ロン・ポール平和繁栄研究所上級研究員、アダム・ディック(2022年4月30日)
2003年3月、米軍のイラク侵攻直前、当時のウォルフォウィッツ国防副長官は下院議員らに対し、侵攻で打撃を受けるイラクの再建に米国が費用を負担することはないと述べた。イラクは石油収入によって自国の再建費用を賄うことができると断言したのである。
現実は大きく違う結果となった。2018年にある記者が書いたように、「15年後、イラクは米国主導の侵略、内戦、国の大部分の占拠の後、まだ完全に再建できておらず、再建自体のかなりの部分を資金調達できていない」という。
2003年当時、ウォルフォウィッツが米政府に負担をかけずにイラクを復興させるという見通しを示したとき、好奇心旺盛で十分な知識を持った人々は、疑う理由がたくさんあったはずである。しかし議員を含む多くの人々が求めたのは現実に基づく予測ではなく、イラク戦争を売り込むための話題だった。
それから19年後の今、同じような論法が現れた。これまで米国の対露戦争は、ウクライナ政府への援助と制裁が主である。陸海空でロシア軍と戦っているわけではないが、これは戦争なのだ。実際、クレイン大統領首席補佐官はツイッターでそれを肯定し、「ヨットを押収して戦争資金を調達する」と宣言した。
クレイン首席補佐官がツイッターに投稿したのは、バイデン政権が、ロシア人の財産がどこにあろうと没収し売却することを拡大・円滑化する法案を提案した同じ日だった。政府による財産没収はすでに憲法違反だが、バイデン政権はその強化を提案したのだ。
ロシア人の財産をカネに変えたところで、米国の対露制裁による貿易の混乱、品不足と物価高で米国人が新たに負担する費用はおろか、米政府が反露活動に費やすよりはるかに少ない金額しか得られないのはたしかだ。そして戦争が激化すればするほど、米政府と米国人のコストは増大が予想される。
バイデン大統領がウクライナ支援のため追加要求したのは330億ドルだ。これは米国が今年ウクライナに費やした何百億ドルに上乗せされる。さらにその何年も前から、米国からウクライナに一貫してお金が流れていた。それには2014年に同国の選挙で選ばれた政府を転覆させるための資金も含まれる。
米財務省は「10億ドル以上の価値のある船舶や航空機を制裁・封鎖し、米国の銀行口座にあるロシアのエリートたちの資産を何億ドルも凍結した」という。 すでに経費超過だ。赤字財政は米政府のお家芸だ。戦争でもそれは変わらない。
(次より抄訳)
The Ron Paul Institute for Peace and Prosperity : Iraqis’ Oil Did Not Pay for Rebuilding Iraq; Russians’ Yachts Will Not Pay for the US War on Russia. [LINK]
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