2022-05-22

ロシア・ウクライナ戦争——煽動政治家が自国の自由を破壊する新たな機会

ライター、ホセ・ニーニョ
(2022年05月14日)

政治家は戦時を徹底して楽しむ。好戦的な時期は、権力を欲する政治家たちが、堕落した政治的妄想にふけるときだ。ロシア・ウクライナ戦争も例外ではない。米欧諸国の政治家たちはこの戦争を機に、国内で市民の自由を弾圧している。

欧州連合(EU)はすでにRTやスプートニクといったロシア国営メディアを、偽情報の流布を理由に禁止している。言論の自由を強く保護する米国では、表現の自由に対する攻撃は企業的な色彩を帯びる。グーグルなど大手ハイテク企業は、ロシアから資金提供を受けたチャンネルを積極的にブロックしている。

NATO加盟国のチェコやスロバキアは、ロシアのウクライナ侵攻を支持すると解釈される行動を犯罪として取り締まった。ラトビアでは、ロシア支持を表明する個人を市民が通報できる警察ホットラインを設置した。ドイツのいくつかの州は、ロシアの軍事行動を意味するZマークを表示した個人を起訴した。

「親ロシア」の定義は、米欧のウクライナ戦争関与に疑問を投げかける反戦活動家や不介入主義者を攻撃するまで拡大される恐れがある。国際関係学者ミアシャイマーは、NATO拡大など米国の外交政策が戦争を起こす条件を整えたと述べただけで、シカゴ大学の学生との闘争にさらされそうになった。

第一次世界大戦中、ウィルソン米政権は1916年にスパイ活動法、1917年に煽動法を成立させた。1918年、社会主義者ユージン・デブスが演説で徴兵への抵抗を呼びかけたところ、煽動罪で起訴され、10年の実刑判決を受けた。1921年末、ハーディング大統領の恩赦でようやく釈放された。

ベトナム戦争では、米連邦捜査局(FBI)が反戦団体に対する監視・潜入で活動を妨害した事例がいくつもある。作家ランドルフ・ボーンが述べたように、「戦争は国家の健康法である」。戦争を機に米欧政府が権力増強に励むのは、今も昔も変わらない。

米欧の自称「自由民主主義諸国」は新型コロナで、国民を技術官僚の気まぐれに小突き回される家畜のように扱い、すでにその本性を現した。そして今、ウクライナ戦争が激化する中で、さらに暴君のような欲望を露わにしつつある。

西洋の提示する独自の価値に不可欠な部分は、市民の自由を尊重することだった。しかし今、それは大きく変わった。米欧諸国の政府が発する、自由を守れという高慢な美辞麗句は、その実際の行動を見れば、せいぜい空虚なものでしかない。

(次より抄訳)
The Russo-Ukrainian War: A New Opportunity for Demagogues to Destroy Freedoms at Home | Mises Wire [LINK]

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