2021-04-26

価値は心が決める①労働量とは関係なし


商品の価値はどのように決まるのだろう。よくある誤りは、その商品の生産に費やされた労働の量によって決まるという考えだ。経済学では労働価値説という。

労働価値説が間違っていることは、同じ労働時間をかけても、要領の良い人と悪い人では商品に出来不出来があり、同じ値段では買ってもらえないことから明らかだ。

たとえば、私が十年かけて大長編小説を書き上げても、まったく売れなければ、そのためにどんなに努力したとしても、経済的には価値がない。

労働価値説はアダム・スミスら古典派経済学者によって唱えられ、カール・マルクスに引き継がれた。資本主義のスミスと社会主義のマルクスでは正反対のようだが、意外にも、理論の根幹にある価値についての考え方は共通していた。

けれども最初に述べたように、労働価値説は理屈として無理がある。そのため労働価値説を前提とする古典派経済学はしだいに行き詰まった。このとき登場し、行き詰まりを打破したのが主観価値説である。

主観価値説とは、商品の価値は消費者が個人としてそれぞれ主観的に判断する効用(満足度)によって決まるという考えだ。1870年代、英国のウィリアム・スタンレー・ジェヴォンズ、フランスのレオン・ワルラス、オーストリアのカール・メンガーによって別々に唱えられた。とくにメンガーを祖とするオーストリア学派の主張は、主観価値説の代表とされる。

主観価値説はその後の経済学発展の基礎となったが、一般の人には必ずしも十分理解されていない。価値は心が決めるという主観価値説がわかれば、経済に関する頭のもやもやがすっきり晴れる。(この項つづく)

<関連記事>

0 件のコメント: