2022-11-02

米中間選挙で何かが変わるか?

元米連邦下院議員、ロン・ポール
(2022年10月31日)

多くの専門家は来週の米中間選挙で、インフレに対する国民の怒りによって、共和党が下院、そしておそらく上院で過半数を奪還すると予想している。しかし、上院の接戦のすべてが共和党に有利に運び、共和党の新議員が自由主義的な政策を通そうと決意したとしても、バイデン大統領の拒否権やチャック・シューマー上院院内総務のフィリバスター(議事妨害)を覆す票数はないだろう。歳出削減、憲法修正第1条(信教・言論・出版・集会の自由)、同第2条(武器保有権)、同第5条(適正手続の保障)の権利の保護、教育省の廃止、連邦準備理事会(FRB)の監査など、自由を擁護する法案が成立することはないだろう。

自由を擁護する法案が法律にならないからこそ、多くの共和党議員はそのような法案に賛同し、投票することに抵抗がないのである。米国政治の汚い秘密の一つだが、民主・共和両党の有力者は、大企業と癒着した福祉・戦争国家と、それを可能にする不換紙幣制度を支持している。細かい部分では言い争うが、両党の間にただ一つ存在する真の意見対立は、どちらが経済を動かし、世界を動かし、人々の個人生活を動かすのに適しているかということである。

議会が共和党の手に渡ることで期待できることはある。共和党は2024年の大統領選挙に向けて、バイデン大統領に立法上の大きな勝利を与えないようにしたいと望んでいる。これは多額の支出を伴う法案(例・インフレを加速させる、間違った名前のインフレ抑制法)から米国民を守ることを意味する。また、医療における政府の役割を拡大し、グリーンニューディール(脱炭素政策)を実施しようとする試みから、人々の自由と繁栄を守ることも期待できる。

上院を共和党が制した場合、私の息子であるケンタッキー州のランド・ポール上院議員が上院保健・教育・労働・年金委員会の委員長に就任する可能性がある。ランドはすでに、新型コロナ騒ぎの前と最中におけるアンソニー・ファウチ博士(大統領首席医療顧問)の行為について徹底した調査を望むと発言している。ランドが委員長になれば、教育省が親の権限を弱め、学問を弱める一方で、公立学校で「批判的人種理論」の利用を推進している点を調査することもできるだろう。また、教育省がその権限を濫用し、男子生徒に女子スポーツチームでプレーさせたり、女子トイレを使わせたりすることを学校に強制している点にも目を向けることができよう。

アリゾナ州は、自由主義の議員に新たな味方を送ることができる。ブレイク・マスターズ氏である。マスターズ候補は小さな立憲政府の支持者であり、連邦準備理事会の野放図な権力に挑戦し、自由と繁栄を守る大切さを理解している。マスターズ候補は現在、上院における銃規制の主唱者である現職のマーク・ケリー上院議員ときわどい接戦を展開している。

私たちは自由のために立ち上がる少数の政治家を支持すべきだが、政治家だけに頼って自由を取り戻すことはできないことを忘れてはならない。むしろ自由を取り戻すただ一つの道は、政治家が活動する政治的・文化的環境を変えることにある。だからこそ、必要最小限の人々をリバタリアニズム(自由主義)に転向させることが重要なのだ。私たちに勝利をもたらすのは、議会に多数のリバタリアン(自由主義者)を選出することではなく、政治的・知的環境を支配し、専制政治の支持者でさえも、自由のために投票せざるをえないと感じるようにすることである。

(次を全訳)
The Ron Paul Institute for Peace and Prosperity : Will the Midterms Change Anything? [LINK]

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