2021-05-06

進歩の英雄たち④マルコム・マクリーン


1960年代まで、世界の貨物のほとんどは樽、箱、袋、木箱、ドラム缶など雑多な容れ物で運ばれていた。コンテナが登場する以前、貨物船といえば、能率の悪い手作業で二十万個もの荷物を積み込み、運んでいたものだ。このため海運のコストは非常に高かった。

マルコム・マクリーンは1913年、米ノースカロライナ州のマックストンで生まれる。大学に進む経済的余裕がなく、兄弟の会社でトラック運転手として働き始めた。1937年、港で港湾労働者たちがトラックの荷物を船に積み込むのを何時間も座って眺めているうち、もっと効率の良い方法はないかと考え始めた(この逸話は事実ではないという説もある)。

マクリーンは最初、トラックごと船に積んではどうかと考えた。しかし1952年、その案を修正し、トラックのコンテナだけを積むことにした。そうすれば積み上げることができる。これが現代の海上コンテナの始まりだ。

1956年、マクリーンは海運会社を立ち上げ、コンテナを使って、競争相手より大幅に価格を引き下げる。1966年には初めて大西洋横断の輸送サービスを始め、三年後には太平洋横断も開始した。

マクリーンのコンテナ方式は強みを発揮し、会社は発展する。船は大型化し、コンテナは洗練され、荷を積み込むクレーンも大きくなった。1950年代、コンテナ輸送が広がったことで、貨物の積み下ろしはおよそ二十倍速くなり、コストを劇的に引き下げて国際貿易に革命を起こした。

マクリーンのコンテナ輸送のおかげで、世界中の消費者は商品をそれまでよりずっと安く手に入れられるようになり、何十億人もの人々の生活水準向上に役立った。

2001年、マクリーンは八十七歳でこの世を去った。葬儀の朝、世界中のコンテナ船が同時に汽笛を鳴らしたという。(この項つづく)

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