2018年7月20日金曜日

二流の自由

日本国憲法で、基本的人権は「侵すことのできない永久の権利」(第11条)として守られることになっています。ところが実際には、人権にはしっかり守ってもらえるものと、それなりにしか守ってもらえないものがあります。しっかり守ってもらえるのは精神的自由、それなりにしか守ってもらえないのは経済的自由です。

精神的自由とは思想、信教、言論、出版、学問の自由などです。 一方、経済的自由とは職業選択の自由や財産権です。 憲法の学説や裁判の判例では、自由を制限する法律が違憲かどうかを判断する際、制限されるのが精神的自由の場合は厳しめに判断するけれども、経済的自由の場合は緩やかめでいいとされています。これを「二重の基準」といいます。

「二重の基準」の根拠の一つは、裁判所の審査能力です。裁判所は法律の専門家だけれども、経済問題の専門家ではない。だから専門家である政府の考えを尊重し、経済を規制する法律には原則として合理性があると考え、デフォルトで合憲とみなそう--。やや荒っぽく言えば、そういうことです。

記事によれば、一部医薬品のインターネット販売を禁じる旧薬事法は合憲と判断した東京地裁の判決で、裁判長は「副作用のリスクに照らせば、薬剤師の判断のもとで販売させる規制には相応の合理性がある」と述べたそうです。まさしく、「デフォルトで合憲」の世界です。

しかし、裁判長はあまりに世間知らずではないでしょうか。薬剤師がお客の相手をすれば副作用のリスクは減ると思っているようですが、ネット販売の方が購入者に事前に詳しい質問をすることができ、副作用を防ぎやすいとの指摘もあります。昼時の混んだドラッグストアなどで薬剤師が長時間対応するのは現実に難しいでしょう。そもそも買いに来るのが本人とは限りません。

議員や官僚は裁判官より経済の実務には詳しいかもしれません。しかしだからといって、国民全体のためになる立法をするとは限りません。議員や官僚にとってより大切なのは、後援者の利益や天下り先の確保だからです。基本的人権なのに大切にされない二流の自由。それが経済的自由の現実です。(2017/07/20

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