2018年7月17日火曜日

著作権は何のため

著作権法第1条には同法の目的がこううたわれています。「この法律は〔略〕文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もって文化の発展に寄与することを目的とする」。しかし本当に「文化の発展に寄与」しているのか、疑問に思うときがあります。

著作権を法律で定める理由として、こんな説明がされます。音楽や小説、絵画といった著作物は自然に生まれるものではなく、著作者が労力をかけて創作するものである。創作した著作物が利用されるときに正当な対価を得られることは、創作に携わる人の創作活動や暮らしを支えるために大切だ。次の世代が創作を志す意欲にもつながる--。

一見もっともらしいのですが、考えてみると奇妙です。著作権の保護に関する法律が欧州で初めて作られたのは、せいぜい18世紀から19世紀にかけてのことです。つまり、それ以前の芸術家や文学者は著作権法で保護してもらえませんでした。

アイスキュロス、シェイクスピア、ミルトンといった文学者も、バッハ、モーツァルト、ベートーベンなどの作曲家も、ダ・ビンチ、レンブラント、ゴッホといった画家も、その創作物は著作権法で守ってはもらえませんでした。それにもかかわらず、旺盛な創作意欲で、後世の私たちにすばらしい作品の数々を遺してくれたのです。

芸術家には貧しさに苦しんだ人もいますが、誰もがそうだったわけではありません。シェイクスピアは故郷で大きな屋敷を買うほど金持ちになりました。戯曲を出版して稼いだからではありません。人気劇団の株主だったからです(河合祥一郎『シェイクスピアの正体』、新潮文庫)。

ひるがえって現代。記事にあるように、音楽教室での先生や生徒の演奏について著作権使用料を徴収するという日本音楽著作権協会(JASRAC)の決定が波紋を広げています。同協会の運営方針の是非だけでなく、著作権制度そのものを問い直すときに来ているのかもしれません。(2017/07/17

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