば、Bさんは小屋に同居できるかもしれず、小屋の作り方を教はることもできるから、その分豊かになる。
Economics 101: More Wealth Means Less Poverty | Mises Institute

資本家は労働者を助ける
資本家が提供する機械や道具などの資本財によつて、労働者の生産性は大きく高まる。たいていの個人は資本家に比べ資金力に乏しく、生産性の低いわづかな資本財しか入手できない。労働者は生産性が高まることで、自分で商品を作つて売るよりも、多くの賃金を得ることができる。
Three Ways Capitalists Make Workers Better Off | Mises Wire

国家主義のユートピア
自由が国家主義のユートピアよりも支持されないのは、人々を駆り立てるのは心に描いた目的であり、そのための手段ではないからだ。汚れた現実を超えて輝くユートピアの理想像と違ひ、自由は社会の全員が満足する結果を約束するわけではない。だから自由は景気づけに向かない。
Why the Amorality of Markets Is Preferable to the Immorality of Coercion - Foundation for Economic Education

子育てと市場経済
子育ては市場経済と関係ないという考へは、市場の働きを過度に単純化した見方に基づく。金融資産を子育ての喜びのやうな無形資産と切り離して考へると、両者が互ひに及ぼすさまざまな影響を無視することになる。主婦・主夫が増えれば労働者の供給が減るから、賃金は上昇する。
What Is Kin Work and Is It Really Off-Market? - Foundation for Economic Education

2019-06-12

政府といふ軍閥

政府といふ軍閥
政府がなければ社会は戦国時代に逆戻りするといふ主張には根拠がない。政府がなければ軍閥の争ひになるやうな社会なら、政府といふ大きな軍閥が加はつても解決にはならない。政府をなくし、財産の自発的な交換を促すはうが、平和と法の支配をもたらす可能性ははるかに大きい。
But Wouldn't Warlords Take Over? | Mises Institute

資本主義と嫉妬
なぜ労働階級の有権者は資本主義を嫌ふのだらうか。資本主義は自由を与へるが、その代はり、自分の暮らしに対する責任を課す。兄弟姉妹や隣人が自分よりも成功すると、自分の失敗を意識させられる。毎日が前進するか後退するかの機会の連続だ。これは愉快なこととは言へない。
Envy, Inc. | Mises Wire

自由の避難場所
フランス革命で攻撃の対象となつたのは、専制君主の政府だけではなく、ギルド、組合、大学、キリスト教教会もである。政府と個人の間に存在するこれら中間組織は、統治を分散させ、中央集権政府による権力の独占に対峙することで、個人の自由を確保し、その避難場所となつた。
The Cost of the Enlightenment | Mises Wire

富の横取り
インフレは、価値ある富を生み出す人から富を横取りし、新たに作り出されたお金の持ち主にそれを与へる。無からお金が作り出されるとき、この富の横取りが起こる。富の横取りが中断すると、デフレが起こる。無から作り出されるお金の量が減り始めると、富の横取りは中断する。
The Real Meaning of Deflation | Mises Wire

2019-06-04

教育といふサービス業

教育といふサービス業
米国の大学は元来、民間で設立が認められた。今は大学と名乗るには州法に従はなければならない。大学への参入が規制されてゐるため、教育費が高騰する。教育制度を抜本改革するのなら、まず教育を政府から与へられる権利ではなく、商品・サービスとして扱はなければならない。
Education Needs More Market Signals, Not "Credential Signals" | Mises Institute

強制されるサービス
政府の行政サービスは民間の自発的な取引と違ひ、利用者に強制される。これはサービスと代金の分断を意味する。政府はサービスの値段を勝手に決め、代金を税として市民から無理やり取り上げる。人が警察の保護を受けられるチャンスは、政治的な地位の高さによつて左右される。
Does the State Care More About Tax Evasion than Murder? | Mises Wire

社会主義対市民社会
市場経済を柱とする自由主義は、市民社会の社会制度である。個人の自由と繁栄を基礎とし、擁護する。社会主義は反社会的な制度である。人間より政治を優先し、平和で自由な協力の代はりに政府権力を用ゐ、人々の多くのアイデアを認める代はりに少数の政治的計画を押しつける。
Socialists vs. Civil Society | Mises Wire

国家と教育の分離
信仰の自由と教育の自由に理論的な違ひはない。人々を強制して子供を教会に通はせるべきでないのと同じく、人々を強制して子供を政府の認可した組織に通はせ、世俗的な教育・訓練を受けさせるべきではない。家族は宗教における決定と同じく、教育の決定に不可侵の権利を持つ。
End School Compulsory-Attendance Laws | Mises Wire

2019-06-01

漢帝国の戦争と衰退

米韓両政府は2019年3月2日、北朝鮮との緊張緩和のため、毎年春に実施している二つの大規模な合同軍事演習の打ち切りを決めたと発表した。トランプ米大統領は翌3日、ツイッターで「(軍事演習に費やす)巨額のお金を節約するためだ」とも説明。演習は米国にとって無駄なコストであり、やめたいとの本音をのぞかせた。

軍事費は米国の財政に重くのしかかる。米財務省によると、連邦政府の公的債務残高は2月11日時点で22兆ドル(約2400兆円)の大台を突破し、過去最大を更新した。トランプ政権が実現させた大型減税に加え、軍事費の増大に伴う国債発行が響いた。

3月に入り、米政府は債務残高に対する法律上の制限が復活し、借金を一時増やせなくなった。国債の償還や利払いが滞るデフォルト(債務不履行)につながれば、金融市場に混乱をもたらすばかりでなく、米国自身の威信と信頼を大きく損ないかねない。

軍事費の増大とそれに伴う財政の悪化が国を衰えさせた歴史上の例といえば、古代中国、武帝時代の前漢(漢王朝の前半期)が思い浮かぶ。


劉邦(高祖)が紀元前202年に建てた漢は、成立直後に北方の騎馬遊牧民、匈奴に大敗。以後約70年間にわたって匈奴に貢納を支払い、事実上従属下に置かれた。

前141年に即位した武帝は、祖父の文帝、父の景帝2代の努力によって蓄積された国家財政の充実を背景に、匈奴に対し反撃に出る。

大月氏や烏孫との連携を求めて張騫(ちょうけん)を派遣するなど、中央アジア方面(西域)に対する外交政策を推進した。同時に将軍の衛青、霍去病(かくきょへい)らに命じて数回にわたって匈奴と戦い、西北方面で甘粛地方を奪って敦煌郡など4郡を置いたうえ、フェルガナ地方の大宛まで出兵した。東北方面でも、匈奴の東部勢力を攻撃するため衛氏朝鮮を攻略して楽浪郡など4郡を置いた。南方では、秦末に独立していた南越を滅ぼしてベトナム北部を支配下に入れ、南海郡など9郡を置いた。