元米連邦下院議員、ロン・ポール
(2022年11月14日)
今年の米中間選挙で、共和党が議会で大勝する「赤い波」が来なかった理由を知りたい人は、今年の選挙を2010年の中間選挙と比較してみるとよいだろう。2010年、共和党は下院で63議席を増やした。上院では支配権を獲得しなかったが、6議席を増やした。
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— Ron Paul Institute (@RonPaulInstitut) November 14, 2022
2010年の共和党の勝利は、茶会党(ティーパーティー)と自由主義運動が推進したものだった。これらの運動はブッシュ政権末期に顕著になった。自由主義運動は、2008年の私の大統領選挙運動を草の根的に支援した人々によって進められた。自由主義運動の焦点は、あらゆる分野で立憲政治を回復し、介入的な外交政策をやめ、連邦準備制度(中央銀行)の監査と廃止、代替通貨の合法化によって金融政策を変えることにあったし、現在もそうだ。初期には、ティーパーティーは2008年の銀行救済への反対におもに焦点を合わせていた。
自由主義運動とティーパーティーの間には重なる部分があり、両運動の多くのメンバーは、連邦準備制度の監査と廃止、企業救済の廃止、議会による医療保険制度改革法(オバマケア)の成立を阻止するために闘った。
2010年の共和党の候補者の多くがティーパーティーの有権者に訴えたのは、オバマケア廃止の約束だけではない。あらゆる分野で、権限の小さい、憲法を尊重し財政に責任ある政府を取り戻すために働くことを約束した。これに対し2022年の共和党の平均的な候補者は、具体的な政策をほとんど示していない。 実際、バイデン大統領の大幅な歳出増を撤回するよう求めた共和党議員はほとんどおらず、ましてや連邦政府に憲法上の制限を課すよう求めた議員はほとんどいなかった。公立学校における新手の「批判的人種理論」やトランスジェンダー関連の政策をめぐって論争が起きているにもかかわらず、教育省を廃止しようという動きが再燃しているわけではない。
2022年の中間選挙における共和党候補者の多くは、民主党の対立候補がマスクやワクチンの義務付けなど、新型コロナの専制政治を支持していることも問題にできなかった。フロリダ州のロン・デサンティス知事や私の息子のランド・ポール上院議員(ケンタッキー州)など、コロナ暴政に反対した人たちが地滑り的な勝利を収めた。
ティーパーティーが共和党に対し、自由を尊重する、小さな政府を目指すよう強いることに成功したのは束の間だった。2010年の選挙が終わるとすぐに、共和党の支配層は再び巨額の支出を行うようになった。トランプ大統領と共和党議会の下で、歳出と債務は増加し続けた。共和党はオバマケアの廃止という看板公約すら果たせなかった。
2010年の中間選挙でわかったのは、国民は自由を守るまじめな考えや政策を提供する候補者に反応することだ。しかしティーパーティーの盛衰は、一つの政党と密接になりすぎたイデオロギー運動が抱える危険をも示している。こうした運動は、「我々のチーム」の一人が悪い票を投じ始めると、手のひらを返すようになる。大きな政府の共和党を支持しなければ、「本当に」大きな政府の民主党の天下になってしまうという議論だ。
幸いなことに、自由主義運動は原則に忠実であり続けた。福祉戦争国家が平和と財産を守れないこと、そして連邦準備制度が物価の安定と低失業を保証するという使命を果たせないことが明らかになるにつれ、より多くの米国民が自由主義運動に参加するようになるだろう。自由主義運動への支持は、避けられない経済破綻が起きたときに加速する。この経済破綻は、ドルの価値崩壊と世界基軸通貨としての地位の否定によって引き起こされるだろう。それは福祉戦争国家と不換紙幣制度の終焉をもたらす。願わくは自由主義運動によって、福祉戦争国家と不換紙幣制度の代わりに、小さな立憲政府、個人の自由、平和を確実に取り戻してほしい。
(次を全訳)
The Ron Paul Institute for Peace and Prosperity : A Tale of Two Midterms [LINK]
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