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2026-03-03

中東動乱と帝国の没落

Trump's Iran War as America's "Suez Moment"?, by Ron Unz - The Unz Review [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの歴史家ロン・ウンズ氏は、トランプ大統領によるイラン攻撃が、かつての大英帝国の没落を決定づけた「スエズ危機」になぞらえ、アメリカの覇権が崩壊する歴史的転換点、すなわち「スエズ・モーメント」になる可能性を指摘しています。70年前、第二次世界大戦の勝者として中東の支配者を自認していたイギリスとフランスは、エジプトによるスエズ運河国有化に激怒し、イスラエルと密約を結んで軍事侵攻を強行しました。戦場では勝利したものの、当時のアイゼンハワー大統領がこの侵略に反対し、アメリカの圧倒的な金融力を行使して英ポンドを追い詰めた結果、イギリスは経済崩壊の危機に直面して無条件降伏を余儀なくされました。これにより、大英帝国がもはや独立した大国ではないことが世界に露呈したのです。

ウンズ氏は、今回のイラン戦争が同様の結末をアメリカにもたらすと予測します。トランプ氏はイラン周辺に空軍・海軍力の半分に相当する巨大な戦力を集結させましたが、軍事専門家によれば、イランとの戦争は朝鮮戦争以来の困難な戦いになり、わずか数日で弾薬が底をつく可能性すらあります。それ以上に致命的なのは、世界最大の石油の要所であるホルムズ海峡の封鎖です。すでにタンカーの通行量は激減しており、原油価格の高騰は世界経済に深刻なダメージを与え始めています。しかし、アメリカにとって真の脅威は軍事的な敗北ではなく、中国による「無血の金融・経済的打倒」であると同氏は論じています。

中国は自国の石油輸入の15%をイランに依存しており、アメリカによる中東の完全支配を看過できません。ウンズ氏の分析によれば、中国は軍隊を派遣せずとも、アメリカがベネズエラに対して行った石油封鎖という前例を逆手に取り、台湾に対して同様の「合法的な封鎖」を宣言するだけで、アメリカを屈服させることが可能です。台湾は世界最大の半導体生産拠点であり、特に現在のアメリカ経済を支えるAIブームに不可欠な最先端チップの供給を独占しています。もし中国が台湾を封鎖し、チップの供給を遮断すれば、数週間でアメリカのハイテク株は暴落し、数十兆ドル規模の資産が霧散して、米経済は再起不能な打撃を受けることになります。

かつてイギリスがアメリカの金融圧力に屈したように、現代のアメリカも中国の経済的包囲網によって、一発の銃弾も交えることなく戦略的敗北を喫する可能性があるのです。トランプ氏が「アメリカ・ファースト」を掲げながら始めたこの戦争は、皮肉にもアメリカがもはや世界を支配する唯一の超大国ではないことを証明し、建国以来の憲法システムや共和制の終焉を招く「断崖」への一歩になるかもしれないと、ウンズ氏は強い危機感を持って警告しています。

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