英ジャーナリスト、ピーター・ヒッチンス
(2022年5月22日)
マークス&スペンサー百貨店で「チキン・キーウ」なるものを売っているのを発見し、大笑いしてしまった。これは以前の「チキン・キエフ」と同じで、プロパガンダが加えられているだけらしい。ビーガンのために、実際のチキンが入っていない「ノー・チキン・キーウ」というのもあるそうだ。
先日の夜、オックスフォード大学の著名な学者に、天使のように美しく、聖人のように完璧なウクライナ人が2014年にクリミアへの水の供給を遮断したと教えて、ショックを与えてしまった。野蛮な行為は当然ショックだが、この高学歴の人が、この重要な事実を知らなかったことのほうがはるかにショックだ。
教育、政治、報道の分野で、ウクライナ民族主義の人種差別的ルーツ、凶悪なステパン・バンデラ(今はウクライナの国民的英雄)の経歴、ウクライナ政府のロシア語に対する差別について知る者はほとんどいない。もしカナダがフランス語圏の人々を同じように扱ったら、国際的な怒りが沸き起こることだろう。
最悪なのは、ゼレンスキー・ウクライナ大統領(私見では立派な人物)がロシアとの和平を掲げて当選した事実が知られていないことだ。しかしゼレンスキー氏が約束を果たそうとすると、自国の軍隊の一部がそれを妨害した。大統領に公然と楯突き、恥をかかせたのである。
同時に、ゼレンスキー氏の政敵(ウクライナに間違いなく存在するネオナチを含む)は街頭に繰り出し、(ロシアとの)いかなる種類の取引も非難した。ゼレンスキー大統領は崩れ落ちた。そして戦争が始まった。
今の戦争における最初の暴力行為は、実は2014年にウクライナの合法的な政府を転覆させた、欧米に支援された暴動である。これがすべての恐怖の真の始まりだった。それはプーチンの愚かで残忍な侵略の言い訳にはならないが、説明するのに役立つ。
先週、マリウポリ製鉄所のウクライナ人守備隊(その多くが実はSS=ナチス親衛隊=の紋章を誇らしげに公式の制服に付けたアゾフ大隊のネオナチ)が降伏した際、英国における一方的な世論は頂点に達した。メディアは骨を折って、ネオナチに言及せず、「降伏」という言葉も使わないようにしたのだ。
マリウポリの守備隊は、降伏ではなく、ロシア領に「避難」させられたという。写真には、武装を解かれ、ロシア兵から身体検査を受ける姿が写っていた。私たちは紛争に対する偏った見方にとらわれ、守備隊が降伏したことさえ認められなかった。かくも明白な現実を受け入れないとは、狂気の沙汰だ。
ウクライナで問題を起こし、ロシアを戦闘に駆り立てる米国の政策に隷属することで、英国にどんな利益があるのか理解できない。「チキン・キーウ」やウォッカを味わいながら、誰かが説明してくれるかもしれない。しかし議論をするには、まずこの議論には二つの側面があることを認めなければなるまい。
(次より抄訳)
PETER HITCHENS: Can anyone explain to me why this was called evacuation and not surrender? | Daily Mail Online [LINK]
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