2022-05-18

なぜ米国はフィンランドに戦争保証をするのか?

政治評論家、パトリック・ブキャナン
(2022年5月17日)

プーチン露大統領の意図に神経質なフィンランドは、ロシアに侵攻された場合、米国が自国に代わってロシアと戦う法的・道徳的な拘束力を持つよう望んでいる。フィンランドの立場からすれば、理解できる。しかしなぜ米国は、核大国ロシアがフィンランドの国境を侵したからといって、戦争に応じるのか。

フィンランドはアラスカでもカナダでもなく、5000マイルも離れている。そして冷戦時代もそれ以降も、フィンランドが米国の重要な利益だと主張した者はいない。それではなぜ、フィンランドをめぐってロシアと戦争をすることに事前に同意するのだろうか。

バイデン大統領は先週、NATOは門戸開放政策をとっており、フィンランドとスウェーデンの加盟を楽しみにしていると述べた。ロシアと830マイルの国境を接する人口550万人の国フィンランドに、同国をロシアが攻撃した場合、米国にロシアとの戦争を義務づける権利を譲り渡そうとしているのだ。

NATOはカントリークラブではない。プーチンが敵視する軍事同盟である。NATOの加盟国は、30カ国のうち1カ国への攻撃をすべての国に対する攻撃とみなし、攻撃された国を防衛する義務を負っている。

バイデンはフィンランドをNATOに迎え入れることで、チェンバレン英首相が1939年春にポーランドに与えた戦争保証のようなものを提供しようとしている。その結果、ドイツがポーランドに侵攻した2日後の1939年9月3日、イギリスは宣戦をしなければならなかった。

ジョージ・ワシントン米初代大統領は退任挨拶で、「恒久的な同盟」に対して米国民に警告を発した。第3代大統領トーマス・ジェファーソンは、初代大統領を意識して、「もつれた同盟関係」に警告を発した。

スウェーデンとフィンランドのNATO加盟は、すでにロシアの怒りを買っており、核戦争に発展しかねない圧力を和らげそうもない。基本的な疑問に答える必要がある。冷戦終結から30年、なぜわれわれはいまだにNATOを拡大し続けているのか。

ロシアは米国を脅かしてはいない。欧州の近隣諸国に対する脅威については、欧州自身に対処してもらえばよい。欧州のNATO加盟国はロシアよりはるかに人口が多く、経済力もあり、軍事的にも自国を防衛する能力がある。

フィンランドは小さくても近代化された軍事力があり、攻撃されればロシアに対抗することができる。それなのに、なぜ米国がフィンランドのために戦争をしなければならないのか。その戦争はトルーマンからレーガンまですべての米大統領が避けようとしてきた、核戦争に発展する恐れがある。

(次より抄訳)
The Ron Paul Institute for Peace and Prosperity : Why Would US Give a War Guarantee – to Finland? [LINK]

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