2018年7月21日土曜日

デフレ心理は誰が起こしたか

日銀が物価目標の達成時期をまた先送りしました。これで6回目です。日銀によれば、物価上昇を妨げているのは「デフレ心理」だといいます。英語圏の報道で deflationary mindset と訳されていることからもわかるように、合理性を無視した、がんこな思い込み(マインドセット)というニュアンスがあります。

黒田東彦総裁によれば、デフレ心理とは、企業や家計に根強く残る「賃金・物価が上がりにくいことを前提とした考え方や慣行」です。例として、企業が「人手不足に見合った賃金上昇をパートなどにとどめる一方で、省力化投資の拡大やビジネスプロセスの見直しにより、賃金コストの上昇を吸収するなどの動き」を挙げています。

しかし、それがデフレ心理だとすれば、別に不合理とは思えません。将来が不透明なとき、人間の行動は慎重になるものです。家計では、厚生年金保険、健康保険、介護保険などの社会保険料負担が今後も増大する見通し。給与所得控除や配偶者控除の縮小で税負担も重くなります。これでは節約志向になるのも当然です。消費者がそうなら、企業もおいそれと価格転嫁できません。

政府支出の膨張にいつまでも切り込まず、社会保険料率の引き上げや増税で乗り切ろうとする政府の安易な姿勢が、国民の不安を募らせています。これがデフレ心理の正体です。そして日銀は、大量の国債買い入れという事実上の財政ファイナンスによって、政府の安易な姿勢を助長しています。つまりデフレ心理の責任の一端は、日銀自身にあるのです。(2017/07/21

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