イスラムの教えに沿った金融手法であるイスラム金融が最近話題になってはいますが、資本主義やそれを精神面で支える西洋の古典的自由主義は、イスラム教とはなじまないどころか、正反対だという意見が少なくありません。しかし、それはどうやら正しくないようです。
記事の筆者はトルコのジャーナリスト。たしかに現在のイスラム諸国の多くは自由のお手本とはいえないが、だからといってイスラム教を自由の敵とみなすのは誤りだと主張します。キリスト教国だって千年前は、宗教裁判で異端者を拷問にかけ処刑したり、十字軍で異教徒を虐殺したりしたのだから、と。
資本主義もイスラム教と両立するといいいます。根拠の一つは、預言者ムハンマドの人生です。ムハンマドは40歳で伝道を始める前、やり手の商人でした。市場メカニズムを理解していたムハンマドは、商業を奨励し、正直な商人を称える言葉を多く残したと筆者は指摘します。
ある逸話によれば、敬虔な信者から市場の物価高を規制するよう求められたムハンマドは「神のみが物の価を支配したもう」と否定的に応じたそうです。後世の解説者の中には、ここにアダム・スミスの「見えざる手」に似た精神をみる向きもあるといいます。
残念なことに、中世に栄えたイスラム資本主義は戦争、侵略、貿易ルートの変化などにより没落し、イスラム文明全体の凋落をもたらしました。イスラム諸国が立ち直るカギは資本主義の創造力を取り戻すことにあるという筆者の意見には、説得力があります。(2017/07/23)
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