2021-05-11

恐怖は政府の養分


人びとが抱く恐怖心は、政府にとって養分のようなものだ。政府は恐怖を利用して権限を拡大し、肥え太っていく。

保守系のワシントン・タイムズの記事によれば、米国では少なくとも三つの州が、コロナウイルスによる健康上の非常事態を口実に、経済の自由を半永久的に制限する方針を打ち出すか、検討している。

先陣を切ったのはバージニア州だ。ラルフ・ノーサム知事は1月27日、企業のコロナ対策を定めた暫定基準に代わり、恒久基準を導入すると表明した。暫定基準と同様、職場の感染リスクに応じた防止策を求めたのに加え、従業員が陽性判定された場合は州への報告を義務づけるなど規制を強化した。州内のすべての雇用主が対象となる。

4月には、オレゴン州が州内のすべての企業を対象に、マスク着用やソーシャルディスタンスなどの義務を無期限延長する方針を検討中と報じられた。周囲の州が制限を緩和する中で、それに逆行する規制強化に州民の不満が高まっているという。

同月にはミシガン州も、企業に対する規制の無期限延長を検討中だと伝えられた。グレッチェン・ホイットマー知事は規制を定めた緊急措置を延長したばかりだが、州の労働安全衛生局は10月の期限到来後、恒久措置に切り替えたがっている。

これら三つの州の知事は、オレゴン州のケイト・ブラウン知事を含め、いずれも民主党所属だ。米国ではコロナ発生後、本来は「自由な」という意味であるはずの「リベラル」を自認する民主党が、人々の自由を厳しく制限する傾向が顕著になっている。

ワシントン・タイムズの記事はこう訴える。「最初は恐怖から、次には和を保つ服従心から、米国民は過激な左翼に長く従いすぎた。左翼はコロナを利用し、集団主義のイデオロギーを押しつけてきた。抵抗する人はほとんどいなかったが、さいわい、増え始めている。しかし今必要なのは、大衆の大規模な抵抗だ」

左翼政権だけとは限らない。日本では自由民主党という名の保守政党や保守系とされる自治体首長が、人々の恐怖心につけ込み、自由を奪っている。緊急事態宣言は延長が決まり、ほとんど恒久化しようとしている。「大衆の大規模な抵抗」が始まるのは、いつだろうか。

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