お金(貨幣)がお金として通用するのは、そのお金がモノとしての商品価値をもっているからである——。お金の起源について、標準的な経済学ではこのように教える。貨幣商品説と呼ばれる。
この貨幣商品説に対立する説に、貨幣法制説がある。お金は権力が法律や命令でお金として定めたから流通するという。貨幣法制説が間違っていることは、民間で発行される仮想通貨の存在や、古代日本で朝廷によって発行された皇朝十二銭が失敗した事実などから明らかだ。
ところが最近話題の現代貨幣理論(MMT)では、この間違った貨幣法制説に固執し、独自のアレンジを加えたうえで、正しいと言い張る。独自のアレンジとは、お金がお金として価値を持つのは、それによって税金が払えるからという説だ。
MMTを支持する評論家の中野剛志氏は、ダイヤモンド・オンラインの記事でこう述べる。
要するに、人々がお札という単なる紙切れに通貨としての価値を見出すのは、その紙切れで税金が払えるから、というのがMMTの洞察です。貨幣の価値を基礎づけているのは何かというのを掘って掘って掘り進むと、「国家権力」が究極的に貨幣の価値を保証しているという認識に至ったのです。
けれども、マネーの起源に関するMMTのこの説は、その土台となる貨幣法制説と同じく、奇妙で間違っている。以下、検証してみよう。(この項つづく)
0 件のコメント:
コメントを投稿