2022-05-24

母なるロシアよ、どこへ行く?

政治評論家、パトリック・ブキャナン
(2022年5月20日)

ロシアは米国の2倍の領土を持つ地球最大の国で、世界最大の核兵器を持ち、戦術核兵器では米国や中国をしのぐ。広大な国土を持ち、石炭、石油、ガスなどの鉱物が豊富に埋蔵されている。しかしロシアには明白な弱点もあり、もろさを増している。

プーチン露大統領が北極圏で戦力を目覚ましく増強する一方で、バルト海はフィンランドとスウェーデンが西側同盟に加入したことで、NATOの湖になりつつある。サンクトペテルブルクから大西洋に出航するロシアの軍艦は、現在または将来のNATO加盟国11カ国の沿岸防衛線を横断しなければならない。

米国の偉大な好敵手だった冷戦時代から、さまざまな意味で縮小したロシアが答えなければならない問いに、「Quo Vadis?(どこへ行く?)」がある。母なるロシアは、これからどこへ行くのだろうか。

多くのロシア民族主義者は、冷戦と冷戦後の敗北を恨み、今日の米国の敵対勢力である大国、習近平の中国と同盟することを政権に求めている。これは第二次冷戦への道だが、それはロシアの国家と国民に何か恩恵をもたらすのだろうか。

ロシアと中国の同盟では、どちらが上級パートナーになるかは疑いようがない。中国の人口は14億人で、ロシアの10倍だ。ウラル山脈より東のシベリアや極東では、中国の人口はロシアの50倍から100倍である。ロシアの資源をいつか支配したいと切望しているのは、米国ではない。

ロシアの未来のためには、第二次冷戦よりも米露のデタント(緊張緩和)はどうだろうか。冷戦の最も激しい時期に、アイゼンハワー、ニクソン、レーガンといった米大統領は、ロシアとの対立を避けるために、ロシアとの間に共通の立場を見出そうとした。

アイゼンハワーは1959年、ハンガリー動乱を弾圧したフルシチョフを12日間の米国訪問に招いた。ニクソンは、1968年の「プラハの春」をワルシャワ条約機構に潰させたブレジネフとデタントを開始した。レーガンとゴルバチョフは、1987年の中距離核戦力条約で全種類の核兵器の廃棄を交渉した。

米欧の指導者は、ウクライナを侵攻したプーチンに敵意を抱いたから、ロシアと再び一緒にはやれないかもしれない。しかしロシアを孤立させ、西から追い出せば、ロシアの行き先は東、つまり中国しかない。

米国は230年間、一度もロシアと戦争をしたことがない。ロマノフ時代もスターリン時代もそうだったし、冷戦時代の共産主義者ともプーチン主義者とも戦争はしなかった。米国の死活的な利益とは、この伝統を維持することである。

(次より抄訳)
Quo Vadis, Mother Russia? - Antiwar.com Original [LINK]

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