2022-11-22

ウクライナ支援の闇、解明のとき

元米連邦下院議員、ロン・ポール
(2022年11月21日)

先週、世界は核戦争寸前の状況に立たされた。米国から資金援助を受けているウクライナのゼレンスキー大統領が、ポーランドに着弾したミサイルについて北大西洋条約機構(NATO)に軍事行動を促したからだ。「これは集団安全保障に対するロシアのミサイル攻撃だ。これは本当に重大な事態の拡大だ。行動が必要だ」と、ミサイルが着弾した直後にゼレンスキー氏は述べた。

しかし、問題があった。ミサイルはウクライナから発射されたものだった。戦争の混乱のなかで起きた事故であろう。もしロシアのミサイルだったら、もちろん第三次世界大戦になりかねない。しかしゼレンスキー氏は、その無謀な暴言から察するに、世界が吹き飛ぶことを気にしていないようである。

ゼレンスキー氏は米国のメディア、バイデン政権、議会の両党から聖人君子として扱われてきたが、今回バイデン政権が反発するという前代未聞のことが起きた。報道によれば、ゼレンスキー氏がバイデン大統領あるいはその上級スタッフに何度か電話をかけたが、つながらなかったという。

サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)がようやくゼレンスキー氏に電話をかけたとき、サリバン氏はポーランドへのミサイル着弾の背後にロシアがいるという主張について、「慎重に行動しろ」と言ったと伝えられている。バイデン政権は、ロシアがNATO加盟国のポーランドにミサイルを撃ち込んだというゼレンスキー氏の主張に公然と反論するようになった。自分の主張に対するワシントンでの2日間の反対運動の後、ゼレンスキーはついに、ある意味、引き下がったのである。

バイデン大統領が、ゼレンスキー氏の際限のない物乞いと、米政府から支払われた約600億ドルに対する恩知らずな態度に不満を抱いているという噂は聞いていたが、これはバイデン政権が「ゼレンスキー問題」を抱えていることを公然と認めた最も明確な例といえるだろう。

ゼレンスキー氏は、米国や欧州連合(EU)がロシアのミサイルでないことを知っていると理解していたに違いない。あの戦場での米国の膨大な情報能力を考えれば、米政府はミサイルがロシアのものでないことをリアルタイムで知っていた可能性が高い。違う主張をするゼレンスキー氏は、ほとんど動揺しているように見えた。そしてこのとき初めて、米政府は気づいたのである。

その結果、この危険な出来事に対し、米議会の保守派の間で小さな、しかしうまくいけば拡大していくような反乱が起きている。ジョージア州選出のマージョリー・テイラー・グリーン下院議員は、ウクライナに送られた数百億ドル(おそらく500億ドル以上)の監査を要求する法案を提出した。この法案には現在11人の共同提案者がいる。

マット・ゲッツ下院議員は、ウクライナにこれ以上1ドルでも支払うことに賛成しないと公言している。ポール・ゴーサー下院議員(アリゾナ州選出)のように、さらに踏み込んだ意見もある。同議員は最近のツイートで、米国のウクライナ支援は「腐敗したマネーロンダリング作戦」だと呼んだ。最近のFTX暗号取引所の崩壊が政治腐敗の可能性を指摘しているように、ゴーサ―議員の主張は正確であることが証明されるかもしれない。

ランド・ポール上院議員がウクライナへの大規模な支援策に対し、資金の監査人を求める修正案を提出した際、嘲笑・攻撃された。それから7カ月が経ち、ポール議員の立場ははるかに受け入れられているように見える。そしてそれは良いことだ。

ウクライナ戦争ヒステリーが、新型コロナヒステリーがその前に沈静化したように、やがて沈静化すれば、この件全体がまったくの大失敗だったことが、多くの米国民に明らかになるだろう。願わくは共和党が来年1月に下院を占拠した際に、この過程を加速させたいものだ。早すぎるということはあるまい。

(次を全訳)
The Ron Paul Institute for Peace and Prosperity : Is Washington’s Dangerous Ukraine Boondoggle Starting to Unravel? [LINK]

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