イスラエルがパレスチナ自治区ガザへの空爆に踏み切り、イスラム組織ハマスとの間で激しい交戦となっている。イスラエル軍の空爆は続き、これまでにガザでは子供を含む百人以上が死亡した。
米国のバイデン大統領はイスラエルのネタニヤフ首相と電話会談し、衝突が早期に終結するよう期待を示したという。
しかしその言葉と裏腹に、米政府は実際にはイスラエルの戦争を後押ししている。
米シンクタンク、ウィリアム・ロイド・ガリソン・センターのアナリスト、トーマス・クナップが指摘するとおり、米国はイスラエルに対し、年三十八億ドル(約四千二百億円)の軍事支援を行っている。これはバイデンが副大統領だったオバマ政権下の2016年に取り決められたものだ。
もし子供に札束を渡し、「酒や喧嘩の道具には使うなよ。でも、もし使ってしまったら、まあいいさ。またあげるから」などと言えば、ろくなことにはならない。クナップはこんなたとえ話で、口先だけで平和を唱える米政府の偽善を批判する。
クナップは、イスラエルへの軍事支援は、核兵器を保有するならず者国家(イスラエルは事実上の核保有国と見られている)に対する援助を禁じた対外支援法に違反するとして、廃止を主張する。
しかし現実には、米国の政治家は集票や政治献金などの理由から、支援の縮小・廃止を言い出そうとしない。その結果、パレスチナのアラブ人もイスラエルのユダヤ人も、米国が支援する戦争で血を流し続けるだろうと、クナップは悲観的に締めくくる。
日本政府は今回の紛争に関し、比較的バランスが取れている。外務省が表明した公式見解では、暴力の応酬の原因となったイスラエルの入植行為を名指しで非難した。
ところが中山泰秀防衛副大臣はツイッターで、「私達の心はイスラエルと共にあります」と、イスラエルに一方的に偏った発言をしたという。政府がここでも対米追従の姿勢を強めていかないか、気がかりだ。
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