米政府のウクライナにおける代理戦争は、国民国家に体現された歴史・文化・地理の連続性を超越するためのグローバリズムの計画である
元米陸軍大佐、ダグラス・マクレガー
(2022年5月4日)
1999年のコソボ空爆の際、クリントン大統領は米国民に「コソボはグローバリズム対部族主義(の戦い)だ」と言った。当時この発言に注目した米国民はほとんどいなかった。コソボも日常生活とは関係のない、よその土地での紛争だった。「部族主義」という言葉に米国民の多くは混乱したのだろう。
米国人の多くにとってナショナリズムとは、国への献身、危機や紛争に際し国の求めを自分よりも優先させる国民の心構えのことだ。米国のナショナリストは部族主義者ではない。米国やその歴史的制度、法に具現化された権利を守り、守ることを望むのであって、戦争を始めることを望んでいるのではない。
グローバリズムという言葉は、自由貿易や国家間の友好関係以上の意味を持つようになってきた。今日、西洋の国民国家とそのナショナリズムは、グローバリストによって偏見、排他主義、戦争の根源として非難されている。クリントンの「グローバリズム」は、バイデン政権の対ロシア代理戦争とつながる。
ロシアは欧州とアジアの文明をつなぐ独自の地理的な役割を果たしている。また、正教会文化は現在のロシアの国家思想、外交・安全保障政策の奥底にある信仰である。これらが危機にさらされている。
バルカン半島、アフガニスタン、イラクにおける米主導のNATO軍事介入に鑑みれば、NATOのロシア西側国境への進出を良しとすることはできない。それ以上にロシアからすれば、NATOのウクライナへの進出は、グローバリズムのロシアへの拡大と表裏一体である。
ロシアを「弱体化」させたいとする米国防・国務長官の発言は、米政府のいう「ルールに基づく秩序」がロシアにとって何の利益にもならないことを明確に示している。実際、この発言はロシア人の心中に、米国はNATO拡大を目指すウクライナの戦争の共戦国だという信念を確認させただけだ。
米国は長年にわたってウクライナとロシアの戦争を積極的に推進し、グローバリストが憎むウクライナのナショナリズムを利用して、自分たちの大義に貢献させた。それは成功した。今、同じグローバリストたちは、ウクライナが破壊されているにもかかわらず、武器や助言、激励によって戦争を長引かせている。
過去30年間、米政府は政権転覆を目指す軍事支援・介入に肩入れし、バルカン、近東、北アフリカ、南西アジアでの紛争と危機に米国を引き込んできた。ロシアを破壊しようとするグローバリストの戦争が東欧に癌のように広がるのを阻止するため、米国のナショナリストはこれまで以上に必要とされている。
(次より抄訳)
The War for Globalism in Ukraine - The American Conservative [LINK]
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