2008年5月に始まったふるさと納税制度は年々、利用者数と寄付金額が増え、国民の間に定着してきました。しかし一方で、「返礼品めあてで不健全」という批判も聞かれます。ふるさと納税は不健全なのでしょうか。
ふるさと納税が広がるにつれ、都市部自治体の財政は苦しくなっています。日経電子版の記事によれば、千葉市の熊谷俊人市長は「『得をする』ということで税を支払う国民は本当に健全なのか」と憤っています。
税金は行政サービスの対価として支払うもので、返礼品を目的に払うのはおかしいと言いたくなる気持ちはわかります。しかし国民からしてみれば、行政サービスも返礼品も「得をする」ための手段であることに変わりはありません。
親であれば、いじめなどなく、充実した教育を受けられる学校に子供を通わせたい。地方のおいしい特産品を食べて喜ぶ子供の顔を見たい。どちらも「得」をしたいという気持ちであり、自然な感情です。不健全なところなどありません。
実際には教育をはじめ、行政サービスには多くの国民が不満を感じています。地元自治体に愛着などわかず、税金を払いたくないと思っても不思議ではありません。
それにふるさと納税は、返礼品目的ばかりではありません。朝日新聞によると、九州豪雨の被災7自治体には返礼品なしで計1億4千万円を超す寄付が集まったそうです。
ふるさと納税は完璧な制度ではないかもしれませんが、納税者の選択肢が増えるのは間違いなく健全で良いことです。資金流出を嘆く都市部自治体は、そうならない努力をもっとするべきでしょう。(2017/07/31)
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