2018-08-01

温暖化懐疑論を叩く人たち

自然科学には門外漢ですが、科学にとって「疑う精神」が大切であることくらいは知っています。ですから、地球温暖化懐疑論に対する有無を言わせないバッシングには違和感を覚えていました。それはあながち素人の見当外れな感想ではなかったようです。

記事によると、気候科学の現役研究者でも、二酸化炭素(CO2)偏重の温暖化説が100%正しいとは思っていない人が少なくない。しかし下手に疑義を呈すれば自分や弟子に悪影響が及びかねないため、「口を慎む」。学者の世界の現実を垣間見させる、生々しい指摘です。

いきおい、懐疑論を展開するのは異分野のベテラン研究者になるといいます。懐疑論の具体的な主張それぞれについて正しいかどうか判断する知識はありませんが、少なくとも「人為的温暖化説は曖昧な点が多いのにもかかわらず、誰も何も考えずに追随しているという印象を受ける」という、ある名誉教授の指摘には同感です。

たとえば記事にあるように、8年前に現役の主流派研究者がわざわざ「地球温暖化懐疑論批判」と題する冊子を発行し、懐疑論の重要な論点を「一蹴」したものの、今ではその論点は懐疑論が正しかったことがわかっています。

そうした事実を無視して、懐疑論者を「『科学』を認めない人々」などと決めつける論調には危うさを感じます。

温暖化CO2主因説は今や、各国政府が環境政策の前提とする公式見解です。しかし、だから科学的に正しいとは限りません。物理学者リチャード・ファインマンが述べたように、「いかなる政府であろうと、科学の原理の真偽を決める権利はありません」(『科学は不確かだ!』、岩波現代文庫)。

報道の世界でも、温暖化懐疑論が肯定的に取り上げられることはほとんどありません。貴重な記事が書かれたことを喜びたいと思います。(2017/08/01

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