2022-04-27

腐敗し抑圧を強めるウクライナのために、核戦争の危険を冒す

ケイトー研究所主任研究員、テッド・ガレン・カーペンター(2022年4月26日) 

さいわいバイデン米大統領はこれまで、ロシアのウクライナ侵攻に対応してタカ派が推し進める最も危険な政策を拒んできた。強い圧力を受けているにもかかわらず、飛行禁止区域を宣言することを否定し、ウクライナへの米軍派遣を検討するような提案もきっぱりと拒否している。 

しかしバイデン政権が採用した政策でさえ、米国を核武装国との軍事対立に巻き込むリスクを伴う。米国とNATOの同盟国は、高性能の武器をウクライナにさらに注いでいる。ロシアは最近、このような輸送は合法的な軍事目標だと警告を繰り返した。米国は明白な交戦国になる寸前で戦争を回避しているのだ。 

たとえウクライナが歴史上最もすばらしく、汚れなき民主主義国家であったとしても、米国の指導者がそのために自国を危険にさらすのは軽率だろう。ましてや相手が腐敗し独裁色を強める国だとしたら、そのような行為はまったく無責任である。しかし、これはまさに今日のウクライナの姿そのものなのだ。 

ウクライナは長い間、国際社会で最も腐敗した国の一つであり、その状況は2005年1月のオレンジ革命で親欧米のユシチェンコが大統領に就任した後も、大きくは改善されなかった。19歳の息子が12万ドルのBMWスポーツカーでキエフの街を走り回るなど、派手な生活ぶりも目に余るものがあった。 

2014年のマイダン革命で米国の支援するデモ隊が親露派のヤヌコビッチ大統領を倒した後も、同様だった。オリガルヒのポロシェンコ新大統領は、少なくとも前任者と同様に腐敗していた。実際、金銭的な不正に対する国民の不満が、2019年の大統領選挙でゼレンスキーが勝利した大きな理由だった。 

マイダン革命のわずか数カ月後から、ウクライナ当局は反体制者への嫌がらせ、検閲、批判的とみなした外国人記者の出入りを禁止し、国際人権団体などから批判された。ネオナチのアゾフ大隊は、ポロシェンコ大統領の軍事・治安組織に不可欠な存在となり、ゼレンスキー大統領時代もその役割を担ってきた。 

ゼレンスキー政権下で汚職の程度が改善されたのはせいぜいわずかである。トランスペアレンシー・インターナショナルが2022年1月に発表した年次報告書では、ウクライナは180カ国中122位で、100点満点で32点であった。これに対し、汚職で有名なロシアは136位、29点とやや低い。 

民主主義と市民の自由も、汚職よりずっと良いわけではない。フリーダムハウスの2022年報告では、ウクライナは100点満点中61点の「部分的に自由」に分類されている。この区分にはフィリピン(55点)、セルビア(62点)、シンガポール(47点)など民主主義のお手本とは言いにくい国も含まれる。 

2021年2月、ウクライナ政府は複数の野党系メディアを「ロシアのプロパガンダの道具である」という疑惑のもとに閉鎖した。5月、ゼレンスキー政権は閉鎖したテレビ局のオーナー、メドベチュクを逮捕し、国家反逆罪で起訴した。12月下旬にはポロシェンコ前大統領を国家反逆罪で起訴した。 

戦時下で事態は決定的に悪化した。ゼレンスキーは戦争を理由に11の野党を非合法化し、いわゆる偽情報を防ぐために全国のテレビ局を1つの組織に統合した。国家安全保障のトップ2人を解雇し、裏切り者として非難した。漠然とした「反逆罪」疑惑は、反対派を逮捕・拷問・暗殺する万能の理由となった。 

19世紀ドイツの宰相ビスマルクはバルカン半島への軍事介入を拒み、「擲弾兵一人の命にも値しない」と主張した。腐敗して独裁色を強めるウクライナは、米国人一人の命にも値しない。核武装したロシアとの戦争で何百万人もの米国人の命を危険にさらすとは、恥知らずにもほどがある。

(次より抄訳)
Risking Nuclear War for a Corrupt, Increasingly Repressive Ukraine - Antiwar.com Original
https://original.antiwar.com/Ted_Galen_Carpenter/2022/04/25/risking-nuclear-war-for-a-corrupt-increasingly-repressive-ukraine/

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