2018年7月25日水曜日

自由の代償、統制の代償

複数の人々がかかわる問題に対して、互いに対等な立場の人どうしで解決に取り組むと、しばしば意見の対立が起こります。一方、誰かが絶対的な権限で統制すれば、対立は起こりません。どちらが望ましいのでしょうか。

仮想通貨ビットコインが分裂騒動に見舞われています。記事によると、決済スピードを高める新たな仕組みが導入され、分裂はひとまず回避されたようですが、参加者の中には新しい仕組みに納得していない勢力も残り、8月1日に向けて分裂騒動が再燃する恐れがあるといいます。

分裂騒動を受け、国内の仮想通貨取引所はビットコインの入出金と決済を一時中止しました。利用者には不安を感じる人も少なくないでしょう。それは当然のことです。しかしだからといって、この騒動がビットコインや仮想通貨そのものの欠陥を示すと考えるのは正しくないでしょう。

関連記事「仮想通貨 未来を聞く」で早大ファイナンス総合研究所顧問の野口悠紀雄氏が述べるように、中央に管理者を置かず、多くの参加者が平等に近い形でかかわるビットコインは、民主的に仕様変更についての意思決定をしようとしています。民主的な意思決定に対立はつきもので、それを混乱とみるのは適切ではないでしょう。

野口氏が指摘するとおり、今回のような騒動は、中央で管理する法定通貨ならありえません。通貨の発行について国内で一つしかない中央銀行が絶対的な権限を握っているからです。

しかしその代わり、法定通貨は仮想通貨と違い、発行量に歯止めがなく、通貨価値が毀損されがちです。中央銀行は政治から独立した建前になっていますが、現実には影響は避けられません。安い送金料で世界中どこにでもすぐに送れるといったメリットもありません。自由と統制のそれぞれにメリットと代償があり、両者を冷静に比較しなければならないでしょう。

少なくとも今のところ、ビットコインは意見の対立を抱えながらも、利用者に大きな不利益を及ぼしていないようです。昔から企業のお家騒動や独立騒ぎはよくありますが、それでその企業の商品が買えなくなったことはありません。仮想通貨が定着していけば、今回のような分裂騒動が不安視されることもなくなるのではないでしょうか。(2017/07/25

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