Introduction: Rothbard at 100: A Tribute and Assessment - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]
【海外記事より】2026年3月2日は、20世紀を代表する社会理論家マレー・ロスバードの生誕100周年にあたります。これを記念して、ハンス・ヘルマン・ホッペ氏は、ロスバードの多大な功績と、彼が公的に正当な評価を受けてこなかった背景を考察する記事を寄稿しました。ロスバードは経済学においてルートヴィヒ・フォン・ミーゼスに次ぐ地位を築いただけでなく、政治哲学、歴史学、社会学など多岐にわたる分野で傑出した業績を残しました。彼は人類の歴史を「権力と市場」「略奪と生産」の絶え間ない闘争として体系化しましたが、その急進的な思想ゆえに、既存の知識人層からは疎外されてきました。
ロスバードが公的な評価を得られなかった最大の理由は、彼が私有財産と自発的な契約に基づく「右派無政府主義」を提唱し、国家による暴力の独占を真っ向から否定したことにあります。国家がなければ、公的資金による教育システムや中央銀行、軍産複合体も存在し得ません。そのため、これらの組織に雇用を依存する知識人や経済学者、あるいは軍事産業に関わる人々にとって、彼の思想は受け入れがたいものでした。さらにホッペ氏は、ロスバードがアメリカの主流メディアや学界で強い影響力を持つ層から「好ましくない人物」と見なされた要因として、彼のユダヤ教およびイスラエルに対する批判的な視点を挙げています。
ロスバードは、イスラエルが先住民の追放や殺害という暴力的な征服によって成立した国家であり、非ユダヤ人を差別するアパルトヘイト体制を敷いていると批判しました。また、アメリカの外交政策が「ネオコン」と呼ばれる勢力の影響下でイスラエルの利益に奉仕し、中東を火薬庫に変えていると警告しました。こうした姿勢は、強力なロビー団体から「反ユダヤ主義」というレッテルを貼られる原因となりました。
最後にホッペ氏は、アルゼンチンのミレイ大統領がロスバードを信奉していると公言している現状に懸念を示しています。ミレイ氏は中央銀行の廃止などの公約を果たしておらず、さらにトランプ氏やネタニヤフ氏、ゼレンスキー氏といった、ロスバードが「怪物のような存在」と忌み嫌ったであろう国家主義的な指導者たちと親密な関係を築いています。ホッペ氏は、こうした政治家たちとリバタリアニズムが結びつけられることは、真のリバタリアン思想の評判を著しく損なう恐れがあると結論づけています。
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