2020-07-17

恐怖の利用

恐怖とは人間の状態の一部である。思考と行動に影響を及ぼし、駆り立てる。その不合理な感情によって、普段は知的な人々が論理と知恵を捨て去ってしまう。英思想家バークが述べたように、恐怖という感情ほど、精神から行動力と思考力をみごとに奪い去るものはない。
Connor Boyack, Feardom: How Politicians Exploit Your Emotions and What You Can Do to Stop Them

昔から専制君主や独裁者は恐怖を研究し、目的追求に役立ててきた。政治運動は恐怖の上に築かれる。政治宣伝は恐怖なしにはうまくいかない。中央集権化は恐怖の自然な延長である。米建国の父ジョン・アダムズは、恐怖とは多くの政府の基礎だと述べたが、それは誇張ではない。
Connor Boyack, Feardom: How Politicians Exploit Your Emotions and What You Can Do to Stop Them

ラーム・エマニュエル(現シカゴ市長)は大統領首席補佐官当時、「危機を無駄にしたくはない。普段は避けるような重要なことを行うチャンスだ」と述べた。危機は未知と未来に対する恐怖を生む。政治は危機を利用し、いつもなら国民が拒否するような政策を推し進める。
Connor Boyack, Feardom: How Politicians Exploit Your Emotions and What You Can Do to Stop Them

恐怖は万人に共通で、権力を求める政治家や官僚にしばしば利用される。恐怖が政治上の世論や対応に影響することを許せば許すほど、恐怖の状態を利用して支配権を握ろうとする人々の力をその分、強めることになる。新たな危機が支配階級に利用されるたびに、自由は衰えていく。
Connor Boyack, Feardom: How Politicians Exploit Your Emotions and What You Can Do to Stop Them

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