2018年7月10日火曜日

人災としての河川氾濫

天災にはたいてい、人災の側面があります。しかも皮肉なことに、災害から国民を守るはずの政府が原因であることが少なくありません。九州北部を襲った豪雨災害も例外ではなかったようです。

記事によると、今回、福岡、大分両県を襲った記録的豪雨に伴う河川の氾濫は、2012年の「九州北部豪雨」と同じく、流倒木が川をせき止めたことが原因となりました。流倒木の多くはスギです。針葉樹のスギは根の張り方が広葉樹より浅く保水力が低いとされ、大雨が降ると山の表層ごと崩落します。

これらのスギは自然に生えたものではありません。スギの植林は戦後の国策でした。木材需要の増加を見越し、政府が補助金を出して山主に植林を推奨したのです。その結果、針葉樹林が全国各地に広がりました。

ところがその後、安い輸入材との競争が厳しくなり、日本の林業は衰退。森林の多くが間伐されないまま放置され、これも山の地表が崩れやすい要因になりました。

国土交通省の九州地方整備局や福岡県は5年前の豪雨災害後、川幅拡幅や川底掘削など公共工事で対応を進めていますが、いまだに完成されていない場所が多いそうです。「想定外」の豪雨に工事だけで対応するのは、費用も時間もかかりすぎます。

根本の原因である、スギ植林という国策がもたらした山の地盤の劣化を食い止めない限り、悲劇はまた繰り返されるでしょう。林業に対する政府の介入を減らし、もっと自由な産業にすれば、大切な資産である山を保全する意欲は自然に高まるはずです。(2017/07/10

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