国家はその国制にかかわらず、営利企業ではない。自発的に支払う顧客に製品・サービスを売ることで資金を調達するのではなく、強制徴収、つまり暴力の脅しと行使によって(そして無から生み出す紙幣によって)徴収する税金で、資金を調達する。
経済学者は政府、つまり国家権力の保持者を「定住型の盗賊」と呼んできた。政府とその雇われ人は、他の人々から盗んだ戦利品で生活している。抑圧された「宿主」である民衆の犠牲の上に、寄生している。
欧州は中世初期から近年まで何百、何千という独立した領地が存在し、高度な政治的分権を特徴とした。臣民は支配者の強奪から比較的たやすく逃れることができ、支配者は搾取を控えめにする圧力にさらされる。この節度あるふるまいが、経済的な起業家精神、科学的な好奇心、文化的な創造性を促した。
政府と政治家は実際のところ、定住型の盗賊、ギャング、ペテン師である。この二年間のコロナ体制は、外出、接触、集会の禁止を恣意的かつ不条理に行い、検査、証明書、ワクチン接種の規制を絶えず変更した。その結果、政治家の大半が、重武装した無節操な暴力犯罪者とみなされるようになった。
戦争を起こすのはロシア人でもウクライナ人でもドイツ人でも米国人でもなく、ロシア、ウクライナ、ドイツ、米国を支配し、戦争のコストをそれぞれの国の民間人に転嫁できる盗賊団(政府)である。
小さな国家は、小さな相手に対して小さな戦争をするだけだ。一方、小さな戦争の成功から生まれた大きな国家は、一般に戦争好きで、より大きな戦争も行う。最大かつ最強の国家である米国と、NATOに結集したその属国は、戦争と拡張に最も熱心だ。それだけでも、小さな国家と地方分権が必要な理由になる。
小国が大国の拡張主義と脅威に直面したとき、基本的に二つの選択肢がある。降伏するか、独立の維持を目指すかである。独立を維持し、戦争を回避する、あるいは戦争のリスクを最小化するために、唯一有望な方法は中立だ。大国の内政に干渉せず、大国を脅したり刺激したりしないことだ。
中立の義務は、同時に二つの大国が対立する主張を持ち、一方の味方をすることは他方にとってさらなる脅威となる場合、いっそう重要さを増す。今回の戦争は、ウクライナ政府が中立のルールに何度も違反した結果である。
2014年に米国が仕組んだクーデターで誕生したウクライナの政権が、NATOやEUへの加盟をスイスのようにはっきりと控え、当時離脱した東部のロシア語圏二州にいじめやテロを行うのではなく、手放していれば、ロシアに対する潜在的な脅威は和らぎ、今回の戦争はほぼ確実に起こらなかったはずだ。
しかし米国の圧力の下、ウクライナ支配層はNATO加盟を要求し続けた。実現すれば、敵国とされたロシアの国境まで米軍の駐留が拡大することになる。したがってウクライナ政府の行動は、ロシア側からみればとてつもない挑発であり、深刻な脅威と受け止められることは、誰も疑う余地がない。
西側で広まっている反ロシアのヒステリーと煽動は、事実誤認であるだけでなく、西側自身の役割から目をそらすことを主な目的としている。米国とそのNATOの属国がソ連崩壊以降30年にわたり、ロシアよりもはるかに多くの戦争の犠牲者と被害を出してきた事実を忘れさせることを意図しているのだ。
(次より抄訳)
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