Mises Institute: Quo Vadis? [LINK]
【海外記事より】経済学者ハンス・ヘルマン・ホッペ氏が、40年以上にわたり深く関わってきた「ミーゼス研究所」の内部崩壊と変質を告発する衝撃的な手記を公開しました。2026年3月25日付のこの記事で、ホッペ氏は、同研究所がかつての知的誠実さを失い、不透明な権力構造と自己保身に走る「利権団体」へと成り下がっている現状を淡々と、しかし厳しく批判しています。
事の発端は、2025年後半に起きたトム・ディロレンゾ所長とカレン・デ・コスター最高財務責任者(CFO)の解任劇です。ホッペ氏の分析によれば、この混乱の根源は組織の構造的欠陥にあります。本来、所長の部下であるはずのジョー・サレルノ学術副所長が、同時に理事会の終身メンバーという強力な権限を持っており、実質的に所長を支配・排除できる「二重権力」状態にあったのです。ホッペ氏と共同執筆者のギド・ヒュルスマン教授は、この是正を求める覚書を理事会に提出しましたが、完全に無視されました。
さらに深刻なのは、創設者ルー・ロックウェル氏の健康悪化に乗じた組織の私物化です。ホッペ氏は、ロックウェル氏がすでに実質的な管理能力を失っており、外部への発信も他人が代筆している疑いが強いと指摘しています。ホッペ氏らがマレー・ロスバード生誕100周年を記念して独自に出版した記念論文集に対し、研究所側は一切の言及を拒否し、寄付を募るメールを出すのみという不誠実な対応に終始しました。さらに、ホッペ氏の寄稿記事を「経済学的な内容が少ない」という虚偽の理由で却下するなど、言論封殺とも取れる動きを見せています。
ホッペ氏が最も憤っているのは、ロスバードの平和主義の理念に対する裏切りです。現在の実権を握るサレルノ氏らは、アルゼンチンのミレイ大統領を熱狂的に支持するヘスス・ウエルタ・デ・ソト氏を記念講演に招きました。しかしミレイ氏は、ロスバードを引用しつつも、実際には好戦的でシオニズムを支持する「偽のリバタリアン」であるとホッペ氏は断じています。このような人物を称揚することは、反戦を掲げたロスバードやかつてのロックウェルの遺産に対する公然たる裏切りであると厳しく糾弾しています。
ホッペ氏は、7000万ドル(約100億円)を超える巨額の基金を持つミーゼス研究所が、もはや理念を追求する場ではなく、無知な寄付者から資金を集め続けるだけの組織に退化したと見ています。この告発の目的は、組織の改革ではなく、恩師ロスバードの知的遺産を嘘と腐敗から守り、真実を明らかにすることにあると述べています。
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