北朝鮮情勢をめぐる緊張が高まるなか、新旧の代表的な代替資産が投資家の人気を集めています。伝統的に有事に強いとされる金が買われる一方で、仮想通貨ビットコインも初めて4000ドルを超えるなど堅調です。
金もビットコインも、国境を超えてお金として利用される「無国籍通貨」です。政府・中央銀行による金融政策の圏外にあるため、金融緩和で円やドル、ユーロなど法定通貨の価値が大幅に薄まる場合には、そこから逃れる手段にもなります。
こうした共通点のある金とビットコインですが、相違点もあります。フォーブス・オーストリア版が今年4月の記事で、金と比べたビットコインの長所と短所をまとめています。
ビットコインはいつでも誰でも身分証明書なしに口座を作れ、決済が迅速という長所があります(ただし日本は今年4月施行の改正資金決済法により本人確認が必要)。金で決済できる取引はごくわずかしかありません。ビットコインは送金コストも低くて済みます。金と違って貯蔵のコストもかかりません。
一方、ビットコインには、悪意のある集団や個人がネットワーク支配権の過半数以上を握り、不正な取引を行うリスクがあります(51%攻撃)。マネーロンダリング(資金洗浄)対策などで規制が強化される可能性もあります。インターネット、電気、機器なしでは利用できないのも金にはない弱みです。
発行量を制限し金本位制の仕組みに似たところのあるビットコインは「デジタル・ゴールド」とも呼ばれますが、以上の相違点を踏まえると、金とは資産クラスが異なると考えた方がよいと記事は指摘します。
学術研究によれば、運用資産の2〜4%をビットコインに、最大20%を金に割り振るよう推奨されているそうです。地政学リスクが高まり、超低金利の正常化も当面期待しにくいなか、金か仮想通貨かの二者択一ではなく、特色に応じて両者をともに活用するのが賢明なようです。(2017/08/14)
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