ドイツ・ハンブルクで開催中の20カ国・地域(G20)首脳会議に対し、反資本主義を掲げるデモが過激化しています。記事によると、デモ隊は「格差だけを生む資本主義は機能しない」などと怒りの声を上げたそうです。しかし、もし彼らが本当に貧しい人々の立場から発言しているとしたら、資本主義に責められる理由はないはずです。
なぜなら資本主義は少なくとも産業革命以降、庶民の生活水準を大幅に向上させてきたからです。資本主義は富裕層を生みましたが、庶民の暮らしも豊かにしました。格差を生んだかもしれませんが、絶対的貧困も減らしています。問題は格差ではなく、貧困のはずです。
産業革命当時の工場労働は過酷だったかもしれません。しかしそこで働くことを選んだ人々は、農村でもっと貧しく、苦しい暮らしをしていたのです。資本主義は彼らを救いました。
資本主義における産業構造は、消費者、つまり私たち自身の必要や好みに応じて、絶え間なく変化します。企業には栄枯盛衰があり、その過程で賃金が下がったり職を失ったりする労働者も出てきます。それはたしかにつらいことです。しかし、だからといって政府が企業に賃下げや人員整理を禁止しても、解決にはなりません。むしろ将来払うツケを大きくするだけです。
痛みを小さくし、つらい期間を短くする最善の道は、企業がすみやかに成長分野に転じられるよう規制をなくし、労働市場を柔軟にすることです。すなわち、資本主義をさらに徹底することです。資本主義を責めたり恥じたりするのでなく、擁護しなければなりません。(2017/07/08)
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