2022-11-04

徴兵制の暴力

自由の未来財団(FFF)創設者・代表、ジェイコブ・ホーンバーガー
(2022年9月30日)

米国とロシアがいかに似てきたか、米国人がしばしば思い知らされるのは興味深いことだ。

第一に、ロシアによるウクライナへの侵攻があった。米国も侵略をする。アフガニスタンやイラクが思い出される。

第二に、ロシアの麻薬取締法違反で逮捕・起訴され、九年の実刑判決を受けたブリトニー・グライナー(米女子プロバスケットボール選手)の件だ。米国にも薬物法はあるし、薬物法違反で長期にわたって刑務所送りになることもある。

第三に、貿易制限、渡航制限、入国管理だ。

第四に、中央銀行、不換紙幣、法定通貨。

第五に、最低賃金法を含む、政府に規制・管理された経済。

さらに、拷問、無期限拘留、大規模な秘密監視、軍事法廷、国家主導の暗殺なども挙げられる。米露両国はこれらすべてに関与している。

そして今、徴兵制がある。ロシアのプーチン大統領は、ウクライナとの戦争に参加するロシア人男性を無理やり動員するために、徴兵制に頼ろうとしている。何千人ものロシア人男性が、徴兵を避けるために国外に逃亡している。

しかし米国も徴兵制を使って、米国人に外国の戦争で戦うことを強制している。それが徴兵登録だ。米国の役人は若い米国人に名前と住所を登録するように要求し、政府が海外で戦争に参加しなければならない場合に備えている。ロシアと同じだ。

間違ってはいけない。もしそうなれば、米当局はロシア当局と同じ復讐心で徴兵忌避者を追いかけるだろう。徴兵を避けるために国外に逃亡するロシア人男性に対してロシア当局が使っている、「卑怯者」という言葉で呼ぶことになるだろう。これは実際、米政府の違法な(憲法で定められた宣戦布告がない)ベトナム戦争に参戦させられるのを避けるためカナダに逃亡した米国人男性を、米当局者がそう呼んだのと同じである。

その違法な戦争で、米国の役人は5万8000人の米国人を無駄に犠牲にした。考えもてみてほしい。5万8000人だ! 全員死んだ。15万人が負傷し、一生障害が残った人もいた。その多くは、殺すか殺されるかのために行かされた。徴兵制とはそういうもの、暴力なのだ。皮肉なことに、米国の役人は徴兵された男たちに、お前たちは「自由」のために戦っているのだと言っていた。しかし役人は、「自由」のために戦うよう強制されることが、本当の自由とどのように調和しうるのか説明できなかった。さらに、徴兵された何千人も米国黒人たちは、当然ながら、自分がベトナムで「自由」のために戦う一方で、国内では人種隔離に反対して殴られ、殺され続けていることを理解するのに苦労していたのである。

モハメド・アリが徴兵に服することを拒否した際、米政府は復讐のためにアリを追いかけた。ちょうど今、ロシアの役人が徴兵制に服することを拒む人々に対してやっているようにだ。史上最も偉大な(そして最も真実味のある)言葉の一つは、アリの「ベトコンとは喧嘩しない」という発言である。

これは米政府関係者、とくに国防総省(ペンタゴン)と中央情報局(CIA)の関係者を怒らせた。米政府が公式の敵を指定した以上、その人物や団体を自分にとっても公式の敵にすることは、すべての米国民に課せられた義務なのだ。

いずれにせよ、女性を含む若い米国人は、ロシアで起こっていることに注意を払うのが賢明だろう。なぜなら、それとまったく同じことが、米国でも一夜にして簡単に起こりうるからだ。もし若者たちが賢明ならば、徴兵登録の即時中止と、すべての徴兵記録の即時破棄を要求しているだろう。徴兵制は、真に自由な社会では何の役にも立たない。

米国民は、徴兵制を含む多くの重要な点で、自分の国がロシアと似てきているという事実について、真剣に考えるのが賢明だろう。

(次を全訳)
Russia’s Draft and America’s Draft Registration – The Future of Freedom Foundation [LINK]

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