Honest Money in Dishonest Hands - LewRockwell [LINK]
【海外記事紹介】経済学者のゲーリー・ノース氏の著書『正直なお金』をもとに、現代の通貨システムがいかに「正直さ」を失い、一部のエリートに利益をもたらす仕組みへと変質してしまったかを解説します。
そもそもお金とは、孤島に一人でいるロビンソン・クルーソーにとっては無価値なものです。彼にとって金(ゴールド)は重いだけで、沈みゆく船から持ち出すべきは道具であり、金ではありません。しかし、他者との交換が発生する社会においては、貨幣は最も交換しやすい媒体として自然発生しました。歴史的に、市場が選んだ「正直なお金」は金や銀でした。これらは市場によって供給量が決まるため、恣意的な操作ができません。
しかし、現代の通貨供給を決めているのは市場ではなく、中央銀行のFRBです。著者は、私たちがパンや靴の価格を政府に決めてほしくないのと同様に、なぜ全ての価格の基準となる「通貨の供給量」を少数の人間に委ねているのかと問いかけます。
この体制下で行われているのが「インフレ」という名の偽造行為です。民間人がお札を刷れば犯罪ですが、政府や銀行が何もないところから通貨を作り出すのは、道徳的な仮面をかぶった「公認の偽造」に他なりません。ある実業家が偽札を刷れば刑務所行きですが、政府機関で紙幣を刷り続ける役人は年金をもらって引退し、経営危機に陥った銀行家は中央銀行から資金を融通してもらうことでボーナスを受け取ります。この新たな資金が銀行システムを通じて何倍にも膨らみ、物価上昇という形で一般市民の購買力を奪っていくのです。
インフレは「累進所得税」の強力な加速装置としても機能します。かつて所得税が導入された1913年当時、税率も低く対象もごく一部の富裕層だけだったため、国民は誰も気に留めませんでした。しかし、インフレによって名目上の給与が上がると、実質的な生活水準は変わらないのに、国民はより高い税率の区分へと押し上げられてしまいます。
FRBの本来の目的は「銀行パニックを防ぐこと」とされていますが、設立以来、世界恐慌を含む10回以上の不況を経験してきました。結局のところ、FRBの真の役割は政府の借金を肩代わりし、大銀行や政治家に利益を誘導することにあると著者は断言しています。「正直なお金」を取り戻すためには、中央銀行による独占を廃止し、市場による通貨の選択と管理を復活させる必要があるのです。
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