注目の投稿

「反インフレ経済勉強会」開講のお知らせ

インフレは税の一種です。しかも普通の税よりも悪質な税です。ところが、この事実はよく理解されていません。それどころか、多少のインフレはむしろ良いことだという嘘が、現在主流の国家主義的な、誤った経済学(ケインズ経済学)や、そこから派生した極端な説 (MMT=現代貨幣理論など) によっ...

2026-03-01

フィリピンと台湾有事

The Fatal Costs of the Philippines-Taiwan War Scenario - Antiwar.com [LINK]

【海外記事紹介】フィリピンのマルコス・ジュニア政権が推進する対米軍事協力の強化が、将来の台湾有事においてフィリピン経済に致命的な代償を強いるリスクについて、経済学者のダン・スタインボック氏が警告しています。現在、フィリピン政府は近代化の名のもとに、米軍のミサイルシステム配備や共同演習を加速させていますが、これが「繁栄と安全」をもたらすという公式見解に対し、専門家は極めて冷徹なシミュレーションを提示しています。

スタインボック氏は、台湾海峡で武力衝突が起き、フィリピンが米軍に基地や補給などの兵站支援を提供した場合、国際法上、フィリピンは事実上の「共同参戦国」と見なされると指摘します。その結果、中国による報復対象となり、経済的な「地政学的分断」が非線形的に加速します。第一のシナリオである数ヶ月の短期戦であっても、南シナ海の船舶保険料は跳ね上がり、主要な港湾のリスクプレミアムが高騰します。投資家はフィリピンを危険視して資本を国外へ逃避させ、通貨ペソは暴落、観光業や中国向け輸出は完全に崩壊します。これだけでも、国内総生産(GDP)は一時的に6%から10%失われると予測されています。

さらに深刻なのは、第二のシナリオである3年から5年に及ぶ長期的な封鎖や紛争の継続です。この場合、フィリピンは世界のサプライチェーンから「恒久的に」排除されるという構造的な悪夢に見舞われます。半導体や電子機器のグローバル・バリューチェーンは破壊され、物流ルートはフィリピンを完全に迂回するように再設計されます。これは一時的な停滞ではなく、2050年までに本来の成長予測からGDPが43%も押し下げられることを意味します。その姿は、2022年以降のウクライナにも例えられます。

結論として、台湾有事への深入りは、フィリピンが長年描いてきた「ASEANの成長株」という夢を終わらせることになります。2035年までにおよそ10年から15年分の開発の遅れが生じ、2050年までには一世代分の豊かさが失われる計算です。かつて期待された経済的キャッチアップの約束は消え去り、フィリピンは「道を見失った成長物語」の典型例として歴史に刻まれることになりかねません。軍事的な同盟強化が、国民を中所得国の罠に固定し、貧困と格差を永続させる構造的な足かせになるという皮肉な現実を、著者は強く訴えています。

0 件のコメント: