2021-04-08

恐怖という道具


「リバウンドが懸念される」「第四波に入りつつある」。緊急事態宣言を解除した後も、政府当局者は新型コロナウイルスに対する国民の恐怖心を煽るような発言を繰り返している。

もしコロナ感染症が本当に危険な病なら、多少脅かすようなことを言われても仕方ないかもしれない。しかし、コロナ対策を担当する厚生労働省で職員二十三人が深夜まで飲み会を楽しんだというから、政府も本心では大したことないと思っているのだろう。

それではなぜ、政府は恐怖を煽り続けるのだろうか。恐怖は国民を支配するのにきわめて便利な道具だからだ。

恐怖という感情は、人の思考と行動に特別な影響を及ぼす。いつもは分別のある人でも、恐怖に駆られると、論理的な思考や思慮深い判断ができなくなる。かつて英国の思想家バークが「恐怖という感情ほど、精神からすべての行動力と思考力をみごとに奪い去るものはない」と述べたとおりだ。

恐怖によって正常な判断力を失った人々は、他人が提案する解決策を安易に受け入れやすくなる。場合によっては、大切な自由まで譲り渡してしまう。まるで蛇ににらまれ、身動きできなくなった蛙のように。

国民を恐怖によって思うままに操作したい政府にとって、コロナは簡単に手放したくない口実に違いない。たとえ感染者が減少しようと、経済規制で企業倒産や自殺者が増えようと、あれこれ理由をつけてコロナの恐怖を煽り続けるだろう。他にもっと効き目のある恐怖が見つからない限り。

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