アフリカなどでの飢餓は、現代の最も深刻な問題の一つです。飢餓は理由もなく起こるわけではありません。いくつか原因があります。その中であまり触れられないのは、外国による軍事介入です。
英シンクタンク、経済平和研究所(IEP)が先ごろ発表した2017年度「世界平和度指数」によると、危険な国のワースト10に入ったのは、シリア、アフガニスタン、イラク、南スーダン、イエメン、ソマリア、リビア、中央アフリカ共和国、スーダン、ウクライナでした。
この国々について、ジャーナリストのホイットニー・ウェッブ氏は「10カ国のうち(中央アフリカを除く)9カ国に共通点がある」と指摘します。それは「米国が中心となって展開した、国家弱体化運動や体制転換作戦という暴力を経験したこと」といいます。つまり外国による軍事介入です。
政権転覆の標的となったシリア、イラク、アフガニスタンでは政治勢力の対立が意図的に作り出され、内戦や混乱が続いています。イエメンは米国に支援されたサウジアラビアによって激しく攻撃されています。
日報問題に揺れる陸上自衛隊が国連平和維持活動(PKO)を行なった南スーダンは、米国の軍事介入と「国家建設」が不首尾に終わり、混乱に陥りました。海上自衛隊が海賊対処で派遣されているソマリアも、米軍の空爆など軍事介入が続いています。
戦火に見舞われたこれらの国々の多くでは、国民が飢えに苦しんでいます。経済活動の基礎は平和ですから、当然といえます。
さてNHKの報道によると、国連国際農業開発基金(IFAD)のホンボー総裁は、アフリカなどの農村部で飢餓や貧困が広がっているとして、日本などに積極的な支援を呼びかけたそうです。
同総裁が具体的にあげた国は、南スーダン、ナイジェリア、ソマリア、イエメンの4カ国です。ナイジェリア以外はいずれもさきほど触れた、外国による軍事介入で平和が破壊された国です。しかし総裁は少なくとも記事上では、その事実に触れていません。
ホンボー総裁は、貧困が若者をテロに走らせているといいます。しかしテロに走らせるのは貧困ではなく、軍事介入に対する怒りと考えるのが素直でしょう。本気で飢餓やテロをなくしたいのなら、経済支援よりもやるべきことがあるはずです。(2017/07/29)
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