政府は危機に対する人々の恐怖心を利用して、自身の権限を拡大しようとする。しかし、もし人々が十分に怖がらなかったらどうするか。簡単だ。嘘をつけばいい。
米エコノミスト、ロバート・ヒッグスの著書の一部が、ミーゼス研究所のサイトで紹介されている。ヒッグスは、政府が権限を拡大するために国民に信じ込ませようとする、事実に反する「神話」、つまり嘘を列挙する。コロナ前に書かれた文章だが、今の米欧や日本に驚くほどよくあてはまる。
たとえば、「今起こっているような危機は、これまで起こったことがない」という嘘。人々を衝き動かすのに恐怖心ほど便利なものはない。だから権限拡大を狙う政府は、現在の状況は前例のない脅威であり、政府が強制的に介入しない限り、助かることはできないと信じさせようとする。
また、「政府は問題解決の方法を知っているか、すぐに見つけることができる」という嘘。政府は正しい政策がわからないときでも、何もやらないよりは、とにかく「何かやる」ほうがましだと考える。まるでその「何か」には、費用もかからなければ副作用もなく、将来の悪影響もないかのようにである。
それから、「政府とその関係者は、危機の専門知識について信頼できる」という嘘。危機対応のため政府が集める専門家は、政府自身か、政府と親しい集団に属する。彼ら専門家の多くは、危機のそもそもの原因である政府の政策に責任がある。だから過去の政策にとらわれ、同じ過ちを繰り返すことになる。
政府の嘘は、時代や国、危機の種類を問わず、ワンパターンで単純なことがよくわかる。騙されないように気をつけよう。
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